169 / 198
鐘技怪異談W❻巻【完結】
144話「残念昼寝太郎」
しおりを挟む
「1」
ーー鐘技高校3年3組クラス内ーー
昼休みのチャイムが鳴る同時に馬具野絵瑠胃奈はカバンから六段の積み重ねの弁当箱を取り出して早弁する。
一気に平らげた後、彼女はそのままいびきをかいて就寝する。
彼女は毎晩遅く受験勉強するので少しでも寝たい彼女は昼寝をするが隣のクラスまで聞こえるほどのいびきをかくのだった。
「絵留胃奈さんのいびき相変わらずよね」
「そうね。彼女はどんな夢を見てるのかしらね」
鐘技友紀、安良田恵、亜季田礼奈3人組は教室内で昼食を摂り談笑している。
彼女達が話題に上ってるのは絵瑠胃奈の昼寝のことだった。
クラスで仕切る女王様こと鬼村星華が手に負えないほど彼女のいびきは誰も止められなかった。
「そういえばさー。昼寝にちなんだ怪異談ひとつあるよー」
「あら、聴かせてちょうだい」
恵は怪異談を披露するが絵瑠胃奈の馬鹿でかいいびきで聞きづらかった。
「私に任せて」と礼奈が絵瑠胃奈のそばで耳元を囁くと静かになった。
そこで恵は改めて怪異談を語った。
ーーーーーー。
俺の名前は寝田根太郎、42歳。
俺は年末イシヤマジャンボ宝くじで8億円を当選して仕事辞めてこの山奥の農村に引っ越してセカンドライフを満喫してる。
俺はみんなから残念昼寝太郎と呼ばれてるのは朝早くから趣味の山菜やキノコ取りや川遊びした後は夕方遅くまで毎日昼寝してるから、そう呼ばれた。
実際、昼寝が大好きだから残念は余計だし、家事や毎日3食は食べているからな。
そんなわけで俺は昼寝で忙しいからな。
じゃあ、またな。
グガー。ゴー。スピー。
「2」
「寝田さんや。いるかの?」
フガッ?あの声は野田さんだな。
彼はよく川で魚を釣りするんだよな。
釣りの誘いかな?そのまま寝過ごそう。
「いないかの?今朝美味しいアユがたくさん釣れたから分けようかと思ったが……ま、いつもの昼寝じゃろ。残念じゃな。ほなこれはわし1人で食べよう」
グガー。スピー。スピー。
ーーーーーー。
「寝田さん。いませんか?」
ム?あの綺麗な美声は星野さんだな。
彼女はよく歌うだよな。
また、カラオケの誘いかな?
んー。俺じゃなくていいだろ。
「いないかな。明日、私引っ越しするのでもう寝田さんと会えないのに……。今日こそ告白しようかと思ったけど。もういいわ。どうせ私より昼寝でしょうね。残念だわ。ホント」
グガー。スピー。ズゴー。
ーーーーーー。
フガッ。
よく寝たな。
でも気分だるいな。
もう少し寝よう。
グガー。スピー。
ーーーーーーー。
「寝田さん!!いるか?大変なんだよ!!豪雨が来て村まで浸水して氾濫しそうなんだよ!?」
晩遅く暗い雨曇り。
この村の村長である彼は村内に豪雨警報が発令すると直ちに村人の家に立ち寄って避難を呼びかけた。
後、避難所に来てないのは寝田1人だけである。
村長は何度も家の扉をノックするが寝田は起きなかった。
だか、その時村長の背後に誰かの気配がした。
恐る恐る振り返るとそこに寝田が立っていた。
「おお!寝田さん。そこにいたのか?今すぐわしのところまでついてきてくれ!」
「…………(コク)」
村長の問いかけに黙って頷き、目的地避難所までに村長の後をついてきた。
ーー避難所ーー
「これで全員か?」
村長の呼びかけに応じて皆はうなずく。
最後に避難したのは寝田だった。
この後、村は氾濫して村人達は豪雨を治まるまでに一晩過ごした。
次の日早朝、豪雨が晴れて治まると早速村人達は各家に戻ろうとする時、寝田がいないことに気がついた。
村人達は懸命に探してすぐ見つかった。
寝田は自分の家にいた。
当然家の中は水浸しになっていたがそこで息を引き取っていたのだ。
村人達は首をかしげていたが寝田の身体を診てみるとアレが背中にこびりついておりかなり吸われていた。
彼は最期まで残念ヒル寝太郎だった。
「3」
「おう。おまえら席につけ」
昼休みの終了チャイムが鳴る同時に担任の北山正夢がクラスにやってくる。
昼休みの時間が終わったがまだ絵瑠胃奈が昼寝していた。
「絵瑠胃奈さん。授業始まりましたよ」
「グガー。スピー。ズゴー」
「ダメみたいね」
「私に任せて」と礼奈が耳元で囁くとシャッキーンと背筋を伸ばして起きた。
「おい!?一体なんの魔法を使ったんだ?」
と、北山は首を傾げていたが絵留胃奈の表情を察してそれ以上触れないことにした。
それ以降絵留胃奈はしばらく不眠症に悩まされていた。
残念昼寝太郎 完
ーー鐘技高校3年3組クラス内ーー
昼休みのチャイムが鳴る同時に馬具野絵瑠胃奈はカバンから六段の積み重ねの弁当箱を取り出して早弁する。
一気に平らげた後、彼女はそのままいびきをかいて就寝する。
彼女は毎晩遅く受験勉強するので少しでも寝たい彼女は昼寝をするが隣のクラスまで聞こえるほどのいびきをかくのだった。
「絵留胃奈さんのいびき相変わらずよね」
「そうね。彼女はどんな夢を見てるのかしらね」
鐘技友紀、安良田恵、亜季田礼奈3人組は教室内で昼食を摂り談笑している。
彼女達が話題に上ってるのは絵瑠胃奈の昼寝のことだった。
クラスで仕切る女王様こと鬼村星華が手に負えないほど彼女のいびきは誰も止められなかった。
「そういえばさー。昼寝にちなんだ怪異談ひとつあるよー」
「あら、聴かせてちょうだい」
恵は怪異談を披露するが絵瑠胃奈の馬鹿でかいいびきで聞きづらかった。
「私に任せて」と礼奈が絵瑠胃奈のそばで耳元を囁くと静かになった。
そこで恵は改めて怪異談を語った。
ーーーーーー。
俺の名前は寝田根太郎、42歳。
俺は年末イシヤマジャンボ宝くじで8億円を当選して仕事辞めてこの山奥の農村に引っ越してセカンドライフを満喫してる。
俺はみんなから残念昼寝太郎と呼ばれてるのは朝早くから趣味の山菜やキノコ取りや川遊びした後は夕方遅くまで毎日昼寝してるから、そう呼ばれた。
実際、昼寝が大好きだから残念は余計だし、家事や毎日3食は食べているからな。
そんなわけで俺は昼寝で忙しいからな。
じゃあ、またな。
グガー。ゴー。スピー。
「2」
「寝田さんや。いるかの?」
フガッ?あの声は野田さんだな。
彼はよく川で魚を釣りするんだよな。
釣りの誘いかな?そのまま寝過ごそう。
「いないかの?今朝美味しいアユがたくさん釣れたから分けようかと思ったが……ま、いつもの昼寝じゃろ。残念じゃな。ほなこれはわし1人で食べよう」
グガー。スピー。スピー。
ーーーーーー。
「寝田さん。いませんか?」
ム?あの綺麗な美声は星野さんだな。
彼女はよく歌うだよな。
また、カラオケの誘いかな?
んー。俺じゃなくていいだろ。
「いないかな。明日、私引っ越しするのでもう寝田さんと会えないのに……。今日こそ告白しようかと思ったけど。もういいわ。どうせ私より昼寝でしょうね。残念だわ。ホント」
グガー。スピー。ズゴー。
ーーーーーー。
フガッ。
よく寝たな。
でも気分だるいな。
もう少し寝よう。
グガー。スピー。
ーーーーーーー。
「寝田さん!!いるか?大変なんだよ!!豪雨が来て村まで浸水して氾濫しそうなんだよ!?」
晩遅く暗い雨曇り。
この村の村長である彼は村内に豪雨警報が発令すると直ちに村人の家に立ち寄って避難を呼びかけた。
後、避難所に来てないのは寝田1人だけである。
村長は何度も家の扉をノックするが寝田は起きなかった。
だか、その時村長の背後に誰かの気配がした。
恐る恐る振り返るとそこに寝田が立っていた。
「おお!寝田さん。そこにいたのか?今すぐわしのところまでついてきてくれ!」
「…………(コク)」
村長の問いかけに黙って頷き、目的地避難所までに村長の後をついてきた。
ーー避難所ーー
「これで全員か?」
村長の呼びかけに応じて皆はうなずく。
最後に避難したのは寝田だった。
この後、村は氾濫して村人達は豪雨を治まるまでに一晩過ごした。
次の日早朝、豪雨が晴れて治まると早速村人達は各家に戻ろうとする時、寝田がいないことに気がついた。
村人達は懸命に探してすぐ見つかった。
寝田は自分の家にいた。
当然家の中は水浸しになっていたがそこで息を引き取っていたのだ。
村人達は首をかしげていたが寝田の身体を診てみるとアレが背中にこびりついておりかなり吸われていた。
彼は最期まで残念ヒル寝太郎だった。
「3」
「おう。おまえら席につけ」
昼休みの終了チャイムが鳴る同時に担任の北山正夢がクラスにやってくる。
昼休みの時間が終わったがまだ絵瑠胃奈が昼寝していた。
「絵瑠胃奈さん。授業始まりましたよ」
「グガー。スピー。ズゴー」
「ダメみたいね」
「私に任せて」と礼奈が耳元で囁くとシャッキーンと背筋を伸ばして起きた。
「おい!?一体なんの魔法を使ったんだ?」
と、北山は首を傾げていたが絵留胃奈の表情を察してそれ以上触れないことにした。
それ以降絵留胃奈はしばらく不眠症に悩まされていた。
残念昼寝太郎 完
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
6
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる