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第三章 巡り会い
114.今度はおまえが
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ミゼアスのニセモノは顔面蒼白になって、その場にへたり込む。腰が抜けてしまったのかもしれない。
男の言葉が冗談ではないことを裏付けるように、従者の一人が剣を抜いた。周囲からは失笑など消えうせ、悲鳴だけが響く。しかし誰も止めようとする者はいない。
ガクガクと震えながら、ミゼアスのニセモノは逃げることもできずに鋭い刃を見上げるだけだった。
失敗する姿を笑いものにするのが余興だったのではない。残酷な血の饗宴こそ、真の余興だったのだ。
「お待ちください。座興にしても、度が過ぎましょう」
考える間もなく、ミゼアスは進み出て声を張り上げていた。男が不快そうに眉を吊り上げる。
いくら自分のニセモノといえども、放っておけなかった。
有名な白花の名を騙ることなど、よくある話だ。いちいち目くじらを立てるようなことではない。客の側だって、本当ではないことを承知の上で買うものだ。
欲と嘘にまみれた遊戯の世界では、この程度の嘘などたいした罪ではない。少し痛い目にあうくらいは仕方が無いだろうが、腕を失うほどの大罪であるはずがない。
白花たちの頂点、そして上役として下を導いていた日々が染みこんでいるミゼアスには、見逃すことのできない事態だった。
「ミゼアス!」
後ろから、アデルジェスの叫び声が響いた。
男にも聞こえたようで、不快そうだった顔が面白そうに歪められる。
「ふん、おまえもミゼアスか? ずいぶんと多くのミゼアスがいるものだ」
男はやや呆れながらも面白がるように呟き、ミゼアスを眺めながら考え込む。ややあって、よいことを思いついたというようにぽんと膝を叩いた。
「そうだな……黙っていればよいものをわざわざしゃしゃり出てくる愚かさと勇気に免じて、そちらのニセモノは見逃してやろう」
追い払うように男が手を振る。
ミゼアスのニセモノは男の気が変わらぬうちにと、急いで這って逃げていく。やはり腰が抜けて立てないようだ。
周囲からも安堵の吐息が漏れる。とりあえず、ミゼアスのニセモノは腕を切り落とされずにすんだようだった。
男は興味を失ったというようにミゼアスのニセモノから視線をそらすと、今度は意地の悪い笑みを浮かべてミゼアスに向き直る。
「ただし、今度はおまえが弾いてみせよ。弾けねば、おまえの腕を切り落とす」
再び、周囲はざわめきに包まれる。男はどうあっても、血を見たいようだ。
男の言葉が冗談ではないことを裏付けるように、従者の一人が剣を抜いた。周囲からは失笑など消えうせ、悲鳴だけが響く。しかし誰も止めようとする者はいない。
ガクガクと震えながら、ミゼアスのニセモノは逃げることもできずに鋭い刃を見上げるだけだった。
失敗する姿を笑いものにするのが余興だったのではない。残酷な血の饗宴こそ、真の余興だったのだ。
「お待ちください。座興にしても、度が過ぎましょう」
考える間もなく、ミゼアスは進み出て声を張り上げていた。男が不快そうに眉を吊り上げる。
いくら自分のニセモノといえども、放っておけなかった。
有名な白花の名を騙ることなど、よくある話だ。いちいち目くじらを立てるようなことではない。客の側だって、本当ではないことを承知の上で買うものだ。
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白花たちの頂点、そして上役として下を導いていた日々が染みこんでいるミゼアスには、見逃すことのできない事態だった。
「ミゼアス!」
後ろから、アデルジェスの叫び声が響いた。
男にも聞こえたようで、不快そうだった顔が面白そうに歪められる。
「ふん、おまえもミゼアスか? ずいぶんと多くのミゼアスがいるものだ」
男はやや呆れながらも面白がるように呟き、ミゼアスを眺めながら考え込む。ややあって、よいことを思いついたというようにぽんと膝を叩いた。
「そうだな……黙っていればよいものをわざわざしゃしゃり出てくる愚かさと勇気に免じて、そちらのニセモノは見逃してやろう」
追い払うように男が手を振る。
ミゼアスのニセモノは男の気が変わらぬうちにと、急いで這って逃げていく。やはり腰が抜けて立てないようだ。
周囲からも安堵の吐息が漏れる。とりあえず、ミゼアスのニセモノは腕を切り落とされずにすんだようだった。
男は興味を失ったというようにミゼアスのニセモノから視線をそらすと、今度は意地の悪い笑みを浮かべてミゼアスに向き直る。
「ただし、今度はおまえが弾いてみせよ。弾けねば、おまえの腕を切り落とす」
再び、周囲はざわめきに包まれる。男はどうあっても、血を見たいようだ。
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