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第三章:好色剣豪と呪いの魔剣
第12話:好色漢と聖女と元王女
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ずしり、と重く湿った空気が、木のぬくもりを謳うはずの食堂全体に澱んでいた。夕食時だというのに、活気は乏しい。壁際に据えられた暖炉の火は力なく揺らめき、テーブルに落ちる影を不気味に伸縮させている。ちらほらと席を埋める他の客たちも、どこか所在なさげに、目の前のスープ皿とだけ向き合っていた。その視線の先、その緊張の中心にいるのは、間違いなく、カウンター席で一人、酒瓶を傾ける男の存在だった。
俺たちのテーブルは、そんな重苦しい雰囲気とは無縁であるべきだった。気高き王女アリーシアと、慈愛に満ちた聖女セレス。彼女たちがいるだけで、場は華やぎ、空気は浄化されるはずなのだ。しかし、現実は非情である。
「くそっ…なんで俺がこんな…あのクソ女…!」
吐き捨てられる呪詛が、食堂の静寂を切り裂く。声の主は、カウンターの男。鳥の巣のように乱れた黒髪に、伸び放題の無精髭。着古してよれよれになった革鎧からは、汗と安酒の入り混じった酸っぱい匂いが漂ってきそうだった。左頬に刻まれた十字の古傷が、彼の荒んだ人生を物語っているかのようだ。彼は空になった木製のジョッキを乱暴にカウンターに叩きつけると、よろよろと立ち上がった。その濁った目が、獲物を探す肉食獣のように店内をさまよい、そして、俺たちのテーブルでぴたりと止まった。
ああ、面倒なことになる。俺は内心で深く、深いため息をついた。
「ひっく…なんだぁ、お前ら。こんな田舎の村に不釣り合いな、ずいぶんと上等な女連れてんじゃねえか…」
千鳥足で近づいてくる男――ジンと名乗っていたか――の体からは、不快な匂いが波のように押し寄せてきた。アリーシアの眉が、見るからに不快そうにきゅっと寄せられる。彼女は王族としての品位を保とうと努めているようだが、その手に握られた鉄扇が、怒りのあまり微かに震えているのが見て取れた。
「どちら様かは存じませんが、淑女に対してあまりに無礼ですわ。酔いは醒ましてから出直してきてはいかが?」
アリーシアが、冷たくも気品のある声で言い放つ。それは威嚇であり、最後の警告だった。だが、泥酔した男にそんな高尚な駆け引きが通じるはずもない。
「あぁ? 淑女だぁ? 気取ってんじゃねえよ、お高くとまったお姫様が。そんなツンとした顔も、ベッドの上じゃどうせ…ぐへへ…」
下卑た笑い声とともに、ジンがその汚れた手をアリーシアの肩に伸ばそうとした、その瞬間。
パシン!
乾いた音が響いた。アリーシアが鉄扇でその手を打ち払ったのだ。しかし、それは火に油を注ぐだけの結果に終わった。
「いってぇ! このアマ、やりやがったな!」
逆上したジンが、今度はセレスの方へと矛先を向けた。恐怖で身を固くするセレスの前に、ぬっと巨体が割り込む。
「あん? なんだお前は。そこの聖女様か? 俺の傷を癒してくれよぉ。心の傷をよぉ…なんなら体で払ってくれても…」
「まあまあ、旦那さん。お酒はもうそのくらいに…」
セレスは怯えながらも、なお相手を気遣う言葉を紡ぐ。その優しさが、今はただ痛々しい。ジンはにたりと笑い、セレスの白い腕を掴もうと指を伸ばした。
もう、たくさんだった。
俺は静かにスプーンを置いた。カチャリ、という小さな音が、やけに大きく響いた気がした。俺はこれまで、一言も発していない。ただ、目の前で繰り広げられる低俗な茶番を、冷めゆくスープと同じくらい無感動に眺めていた。だが、セレスにまで危害が及ぶとなれば話は別だ。彼女は、俺にとって特別な存在だったから。
俺は立ち上がりもせず、椅子に座ったまま、テーブルの下で右手の指を軽く動かした。中指を親指に引っかけ、狙いを定める。ターゲットは、目の前で醜態を晒す男の眉間。距離、約1.5メートル。風なし。障害物なし。問題ない。
意識を集中させる。体内の魔力を、指先に針のように細く、鋭く集束させていく。これは単なるデコピンではない。魔力制御の精密さを極限まで高めた、一撃必殺の制裁だ。痛みを与えるのが目的ではない。相手の戦意と意識を、的確に刈り取るための、いわば外科手術的な一撃。
ジンの指が、セレスの袖に触れる寸前。
俺の指が、弾かれた。
音は、なかった。
ただ、空間を切り裂く一条の閃光にも似た不可視の衝撃波が、俺の指先からジンへと放たれた。
「ぐっ!?」
短い悲鳴。ジンの巨体が、まるで巨大なハンマーで殴られたかのように、綺麗に真後ろへ吹き飛んだ。彼は受け身も取れず、床に尻餅をつくと、そのまま数秒間、何が起きたのか分からないといった顔で目をぱちくりさせていた。
眉間を真っ赤に腫らしたジンは、尻餅をついたまま、しばらく呆然と俺のことを見上げていた。食堂の空気は凍りつき、他の客たちも固唾を飲んで成り行きを見守っている。やがて、我に返ると、彼の顔は驚愕から困惑へ、そして最終的に燃え盛るような憤怒に染まって立ち上がる。
「て、てめえ…!いきなり何しやがる!」
怒声が食堂に響き渡る。だが、その声には先程までの威圧感はなく、むしろ狼狽の色が濃く滲んでいた。
「……」
俺は何も言わず、ただジトっとした、心底面倒くさそうな視線を送り返す。その視線には、「これ以上絡んでくるなら、次はデコピンでは済まさないぞ。頭蓋骨ごと内容物をぶちまけることになるが、それでもいいか?」という無言の圧力が込められていたはずだ。俺は、騒ぎが大きくなるのも、これ以上この男に関わるのも、心の底から御免だった。
「うっ…」
そのオーラを敏感に感じ取ったのか、ジンは気圧されたように一歩後ずさった。本能が警鐘を鳴らしているのだろう。目の前の、一見すると何の変哲もない男が、自分とは住む世界の違う、触れてはならない存在であることを。しかし、ここで引き下がっては男のプライドが許さない。彼は震える指で俺をビシッと指差した。
「お、覚えとけよ!このデコピンの恨みは、必ず、十倍…いや、百倍の利子をつけて返してもらうからな!」
なんとも威厳のない捨て台詞を残し、彼は千鳥足のまま、床に転がった自分の荷物も拾わずに、食堂から逃げるように去っていった。その背中には、他の客からの安堵のため息と、微かな失笑が突き刺さっていた。
嵐が去り、食堂にようやく平穏が戻る。
「な、なんという破廉恥な男だ!野蛮!下劣!我が国の騎士であれば、即刻牢に繋いで、100年の重労働を課すところよ!」
アリーシアが、カンカン、と鉄扇でテーブルの端を小気味よく叩いて憤慨している。その気高い横顔は怒りに燃えているが、瞳の奥には俺へのかすかな好奇と驚きが揺らめいていた。その隣で、セレスは「まあまあ、アリーシア様…」と困ったように微笑みながらも、そっと俺の袖を掴み、「ありがとうございました」と小さな声で囁いた。その温かい感触に、俺のささくれ立った気持ちが少しだけ和らぐ。
俺は、ようやく静かになった食堂で、すっかり冷めきって油の浮いたスープを黙って口に運んだ。味など、もはや分かりはしなかった。実に、後味の悪い夕食だった。
◇
宿に戻っても、アリーシアの怒りは収まらなかった。共同で借りた少し広めの部屋の中央で、彼女は仁王立ちになり、まだ憤懣やるかたないといった様子で腕を組んでいる。
「信じられない!あのような男が『冒険者』を名乗っているなんて、世も末だわ!ギルドは何を考えているのかしら!」
「落ち着いてください、アリーシア様。もうあの人はいなくなりましたから」
セレスが宥めるように暖かい薬草茶を差し出すが、アリーシアはそれを受け取ろうともしない。
「いいえ、セレス、よくないわ!ああいう輩を放置しておくから、善良な市民が迷惑を被るのよ!王都に戻ったら、父上に進言して、冒険者ギルドの規律について一度見直させる必要があるわね!」
「まあ…」
セレスは困ったように微笑み、俺の方に助けを求めるような視線を送ってきた。俺は肩をすくめてみせるしかない。王女様の正義感は、時に暴走機関車と化す。
俺は窓辺に寄りかかり、夜の闇に包まれた村を眺めていた。ここは森の奥深くにある、地図にも載らないような小さな開拓村だ。夜になれば、獣の遠吠えと虫の音だけが世界を支配する。そんな静寂の中で、俺は先程のジンのことを考えていた。
ただの酔っ払い、というには、少しだけ違和感があった。吹き飛ばされた時の体幹の強さ。そして、俺の殺気混じりの視線を敏感に感じ取った、あの反応。あれは、幾度も死線を潜り抜けてきた者特有の勘だ。そして、何よりあの左頬の十字傷。あれは、尋常な喧嘩でつくような傷ではない。
「…何か、事情があるのかもしれませんね」
まるで俺の心を見透かしたかのように、セレスがぽつりと言った。
「セレス、あなたはお人好しすぎるわ!あんな男に同情の余地なんてない!」
「でも…あの人の目、とても悲しそうでした」
「酔っ払いの濁った目が、ですって?」
アリーシアは呆れたように首を振る。だが、俺はセレスの言葉に同意だった。憤怒と欲望の奥底に、深い絶望とでも言うべき暗い光が見えた気がしたのだ。
「まあ、どうでもいい。明日、依頼を済ませれば、もう二度と会うこともないだろう」
俺がそう言って話を打ち切ると、アリーシアもようやく落ち着きを取り戻したようだった。
「そうね。あなたの言う通りだわ。あんな破廉恥漢がいる村、一刻も早く依頼を終わらせて出発するわよ!」
彼女は明日の任務へと意識を切り替え、テーブルに広げた依頼書に目を落とした。
『依頼:呪いの魔剣の調査、および破壊』
『場所:村の東に位置する『嘆きの森』の古城跡』
『危険度:B』
『報酬:金貨50枚』
「危険度B…私たちの実力なら問題ないでしょう。問題は、その『呪い』とやらがどういう類のものか、ね」
アリーシアが顎に手を当てて思案する。
「聖属性の魔法に耐性がある場合も考えられます。物理的に破壊するのが一番確実かもしれませんが…」
セレスも真剣な表情で考察を加える。二人のやり取りをBGMに、俺は再び窓の外に視線を戻した。
呪いの魔剣。面倒な響きだ。だが、金貨50枚は魅力的な報酬だった。俺たちの旅には、金がかかる。特に、聖女であるセレスを狙う輩は後を絶たず、安全な宿を選び、時には情報を金で買う必要もあった。
早く終わらせて、次の街へ行こう。俺はそう結論付け、硬いベッドに身を横たえた。
◇
翌朝。
森の村を包む空気は、ひんやりと、そしてどこまでも澄み渡っていた。窓を開けると、夜露に濡れた木々の葉が、地平線の向こうから昇り始めた朝日に照らされて、ダイヤモンドダストのようにキラキラと輝いている。森から立ち上る朝靄が、村全体を乳白色のベールで覆い、まるで世界から切り離されたような幻想的な雰囲気を与えていた。小鳥のさえずりが、静寂を優しく破る。
「よし、行くわよ!」
昨日の憤慨もどこへやら、アリーシアはすっかり元気を取り戻していた。新品の旅装に身を包み、腰のレイピアの柄を確かめるその姿は、凛々しく、そして美しい。俺たちは簡素だが滋味深い朝食――焼き立ての黒パンと、木の実の入った温かいスープ――を胃に収めると、早々に宿を出て、昨日と同じギルドへと向かった。
村のメインストリートは、朝の活気に満ち溢れていた。猟師たちが獲物を担いで家路につき、畑仕事へ向かう村人たちが陽気に挨拶を交わす。子供たちの笑い声が、朝靄の中を駆け抜けていく。平穏そのものの光景だ。
ギルドの扉は、昨日と同じように重々しい音を立てて開いた。しかし、中の様子は一変していた。昨日の夕方には数人の冒険者がいたはずのホールはがらんとしており、カウンターの向こうで、恰幅のいいギルドマスターが一人、暇そうに手入れの行き届いた立派な顎鬚を指で撚っていた。
「おお、昨日の坊主たちか。昨日の酔っ払いに絡まれてたが、災難だったな。アイツも昔はもう少しマシだったんだが…」
ギルドマスターは、同情するような、それでいてどこか面白がるような口調で言った。その目には、ただの田舎のギルドマスターではない、老獪な光が宿っている。
「それより、例の依頼を受けるわ!」
アリーシアはギルドマスターの昔語りを遮り、カウンターをバンと力強く叩いた。その音に、埃っぽいギルドの空気がびりりと震える。彼女は壁に貼られた依頼書の一枚を指差した。
「『呪いの魔剣の調査、および破壊』!危険度B!報酬は金貨50枚!この依頼、あたしたちが引き受けたわ!」
その声は自信に満ち溢れ、一点の曇りもなかった。おお、とギルドマスターが感心したように声を上げようとした、その時だった。
「悪いが、そいつは俺が受けるぜ」
凛とした、張りのある声が、俺たちのすぐ隣から響いた。その声には、昨日の酔漢の面影は微塵もなかった。
俺たちが反射的にそちらを向くと、そこに立っていたのは、昨日とはまるで別人のような男だった。
伸び放題だった無精髭は綺麗に剃られ、青々とした剃り跡が逆に精悍さを際立たせている。鳥の巣のようだった髪は、硬質な光沢を放ちながら後ろで一本にきっちりと結われていた。よれよれだった汚れた革鎧は、体の線にぴったりと合った機能的な黒装束に変わり、腰には、漆黒の鞘の中でさえただならぬオーラを放つ、見事な一振りの刀が差されていた。反りの浅い、典型的な東方の刀だ。その拵え、柄に巻かれた鮫皮、そして鞘からわずかに覗く刃文。素人目にも、それがそこらの鉄とは次元の違う業物であることが分かった。
そして何より、その眼光。昨日の酔っ払いの、焦点の定まらない濁った目とは違う。全てを見通すかのような、鋭い鋼の光が宿っていた。まるで、研ぎ澄まされた刃そのもののような、危険な光だ。
左頬の十字傷だけが、彼が昨日の男――ジンであることの唯一の証明だった。
「なっ…!」
アリーシアが、信じられないといった表情で目を見開き、金縛りにあったかのように硬直する。セレスもまた、驚きに小さく口を開けていた。
「おお、ジンじゃないか。お前さんが受けてくれるなら心強い。こいつらだけじゃ、ちと不安だったんでな」
ギルドマスターは、まるで待ち人が現れたかのように、にこやかにジンを歓迎した。その口ぶりから、この男がこの村では名の知れた腕利きであることが窺える。
「なぜ…なぜこんな破廉恥漢が、腕利きですって…?」
アリーシアが、かろうじて絞り出した小声で呟いているが、全くもって同感だ。昨夜の醜態と、今のこの研ぎ澄まされた佇まいが、どうしても一つの人格として結びつかない。まるで、悪質な双子の兄弟を見ているかのようだ。
ジンは俺たちを一瞥もせず、カウンターに肘をつき、ギルドマスターに言った。
「マスター、依頼書を。一人でやる」
「おいおい、そう言うなや。こいつらもやる気満々なんだ」
「よし、決まりだ!」
俺たちの困惑をよそに、ギルドマスターがまるで世紀の大発見でもしたかのように、豪快に手を打った。その音がギルド中に響き渡る。
「お前さんたち、共同依頼(パーティクエスト)だ!ガッハッハ!若いもんは喧嘩するくらいが元気があっていい!なあに、目的は同じだろうが!仲良くやれ!」
……このオヤジ、話を聞いているようで、一切聞いていないタイプだ。しかも、明らかに面白がっている。彼の目には「こいつらを組ませたら、どんな化学反応が起きるか」という、純粋な好奇心が浮かんでいた。
「ふざけないでちょうだい!誰がこんな男と!」アリーシアが即座に反論する。
「俺も断る。足手まといはごめんだ」ジンも冷たく言い放つ。
だが、ギルドマスターは二人の抗議など意にも介さない。
「うるせえ!ギルドマスターの決定は絶対だ!いいか、ジン。お前が最近、自暴自棄になって酒浸りなのは知ってる。だが、その腕を腐らせるには早すぎる。こいつらは、お前を目覚めさせる良いきっかけになるかもしれんぞ?それに、そこの嬢ちゃんたち。こいつは『片喰(かたばみ)のジン』と呼ばれたほどの男だ。口は悪いし態度も最悪だが、その腕は本物。お前たちの助けになることは間違いない」
片喰のジン。その二つ名に、俺はかすかな記憶を探った。確か、数年前に王都の闘技大会で、並みいる騎士たちを相手に東方の剣技で無双したという、孤高の剣士がいたはずだ。その男の異名が、確か…。
「まあ、そういうこった!さあ、手続きするから名前を書け!」
ギルドマスターは有無を言わさず、一枚の羊皮紙をカウンターに滑らせた。
こうして、俺たちの意思は再び完璧に無視され、この胡散臭くも腕は立つらしい剣豪と、一時的にパーティを組むことが強制的に決定された。
不承不承、アリーシアが震える手で自分の名を記し、セレスが困り顔でそれに続く。俺もため息をつきながらサインをすると、最後にジンが、俺たち三人の名前を睨めつけるように見てから、力強い筆致で自分の名を書き加えた。
手続きが完了すると、ジンは俺の方をちらりと見た。その鋭い視線が、昨夜のデコピンの恨みを思い出させるように、俺の眉間を射抜く。そして、フンと鼻を鳴らした。
「俺ぁ、そこの聖女様とお姫様は守ってやるが、そこの仏頂面の兄ちゃんの面倒まで見る気はねえからな。俺の邪魔だけはするなよ」
その言葉に、俺は即座に言い返す。声のトーンは、あくまで平坦に。
「奇遇だな。こっちも、そこなアル中上がりのエロ親父の介護をするつもりは毛頭ない。せいぜい、戦闘中に手が震えないように祈っておくことだ」
俺とジンの間で、バチバチと見えない火花が散る。周囲の温度が数度下がったかのような、緊張に満ちた静寂。
その様子を、アリーシアとセレスが、「大丈夫でしょうか…」と、心の底から不安そうな顔で見つめていた。アリーシアは先程までの怒りも忘れ、ただただこの最悪の状況に青ざめている。セレスは今にも泣き出しそうだ。
大丈夫なわけがない。
呪いの魔剣の調査。ただでさえ面倒な任務だというのに、出発前からパーティ崩壊の危機である。
この旅、早くも暗雲が、それも雷鳴を伴う極厚の暗雲が立ち込めてきたのを感じながら、俺はもう一度、深く長いため息をついた。
俺たちのテーブルは、そんな重苦しい雰囲気とは無縁であるべきだった。気高き王女アリーシアと、慈愛に満ちた聖女セレス。彼女たちがいるだけで、場は華やぎ、空気は浄化されるはずなのだ。しかし、現実は非情である。
「くそっ…なんで俺がこんな…あのクソ女…!」
吐き捨てられる呪詛が、食堂の静寂を切り裂く。声の主は、カウンターの男。鳥の巣のように乱れた黒髪に、伸び放題の無精髭。着古してよれよれになった革鎧からは、汗と安酒の入り混じった酸っぱい匂いが漂ってきそうだった。左頬に刻まれた十字の古傷が、彼の荒んだ人生を物語っているかのようだ。彼は空になった木製のジョッキを乱暴にカウンターに叩きつけると、よろよろと立ち上がった。その濁った目が、獲物を探す肉食獣のように店内をさまよい、そして、俺たちのテーブルでぴたりと止まった。
ああ、面倒なことになる。俺は内心で深く、深いため息をついた。
「ひっく…なんだぁ、お前ら。こんな田舎の村に不釣り合いな、ずいぶんと上等な女連れてんじゃねえか…」
千鳥足で近づいてくる男――ジンと名乗っていたか――の体からは、不快な匂いが波のように押し寄せてきた。アリーシアの眉が、見るからに不快そうにきゅっと寄せられる。彼女は王族としての品位を保とうと努めているようだが、その手に握られた鉄扇が、怒りのあまり微かに震えているのが見て取れた。
「どちら様かは存じませんが、淑女に対してあまりに無礼ですわ。酔いは醒ましてから出直してきてはいかが?」
アリーシアが、冷たくも気品のある声で言い放つ。それは威嚇であり、最後の警告だった。だが、泥酔した男にそんな高尚な駆け引きが通じるはずもない。
「あぁ? 淑女だぁ? 気取ってんじゃねえよ、お高くとまったお姫様が。そんなツンとした顔も、ベッドの上じゃどうせ…ぐへへ…」
下卑た笑い声とともに、ジンがその汚れた手をアリーシアの肩に伸ばそうとした、その瞬間。
パシン!
乾いた音が響いた。アリーシアが鉄扇でその手を打ち払ったのだ。しかし、それは火に油を注ぐだけの結果に終わった。
「いってぇ! このアマ、やりやがったな!」
逆上したジンが、今度はセレスの方へと矛先を向けた。恐怖で身を固くするセレスの前に、ぬっと巨体が割り込む。
「あん? なんだお前は。そこの聖女様か? 俺の傷を癒してくれよぉ。心の傷をよぉ…なんなら体で払ってくれても…」
「まあまあ、旦那さん。お酒はもうそのくらいに…」
セレスは怯えながらも、なお相手を気遣う言葉を紡ぐ。その優しさが、今はただ痛々しい。ジンはにたりと笑い、セレスの白い腕を掴もうと指を伸ばした。
もう、たくさんだった。
俺は静かにスプーンを置いた。カチャリ、という小さな音が、やけに大きく響いた気がした。俺はこれまで、一言も発していない。ただ、目の前で繰り広げられる低俗な茶番を、冷めゆくスープと同じくらい無感動に眺めていた。だが、セレスにまで危害が及ぶとなれば話は別だ。彼女は、俺にとって特別な存在だったから。
俺は立ち上がりもせず、椅子に座ったまま、テーブルの下で右手の指を軽く動かした。中指を親指に引っかけ、狙いを定める。ターゲットは、目の前で醜態を晒す男の眉間。距離、約1.5メートル。風なし。障害物なし。問題ない。
意識を集中させる。体内の魔力を、指先に針のように細く、鋭く集束させていく。これは単なるデコピンではない。魔力制御の精密さを極限まで高めた、一撃必殺の制裁だ。痛みを与えるのが目的ではない。相手の戦意と意識を、的確に刈り取るための、いわば外科手術的な一撃。
ジンの指が、セレスの袖に触れる寸前。
俺の指が、弾かれた。
音は、なかった。
ただ、空間を切り裂く一条の閃光にも似た不可視の衝撃波が、俺の指先からジンへと放たれた。
「ぐっ!?」
短い悲鳴。ジンの巨体が、まるで巨大なハンマーで殴られたかのように、綺麗に真後ろへ吹き飛んだ。彼は受け身も取れず、床に尻餅をつくと、そのまま数秒間、何が起きたのか分からないといった顔で目をぱちくりさせていた。
眉間を真っ赤に腫らしたジンは、尻餅をついたまま、しばらく呆然と俺のことを見上げていた。食堂の空気は凍りつき、他の客たちも固唾を飲んで成り行きを見守っている。やがて、我に返ると、彼の顔は驚愕から困惑へ、そして最終的に燃え盛るような憤怒に染まって立ち上がる。
「て、てめえ…!いきなり何しやがる!」
怒声が食堂に響き渡る。だが、その声には先程までの威圧感はなく、むしろ狼狽の色が濃く滲んでいた。
「……」
俺は何も言わず、ただジトっとした、心底面倒くさそうな視線を送り返す。その視線には、「これ以上絡んでくるなら、次はデコピンでは済まさないぞ。頭蓋骨ごと内容物をぶちまけることになるが、それでもいいか?」という無言の圧力が込められていたはずだ。俺は、騒ぎが大きくなるのも、これ以上この男に関わるのも、心の底から御免だった。
「うっ…」
そのオーラを敏感に感じ取ったのか、ジンは気圧されたように一歩後ずさった。本能が警鐘を鳴らしているのだろう。目の前の、一見すると何の変哲もない男が、自分とは住む世界の違う、触れてはならない存在であることを。しかし、ここで引き下がっては男のプライドが許さない。彼は震える指で俺をビシッと指差した。
「お、覚えとけよ!このデコピンの恨みは、必ず、十倍…いや、百倍の利子をつけて返してもらうからな!」
なんとも威厳のない捨て台詞を残し、彼は千鳥足のまま、床に転がった自分の荷物も拾わずに、食堂から逃げるように去っていった。その背中には、他の客からの安堵のため息と、微かな失笑が突き刺さっていた。
嵐が去り、食堂にようやく平穏が戻る。
「な、なんという破廉恥な男だ!野蛮!下劣!我が国の騎士であれば、即刻牢に繋いで、100年の重労働を課すところよ!」
アリーシアが、カンカン、と鉄扇でテーブルの端を小気味よく叩いて憤慨している。その気高い横顔は怒りに燃えているが、瞳の奥には俺へのかすかな好奇と驚きが揺らめいていた。その隣で、セレスは「まあまあ、アリーシア様…」と困ったように微笑みながらも、そっと俺の袖を掴み、「ありがとうございました」と小さな声で囁いた。その温かい感触に、俺のささくれ立った気持ちが少しだけ和らぐ。
俺は、ようやく静かになった食堂で、すっかり冷めきって油の浮いたスープを黙って口に運んだ。味など、もはや分かりはしなかった。実に、後味の悪い夕食だった。
◇
宿に戻っても、アリーシアの怒りは収まらなかった。共同で借りた少し広めの部屋の中央で、彼女は仁王立ちになり、まだ憤懣やるかたないといった様子で腕を組んでいる。
「信じられない!あのような男が『冒険者』を名乗っているなんて、世も末だわ!ギルドは何を考えているのかしら!」
「落ち着いてください、アリーシア様。もうあの人はいなくなりましたから」
セレスが宥めるように暖かい薬草茶を差し出すが、アリーシアはそれを受け取ろうともしない。
「いいえ、セレス、よくないわ!ああいう輩を放置しておくから、善良な市民が迷惑を被るのよ!王都に戻ったら、父上に進言して、冒険者ギルドの規律について一度見直させる必要があるわね!」
「まあ…」
セレスは困ったように微笑み、俺の方に助けを求めるような視線を送ってきた。俺は肩をすくめてみせるしかない。王女様の正義感は、時に暴走機関車と化す。
俺は窓辺に寄りかかり、夜の闇に包まれた村を眺めていた。ここは森の奥深くにある、地図にも載らないような小さな開拓村だ。夜になれば、獣の遠吠えと虫の音だけが世界を支配する。そんな静寂の中で、俺は先程のジンのことを考えていた。
ただの酔っ払い、というには、少しだけ違和感があった。吹き飛ばされた時の体幹の強さ。そして、俺の殺気混じりの視線を敏感に感じ取った、あの反応。あれは、幾度も死線を潜り抜けてきた者特有の勘だ。そして、何よりあの左頬の十字傷。あれは、尋常な喧嘩でつくような傷ではない。
「…何か、事情があるのかもしれませんね」
まるで俺の心を見透かしたかのように、セレスがぽつりと言った。
「セレス、あなたはお人好しすぎるわ!あんな男に同情の余地なんてない!」
「でも…あの人の目、とても悲しそうでした」
「酔っ払いの濁った目が、ですって?」
アリーシアは呆れたように首を振る。だが、俺はセレスの言葉に同意だった。憤怒と欲望の奥底に、深い絶望とでも言うべき暗い光が見えた気がしたのだ。
「まあ、どうでもいい。明日、依頼を済ませれば、もう二度と会うこともないだろう」
俺がそう言って話を打ち切ると、アリーシアもようやく落ち着きを取り戻したようだった。
「そうね。あなたの言う通りだわ。あんな破廉恥漢がいる村、一刻も早く依頼を終わらせて出発するわよ!」
彼女は明日の任務へと意識を切り替え、テーブルに広げた依頼書に目を落とした。
『依頼:呪いの魔剣の調査、および破壊』
『場所:村の東に位置する『嘆きの森』の古城跡』
『危険度:B』
『報酬:金貨50枚』
「危険度B…私たちの実力なら問題ないでしょう。問題は、その『呪い』とやらがどういう類のものか、ね」
アリーシアが顎に手を当てて思案する。
「聖属性の魔法に耐性がある場合も考えられます。物理的に破壊するのが一番確実かもしれませんが…」
セレスも真剣な表情で考察を加える。二人のやり取りをBGMに、俺は再び窓の外に視線を戻した。
呪いの魔剣。面倒な響きだ。だが、金貨50枚は魅力的な報酬だった。俺たちの旅には、金がかかる。特に、聖女であるセレスを狙う輩は後を絶たず、安全な宿を選び、時には情報を金で買う必要もあった。
早く終わらせて、次の街へ行こう。俺はそう結論付け、硬いベッドに身を横たえた。
◇
翌朝。
森の村を包む空気は、ひんやりと、そしてどこまでも澄み渡っていた。窓を開けると、夜露に濡れた木々の葉が、地平線の向こうから昇り始めた朝日に照らされて、ダイヤモンドダストのようにキラキラと輝いている。森から立ち上る朝靄が、村全体を乳白色のベールで覆い、まるで世界から切り離されたような幻想的な雰囲気を与えていた。小鳥のさえずりが、静寂を優しく破る。
「よし、行くわよ!」
昨日の憤慨もどこへやら、アリーシアはすっかり元気を取り戻していた。新品の旅装に身を包み、腰のレイピアの柄を確かめるその姿は、凛々しく、そして美しい。俺たちは簡素だが滋味深い朝食――焼き立ての黒パンと、木の実の入った温かいスープ――を胃に収めると、早々に宿を出て、昨日と同じギルドへと向かった。
村のメインストリートは、朝の活気に満ち溢れていた。猟師たちが獲物を担いで家路につき、畑仕事へ向かう村人たちが陽気に挨拶を交わす。子供たちの笑い声が、朝靄の中を駆け抜けていく。平穏そのものの光景だ。
ギルドの扉は、昨日と同じように重々しい音を立てて開いた。しかし、中の様子は一変していた。昨日の夕方には数人の冒険者がいたはずのホールはがらんとしており、カウンターの向こうで、恰幅のいいギルドマスターが一人、暇そうに手入れの行き届いた立派な顎鬚を指で撚っていた。
「おお、昨日の坊主たちか。昨日の酔っ払いに絡まれてたが、災難だったな。アイツも昔はもう少しマシだったんだが…」
ギルドマスターは、同情するような、それでいてどこか面白がるような口調で言った。その目には、ただの田舎のギルドマスターではない、老獪な光が宿っている。
「それより、例の依頼を受けるわ!」
アリーシアはギルドマスターの昔語りを遮り、カウンターをバンと力強く叩いた。その音に、埃っぽいギルドの空気がびりりと震える。彼女は壁に貼られた依頼書の一枚を指差した。
「『呪いの魔剣の調査、および破壊』!危険度B!報酬は金貨50枚!この依頼、あたしたちが引き受けたわ!」
その声は自信に満ち溢れ、一点の曇りもなかった。おお、とギルドマスターが感心したように声を上げようとした、その時だった。
「悪いが、そいつは俺が受けるぜ」
凛とした、張りのある声が、俺たちのすぐ隣から響いた。その声には、昨日の酔漢の面影は微塵もなかった。
俺たちが反射的にそちらを向くと、そこに立っていたのは、昨日とはまるで別人のような男だった。
伸び放題だった無精髭は綺麗に剃られ、青々とした剃り跡が逆に精悍さを際立たせている。鳥の巣のようだった髪は、硬質な光沢を放ちながら後ろで一本にきっちりと結われていた。よれよれだった汚れた革鎧は、体の線にぴったりと合った機能的な黒装束に変わり、腰には、漆黒の鞘の中でさえただならぬオーラを放つ、見事な一振りの刀が差されていた。反りの浅い、典型的な東方の刀だ。その拵え、柄に巻かれた鮫皮、そして鞘からわずかに覗く刃文。素人目にも、それがそこらの鉄とは次元の違う業物であることが分かった。
そして何より、その眼光。昨日の酔っ払いの、焦点の定まらない濁った目とは違う。全てを見通すかのような、鋭い鋼の光が宿っていた。まるで、研ぎ澄まされた刃そのもののような、危険な光だ。
左頬の十字傷だけが、彼が昨日の男――ジンであることの唯一の証明だった。
「なっ…!」
アリーシアが、信じられないといった表情で目を見開き、金縛りにあったかのように硬直する。セレスもまた、驚きに小さく口を開けていた。
「おお、ジンじゃないか。お前さんが受けてくれるなら心強い。こいつらだけじゃ、ちと不安だったんでな」
ギルドマスターは、まるで待ち人が現れたかのように、にこやかにジンを歓迎した。その口ぶりから、この男がこの村では名の知れた腕利きであることが窺える。
「なぜ…なぜこんな破廉恥漢が、腕利きですって…?」
アリーシアが、かろうじて絞り出した小声で呟いているが、全くもって同感だ。昨夜の醜態と、今のこの研ぎ澄まされた佇まいが、どうしても一つの人格として結びつかない。まるで、悪質な双子の兄弟を見ているかのようだ。
ジンは俺たちを一瞥もせず、カウンターに肘をつき、ギルドマスターに言った。
「マスター、依頼書を。一人でやる」
「おいおい、そう言うなや。こいつらもやる気満々なんだ」
「よし、決まりだ!」
俺たちの困惑をよそに、ギルドマスターがまるで世紀の大発見でもしたかのように、豪快に手を打った。その音がギルド中に響き渡る。
「お前さんたち、共同依頼(パーティクエスト)だ!ガッハッハ!若いもんは喧嘩するくらいが元気があっていい!なあに、目的は同じだろうが!仲良くやれ!」
……このオヤジ、話を聞いているようで、一切聞いていないタイプだ。しかも、明らかに面白がっている。彼の目には「こいつらを組ませたら、どんな化学反応が起きるか」という、純粋な好奇心が浮かんでいた。
「ふざけないでちょうだい!誰がこんな男と!」アリーシアが即座に反論する。
「俺も断る。足手まといはごめんだ」ジンも冷たく言い放つ。
だが、ギルドマスターは二人の抗議など意にも介さない。
「うるせえ!ギルドマスターの決定は絶対だ!いいか、ジン。お前が最近、自暴自棄になって酒浸りなのは知ってる。だが、その腕を腐らせるには早すぎる。こいつらは、お前を目覚めさせる良いきっかけになるかもしれんぞ?それに、そこの嬢ちゃんたち。こいつは『片喰(かたばみ)のジン』と呼ばれたほどの男だ。口は悪いし態度も最悪だが、その腕は本物。お前たちの助けになることは間違いない」
片喰のジン。その二つ名に、俺はかすかな記憶を探った。確か、数年前に王都の闘技大会で、並みいる騎士たちを相手に東方の剣技で無双したという、孤高の剣士がいたはずだ。その男の異名が、確か…。
「まあ、そういうこった!さあ、手続きするから名前を書け!」
ギルドマスターは有無を言わさず、一枚の羊皮紙をカウンターに滑らせた。
こうして、俺たちの意思は再び完璧に無視され、この胡散臭くも腕は立つらしい剣豪と、一時的にパーティを組むことが強制的に決定された。
不承不承、アリーシアが震える手で自分の名を記し、セレスが困り顔でそれに続く。俺もため息をつきながらサインをすると、最後にジンが、俺たち三人の名前を睨めつけるように見てから、力強い筆致で自分の名を書き加えた。
手続きが完了すると、ジンは俺の方をちらりと見た。その鋭い視線が、昨夜のデコピンの恨みを思い出させるように、俺の眉間を射抜く。そして、フンと鼻を鳴らした。
「俺ぁ、そこの聖女様とお姫様は守ってやるが、そこの仏頂面の兄ちゃんの面倒まで見る気はねえからな。俺の邪魔だけはするなよ」
その言葉に、俺は即座に言い返す。声のトーンは、あくまで平坦に。
「奇遇だな。こっちも、そこなアル中上がりのエロ親父の介護をするつもりは毛頭ない。せいぜい、戦闘中に手が震えないように祈っておくことだ」
俺とジンの間で、バチバチと見えない火花が散る。周囲の温度が数度下がったかのような、緊張に満ちた静寂。
その様子を、アリーシアとセレスが、「大丈夫でしょうか…」と、心の底から不安そうな顔で見つめていた。アリーシアは先程までの怒りも忘れ、ただただこの最悪の状況に青ざめている。セレスは今にも泣き出しそうだ。
大丈夫なわけがない。
呪いの魔剣の調査。ただでさえ面倒な任務だというのに、出発前からパーティ崩壊の危機である。
この旅、早くも暗雲が、それも雷鳴を伴う極厚の暗雲が立ち込めてきたのを感じながら、俺はもう一度、深く長いため息をついた。
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