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第二章 南へ
54.ただそれだけ
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「うん……小さい頃から、大きくなったら親の食堂を継ぐんだって思っていたから……。でも、親が亡くなると余裕がなくなって、ユアンも学校に行かせてやりたかったし……もう、俺は男娼で金を稼ぐしかないなって思って……」
俯きながらフィオンはぼそぼそと語り出す。しかし、途中でいったん言葉を区切ると真剣な様子で顔を上げた。
「でも、昨日ユアンがミゼアスさんから奨学金の話を聞いたって。それで、塞がれていた壁が崩れたような気がする。奨学金があるから稼がなくてもいいっていうんじゃなくて、そういう道もあったのかって……」
フィオンは穏やかな微笑みを浮かべる。
「俺、今までこうしなきゃいけない、って決め付けていたような気がする。奨学金が取れるかどうかはわからないし、やっぱり金のために当分の間、男娼は続けていくことになるだろうけど、先が明るく思えるようになった」
「僕、絶対に奨学金取るよ。早く兄ちゃんが楽できるよう、頑張る」
フィオンの横でユアンが決意を述べると、嬉しそうにフィオンがユアンの頭を撫でる。その様子を見て、ミゼアスも微笑ましく目を細めた。
いつの間にかフィオンの敬語も取れているし、素の様子に戻っているようだ。
「そのうち、どこか料理の店で働いて勉強したいと思う。男娼なんて、いつまでも続けられる仕事じゃないしね。それに……超えられない壁っていうか、超えちゃならない壁を見せ付けられたような気がして……」
やや引きつったような笑みを浮かべるフィオン。何のことだろうとミゼアスが首を傾げると、フィオンは表情を引き締めてアデルジェスに向き合う。
「……頑張ってくださいね」
何故かアデルジェスに向かって、フィオンは重苦しい様子で声をかける。
「え? あ……う、うん……」
怪訝そうに首を捻りながらも、アデルジェスは頷いた。困ったような視線をミゼアスに送ってくるが、ミゼアスにもよくわからない。
「あのさ……ミゼアスさんって、まさか……不夜島のミゼアス……?」
フィオンが声をひそめ、問いかけてくる。口に出した後で、言ってはならないことだっただろうかと後悔するように、おそるおそるミゼアスの様子を伺う。
ミゼアスは何も答えず、ただ微笑みを浮かべてアデルジェスの腕に絡みついた。
「……僕は、ジェスの『およめさん』だよ。ただ、それだけのミゼアス」
俯きながらフィオンはぼそぼそと語り出す。しかし、途中でいったん言葉を区切ると真剣な様子で顔を上げた。
「でも、昨日ユアンがミゼアスさんから奨学金の話を聞いたって。それで、塞がれていた壁が崩れたような気がする。奨学金があるから稼がなくてもいいっていうんじゃなくて、そういう道もあったのかって……」
フィオンは穏やかな微笑みを浮かべる。
「俺、今までこうしなきゃいけない、って決め付けていたような気がする。奨学金が取れるかどうかはわからないし、やっぱり金のために当分の間、男娼は続けていくことになるだろうけど、先が明るく思えるようになった」
「僕、絶対に奨学金取るよ。早く兄ちゃんが楽できるよう、頑張る」
フィオンの横でユアンが決意を述べると、嬉しそうにフィオンがユアンの頭を撫でる。その様子を見て、ミゼアスも微笑ましく目を細めた。
いつの間にかフィオンの敬語も取れているし、素の様子に戻っているようだ。
「そのうち、どこか料理の店で働いて勉強したいと思う。男娼なんて、いつまでも続けられる仕事じゃないしね。それに……超えられない壁っていうか、超えちゃならない壁を見せ付けられたような気がして……」
やや引きつったような笑みを浮かべるフィオン。何のことだろうとミゼアスが首を傾げると、フィオンは表情を引き締めてアデルジェスに向き合う。
「……頑張ってくださいね」
何故かアデルジェスに向かって、フィオンは重苦しい様子で声をかける。
「え? あ……う、うん……」
怪訝そうに首を捻りながらも、アデルジェスは頷いた。困ったような視線をミゼアスに送ってくるが、ミゼアスにもよくわからない。
「あのさ……ミゼアスさんって、まさか……不夜島のミゼアス……?」
フィオンが声をひそめ、問いかけてくる。口に出した後で、言ってはならないことだっただろうかと後悔するように、おそるおそるミゼアスの様子を伺う。
ミゼアスは何も答えず、ただ微笑みを浮かべてアデルジェスの腕に絡みついた。
「……僕は、ジェスの『およめさん』だよ。ただ、それだけのミゼアス」
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