小さな町の不思議・怖い話

みつか

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ある日の夜

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ある日の夜、仕事の残業で帰宅が遅くなってしまった。

「急いで帰らなきゃ。」

車を走らせる。
夫は亭主関白だ。急いで帰らないと怒られる。
いつもは避けている山道……

自宅へ帰る近道だが、曲がりくねっていて車幅も2台の車が通るギリギリだ。
運転に自信がないと溝に落ちたり、山に突っ込む恐れもある。

もう一つあまり通りたくない理由がある。
それは……夜になると『出る』と噂されているからだった。

幽霊とか、ケンムンに惑わされるとか……最近も見たって言う人がいた。

普通に国道を走るのと、山道を走るのでは10分以上の違いがある。急ぐなら怖くても山道1択だ。

車の内鍵をかけると一気に山道に入っていく。勢いをつけて登らないと車がバックするか、エンストしてしまうほどの傾斜がある道。オートマ車ではないので、ギアの切り替えに注意しながら軽自動車を走らせる。

S字が続く道。気を抜けば溝に落ちるか山にぶつかってしまいそうで恐ろしいが、スピードを落とさずに急いで走らせる。

もう少しで頂上。険しい登りが終わる。下りは少し緩やかになる。

(ここ迄くれば安心だ!)

頂上を目前に、緩やかになったカーブを少し油断した瞬間。
車のライトに照らされて、ガードレールの向こう側、草むらの中からこちら側をジッと見つめる女性が居る。
白い肌に無表情。
夜に草むらの中、しかもガードレールの向こう側……向こう側に道は無い。すぐ斜面、崖で人が立てるスペースは無いはずだった。

「ひっ!?」

思わず叫んで、2度見する。
車のサイドミラーとルームミラーで確認するが外は真っ暗で緩やかなカーブ。見えるはずがない。
あの1度チラリと見えただけ。
女性が1人……あんな場所で……降りて確認した方が良いのかな?と少し思ったが、真っ暗だ。先を急ぐし、人ではない可能性もある。怖さの方が勝ってしまった。

(ごめんなさいごめんなさい)

心の中で呟きながら、下り坂を走らせる。
緩やかな下り坂の緩やかなカーブ……車のライトに照らされる白い肌の女性。

「えっ?見間違いよ!」

そう自分に言い聞かせ、急いで帰り道を走らせる。
(前だけ見てたら……だ、大丈夫よ)
少し手が震える。もう少しで下り坂も終わる。最後のカーブ、チラリとライトに照らされたのは無表情で色白の全裸の男性が立っている。目が合ってしまった。

「ひぃ~!!」

猛スピードで自宅へ急ぐ。
幸い事故などせずに、急いだ為20分程短縮できた。
家に着くやいなや夫に、さっきの出来事を話す。本当に人なら助けが必要かもしれないと思い夫に相談する。

「助けに行かなくて大丈夫かしら?……一緒にあの道行ってくれない?」

夫は心配するどころか逆にキレられる。

「心配なら、お前だけ行って見てくればいい!俺は行かん!!」

酷い剣幕で怒られてしまった。
こんな時間に山の中。人が居るなんてしかも3人……私騙されたのかもしれないなぁ~。
と、夫の態度で判断した。

気になっていたので、出勤時夕べ通った山道を今度は余裕を持ってゆっくりと車を走らせる。夕べと違い、何台か走っている。

男性を見た場所。誰も居ないし、何もない。
(ふふ、やっぱり見間違い)
少し安心する。緩やかなカーブを登っていく。
2人目の女性はなんと居た!!カーブに立たされた全裸の白いマネキン!!
(正体見たり……ね。)
誰かのイタズラだろう。明るい時に見ると何の怖さもない。崖でもないし、よく見るとガードレールに縛られていた。
(悪い事する人が居るもんだ!)
他の車の人も驚いた表情だった。

少し怒りが込み上げる。
登り道が終了し、最初に女性をみた場所。
S字カーブがキツくなる下り道。
あの見た場所には何もない……。
(マネキンとかじゃなかったんだ……)

そう思いながら、道をチラリと見ながら曲がりくねった道を走っていると視線を感じる。
ルームミラーを一瞬確認すると、鏡の中でニヤリと笑う色白の女性が……
「ひぃ~!!」

ゆっくり走っていたが、急いで職場へ向かう。怖いのでルームミラーはもう確認せずに走る。
職場で、車の中やあちらこちらを確認する。特に何もない。ひとつやらかしたのは、山道を走る時に内鍵をかけなかった事だけ。
どうやら、鍵をかけなかった為に乗り込んでこられたらしい。
塩をまき、軽くお祓いする。

それ以来、山道を出来るだけ通らない様にしている。たま~に通るが、あれ以来出会っては居ない。
怖い思いはもう、こりごりだ……。
皆様も、運転される方はよく注意して運転してくださいね。




ほら、今……振り返ってみて、あなたの後ろにニヤリと笑う誰かが居るかもしれませんよ?









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