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野花怪異談N④巻【完結】
51話「ブッギー?ヤルカー!ー上巻ー」
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「1」
ーー黒田家ーー
俺の名は黒田ジョージ。
いつもなら、早朝外を出かけて新聞を詠むが今日は休みだ。
なのでその日に限っては小説の執筆作業している。
小説書くときは手書きで原稿をかくの俺のこだわりで外で出かけて書くときやメモなどまとめるときはノートパソコンで書いてるかな。
(コンコン)
と、俺の書斎室に誰かがノックする。
「ジョージ。ペット達の餌やりをお願いね」
どうやら母のようだ。
ふと俺は身につけてるアナログ腕時計を見る。
ふむ丁度12時か。
俺はキッチンルームの方へ向かった。
俺は台所からペット達のエサを準備した。
まず俺は冷蔵庫から開けるとコレがあることを思いだした。
俺は冷蔵庫からいくつかコレを取り出してペット達にいつものようにコレをエサに混ぜることにした。
まずは庭に骨小屋に建てられている國の名産ポネッシュコーギーの頭が骨でできてる小型犬ポネに皿にエサを盛り付ける。
「ふむ、おまえはよく食うな」
ポネはあっという間に平らげてしまった。
ポネは俺に近寄ってどうやらお代わりが欲しいので、俺はエサの代わりにコレを投入すると、ポネはにおいを嗅いだあと食べずにそっぽを向いて骨小屋に戻ってしまいすねてしまった。
「どうやら、あきたようだな」
俺はポネの皿にあるコレを回収して次のペットにやることにした。
俺は肩に大量のエサが入った革袋を担ぎ、家の近くにある車庫のガレージにやってきた。俺は革袋を下ろしてガレージを開けるとそこに厳重に鎖で繋がれたワゴン車に匹敵する大きな宝箱ガウガウである。そこに銀の大きな皿からかづいてきた大量のエサを投下するとガウガウの中から枝分かれした太い触手がエサにからみつきガウガウの中に吸い込まれてゆく。ただしコレだけは全て残したままだった。
「ふむ。綺麗に残してあるな。おまえもあきたか」
ガウガウは充分食事終えて満足したのか、いびきをかいて寝た。
そんな時に俺の小腹が空く。
(ふむ、ひさびさにコレを使って料理をするか)
俺はコレを回収してお昼にすることにした。
キッチンに戻ると俺はエプロンをかけて冷蔵庫からいくつか取り出して軽いパスタでも作ろうと思う。
まず鍋に塩水を沸騰させてパスタ乾麺を茹でる。その間に人参、椎茸、玉ねぎ、ブロッコリーを手頃な大きさに切り分けてフライパンに中火で浸し、さっと切った野菜達を炒める。塩胡椒で味付け忘れずに茹でたパスタ、最後の仕上げにこいつを投入して完成だ。
俺は戸棚から取り皿などを準備する。再び冷蔵庫からアイスコーヒーを淹れてキンキン冷えたアイスをいくつか投入する。これで昼食の準備は完了だ。
さて、いただくとしよう。
パスタの出来はまぁまぁだ。ただコレがあるので味は悪くないがあきた。俺はパスタを平らげると冷蔵庫からコレをいくつか取り出して食べる。
俺はコレに塩こしょうをまぶして食べるのがこだわりである。コレを食べてると、妹のメアリーが仕事から帰宅したようだ。
「ただいまー。あら?お兄さんまたコレ食べてたの?それいいかげんあきたわよ。わたし」
ふむ、妹まで嫌味を言われてしまったな。
家族も最初は喜んで食べていたがさすがに毎日だとあきたか。
今ではコレを食べてるのは俺くらいだ。
俺はふと考えた後、決心して食料庫に向かう。
俺はコレの丁重に札を貼り付けた箱を持ち運び、愛車のデュラハンの中に載せた。
コレをあそこへ売りだすことに決めて早速愛車を走らせた。
「2」
ーーイシヤマアナログゲームマーケット店ーー
ここの店は古今東西世界中のボードゲームやカードゲームはもちろんことアナログゲームならなんでも扱う石山県最大のアナログゲーム店である。
そこにアナログゲームならごはんは何杯もいけるという永木翼の誘いでやってきた八木楓達は圧倒的なゲームの数に心を奪われていた。
「いろいろありますね~」
「そうですわね~」
「あれ?翼君はどうしたの?」
「え?翼ー!!」
姉である桜は翼を探すと、誘った当人はアナログゲームに夢中で穴掘りしていた。
「ちょっと!?翼!!私たち差押えて何やっているの?」
桜は思わず注意する。
「あ?悪い悪い!この店は結構掘り出し物があるから、つい占拠したくなっちゃって」
翼は話してる間でもゲームをカートにつぎ込む。
「それはいいけどさー。あんたそんなに買い込んで大丈夫なの?お小遣い無くなるわよ?」
「大丈夫だよ。まだお小遣い残ってるから、足りるよ」
「あっそ!また破産して泣きついても知らないからね。一応忠告はしたからね」
桜は警告した後、乙女アナログゲームコーナーに向かった。
桜は知らない。
翼は普段から学校の成績や素行がいいため、会長の祖父の意向で姉よりお小遣い多めに貰ってることにまだ知らない。そしてこの後、期間限定のアナログ乙女ゲームを買い込んで破産するのは姉であることに気づいてなかった。
「よし!みんなそろそろ帰るぞ」
ここで保護者アピールをしてる梅田虫男が号令をかける。
まずここで彼らの成果である品物を見てみよう。
梅田虫男と鳥河大軌はムシ系アナログカードゲームを。
賢木理奈と八木瑠奈はPAKRINAのジグソーパズルを。
紙野だいごと賢木咲夜は神豆腐という紙ゲームを。
八木楓と野花手鞠はテーブルRPGのクトルフ怪異談集の本を。
鳴沢姉妹は悪の帝国というガチボードゲームを。
星田星夏はケリ魔将軍のボードゲームを購入した。
そして最後に永木姉弟はカートに大量のアナログゲームをつぎ込んでレジに並ぶ。
「姉貴もとうとうこちらの世界に入りこんだか……」
「ち、ちがうわよ!?これは仕方ないのよ。乙女ゲームの期間限定物がががががが」
いろいろと桜と翼は口論してレジに並ぶ。
「ふむ。どうやら最後は永木コンビで終わりそうだな」
「ふふふ。そうですね。あら?」
楓の視線に中古買取りレジに顔見知りの黒田ジョージが何やら店員と話し込みあきらめて店を出るところだった。
「ジョージさん」
楓がジョージを呼び止めるとこちらに気づいて向かった。
「お、楓に虫男か……久しぶりだな」
虫男は軽く会釈する。
虫男とジョージは大学時代の先輩と後輩にあたる友人の付き合いである。
「ジョージさんも久しぶりです。今日はどうされましたか?」
「ああ。こいつを売りに来たんだ」
ジョージは掲げてる箱を見せる。
「ああ。懐かしいですね。コレじゃないですか!」
「はは。虫男とはよく遊んで貧乏学生時代はお世話になったな」
「あら?それ曰く付きのじゃないですか?」
「そうだ。こいつのコレは一見たいしたことはないがなにぶんアレがあるので捨てるに捨てれないからな。生ものだしな」
「それでしたら、俺が知ってる友人宅に丁度コレに困らない人いますよ」
ジョージが赤く目を光らせる。
「なに?本当か!その方に押し付けてみようかな」
「そうしてくれると助かると思いますよ。その方に後でチャットに入れときますので住所はーー」
虫男はメモ帳にさらさらとその住所を記載したメモの切れ端をジョージに手渡した。
「ふむふむなるほど。わかりやすい場所だな。やはり友を持つべき友だな。穴場に来てよかった」
と、ここで店内アナウンスが流れる。
『お客様に申し上げます。駐車場に停めてます。車両ナンバー鐘技〇〇〇ー〇〇〇〇●の方、あの世へ繋ぐ國の穴が開いております。確認のため駐車場へお戻りください』
「ふむ、どうやら塞ぐの忘れたようだな。では虫男、楓またな」
楓達は手を振ってジョージを見送った。
と、ここで永木姉弟コンビが精算して戻ってきた。
「ちょっと!?翼、あんたそんなにお小遣いあるなんてありえないわよ!?」
「姉貴の方こそ!?一体どんなバイトしたらあんだけの物買えるんだよ!?まさかいかがわしいバイト……」
「ち、違うわよ!?ちょっとしたバイトよ。穴場のスポットに店を構えるだけのやつよ。たまに探しに来た客を応対する美味しいバイトだから」
「え?もっとそのバイト詳しく教えて!?俺にもいつかそのバイトやりたい」
「それはどうかしらねー。その店には秘密の穴場でわかりづらい場所にあって入店するには専用のカードが必要だからね」
「桜さん。私にも教えてくれます?」
「あ、私も」
いつのまにかアナアナトークで盛り上がっていた。
「3」
ジョージがコレを入手したのは時を遡ること約二十年前のことである。とあるアナログゲーム店でとある少年がアナログボードゲーム「妖精武器門家ブッギー」を購入した時から物語が始まる。
ーー穴太の自宅ーー
「よし!今日もブッギーヤルカー!」
穴太の号令で歓声を沸く子供達。
「穴太ー!!今日こそ押し付けて一位になるからね!」
「望むところだぜ穴美」
穴太は手慣れた手つきでボードゲームの遊ぶ準備した。
このゲームはいわゆるモノポリー系ゲームであり、相手に自分の占拠した土地マスに止まらせて通行料ベルを徴収して貯めたベルを勲章を変えて先に3つ集めた方が勝ちのゲームだ。
相手にベルをいかに通行料を支払わせるのがゲームだ。また自分の配下であるブギモンを占拠してるブギモンとバトルして勝つと相手を乗っ取りして占拠できたり、相手の通行料ベルを多めにもらうことができるのが醍醐味だ。
手番が穴太の時、サイコロを降って6が出て穴美の占拠してる土地マスに止まる。
「おっ?穴美とブギモンバトルだ」
「来たわね。かかってきなさい!」
(うふふ。わーい)
穴太の周りにさっきから飛んでる小柄な妖精はみんなは見えてないのか無視されている。
「よーし!いくぞくらえ」
「はい!」
穴太は武器手札カード一枚ふせて出す。
穴美も続けて武器手札カード一枚ふせて出す。
「オープン!」と両者一同出したカードをオープンする。
穴太は剣で穴美は鞭であった。
ブギモンバトルは剣、鎌、槍、鞭、弓の5種類の武器手札カードがあり、一枚を使うジャンケンバトルである。
剣はグー、鎌はチョキ、槍はパーに属し、鞭は剣、鎌、槍に強いが弓に弱く、弓は鞭に強いが剣、鎌、槍に対して弱い側面を持つ。
この場合は剣と鞭で鞭を持つ穴美の勝利である。
「やったー!勝った!!」
「ちぇ、まだ負けてないからな!」
「はいはい。占拠してる土地マス150ベルだから、300ベル払いなさい」
「わーたよ」
穴太は300ベルを穴美に手渡す。
そこにグーと空き腹が鳴った。
「あー。穴太ー。俺、腹減ったよ。なんか食いもんねーか?」
穴吉はお腹を手で押さえた。
「冷蔵庫にブッギーがあるぞ」
穴吉はテンションが上がる。
「おおー!ブッギーか。俺大好きなんだよな。いつものようにたくさんつまんでいいか?」
「いいぞ。くさるほどあるから持ってけ」
「悪いな」と穴吉は冷蔵庫の方へ向かった。
穴吉は冷蔵庫を開けるとそこにいくつか大量の魚肉ソーセージがあった。
「今日は草山名物草ブッギーか。どれどれ」
穴吉は綺麗に皮をめくってつまんで食べる。
ブッギーとは、石山県のとある工場で作られる魚肉ソーセージの商品名である。子供から大人に愛される石山県で最大シェアを誇っている。
「あー美味かった」と穴吉は大量のブッギーを抱えながら穴太達のところへ向かった。
「うめーな。ブッギーは」
「美味しいね」
ゲームをひと段落つくと穴太達はブッギーを食べ始めた。
「ねぇ、穴太」
穴美が穴太を尋ねた。
「ん?なんだ穴美」
「ゲームのブッギー少し貸してくれない?」
「えー!?いやだよ。俺まだあきてないし」
「じゃあ。あきたら貸してくれる?」
「あきたらな」
絶対に貸してくれなさそうな穴太に対して穴美は約束を取り付けるのだった。
「4」
「じゃあ。また明日ね」
「おう!」
夕方遅くまでゲームやって穴美達は帰った。
穴太は自宅の外まで見送った後に戻るとキラリと光る物が見つかった。
「おっ?50円玉。ラッキー♪」
穴太は即座に拾いポケットの懐に仕舞った。
(うふふ)
妖精は常に穴太の周囲に飛び回っているが無視されて気が付かなかった。
「ねー?穴太」
穴太の母親が台所で夕飯の支度準備してる所を呼ばれた。
「なんだい母さん」
「あの、ブッギー明日から捨ててちょうだい」
穴太は嫌そうな顔をした。
「ええー!?嫌だよ。俺まだあきてないし、買ったばかりだし」
「違うわよ。冷蔵庫のあるブッギーよ」
それを聞いた穴太は納得した。
「ああ。あのブッギーか」
「もう、お父さんたら、会社から大量に持ち込んじゃって、もったいないけど、食べきれないからいくつか袋まとめて明日の朝捨ててきてちょうだい」
「わかったよ。母さん」
穴太は了承して冷蔵庫からいくつかブッギーを取り出して袋に入れて縛った。
(うふふ)
そしてこの後、穴太の家族が悲惨な目に合うとはまだ知るよしもなかった。
ーー穴黒小学校6年3組クラスーー
「穴美!穴美!」
「ふぇ?」
穴美が机にひれつぶして寝ている所を穴太に起こされた。
「なあに穴太?」
「あきたからおまえにやるよ」
と手渡されたのはアナログボードゲームブッギーだった。
思わず穴美は目を光らせる。
「え?いいの?穴太もらっても」
「ああ!いいぜ。あとそれ返さなくてもいいからな!じゃあな」
そう言って穴太は去っていた。
穴美はブッギーを抱きしめて心をときめいていた。
下巻へ続く
ーー黒田家ーー
俺の名は黒田ジョージ。
いつもなら、早朝外を出かけて新聞を詠むが今日は休みだ。
なのでその日に限っては小説の執筆作業している。
小説書くときは手書きで原稿をかくの俺のこだわりで外で出かけて書くときやメモなどまとめるときはノートパソコンで書いてるかな。
(コンコン)
と、俺の書斎室に誰かがノックする。
「ジョージ。ペット達の餌やりをお願いね」
どうやら母のようだ。
ふと俺は身につけてるアナログ腕時計を見る。
ふむ丁度12時か。
俺はキッチンルームの方へ向かった。
俺は台所からペット達のエサを準備した。
まず俺は冷蔵庫から開けるとコレがあることを思いだした。
俺は冷蔵庫からいくつかコレを取り出してペット達にいつものようにコレをエサに混ぜることにした。
まずは庭に骨小屋に建てられている國の名産ポネッシュコーギーの頭が骨でできてる小型犬ポネに皿にエサを盛り付ける。
「ふむ、おまえはよく食うな」
ポネはあっという間に平らげてしまった。
ポネは俺に近寄ってどうやらお代わりが欲しいので、俺はエサの代わりにコレを投入すると、ポネはにおいを嗅いだあと食べずにそっぽを向いて骨小屋に戻ってしまいすねてしまった。
「どうやら、あきたようだな」
俺はポネの皿にあるコレを回収して次のペットにやることにした。
俺は肩に大量のエサが入った革袋を担ぎ、家の近くにある車庫のガレージにやってきた。俺は革袋を下ろしてガレージを開けるとそこに厳重に鎖で繋がれたワゴン車に匹敵する大きな宝箱ガウガウである。そこに銀の大きな皿からかづいてきた大量のエサを投下するとガウガウの中から枝分かれした太い触手がエサにからみつきガウガウの中に吸い込まれてゆく。ただしコレだけは全て残したままだった。
「ふむ。綺麗に残してあるな。おまえもあきたか」
ガウガウは充分食事終えて満足したのか、いびきをかいて寝た。
そんな時に俺の小腹が空く。
(ふむ、ひさびさにコレを使って料理をするか)
俺はコレを回収してお昼にすることにした。
キッチンに戻ると俺はエプロンをかけて冷蔵庫からいくつか取り出して軽いパスタでも作ろうと思う。
まず鍋に塩水を沸騰させてパスタ乾麺を茹でる。その間に人参、椎茸、玉ねぎ、ブロッコリーを手頃な大きさに切り分けてフライパンに中火で浸し、さっと切った野菜達を炒める。塩胡椒で味付け忘れずに茹でたパスタ、最後の仕上げにこいつを投入して完成だ。
俺は戸棚から取り皿などを準備する。再び冷蔵庫からアイスコーヒーを淹れてキンキン冷えたアイスをいくつか投入する。これで昼食の準備は完了だ。
さて、いただくとしよう。
パスタの出来はまぁまぁだ。ただコレがあるので味は悪くないがあきた。俺はパスタを平らげると冷蔵庫からコレをいくつか取り出して食べる。
俺はコレに塩こしょうをまぶして食べるのがこだわりである。コレを食べてると、妹のメアリーが仕事から帰宅したようだ。
「ただいまー。あら?お兄さんまたコレ食べてたの?それいいかげんあきたわよ。わたし」
ふむ、妹まで嫌味を言われてしまったな。
家族も最初は喜んで食べていたがさすがに毎日だとあきたか。
今ではコレを食べてるのは俺くらいだ。
俺はふと考えた後、決心して食料庫に向かう。
俺はコレの丁重に札を貼り付けた箱を持ち運び、愛車のデュラハンの中に載せた。
コレをあそこへ売りだすことに決めて早速愛車を走らせた。
「2」
ーーイシヤマアナログゲームマーケット店ーー
ここの店は古今東西世界中のボードゲームやカードゲームはもちろんことアナログゲームならなんでも扱う石山県最大のアナログゲーム店である。
そこにアナログゲームならごはんは何杯もいけるという永木翼の誘いでやってきた八木楓達は圧倒的なゲームの数に心を奪われていた。
「いろいろありますね~」
「そうですわね~」
「あれ?翼君はどうしたの?」
「え?翼ー!!」
姉である桜は翼を探すと、誘った当人はアナログゲームに夢中で穴掘りしていた。
「ちょっと!?翼!!私たち差押えて何やっているの?」
桜は思わず注意する。
「あ?悪い悪い!この店は結構掘り出し物があるから、つい占拠したくなっちゃって」
翼は話してる間でもゲームをカートにつぎ込む。
「それはいいけどさー。あんたそんなに買い込んで大丈夫なの?お小遣い無くなるわよ?」
「大丈夫だよ。まだお小遣い残ってるから、足りるよ」
「あっそ!また破産して泣きついても知らないからね。一応忠告はしたからね」
桜は警告した後、乙女アナログゲームコーナーに向かった。
桜は知らない。
翼は普段から学校の成績や素行がいいため、会長の祖父の意向で姉よりお小遣い多めに貰ってることにまだ知らない。そしてこの後、期間限定のアナログ乙女ゲームを買い込んで破産するのは姉であることに気づいてなかった。
「よし!みんなそろそろ帰るぞ」
ここで保護者アピールをしてる梅田虫男が号令をかける。
まずここで彼らの成果である品物を見てみよう。
梅田虫男と鳥河大軌はムシ系アナログカードゲームを。
賢木理奈と八木瑠奈はPAKRINAのジグソーパズルを。
紙野だいごと賢木咲夜は神豆腐という紙ゲームを。
八木楓と野花手鞠はテーブルRPGのクトルフ怪異談集の本を。
鳴沢姉妹は悪の帝国というガチボードゲームを。
星田星夏はケリ魔将軍のボードゲームを購入した。
そして最後に永木姉弟はカートに大量のアナログゲームをつぎ込んでレジに並ぶ。
「姉貴もとうとうこちらの世界に入りこんだか……」
「ち、ちがうわよ!?これは仕方ないのよ。乙女ゲームの期間限定物がががががが」
いろいろと桜と翼は口論してレジに並ぶ。
「ふむ。どうやら最後は永木コンビで終わりそうだな」
「ふふふ。そうですね。あら?」
楓の視線に中古買取りレジに顔見知りの黒田ジョージが何やら店員と話し込みあきらめて店を出るところだった。
「ジョージさん」
楓がジョージを呼び止めるとこちらに気づいて向かった。
「お、楓に虫男か……久しぶりだな」
虫男は軽く会釈する。
虫男とジョージは大学時代の先輩と後輩にあたる友人の付き合いである。
「ジョージさんも久しぶりです。今日はどうされましたか?」
「ああ。こいつを売りに来たんだ」
ジョージは掲げてる箱を見せる。
「ああ。懐かしいですね。コレじゃないですか!」
「はは。虫男とはよく遊んで貧乏学生時代はお世話になったな」
「あら?それ曰く付きのじゃないですか?」
「そうだ。こいつのコレは一見たいしたことはないがなにぶんアレがあるので捨てるに捨てれないからな。生ものだしな」
「それでしたら、俺が知ってる友人宅に丁度コレに困らない人いますよ」
ジョージが赤く目を光らせる。
「なに?本当か!その方に押し付けてみようかな」
「そうしてくれると助かると思いますよ。その方に後でチャットに入れときますので住所はーー」
虫男はメモ帳にさらさらとその住所を記載したメモの切れ端をジョージに手渡した。
「ふむふむなるほど。わかりやすい場所だな。やはり友を持つべき友だな。穴場に来てよかった」
と、ここで店内アナウンスが流れる。
『お客様に申し上げます。駐車場に停めてます。車両ナンバー鐘技〇〇〇ー〇〇〇〇●の方、あの世へ繋ぐ國の穴が開いております。確認のため駐車場へお戻りください』
「ふむ、どうやら塞ぐの忘れたようだな。では虫男、楓またな」
楓達は手を振ってジョージを見送った。
と、ここで永木姉弟コンビが精算して戻ってきた。
「ちょっと!?翼、あんたそんなにお小遣いあるなんてありえないわよ!?」
「姉貴の方こそ!?一体どんなバイトしたらあんだけの物買えるんだよ!?まさかいかがわしいバイト……」
「ち、違うわよ!?ちょっとしたバイトよ。穴場のスポットに店を構えるだけのやつよ。たまに探しに来た客を応対する美味しいバイトだから」
「え?もっとそのバイト詳しく教えて!?俺にもいつかそのバイトやりたい」
「それはどうかしらねー。その店には秘密の穴場でわかりづらい場所にあって入店するには専用のカードが必要だからね」
「桜さん。私にも教えてくれます?」
「あ、私も」
いつのまにかアナアナトークで盛り上がっていた。
「3」
ジョージがコレを入手したのは時を遡ること約二十年前のことである。とあるアナログゲーム店でとある少年がアナログボードゲーム「妖精武器門家ブッギー」を購入した時から物語が始まる。
ーー穴太の自宅ーー
「よし!今日もブッギーヤルカー!」
穴太の号令で歓声を沸く子供達。
「穴太ー!!今日こそ押し付けて一位になるからね!」
「望むところだぜ穴美」
穴太は手慣れた手つきでボードゲームの遊ぶ準備した。
このゲームはいわゆるモノポリー系ゲームであり、相手に自分の占拠した土地マスに止まらせて通行料ベルを徴収して貯めたベルを勲章を変えて先に3つ集めた方が勝ちのゲームだ。
相手にベルをいかに通行料を支払わせるのがゲームだ。また自分の配下であるブギモンを占拠してるブギモンとバトルして勝つと相手を乗っ取りして占拠できたり、相手の通行料ベルを多めにもらうことができるのが醍醐味だ。
手番が穴太の時、サイコロを降って6が出て穴美の占拠してる土地マスに止まる。
「おっ?穴美とブギモンバトルだ」
「来たわね。かかってきなさい!」
(うふふ。わーい)
穴太の周りにさっきから飛んでる小柄な妖精はみんなは見えてないのか無視されている。
「よーし!いくぞくらえ」
「はい!」
穴太は武器手札カード一枚ふせて出す。
穴美も続けて武器手札カード一枚ふせて出す。
「オープン!」と両者一同出したカードをオープンする。
穴太は剣で穴美は鞭であった。
ブギモンバトルは剣、鎌、槍、鞭、弓の5種類の武器手札カードがあり、一枚を使うジャンケンバトルである。
剣はグー、鎌はチョキ、槍はパーに属し、鞭は剣、鎌、槍に強いが弓に弱く、弓は鞭に強いが剣、鎌、槍に対して弱い側面を持つ。
この場合は剣と鞭で鞭を持つ穴美の勝利である。
「やったー!勝った!!」
「ちぇ、まだ負けてないからな!」
「はいはい。占拠してる土地マス150ベルだから、300ベル払いなさい」
「わーたよ」
穴太は300ベルを穴美に手渡す。
そこにグーと空き腹が鳴った。
「あー。穴太ー。俺、腹減ったよ。なんか食いもんねーか?」
穴吉はお腹を手で押さえた。
「冷蔵庫にブッギーがあるぞ」
穴吉はテンションが上がる。
「おおー!ブッギーか。俺大好きなんだよな。いつものようにたくさんつまんでいいか?」
「いいぞ。くさるほどあるから持ってけ」
「悪いな」と穴吉は冷蔵庫の方へ向かった。
穴吉は冷蔵庫を開けるとそこにいくつか大量の魚肉ソーセージがあった。
「今日は草山名物草ブッギーか。どれどれ」
穴吉は綺麗に皮をめくってつまんで食べる。
ブッギーとは、石山県のとある工場で作られる魚肉ソーセージの商品名である。子供から大人に愛される石山県で最大シェアを誇っている。
「あー美味かった」と穴吉は大量のブッギーを抱えながら穴太達のところへ向かった。
「うめーな。ブッギーは」
「美味しいね」
ゲームをひと段落つくと穴太達はブッギーを食べ始めた。
「ねぇ、穴太」
穴美が穴太を尋ねた。
「ん?なんだ穴美」
「ゲームのブッギー少し貸してくれない?」
「えー!?いやだよ。俺まだあきてないし」
「じゃあ。あきたら貸してくれる?」
「あきたらな」
絶対に貸してくれなさそうな穴太に対して穴美は約束を取り付けるのだった。
「4」
「じゃあ。また明日ね」
「おう!」
夕方遅くまでゲームやって穴美達は帰った。
穴太は自宅の外まで見送った後に戻るとキラリと光る物が見つかった。
「おっ?50円玉。ラッキー♪」
穴太は即座に拾いポケットの懐に仕舞った。
(うふふ)
妖精は常に穴太の周囲に飛び回っているが無視されて気が付かなかった。
「ねー?穴太」
穴太の母親が台所で夕飯の支度準備してる所を呼ばれた。
「なんだい母さん」
「あの、ブッギー明日から捨ててちょうだい」
穴太は嫌そうな顔をした。
「ええー!?嫌だよ。俺まだあきてないし、買ったばかりだし」
「違うわよ。冷蔵庫のあるブッギーよ」
それを聞いた穴太は納得した。
「ああ。あのブッギーか」
「もう、お父さんたら、会社から大量に持ち込んじゃって、もったいないけど、食べきれないからいくつか袋まとめて明日の朝捨ててきてちょうだい」
「わかったよ。母さん」
穴太は了承して冷蔵庫からいくつかブッギーを取り出して袋に入れて縛った。
(うふふ)
そしてこの後、穴太の家族が悲惨な目に合うとはまだ知るよしもなかった。
ーー穴黒小学校6年3組クラスーー
「穴美!穴美!」
「ふぇ?」
穴美が机にひれつぶして寝ている所を穴太に起こされた。
「なあに穴太?」
「あきたからおまえにやるよ」
と手渡されたのはアナログボードゲームブッギーだった。
思わず穴美は目を光らせる。
「え?いいの?穴太もらっても」
「ああ!いいぜ。あとそれ返さなくてもいいからな!じゃあな」
そう言って穴太は去っていた。
穴美はブッギーを抱きしめて心をときめいていた。
下巻へ続く
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