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第7話 戸川くんとはじめてのお家②
しおりを挟むはいどーぞ、と戸川くんが自室のドアを開け、中に招き入れてくれる。
「あっ、失礼しますっ」
おずおずと戸川くんのお部屋にお邪魔する。
「うっわ~~~~~!お洒落な部屋!」
思わず大きな声が出てしまった。
広さは私の実家の自室の2倍位はありそう。天井から垂れる照明もランタン調のペンダントライトだったり、アジアン調の綺麗な色をしたモザイク柄のライトだったりまるでお洒落な雑貨屋さんみたいである。壁紙もごく薄い緑色だけど一辺だけ綺麗な青だったり手が込んでる。
「これ全部戸川くんが変えたの?」
「ん?そうだね。照明とかは自分で付け替えられるけど壁紙は流石に職人さんにお願いして張り替えて貰ったよ。ほら、うちデザイン事務所だからツテで色々安くやって貰えるんだよね」
てへっと笑う戸川くん。
今日も最高にカッコ可愛いけどお洒落なお部屋と相まってか、もうどうして良いか分からない位に最高である。
「あ、良かったらここ座ってね」とソファーに座らせてくれる。ソファー、ふっかふか。「はい、これも」とブランケットを渡される。
「もし足元寒かったらひざ掛けに使ってね」
渡されたブランケットを膝の上に置いて「ありがとう!」と笑顔で答えた。
「飲み物持ってくるよ。コーヒーと紅茶どっちが良い?」
「あ、じゃあ紅茶で。」
「アイスとホットはどっちが良い?、あとミルクとレモンはいる?」
「えーっと、ホットで。ミルクだけいただけたら嬉しいな」
「うん了解。ちょっと待っててね」
そう言って戸川くんはお部屋を出ていった。
シーンとなった戸川くんのお部屋をゆっくりと見渡す。
最初照明や壁紙しか目に入らなかったけどゆっくりお部屋全体を見渡してみると家具や置いてある小物、その全てが洗練されている。
アンティーク調だったりアジアン調だったり一見バラバラに見えるそれらもお部屋全体で見るととても調和が取れていて馴染んでいる。
「いや本当、一体どこまで凄いんだよ、戸川くん……」
そうぽそりと呟いた後、ふと少し離れた所にあるパソコンデスクの方に目をやる。
「あっ」
そう小さく声を上げた後、ブランケットをソファーの上に置いて立ち上がり、デスクの前まで移動する。目の前のデスクの上には写真立てがいくつか立て掛けられていたが、そこに写っているのは戸川くんとお友達?であろうか、何人かで楽しそうに笑ってる。
写っている戸川くんはお洒落をしてとても格好良いけど一緒に写っている男の子達も戸川くんに負けず劣らずお洒落で格好良い、そして……一緒に写っている女の子達も皆可愛い。
「めちゃめちゃ可愛い子と一緒にいるじゃん。戸川くん……」
胸にチリッとした感情が芽生える。
「でも私が今日部屋に来るって分かっているのにこの写真をそのままにするって事は、特別仲が良い女の子がいた訳では無いのかな。きっと戸川くんならもしそういう子が居たらこの写真を私の目の付く所に置いておかないだろうし」
そう自分に言い聞かせ、またソファーに戻る。
戸川くんの事を知れば知るほど好きになって行く自分と、何とも言えないモヤッとした気持ちになる自分が居て困ったものである。
そんな事を考えていると、ガチャッとドアが開き戸川くんが戻ってきた。
「ただいま!あっ、これ鈴音さんが持ってきてくれたお土産開けさせて貰ったよ。折角だから鈴音さんも一緒に食べよ」
と紅茶と共に私がお土産で持ってきた洋菓子も添えてくれる。
「あ、ありがとう!逆に色々気を使わせちゃってごめんね」
「いやいや全然。さ、どーぞ」
そう言ってソファの前の机に紅茶とクッキーを並べる。
「じゃ、早速観ようか!」
ソファから少し離れた所にあるテレビの所へ行き戸川くんはブルーレイをセットする。
そしてこちらに戻ってきて、紅茶をいただく為に浅く座っていた私の後ろに座る。
「えっ?」
と驚く私に
「ん?」
と笑顔で答える戸川くん。
私は戸川くんに後ろから包まれる形でソファに座る事になっている。大きいソファーだから何ら問題は無いのだけれども普通に横に来るものだと思っていたので一気に心拍数が上がってしまう。と、同時にこの前のキスの事を思い出して思わず下を向いてしまう。
「あ、ごめん嫌だったかな?折角だから鈴音さんとくっついていたいと思ってこっちに座っちゃった」
そう笑顔で話す戸川くん。
「あ、ううん全然嫌じゃないよ!むしろ、くっつけて嬉しいし、あっ嬉しいと言うか何というか」
としどろもどろになってしまう。
「良かった!じゃ再生するね」
戸川くんは当たり前の様に、リモコンを操作して平然と映画を見始める。そして
「もっと寄っかかって良いよ」
と言って自分の両腕を私の肩から前に持って来てぐっと力を入れる。
丁度戸川くんを椅子の背もたれにするような形で私は戸川くんの胸の中に収まる。
これ、私、映画の内容を覚えていられるだろうか。
背中に戸川くん息使いを感じながら軽くギュッと抱きしめられた状態で映画鑑賞会が始まった。
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