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野花怪異談N⑤巻【完結】

62話「木読SNSチャット」

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「1」

 ーー八木家ーー

 以前、ペットショップでボルゾイ牝犬を購入して八木家に新しい家族の一員となった。
 名前はみやびと名付けて可愛がられている。
 そんな時に楓はチャットアプリ霊Rayで不特定多数に所属しているグループで雅の写真に載せると好感的な反応を見せる。
 楓もそのグループでチャットを楽しんでる時にメンバーの1人が通知が来る。

 ーー"楓さん。新しい怪異談ない?"とチャット通知が来た。

 楓はよくこのグループで怪異談を披露する。
 丁度、彼女は噂に聞いたある不特定多数グループの話を語ることを決めた。
 その時、楓の語る怪異談に衝撃的な事実が発覚する。


 ーーSNSチャットグループ雑談町ーー

 202×年××月××日午前8時45分

 "ミルクねぇさん:おはよー。"
 "黒饅頭:おはよー^_^"
 "タナカー:ウィッス。"
 "ピンクレモン:o(・x・)/"

 いつもの馴染みのメンバーが私のチャットを反応してくれる。
 このグループは雑談町というエンジョイコミュニティグループだ。
 メンバーは1000人超える大所帯だが雑談町の由来通り、主に雑談である。そんなダラダラと1時間以上うっかり張り付くこともあるほどチャットはそれなりに盛んである。
 そんな私ミルクねぇさんも雑談町にのめり込む1人である。だけどまさかあんな事が起きるなんて……。

「2」

 午後6時45分

 "ミルクねぇさん:今夜の夕食"
 "(グラタン画像)"
 "黒饅頭:うはぁ。うまそう(*´Д`*)"
 "タナカー:飯テロやな"

 私のあげた画像にみんなもさまざまな反応する。
 しかし、ほとんど仲がいい雑談町のメンバーだが一部不快な人も少なからずいる。

 "木読さん:木"
 "タナカー:木読さんばんちゃー"
 "木読さん:(折れ曲がった木の画像)"
 "よっしーさんが退出されました"

 そう、木読さんである。
 彼女(?)は雑談町の古残のメンバーであり、いつも奇妙な木の画像をあげるのだ。
 実際に不愉快であり、この画像をあげた同時に何人かは抜けてしまうのだ。
 私は新参だけどグループリーダーに個別チャットで木読さんに対して文句を言ったが古残なために文句は言えないらしい。もっとも雑談町は出入り自由の雑談を売りにしてるのでコメントまで規制対象は難しいとグループリーダーに言われた。
 なので私たちは木読さんに対しては黙認してるのが現状である。
 木読さんに対して不愉快になっても雑談町に関しては居心地がよかったので目を瞑っていた。

「3」

 ーー雑談町避難所ーー

 午前7時12分

 "ミルクねぇさん:おはよー"
 "黒饅頭:オハヨーo(・x・)/"
 "タナカー:ウッス!"
 "ピンクレモン:はよよん"

 このグループは木読さんから逃れるための憩いの場所である。
 メンバー小規模の20名ほどであるがほとんどは私と仲がよいメンバーである。
 しかし、先日20名いたが現在18名になっている。
 その理由を問いただすとメンバーのタナカーさんが教えてくれた。

 "タナカー:先日アイツにやられたよ。なんでも不愉快だからて……"

 やはり、木読さん自体存在悪である。何か対策案じないと、そう思ってるときにメンバーの1人が立ち上がった。

 "黒饅頭:もう頭にきたぜ。アイツをサシでガツンと言ってやるぜ"
 "タナカー:お?やるのか"
 "ピンクレモン:やっちゃえ"
 "ミルクねぇさん:あまり大事したくないだけど……"
 "黒饅頭:ミルクねぇさん達には迷惑かけないよ。サシで面と向かってやめさせるだけだから"

 大丈夫かなぁと私たちは様子見だった。
 しばらくした後、黒饅頭さんから木読さんと個別チャットを繋いだとの事で私は見守ることにした。

「4」

 午前10時15分日曜日

 ーー雑談町ーー

 "ミルクねぇさん:おはよー"
 "タナカー:ウィッス"
 "ピンクレモン:ぽよん"
 "カエデ:おはようございます"
 "ミルクねぇさん:カエデさんはじめまして"
 "カエデ:はい。はじめまして。先日の晩参加させていただきました。みなさんよろしくお願いします"
 "タナカー:よろしくな"
 "ピンクレモン:よろろ"

 久しぶりの新しいメンバーだが1000人いたメンバーも300人まで減っていた。
 あの意気込んでいた黒饅頭さんも先週から姿を見せてなかった。私たちは木読さんにやられたのかなと思っていたがまだグループには抜けてなかった。
 そんな時に当人が降臨する。

 "黒饅頭:よー。"
 "ミルクねぇさん:黒饅頭さんお久しぶり"
 "タナカー:例のアレだめだったか?"
 黒饅頭:ん、まぁな"

 なんか歯切れが悪そうだった。その時、黒饅頭さんから個別チャットで木読さんに対して話し合いたいことあるというチャットが来たから、何かなと思ったので話を聞いてみることにした。


 ーーチャット黒饅頭ーー

 "ミルクねぇさん:話って、なーに?手短にね"
 "黒饅頭:ああ。大丈夫だ。それよりもこの画像見てくれ"
 "(気味悪い木の画像)

 その画像は木読さんがいつも送られてくる木の画像だった。
 私はこの木の画像を見るだけで不愉快になるのにと思っていたが、


 "ミルクねぇさん:ちょっとやめてよね!その画像がどうかしたの?"
 "黒饅頭:ああ。すまねー。実はなこの木の画像どこに生えてるかわかるか?"
 "ミルクねぇさん:さぁ?わかんないわよ。木読さん所じゃないの?"
 "黒饅頭:実はなーー、


 ーー俺の自宅の庭先で生えてあったんだよ"


 え?と思った。
 まさかこの気味悪い木が黒饅頭さんの近くの庭先にあったと告げられる。
 
 "黒饅頭:それだけじゃない。これもこれも"
 "(画像)"
 "(画像)"
 "(画像)"
 "ミルクねぇさん:ちょっと!?落ち着いて"
 "(猫の死体根付いてる木の画像)"

 最後の画像を見て思わず叫びそうになった。
 これも全て木読さんによるものなのだろうか。

 "黒饅頭:あいつヤバいよ!!他にやられたやつもこの画像見て抜けたのかもな。悪いけど、他のみんなに説明する暇ないから、俺抜けるわ。金輪際アイツと関わりたくない。ミルクねぇさんも抜けた方がいいぜ。じゃあな"
 "黒饅頭さんが退出されました"

「5」

 ーー雑談町避難所ーー

 "ミルクねぇさん:一連の流れだけど。みんなはどう思う"
 "タナカー:信じられないな"
 "ピンクレモン:まー。よく出来た芝居かもよ"
 "タナカー:もしかして雑談町も全部ネタでやってるかもな"
 "ミルクねぇさん:どゆこと?"
 "タナカー:俺の推理するとだな。この雑談町は新参する者達をからかうために作られたグループてわけさ。抜けたメンバーも今頃新しい雑談町のグループで怖がる俺たちをからかっているのさ"
 "ピンクレモン:なるほど~一理あるね"
 "ミルクねぇさん:そうかしら?ずいぶんと手間をかけてるし。グループリーダーや抜けたメンバーも24時間張り付けて監視する余裕あるかしら?"
 "タナカー:そいつを確かめようぜ。何せ俺グループリーダーに弱味握ってるからさ。アレを雑談町に載せればビビって慌てるだろ。噂をすれば本人降臨だな"
 "ピンクレモン:何が楽しいかしらね。"

 そこで私たちは木読さんの正体を暴くため本グループである雑談町に来た。

 ーー雑談町ーー

 "木読さん:木"
 "タナカー:よう。おまえにいいもん見せてやるよ。ほら"
 "(裸踊りの画像)"
 "ピンクレモン:やだぁ。なにこれwww"

 おそらくグループリーダーらしきの恥ずかしい画像である。しかも不特定多数の身バレだから、本人が焦るだろうと踏んでいたから。しかし、実態は違っていた。

 “木読さん:木づいて"
 "(画像)"

 ひっと思わず叫んでスマホを落としてしまった。
 そこにあげられた画像はグループリーダーらしきのミイラ化した遺体だったから。
 この画像を出した同時に次々とメンバーが抜けていく。もうすでにメンバーは数人しかいなかった。

 "ピンクレモン:やだやだ。抜けれないよ。どうして"
 "タナカー:くそ!俺もだ"

 私はそのチャット見かけた同時に退出しようとしたが何故か抜け出せなかった。そしてアプリ削除しても、木読さんというアプリが勝手にインスールしたり、メールが画像が男女のミイラ化の遺体が勝手に送られて来る。
 黒饅頭さんの言った通りだったのだ。木読さんに関わったら録がないことを。
 そしてそのスマホからおそらく黒饅頭さんらしきの遺体が待ち受け画面表示されて怖くなった私はスマホをゴミ箱に捨てた。
 その時、私はあることに気づく。

 もしかしてあの場所にーー。

 私の自宅先には庭がある。
 そこで妙に枯れ木があったことに気がついた。

 だから、私は車庫にあったスコップを持って庭先に生えていた枯れ木の近くを掘ってみた。

 すると案の定ーーいた。

 ーー私だ。

 そっか。両親も死に別れて私1人でずっと過ごしていたから気がつかなかった。

「気づいた?」

 その尋ねる女性を見て私は安堵した同時に身体ごとから崩れ去った。


「6」

 "カエデ:という怪異談だけどね"
 "イエローパンダ:死んでもチャットしてるなんてやだな"
 "カエデ:そうね。あなたたちも気づくといいわね"
 "イチゴちゃん:それ、どういうこと?"

 私はカエデさんから怪異談を聞いていたが彼女が最後に言った言葉には気になっていた。
 丁度、飼い犬の散歩に出かけようと散歩するときに犬小屋に繋いでた飼い犬がいなかった。
 そして、私は信じられない光景を目にする。

 私の自宅の庭先に奇妙な気味悪い木が生えていたのだ。
 近くの公園、コンビニ、レストランも奇妙な木が生えており、人や生き物らしきモノはいなかった。

「きづいた?」

 その背後に私と同じ声が似た人物が訊ねてくる。
 その時、私は彼女の存在を確認することはできなかった。

 木読SNSチャット   完
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