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第三章 巡り会い
91.かすかな手がかり
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ミゼアスはアデルジェスと仲良く手を繋ぎながら、楽器を売っているという店に向かう。
たとえその店に気に入るような楽器がなかったとしても、こうして二人で買い物に向かうという楽しみを与えてくれたというだけで、素晴らしいことだ。
晴れ渡った空と同じように、ミゼアスの心も晴れがましい。他愛もない会話を交わしながら歩いていると、すぐに目的の店の前までたどりついた。
店に入ろうとすると、ちょうど扉が開いた。
「ん? ……ああ、この間の方ですね。いらっしゃいませ」
中から現れたのは、茶色の髪を持つ二十代後半程度の男だった。大きな籠を抱えている。どうやら荷物を運んでいるところのようだ。
「あ、どうも」
アデルジェスが軽く会釈をする。自然な様子だったので、顔見知りらしい。店主は黒髪だというから、この男は店員あたりなのだろう。
だが、どうもミゼアスも見たことがあるような気がするのだ。
じっと男を見てみるが、よく思い出せない。もしかしたら、道ですれ違ってでもいたのだろうか。この町に滞在してからは、ほんの数回とはいえ外出している。どこかですれ違っていたとしても、不思議ではないだろう。
「あの、店主さんはいますか?」
「店主……ああ、マリオンのことですね。中にいますよ。どうぞ」
きっとたまたまだと片付けようとしたミゼアスの耳に二人の会話が届き、聞き覚えのある名前にミゼアスはびくっと身を震わせる。
思わず男に問いかけようとしたが、男は二人に道を譲ると素早い動きで荷物を運んでいった。
去っていく男を眺めるミゼアスの目に、男の左耳の下にあるほくろが映る。
マリオンという名前など、珍しいわけではない。
だが、ミゼアスの知るマリオンが絡んだことで、左耳の下にほくろがある男とは何か関連がなかっただろうか。
考えるが、記憶の糸を手繰り寄せられない。すっかり細くなってしまった記憶の糸をつかもうとしながら、ミゼアスはもどかしさに頭を抱える。
これがもし完璧な記憶力を有するヴァレンだったら、すぐに答えが出るだろうに。
そう考えて、はっとする。そうだ、ヴァレンだ。
ミゼアスはかすかな手がかりを得たことに拳を握り締める。ヴァレンが関係していた出来事だったような気がするのだ。
たとえその店に気に入るような楽器がなかったとしても、こうして二人で買い物に向かうという楽しみを与えてくれたというだけで、素晴らしいことだ。
晴れ渡った空と同じように、ミゼアスの心も晴れがましい。他愛もない会話を交わしながら歩いていると、すぐに目的の店の前までたどりついた。
店に入ろうとすると、ちょうど扉が開いた。
「ん? ……ああ、この間の方ですね。いらっしゃいませ」
中から現れたのは、茶色の髪を持つ二十代後半程度の男だった。大きな籠を抱えている。どうやら荷物を運んでいるところのようだ。
「あ、どうも」
アデルジェスが軽く会釈をする。自然な様子だったので、顔見知りらしい。店主は黒髪だというから、この男は店員あたりなのだろう。
だが、どうもミゼアスも見たことがあるような気がするのだ。
じっと男を見てみるが、よく思い出せない。もしかしたら、道ですれ違ってでもいたのだろうか。この町に滞在してからは、ほんの数回とはいえ外出している。どこかですれ違っていたとしても、不思議ではないだろう。
「あの、店主さんはいますか?」
「店主……ああ、マリオンのことですね。中にいますよ。どうぞ」
きっとたまたまだと片付けようとしたミゼアスの耳に二人の会話が届き、聞き覚えのある名前にミゼアスはびくっと身を震わせる。
思わず男に問いかけようとしたが、男は二人に道を譲ると素早い動きで荷物を運んでいった。
去っていく男を眺めるミゼアスの目に、男の左耳の下にあるほくろが映る。
マリオンという名前など、珍しいわけではない。
だが、ミゼアスの知るマリオンが絡んだことで、左耳の下にほくろがある男とは何か関連がなかっただろうか。
考えるが、記憶の糸を手繰り寄せられない。すっかり細くなってしまった記憶の糸をつかもうとしながら、ミゼアスはもどかしさに頭を抱える。
これがもし完璧な記憶力を有するヴァレンだったら、すぐに答えが出るだろうに。
そう考えて、はっとする。そうだ、ヴァレンだ。
ミゼアスはかすかな手がかりを得たことに拳を握り締める。ヴァレンが関係していた出来事だったような気がするのだ。
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