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第二章 南へ
75.似ている
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「全部、彼に見破られたようですよ。誘拐事件のことも、生贄関連のことも。彼から手紙が来ました。あなた方がここに来るかもしれないと教えてくれたのも、彼です。凄いですね、彼は。いっそ、本当にここの領主になってもらいたいですよ。そうしたら、私も楽ができるのになー」
屈託のない笑みを浮かべ、領主は楽しげに呟く。
「誘拐された子たちは、無事です。ただ一箇所に集められているだけで、食事などの世話もきちんとされています。すぐに解放することもできるのですが……それはまだ待ってくれ、と」
「ヴァレンが?」
「はい。うちの商人を説得してみるから、それまで待って欲しいとありました。できれば本人に決着をつけさせたい、と。ただ、安全だけは確保しておいてほしいとのことだったので、それはそのとおりにしてあります」
領主の言葉に、ミゼアスはひとまず胸を撫で下ろす。ただ、まだ他の問題がある。
「……それは良かった。でも、誘拐事件はほとんど解決しているようだけれど……夕月花のほうはどうなるのでしょう? 生贄を捧げなくてはならない花は……」
暗然とした気持ちを抱きながらミゼアスは問いかける。
「それなんですけれどね。それも彼から連絡があったのですよ。生贄を捧げずに育てる方法があるそうです。最初に条件があったり何だりするのですが、とにかくこの先はもう生贄が必要なくなりそうです」
「え……?」
あっさりと返ってきた答えに、ミゼアスは目を見開き、瞬きも忘れて領主を見つめた。
「簡単に言えば、穏やかな愛情を持って見守ればいいそうです。芽が出ろ、早く育て、といったことを思うのもだめ。のんびり、適当に、でも愛情を持って育てればよいということでした。本来の育て方はそうなのだそうです。おそらく、父はそうやって育てていたのだろう、とも」
領主は目を細めて呟く。
「父が突然亡くなってから、私は自分を見失っていたように思います。夕月花が育たないことで焦り、もしかして自分はローダンデリアの血を引いていないのでは、とも思いました。私はこのとおりの赤毛で、父のような赤味がかった金髪ではありませんし。……そんなことを言ってしまっては、母に失礼ですけれどね」
自嘲のような笑みを浮かべると、領主はそれまでの思いを打ち消すように首を振った。
「でも、手紙のとおりに元の自分を思い出して世話をしてみたところ、夕月花が答えてくれたような気がしました。きっと、大丈夫だと思います」
にっこりと笑う領主。その笑顔に、ヴァレンが重なるようだった。かつてミゼアスを救ってくれたものと同じ、おおらかで明るい笑顔だ。
「……あなたは、ヴァレンと似ています。やっぱり、同じ血を引いているのだなと思います」
懐かしさすら呼び覚ます笑顔を眺めているうち、ミゼアスの口から声が漏れていた。
「彼は、赤味がかった金髪の美少年だそうですね。いっそ、彼と容姿が逆だったら……とは少し思いましたが、やっぱり私はこのままじゃないと。美青年とはいえませんが、これはこれで親しみやすいらしく、女の子が警戒しないのですよ。お友達から始めて、ちょっとした落差を見せると……まあ、やり方がいろいろあるというわけで」
からからと領主は笑う。
屈託のない笑みを浮かべ、領主は楽しげに呟く。
「誘拐された子たちは、無事です。ただ一箇所に集められているだけで、食事などの世話もきちんとされています。すぐに解放することもできるのですが……それはまだ待ってくれ、と」
「ヴァレンが?」
「はい。うちの商人を説得してみるから、それまで待って欲しいとありました。できれば本人に決着をつけさせたい、と。ただ、安全だけは確保しておいてほしいとのことだったので、それはそのとおりにしてあります」
領主の言葉に、ミゼアスはひとまず胸を撫で下ろす。ただ、まだ他の問題がある。
「……それは良かった。でも、誘拐事件はほとんど解決しているようだけれど……夕月花のほうはどうなるのでしょう? 生贄を捧げなくてはならない花は……」
暗然とした気持ちを抱きながらミゼアスは問いかける。
「それなんですけれどね。それも彼から連絡があったのですよ。生贄を捧げずに育てる方法があるそうです。最初に条件があったり何だりするのですが、とにかくこの先はもう生贄が必要なくなりそうです」
「え……?」
あっさりと返ってきた答えに、ミゼアスは目を見開き、瞬きも忘れて領主を見つめた。
「簡単に言えば、穏やかな愛情を持って見守ればいいそうです。芽が出ろ、早く育て、といったことを思うのもだめ。のんびり、適当に、でも愛情を持って育てればよいということでした。本来の育て方はそうなのだそうです。おそらく、父はそうやって育てていたのだろう、とも」
領主は目を細めて呟く。
「父が突然亡くなってから、私は自分を見失っていたように思います。夕月花が育たないことで焦り、もしかして自分はローダンデリアの血を引いていないのでは、とも思いました。私はこのとおりの赤毛で、父のような赤味がかった金髪ではありませんし。……そんなことを言ってしまっては、母に失礼ですけれどね」
自嘲のような笑みを浮かべると、領主はそれまでの思いを打ち消すように首を振った。
「でも、手紙のとおりに元の自分を思い出して世話をしてみたところ、夕月花が答えてくれたような気がしました。きっと、大丈夫だと思います」
にっこりと笑う領主。その笑顔に、ヴァレンが重なるようだった。かつてミゼアスを救ってくれたものと同じ、おおらかで明るい笑顔だ。
「……あなたは、ヴァレンと似ています。やっぱり、同じ血を引いているのだなと思います」
懐かしさすら呼び覚ます笑顔を眺めているうち、ミゼアスの口から声が漏れていた。
「彼は、赤味がかった金髪の美少年だそうですね。いっそ、彼と容姿が逆だったら……とは少し思いましたが、やっぱり私はこのままじゃないと。美青年とはいえませんが、これはこれで親しみやすいらしく、女の子が警戒しないのですよ。お友達から始めて、ちょっとした落差を見せると……まあ、やり方がいろいろあるというわけで」
からからと領主は笑う。
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