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仏像フェチ女
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行きつけの仏具屋に、新しい仏像が入荷された。
高さ三十cm弱程のお手頃サイズだけど、四万八千円という金額は、新卒で入社したばかりの私にとっては少し苦しかった。先月も買ったばかりだし…
でも、その木彫りの立像を前にした瞬間、私は、温かく包み込まれるような感覚になった。
まるで、ベッドの上で優しく抱擁されているような感覚…
柔らかな顔立ちで、穏やかで優しい表情をしていて、目が柔らかく微笑んでいる。その笑顔からは、慈愛に満ちた悟性が感じられた。きっと私のこの性癖にも、理解を示してくれるはず。
だって、ほら、今「可愛いよ」って耳元で囁いてくれた気がする!
左手に持たれた一輪のすぼんだ蓮華から、淡く、清らかで爽やかな香りが、仄かに漂ってきそう。そして、空いた右手でその花びらをつまんで開こうとしている。
ダメ……
性別が推し量れないほど美しい佇まい。どちらかしら?。きっとどちらでもない。男女両方の全てを平等に理解していて、私のことだって、何もかもを知っている。そして今、私の子宮の奥の辺りを中心として込み上げてくる、身体に起こっているトラブルも、きっと、全部お見通し…
私は息を荒げながら仏像を手に取った。ほどよい重さが左手に乗る。優しい眼差しが、眼の奥に入り込んできた。
左手で台座を握り、右手を本体の足元に添えるようにふんわりと包み込む。
ゆっくりと頭の方向に向かって、包んだ右手を移動させていく。着衣の僅かな凹凸が、なめらかに指先を滑っていく。木彫りのぬくもりが、安心感を与える柔らかな触感となって指先に伝わる。
その優しい摩擦音は、風がそよぐ木々の葉や小川のせせらぎを想起させる。きっとこの小川には、たくさんの蓮華の花が咲き乱れている。
唐突に滑らかな肘の感触にぶつかる。
ん………
思わず瞳を閉ざす。もうすぐあそこを通過する予感に胸が高鳴る。瞳を閉じたまま更にスライドを続ける。そして、遂に、蓮華の花びらを開こうとする指先が私の右手を刺激した。
あ、そこ………
店内だというのに思わず恥ずかしい声が小さく漏れ出てしまった。強過ぎる刺激から逃がすように右手を更に上方へとスライドさせる。そこには柔らかな表情が待ち受けていた。目を閉じていても、指先から伝わる慈悲と悟性に、安心感のため息が漏れる。
宝髻に結われた髪が特有のざらつきを感じさせる。そのこそばゆい、新たな甘美な感触に魅了され、私はしばらくそのざらつきを愛おしんだ。荒くなった吐息に、小さな喘ぎが追従してしまう。
そして、また来た道を戻るべく、右手を下方向へとスライドさせていく。
再度、柔らかな表情を指先が通過する。微笑んでいるような表情を指先に感じ、つい、喘ぎ交じりのため息が漏れ出る。そして、再びあそこを通過する予感に胸が高鳴る。その瞬間は突然訪れた。
あ!もう触ってる!
自然と腰が前後に振れる。蓮華の花びらを開こうとする指先に触れたまま、私の指先が暫くその感触を貪る。
イクッ!
店内の床に、罪の粗相が一滴、二滴と落とされる。
視界を開くと、優しい眼差しが、眼の奥に入り込んできた。
慈愛に満ちた、全部お見通しの表情に、柔らかく包まれた。
高さ三十cm弱程のお手頃サイズだけど、四万八千円という金額は、新卒で入社したばかりの私にとっては少し苦しかった。先月も買ったばかりだし…
でも、その木彫りの立像を前にした瞬間、私は、温かく包み込まれるような感覚になった。
まるで、ベッドの上で優しく抱擁されているような感覚…
柔らかな顔立ちで、穏やかで優しい表情をしていて、目が柔らかく微笑んでいる。その笑顔からは、慈愛に満ちた悟性が感じられた。きっと私のこの性癖にも、理解を示してくれるはず。
だって、ほら、今「可愛いよ」って耳元で囁いてくれた気がする!
左手に持たれた一輪のすぼんだ蓮華から、淡く、清らかで爽やかな香りが、仄かに漂ってきそう。そして、空いた右手でその花びらをつまんで開こうとしている。
ダメ……
性別が推し量れないほど美しい佇まい。どちらかしら?。きっとどちらでもない。男女両方の全てを平等に理解していて、私のことだって、何もかもを知っている。そして今、私の子宮の奥の辺りを中心として込み上げてくる、身体に起こっているトラブルも、きっと、全部お見通し…
私は息を荒げながら仏像を手に取った。ほどよい重さが左手に乗る。優しい眼差しが、眼の奥に入り込んできた。
左手で台座を握り、右手を本体の足元に添えるようにふんわりと包み込む。
ゆっくりと頭の方向に向かって、包んだ右手を移動させていく。着衣の僅かな凹凸が、なめらかに指先を滑っていく。木彫りのぬくもりが、安心感を与える柔らかな触感となって指先に伝わる。
その優しい摩擦音は、風がそよぐ木々の葉や小川のせせらぎを想起させる。きっとこの小川には、たくさんの蓮華の花が咲き乱れている。
唐突に滑らかな肘の感触にぶつかる。
ん………
思わず瞳を閉ざす。もうすぐあそこを通過する予感に胸が高鳴る。瞳を閉じたまま更にスライドを続ける。そして、遂に、蓮華の花びらを開こうとする指先が私の右手を刺激した。
あ、そこ………
店内だというのに思わず恥ずかしい声が小さく漏れ出てしまった。強過ぎる刺激から逃がすように右手を更に上方へとスライドさせる。そこには柔らかな表情が待ち受けていた。目を閉じていても、指先から伝わる慈悲と悟性に、安心感のため息が漏れる。
宝髻に結われた髪が特有のざらつきを感じさせる。そのこそばゆい、新たな甘美な感触に魅了され、私はしばらくそのざらつきを愛おしんだ。荒くなった吐息に、小さな喘ぎが追従してしまう。
そして、また来た道を戻るべく、右手を下方向へとスライドさせていく。
再度、柔らかな表情を指先が通過する。微笑んでいるような表情を指先に感じ、つい、喘ぎ交じりのため息が漏れ出る。そして、再びあそこを通過する予感に胸が高鳴る。その瞬間は突然訪れた。
あ!もう触ってる!
自然と腰が前後に振れる。蓮華の花びらを開こうとする指先に触れたまま、私の指先が暫くその感触を貪る。
イクッ!
店内の床に、罪の粗相が一滴、二滴と落とされる。
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