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第三章 巡り会い
112.余興
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「ところで、本物ってどういうこと?」
アデルジェスの言葉に引っかかりを覚え、ミゼアスは問いかけてみる。すると、アデルジェスの顔に苦笑が浮かんだ。
「ああ……ほら、あっちを見て。領主の隣」
示された先に視線を向け、ミゼアスも思わずああ、と呟いてしまう。
大きな帽子をかぶった領主の姿はすぐに見つけることができた。その隣には、着飾った金髪の少年が寄り添っている。整った愛らしい顔には化粧が施されており、特に目の縁を濃い緑色で彩っているのが目立つ。
ミゼアスが不夜島にいた頃、仕事のときに施していた化粧と同じだ。
「あれが、僕のニセモノか……」
感慨深くミゼアスは呟いた。
自分のニセモノが存在するということは知っていたが、こうして実際に見ることになるとは思わなかった。
よく見てみれば、想像よりも容姿は優れている。仕草にもまだまだ隙はあるが、それなりに洗練されているようだ。鍛えれば、そこそこ上に行きそうだった。
そこまで考えたところで、ミゼアスははっとする。つい上役の白花としての気分になってしまっていた。
今のミゼアスは『およめさん』なのだから、そのようなことは考えなくてよいのだ。
自分のニセモノがいようが、どうでもよい。
また別の相手との商談に戻ったイーノスに従い、アデルジェスも護衛に戻る。ミゼアスはマリオンと一緒に少し離れた場所でときおり彼らの様子を伺いながら、会話と料理を楽しむ。
ミゼアスとマリオンに声をかけたそうな連中がちらちらと伺っていたが、二人が青い花を身につけていることを確認すると、ため息を漏らしながら去っていく。
決まりごとはしっかり守っているようで、ミゼアスは安心してマリオンと会話を続けられた。
途中でマリオンの店に乗り込んできた化粧の濃い少年の姿を見つけたが、相手は気づいていないようだったので、そのまま気づかないでくれと願いつつ、そっと背を向けるような形に体勢を変える。
ややあって、余興が催されることになったようだった。宴の参加者たちの間で口づてに余興のことが伝わり、周囲は楽しげにざわめく。
奥に設けられた一段高い場所の席に座る、領主よりも尊大な態度の男が、従者に向けて命令を与える。すると、従者は布に包まれた細長く大きな物を抱えてきた。
包みが取られ、現れたものを見てミゼアスは思わず叫び声をあげてしまいそうになる。
「まさか、『雪月花』……?」
どうにか声は抑え、ぼそりと呟く。
アデルジェスの言葉に引っかかりを覚え、ミゼアスは問いかけてみる。すると、アデルジェスの顔に苦笑が浮かんだ。
「ああ……ほら、あっちを見て。領主の隣」
示された先に視線を向け、ミゼアスも思わずああ、と呟いてしまう。
大きな帽子をかぶった領主の姿はすぐに見つけることができた。その隣には、着飾った金髪の少年が寄り添っている。整った愛らしい顔には化粧が施されており、特に目の縁を濃い緑色で彩っているのが目立つ。
ミゼアスが不夜島にいた頃、仕事のときに施していた化粧と同じだ。
「あれが、僕のニセモノか……」
感慨深くミゼアスは呟いた。
自分のニセモノが存在するということは知っていたが、こうして実際に見ることになるとは思わなかった。
よく見てみれば、想像よりも容姿は優れている。仕草にもまだまだ隙はあるが、それなりに洗練されているようだ。鍛えれば、そこそこ上に行きそうだった。
そこまで考えたところで、ミゼアスははっとする。つい上役の白花としての気分になってしまっていた。
今のミゼアスは『およめさん』なのだから、そのようなことは考えなくてよいのだ。
自分のニセモノがいようが、どうでもよい。
また別の相手との商談に戻ったイーノスに従い、アデルジェスも護衛に戻る。ミゼアスはマリオンと一緒に少し離れた場所でときおり彼らの様子を伺いながら、会話と料理を楽しむ。
ミゼアスとマリオンに声をかけたそうな連中がちらちらと伺っていたが、二人が青い花を身につけていることを確認すると、ため息を漏らしながら去っていく。
決まりごとはしっかり守っているようで、ミゼアスは安心してマリオンと会話を続けられた。
途中でマリオンの店に乗り込んできた化粧の濃い少年の姿を見つけたが、相手は気づいていないようだったので、そのまま気づかないでくれと願いつつ、そっと背を向けるような形に体勢を変える。
ややあって、余興が催されることになったようだった。宴の参加者たちの間で口づてに余興のことが伝わり、周囲は楽しげにざわめく。
奥に設けられた一段高い場所の席に座る、領主よりも尊大な態度の男が、従者に向けて命令を与える。すると、従者は布に包まれた細長く大きな物を抱えてきた。
包みが取られ、現れたものを見てミゼアスは思わず叫び声をあげてしまいそうになる。
「まさか、『雪月花』……?」
どうにか声は抑え、ぼそりと呟く。
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