ヴァレン兄さん、ねじが余ってます 2

四葉 翠花

文字の大きさ
37 / 69

37.良い伴侶

しおりを挟む
 ヴァレンは畳み掛けるように、ミゼアスとアデルジェスとの繋がりについて説明する。
 領主の術によってアデルジェスの一部を分けてもらったミゼアスは、アデルジェス以外の精気を受け付けず、他人の精気を取り込めば排出するために睡眠を必要とするのだ。
 今回、寝込んでしまったのも仕組みとしては似たようなものである。

「……僕はついこの間、寿命が残り一ヶ月だと言われたんだけれど、それはどうなんだろう」

 ミゼアスがぼそりと呟くように問いかけてきた言葉に、ヴァレンはまずいことを言う奴がいるものだと、内心で舌打ちしたくなってしまう。

「術によって抑えられている病気は、発症寸前状態に留まっているらしいので、寿命を見ることができたとしたら、そう見えるんじゃないかと思います。でも、ジェスさんが生きている限り、発症することはないって言っていましたよ」

 しかし、ヴァレンは最初からミゼアスの病因について詳しいことを知らないという設定を自分に組み込んでいる。
 その設定どおりに答えれば、ミゼアスも納得したようだった。

「えっとですね、『雪月花』や『風月花』は、弾き手の命を吸い取って花を咲かせるわけじゃないそうです。命の炎が尽きかけている者に反応して、はなむけとして花吹雪を舞わせるそうです。だから、花吹雪を出したから命が尽きるのではなく、命が尽きかけているから花吹雪を出せるのだと」

 こうなったら、『雪月花』と『風月花』の仕組みも説明したほうがよいだろうと、ヴァレンは語る。
 やや危険ではあるが、むしろ病気そのものからは意識をそらせるかもしれない。

「……正直に言って、驚きが深すぎて飲み込みきれていない。でも……僕はジェスのおかげで生きていられるんだっていうことはわかったよ。何て言っていいのか、よくわからない……」

「別に気にしなければいいじゃないですか。ちょっと変わった体質だけれど、ジェスさんと一緒にいれば問題はないんですし。……ねえ、ジェスさん? ミゼアス兄さんと一緒にいることに、問題なんてありませんよね?」

 とりあえず、ヴァレンが危惧した方向にミゼアスが悩んでいるわけではないようなので、少しだけ安心する。そして、ここぞとばかりにアデルジェスに水を向けた。

「え? あ……うん、もちろん。俺がミゼアスの助けになれるのなら、こんな嬉しいことはないよ。何だか俺にはよく理解できない事情だけれど……俺はいつでもミゼアスの力になるから」

 十二分に期待以上の答えをアデルジェスが返してくれ、ミゼアスは本当に良い伴侶を得たものだと、ヴァレンは感じ入る。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

ヴァレン兄さん、ねじが余ってます

四葉 翠花
BL
美貌と才知が売りの高級男娼でありながら、色気がないと言われ、賭博王や酒豪王といった称号をほしいままにする型破りなヴァレン。 娼館に売られた過去もなんのその、やたらと執着する同期や、冷静できつい見習いなどに囲まれながら、日々お気楽に元気よく生きている。 ところがある日、ヴァレンの髪にご執心の変態男が現れ、何故か身請け話まで……? ■『不夜島の少年』に出てきたヴァレンの話です。こちらだけでお読みいただけます。

専属【ガイド】になりませんか?!〜異世界で溺愛されました

sora
BL
会社員の佐久間 秋都(さくま あきと)は、気がつくと異世界憑依転生していた。名前はアルフィ。その世界には【エスパー】という能力を持った者たちが魔物と戦い、世界を守っていた。エスパーを癒し助けるのが【ガイド】。アルフィにもガイド能力が…!?

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

逃げる銀狐に追う白竜~いいなずけ竜のアレがあんなに大きいなんて聞いてません!~

結城星乃
BL
【執着年下攻め🐲×逃げる年上受け🦊】  愚者の森に住む銀狐の一族には、ある掟がある。 ──群れの長となる者は必ず真竜を娶って子を成し、真竜の加護を得ること──  長となる証である紋様を持って生まれてきた皓(こう)は、成竜となった番(つがい)の真竜と、婚儀の相談の為に顔合わせをすることになった。  番の真竜とは、幼竜の時に幾度か会っている。丸い目が綺羅綺羅していて、とても愛らしい白竜だった。この子が将来自分のお嫁さんになるんだと、胸が高鳴ったことを思い出す。  どんな美人になっているんだろう。  だが相談の場に現れたのは、冷たい灰銀の目した、自分よりも体格の良い雄竜で……。  ──あ、これ、俺が……抱かれる方だ。  ──あんな体格いいやつのあれ、挿入したら絶対壊れる!  ──ごめんみんな、俺逃げる!  逃げる銀狐の行く末は……。  そして逃げる銀狐に竜は……。  白竜×銀狐の和風系異世界ファンタジー。

不夜島の少年 小話集

四葉 翠花
BL
「不夜島の少年」関連作の番外編です 不夜島での日常話が中心となっています。 (以前ムーンライトノベルズにて掲載していたものや、Web拍手お礼話の再録です)

皇帝に追放された騎士団長の試される忠義

大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。 帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか? 国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。

あの日、北京の街角で

ゆまは なお
BL
5年前、一度だけ体を交わした彼が、通訳として出張に同行するーーー。 元留学生×駐在員。年下攻め。再会もの。 北京に留学していた上野孝弘は駐在員の高橋祐樹と街中で出会い、突然のアクシデントにより、その場で通訳を頼まれる。その後も友人としてつき合いが続くうちに、孝弘は祐樹に惹かれていくが、半年間の研修で来ていた祐樹の帰国予定が近づいてくる。 孝弘の告白は断られ、祐樹は逃げるように連絡を絶ってしまう。 その5年後、祐樹は中国出張に同行するコーディネーターとして孝弘と再会する。 3週間の出張に同行すると聞き、気持ちが波立つ祐樹に、大人になった孝弘が迫ってきて……? 2016年に発表した作品の改訂版。他サイトにも掲載しています。

処理中です...