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107.最後の夜1
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寝室でミゼアスの服を脱がせた。
この島での夜もこれが最後だ。だが、ミゼアスとの関係はこれが最後ではない。これからも続けていくことができる。
そう思うと、アデルジェスの心は満たされた。待っている間は辛いかもしれない。しかし、その先には希望があるのだ。耐えられる。
「僕のこと、ちゃんと待っていてね。浮気しちゃ嫌だよ?」
服を脱いでミゼアスの上に覆いかぶさるアデルジェスを見上げ、笑いながらそう言ってくるミゼアス。
「浮気なんてしないよ。俺にはミゼアスしかいないよ」
「本当?」
「当たり前じゃないか」
やきもちを焼いてくるところが可愛いなどと思っていると、アデルジェスの視界がひっくり返った。気がつけば自分が下側で仰向けに寝転がり、上にミゼアスが乗っている。転がされたらしい。
「え……?」
アデルジェスを見下ろし、薄く笑うミゼアスの顔が恐ろしい。
「き……今日はミゼアスが上になるの……?」
動揺を押し殺し、アデルジェスは尋ねる。
しかしミゼアスはそれに答えず、アデルジェスの胸に口づけた。
「んっ……」
一箇所で熱がはじけ、思わずアデルジェスは呻きを漏らす。何かと思って視線を向けると、ミゼアスが淫靡な笑みを浮かべた顔を上げる。
「な……なに……?」
問いかけるが、ミゼアスはやはり答えない。今度は胸よりやや下がって腹のあたりに口づけ、熱を散らす。
「……っ」
ごくわずかな鈍い痛みが走る。痛いというよりは、熱い。いったいこれは何なのだろう。
「……痕をつけたんだよ。きみが僕のものだっていう印」
ようやくミゼアスが口を開く。
上体をわずかに起こして見てみれば、薄紅色の痕が残っていた。これがもしや、所有印というやつだろうか。アデルジェスも話に聞いたことくらいはあった。見たのは初めてだったが。
「きみは僕のもの……そうでしょう……?」
目を細めてミゼアスが尋ねてくる。その声は艶っぽく、ぞくぞくするほどの色気が滲んでいた。
「う……うん……」
「じゃあ、いいよね……?」
なまめかしく笑うと、ミゼアスは再びアデルジェスの胸や腹にいくつか痕を刻む。ミゼアスの唇が触れた部分が熱を持ち、火花が散るようだった。
「ふふ……きみの顔、ぞくぞくしちゃう。でも、今度は僕の番。僕にも痕をつけて?」
「え……?」
思わず目を見開いてミゼアスを見る。
「でも……ミゼアスに痕を残したら……」
そこまで言ってアデルジェスの言葉は立ち消えてしまう。それ以上は言いたくなかった。
客と床入りしたとき、痕など残っていては困るのではないか。そうは思いつつ、口にしてそのことを認めてしまうのが怖かった。
「僕はもう、客と床入りはしない。僕はきみだけのものだ。だから、僕にもきみのものである印をちょうだい? それがある間、きみと一緒にいられるようなものだから」
印をねだってくるミゼアスに、アデルジェスは眩暈がしそうだった。
客と床入りをしないと言い切った。ミゼアスは自分だけのものなのだ。あまりの幸福感におかしくなりそうだった。
この島での夜もこれが最後だ。だが、ミゼアスとの関係はこれが最後ではない。これからも続けていくことができる。
そう思うと、アデルジェスの心は満たされた。待っている間は辛いかもしれない。しかし、その先には希望があるのだ。耐えられる。
「僕のこと、ちゃんと待っていてね。浮気しちゃ嫌だよ?」
服を脱いでミゼアスの上に覆いかぶさるアデルジェスを見上げ、笑いながらそう言ってくるミゼアス。
「浮気なんてしないよ。俺にはミゼアスしかいないよ」
「本当?」
「当たり前じゃないか」
やきもちを焼いてくるところが可愛いなどと思っていると、アデルジェスの視界がひっくり返った。気がつけば自分が下側で仰向けに寝転がり、上にミゼアスが乗っている。転がされたらしい。
「え……?」
アデルジェスを見下ろし、薄く笑うミゼアスの顔が恐ろしい。
「き……今日はミゼアスが上になるの……?」
動揺を押し殺し、アデルジェスは尋ねる。
しかしミゼアスはそれに答えず、アデルジェスの胸に口づけた。
「んっ……」
一箇所で熱がはじけ、思わずアデルジェスは呻きを漏らす。何かと思って視線を向けると、ミゼアスが淫靡な笑みを浮かべた顔を上げる。
「な……なに……?」
問いかけるが、ミゼアスはやはり答えない。今度は胸よりやや下がって腹のあたりに口づけ、熱を散らす。
「……っ」
ごくわずかな鈍い痛みが走る。痛いというよりは、熱い。いったいこれは何なのだろう。
「……痕をつけたんだよ。きみが僕のものだっていう印」
ようやくミゼアスが口を開く。
上体をわずかに起こして見てみれば、薄紅色の痕が残っていた。これがもしや、所有印というやつだろうか。アデルジェスも話に聞いたことくらいはあった。見たのは初めてだったが。
「きみは僕のもの……そうでしょう……?」
目を細めてミゼアスが尋ねてくる。その声は艶っぽく、ぞくぞくするほどの色気が滲んでいた。
「う……うん……」
「じゃあ、いいよね……?」
なまめかしく笑うと、ミゼアスは再びアデルジェスの胸や腹にいくつか痕を刻む。ミゼアスの唇が触れた部分が熱を持ち、火花が散るようだった。
「ふふ……きみの顔、ぞくぞくしちゃう。でも、今度は僕の番。僕にも痕をつけて?」
「え……?」
思わず目を見開いてミゼアスを見る。
「でも……ミゼアスに痕を残したら……」
そこまで言ってアデルジェスの言葉は立ち消えてしまう。それ以上は言いたくなかった。
客と床入りしたとき、痕など残っていては困るのではないか。そうは思いつつ、口にしてそのことを認めてしまうのが怖かった。
「僕はもう、客と床入りはしない。僕はきみだけのものだ。だから、僕にもきみのものである印をちょうだい? それがある間、きみと一緒にいられるようなものだから」
印をねだってくるミゼアスに、アデルジェスは眩暈がしそうだった。
客と床入りをしないと言い切った。ミゼアスは自分だけのものなのだ。あまりの幸福感におかしくなりそうだった。
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