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sideユリウス
04.
しおりを挟む寝息を立て始めたイネスのアナルから陰茎を抜くと、精液が臀部を伝って溢れる。
「んっ……」
小さく身動ぎして反応したが、起きる気配はないようだ。赤く腫れた乳首に、俺が身体中へ散らしたキスマークを満足げにじっくりと眺める。
あのクソモブ共に犯られなくて、本当に良かった。イネスが部屋にネックレスを置き忘れたのは迂闊だったが、元々常に身に付けられる物じゃなかったからな。念のため、これから贈る指輪には位置把握の魔法を仕込み、幾つか細工をしておくとしよう。
まあ、学園で一番の邪魔者はいなくなったし、俺が常に傍にいれば問題はない。
「全く……イネスはほんと危なっかしいな」
「ふ、ぁ……」
鎖骨に残した跡をなぞるように指を滑らすと、眠ったままのイネスが艶めいた声を漏らした。セックス後で、まだ身体が敏感なままなのだろう。可愛い。
また抱きたくなる気持ちを抑え、俺は静かに後片付けを始めた。
イネスと初めて出会った時の印象は『どこにでもいる、平凡で少し鈍臭い子供』で、ここまでの感情を抱いてはいなかった。
俺は幼いながらも、自分が他人より優れていると理解していたし、事実そうだった。周囲のつまらないクソガキと遊ぶより、大人の冒険者と話している方がまだマシ。当時は家族さえいれば十分で、大切に思える存在がこの先現れるとは、思ってもいなかった。
そんな子供らしかぬ俺を案じて、母は田舎の村に移住することを決めたらしい。
友達が出来る迄は、冒険に同行することも許されず、父たちとの訓練も中止。
退屈と苛立ちを抱えながら「あれやって」「これやって」と面倒事を押し付けてくる村のクソガキ共を適当にあしらっていると。いつもは後ろに隠れてついてくるだったイネスが、初めて自分から俺に声をかけてきた。
「ぼ、僕もウルフを追い払いたいんだけれど……どうしたら強くなれますか?」
時おり山から降りてきて、村の農作物を荒らすウルフに困っているらしい。イネスの家も例外ではなく、両親のリンゴ畑が被害に遭っており、力になりたいと相談してきた。
まさか「解決して欲しい」ではなく「自分でも出来る解決方法」を聞いてくるなんてな。そんな奴は初めてだ。
子供でも出来そうな簡単な方法を教えてやると、イネスは満面の笑顔を浮かべた。
「ユリウスくん、ありがとう!」
その笑顔が心に残り、それから自然とイネスを気にかけるようになった。イネスは出来ないなりに努力をする子だった。気弱で、他のクソガキ共によく泣かされているが、腐らずに前を向こうとする。その芯の強さと屈託のない笑顔に、俺は次第に惹かれていった。
「ユリウスくんってスゴいね!」
「お母さんがアップルパイ作ってくれたから、一緒に食べよう。すごく美味しいんだよ。あ、甘いのは好きじゃなかった、かな……?」
「みんなユリウスくんに頼り過ぎだよね。ユリウスくんも断って良いんだよ?」
見返りも求めず、俺を気遣ってくれる。そんなイネスが俺にとって特別の存在となり、やがて「ユーリ」という愛称で呼んで欲しいと頼んだのは、すぐのことだった。
友達として二人だけで過ごすことが常になって、暫く経ったある日のこと。
二人で遊ぶ時間を確保しようと、イネスの家へ収穫を手伝いに行った時だ。風魔法で採ったリンゴを入れた籠を、イネスの父親と二人で運んでいる道中。汗を拭いながら、彼は俺に感謝を述べた後、ポツリと呟いた。
「本当にユリウスくんは良い子だぁ。しっかり者だし、うちの子を貰ってくれないかなぁ……なんてね」
何気ない一言だったのだろう。俺は足を止め、遠くで母親と笑い合いながらリンゴを籠から箱へ移しているイネスを見つめた。
──そうか、結婚すればイネスとずっと一緒にいられるのか。
笑顔で俺に寄り添うイネスと、彼に似た可愛らしい子供を抱き、賑やかで温かな家庭を築く未来。想像してみれば、自分の中でもしっくり感じる。何より幸せそうだ。
その頃には、もうイネスに対して独占欲が芽生えていたし、幸いなことにイネスは俺を好いてくれている。
だから、俺は決めたんだ。イネスと結婚しようと。
夕暮れを背に、イネスへ好意を告げ、プロポーズをした。不安そうな顔をするイネスに安心させるよう、俺は優しく微笑みかける。約束しようと小指を差し出すと、漸く俺の好きな可愛らしい笑顔を見せてくれた。
「それじゃあ約束の儀式をしようか」
「約束の儀式? いつもユーリと約束をする時に小指を絡ませるけれど、それとは違うの?」
「少し似てるけど違う。儀式の方は俺が考えたんだ」
「えっ、自分で考えたんだ。すごいねユーリ! どうやるの?」
「宣言を互いにしよう。台詞は──」
ユリウスとイネスは、成人したら必ず結婚します。
絡めた小指に、俺はそっと魔力を流し込み、契約魔法を発動させる。イネスにはほんのり温かく感じる程度の、ささやかな術式。
これで、俺たちがした約束は決して破れない。イネスは逃げられず、俺だけのものになる。
シーツや互いの体にクリーン魔法をかけ終え、眠るイネスにパジャマを着せた。月明かりに照らされたイネスの柔らかな頬を撫でる。俺の、大切で特別な人。
記憶が戻ったらセックスをするという約束もまた、契約魔法だった。俺の記憶が戻っても自分のことを好きなままならしても構わないと、可愛いことを言ってくれたからな。それって、イネスも俺としたかったってことだろ?
気分が高揚し、暫くして記憶が戻ったと伝えた時に言い逃げされないよう、魔法をかけさせてもらったよ。
本当はもう少し記憶喪失のフリをしてイネスとの学園生活を楽しむ筈だったが……アレの所為で、予定を変更する羽目になった。急遽、記憶が戻ったことにしたのはイネスを抱くため。お清めセックスとやらをしないといけない状況だったからな。おかけで最高の夜を過ごせた。
「……後は結婚だけだな、イネス」
額にそっと唇を落とす。小さな囁きは、穏やかな寝息に掻き消された。
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