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寄り道
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色とりどりのネオンに導かれて、今日も男は渇きを癒す為に夜の街に繰り出す。
そんな欲望の匂いに鼻腔を擽られながら、アタシは颯爽と歩いていた。
「何だかまだ帰りたくない気分ね。」
こんな言葉をポツリと漏らしたのは数分前のとあるrestaurantだった。
久しぶりに仲の良い年下の男の子を食事に誘い、洒落たフレンチなんて食べた後に真っ直ぐその子の目を見据えてアタシは語りかけた。
「それってどういう意味ですか?」
その子はキョトンとした顔でアタシにこう返した。
ホント…嫌になっちゃう。
女の子からそんな事を言わせるつもりなのかと内心ガッカリしてしまった。
最近の男の子って本当に奥手なのね。
「もっと大人になったら教えてあげる。」
アタシは立ち上がるとすぐに会計を済まして出て行った。
坊やにご馳走なんてされるのは嫌だったからね。
そんなこんなで店を後にしたアタシはどうしたものかと途方に暮れていた。
とりあえず今日はまだ帰りたくないわね。
そんな時一軒のBARが目に入った。
あれ?以前こんな所があったかしら。
そこは繁華街から外れた場所にポツンと佇んでいた。
一杯だけでも飲んで行こうかな。
アタシはBARの重厚な扉を開いた。
「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」
そう言葉を放ったのは、アタシより少し若そうなbartenderだった。
ここでも坊やなのね。
アタシはふっ…と軽く溜息をつき、一番奥のカウンター席に座り、バランタインをロックで頼むと徐に煙草を取り出した。
すると、カチッという音の後に目の前がパァッと明るくなった。
「お付けいたします。」
bartenderがライターをこちらに翳してくれた。
「ありがとう。気が利くのね。」
アタシはそう言うと煙草に火を付けた。
bartenderの手は男性とは思えないくらい白くて綺麗な手だった。
思わず一瞥していると
「今日は何だか帰りたくないって顔をしていますね。改めまして私はシュンと申します。宜しければお客様のお名前も教えて頂けますか?」
シュンは突拍子も無く話しかけてきた。
「ヒトミよ。貴方にそんな事が分かるの?」
「ええ、そういう方が渇きを癒す為の場所なので。」
そう言うとシュンは照れ臭そうに笑った。
「誰かの受け売りでしょ。それ。でも、間違ってないわね。」
アタシもシュンにつられて笑ってしまった。
今日初めて笑った。
「今夜は長いので、ゆっくりお話ししましょう。」
「そうね。アタシも、ちょうど貴方みたいな子と大人の話をしたかったのよ。さっきの子は坊やだったからね。」
「それはどういう…」
「あらごめんなさいこっちの話よ。さあ、貴方の事も教えて頂戴。」
「勿論ですよ。夜はこれからですから。」
そんな欲望の匂いに鼻腔を擽られながら、アタシは颯爽と歩いていた。
「何だかまだ帰りたくない気分ね。」
こんな言葉をポツリと漏らしたのは数分前のとあるrestaurantだった。
久しぶりに仲の良い年下の男の子を食事に誘い、洒落たフレンチなんて食べた後に真っ直ぐその子の目を見据えてアタシは語りかけた。
「それってどういう意味ですか?」
その子はキョトンとした顔でアタシにこう返した。
ホント…嫌になっちゃう。
女の子からそんな事を言わせるつもりなのかと内心ガッカリしてしまった。
最近の男の子って本当に奥手なのね。
「もっと大人になったら教えてあげる。」
アタシは立ち上がるとすぐに会計を済まして出て行った。
坊やにご馳走なんてされるのは嫌だったからね。
そんなこんなで店を後にしたアタシはどうしたものかと途方に暮れていた。
とりあえず今日はまだ帰りたくないわね。
そんな時一軒のBARが目に入った。
あれ?以前こんな所があったかしら。
そこは繁華街から外れた場所にポツンと佇んでいた。
一杯だけでも飲んで行こうかな。
アタシはBARの重厚な扉を開いた。
「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」
そう言葉を放ったのは、アタシより少し若そうなbartenderだった。
ここでも坊やなのね。
アタシはふっ…と軽く溜息をつき、一番奥のカウンター席に座り、バランタインをロックで頼むと徐に煙草を取り出した。
すると、カチッという音の後に目の前がパァッと明るくなった。
「お付けいたします。」
bartenderがライターをこちらに翳してくれた。
「ありがとう。気が利くのね。」
アタシはそう言うと煙草に火を付けた。
bartenderの手は男性とは思えないくらい白くて綺麗な手だった。
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「今日は何だか帰りたくないって顔をしていますね。改めまして私はシュンと申します。宜しければお客様のお名前も教えて頂けますか?」
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