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第二章 南へ
21.ヴァレンからの手紙
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朝、起きたらミゼアスが不機嫌だった。
アデルジェスが話しかけてもそっけない。いちおう返事はしてくれるが、ほとんど一言で片付けられてしまう。
いったいどうしたのだろうとアデルジェスは頭を悩ませていた。
昨晩、同級生だったロシュも含めて三人で酒を飲んだ。
そのときはミゼアスも上機嫌だったはずだ。つい楽しくて飲みすぎてしまい、その後のことはあまりよく覚えていない。ということは、覚えていない間に何かをやらかしてしまったのだろう。
しかし覚えていないのだ。どうすればよいのかわからない。
ミゼアスは『喉が渇いた』と一言残して、部屋を出て行ってしまった。ぽつんと取り残されたアデルジェスは、やりきれない孤独感に打ち震える。
どうすればミゼアスの機嫌を直すことができるのだろう。アデルジェスは寝台に腰掛けて一人、頭を抱え込む。
開け放たれた窓からは、アデルジェスの気など知らずにさわやかな風が吹き込んでくる。今日も良い天気だ。晴れ渡った青空が、アデルジェスの目と心に痛い。
すっかり落ち込んでいると、腕に何か当たっているような感触が伝わってきた。カリカリという音も聞こえてくる。いったい何事だろうと目を向けると、白い物体がいた。
白い鳩らしき鳥が、アデルジェスの腕を足で引っかいている。
「え……?」
思わずアデルジェスは間の抜けた声を漏らす。
鳩は足を戻して体勢を整えると首を傾げ、つぶらな瞳でアデルジェスを見つめる。口には手紙らしきものをくわえていて、受け取れとでもいうように軽く揺らす。
「あ……どうも……」
礼を述べて、アデルジェスは鳩から手紙を受け取る。
鳩はくるっくーと誇らしげに鳴くと、翼をはためかせて大空へと飛び立っていった。
いったい今の出来事は何だったのだろう。
まさか白昼夢でも見ていたのだろうか。夢と現実の狭間にぷかぷかと浮いているような心持ちだったが、手元にはしっかりと手紙が残されていた。アデルジェスは不思議な気分で、手紙を見てみる。差出人には『ヴァレン』と流麗な文字で書かれていた。
目を見開きながら、アデルジェスは封を開ける。おそらく、不夜島のヴァレンだろう。見習い時代にミゼアス付きだったそうで、アデルジェスが島に行ったときにも何回か顔を合わせている。
バタバタと騒がしく、お調子者ぶりを見せ付けていたかと思えば、裏でミゼアスのためにいろいろと手配するといった気配りも見せてくれた。
ミゼアスにとっては弟のような存在だという。
まだ一月も経っていないのだが、ずいぶんと昔のことに思える。
懐かしさを覚えながらアデルジェスは便箋を取り出し、読み始めた。
アデルジェスが話しかけてもそっけない。いちおう返事はしてくれるが、ほとんど一言で片付けられてしまう。
いったいどうしたのだろうとアデルジェスは頭を悩ませていた。
昨晩、同級生だったロシュも含めて三人で酒を飲んだ。
そのときはミゼアスも上機嫌だったはずだ。つい楽しくて飲みすぎてしまい、その後のことはあまりよく覚えていない。ということは、覚えていない間に何かをやらかしてしまったのだろう。
しかし覚えていないのだ。どうすればよいのかわからない。
ミゼアスは『喉が渇いた』と一言残して、部屋を出て行ってしまった。ぽつんと取り残されたアデルジェスは、やりきれない孤独感に打ち震える。
どうすればミゼアスの機嫌を直すことができるのだろう。アデルジェスは寝台に腰掛けて一人、頭を抱え込む。
開け放たれた窓からは、アデルジェスの気など知らずにさわやかな風が吹き込んでくる。今日も良い天気だ。晴れ渡った青空が、アデルジェスの目と心に痛い。
すっかり落ち込んでいると、腕に何か当たっているような感触が伝わってきた。カリカリという音も聞こえてくる。いったい何事だろうと目を向けると、白い物体がいた。
白い鳩らしき鳥が、アデルジェスの腕を足で引っかいている。
「え……?」
思わずアデルジェスは間の抜けた声を漏らす。
鳩は足を戻して体勢を整えると首を傾げ、つぶらな瞳でアデルジェスを見つめる。口には手紙らしきものをくわえていて、受け取れとでもいうように軽く揺らす。
「あ……どうも……」
礼を述べて、アデルジェスは鳩から手紙を受け取る。
鳩はくるっくーと誇らしげに鳴くと、翼をはためかせて大空へと飛び立っていった。
いったい今の出来事は何だったのだろう。
まさか白昼夢でも見ていたのだろうか。夢と現実の狭間にぷかぷかと浮いているような心持ちだったが、手元にはしっかりと手紙が残されていた。アデルジェスは不思議な気分で、手紙を見てみる。差出人には『ヴァレン』と流麗な文字で書かれていた。
目を見開きながら、アデルジェスは封を開ける。おそらく、不夜島のヴァレンだろう。見習い時代にミゼアス付きだったそうで、アデルジェスが島に行ったときにも何回か顔を合わせている。
バタバタと騒がしく、お調子者ぶりを見せ付けていたかと思えば、裏でミゼアスのためにいろいろと手配するといった気配りも見せてくれた。
ミゼアスにとっては弟のような存在だという。
まだ一月も経っていないのだが、ずいぶんと昔のことに思える。
懐かしさを覚えながらアデルジェスは便箋を取り出し、読み始めた。
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