無能と蔑まれた僕だけが知る世界の嘘。敵であるはずの怪物の少女に恋したので、人類を裏切り世界を滅ぼす。

Gaku

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第1部:養成所編

第4話:砕け散る憧れ

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初めての屋外戦闘訓練は、夏の匂いがした。

西暦2242年、八月。

統合防衛学園の広大な第一演習場に、じりじりと容赦なく照りつける太陽が、何日も雨を知らない乾いた土を熱し、陽炎が蜃気楼のように立ち上っていた。

生命の息吹を拒絶するかのような灼熱の空気は、様々な匂いをない交ぜにして、訓練に臨む生徒たちの肺腑を満たしていた。

風が巻き上げる微細な土埃の匂い。
高出力のエネルギー兵器が訓練用のフィールドバリアと干渉し、大気を焦がすオゾンの独特な匂い。
そして、演習場を囲むように広がる人工の森から、まるで壁のように押し寄せてくる、むせ返るような濃密な緑の匂い。

それら全てが混じり合い、これから始まる非日常的な訓練の現実感を、否応なく肌に刻みつけていた。

キーン、と鼓膜の奥で反響するような金属的な蝉の声が、まるで世界の終わりを告げる警報のように、これから始まる模擬的な殺戮の訓練には不釣り合いなほど、長閑に、そして狂おしく響き渡っていた。

宮沢譲は、整列させられた新入生たちの最後尾で、目の前で繰り広げられる光景に、乾いた喉をごくりと鳴らした。

汗が額から流れ落ち、顎の先で雫となり、熱された地面に吸い込まれていく。
それはほんの一瞬で蒸発し、何の痕跡も残さなかった。
まるで、これから自分が経験するであろう、取るに足らない失敗の予兆のようだった。

「次、前田チーム! ポジションにつけ!」

拡声器を通した教官の鋭い号令が、熱気を切り裂いた。
その声と共に、同じ制服に身を包んだ五人の少年少女が、まるで解き放たれた猟犬のようにフィールドへと飛び出していく。

次の瞬間、彼らの全身から、色とりどりのオーラ――『アストラル』と呼ばれる、この世界の人間が発現させる超常的なエネルギーの輝きが迸った。
それは、個々人の才能と特性を反映した、魂そのものの色だった。

フィールド中央で地響きが鳴り、土煙を上げて一体の模擬怪物が起動する。
数十年前、突如として異次元から出現し、人類の生存圏を脅かす謎の存在『ノイズ』を模して造られた、鋼鉄と合成筋肉の塊だ。
多脚戦車のようないびつなフォルムに、複数の赤いセンサーライトが不気味に明滅している。

「――エンゲージ!」

号令一下、戦闘が開始された。

チームのリーダー格である大柄な少年が両手を地面につくと、彼の足元から蒼いアストラルが大地を駆け巡った。
隆起した地面は瞬く間に巨大な土の壁と化し、猛然と突進してきた模擬怪物の運動エネルギーを、轟音と共に真正面から受け止める。
衝撃で土壁に亀裂が走るが、びくともしない。

「今だ! カスミ!」

リーダーの叫びに応じ、小柄な少女が、その身軽さを活かして土壁の上へと跳躍した。
彼女の身体からは黄金色の稲妻がスパークしている。
宙で一回転し、遠心力を乗せたその両手から放たれたのは、一条の雷の槍だった。
雷槍は甲高い音を立てて大気を引き裂き、模擬怪物の分厚い装甲の、その一点を正確に貫いた。
内部でショートしたのだろう、怪物の動きが鈍り、赤いセンサーが明滅を繰り返す。

「凍らせる!」

さらに別の少年が、まるでスケート選手のように滑らかな動きで敵の側面に回り込む。
彼の手からはダイヤモンドダストのような凍てつく冷気が放射され、模擬怪物の駆動部である複数の脚を瞬時に凍結させた。
ガチガチという硬質な音と共に、怪物の動きが完全に封じられる。

そこへ、残りの二人が息の合った連携で高出力のエネルギーライフルを連射し、装甲の薄い関節部を次々と破壊していった。

閃光、爆音、衝撃波。

それは、譲が物心ついた頃から、部屋の壁に貼ったポスターで見つめ続け、毎日のように流れるニュース映像で心を焦がしてきた、まさしく『アース』――ノイズと戦うためにその能力を発現させた英雄たちの姿、そのものだった。

憧れ。

その感情は、あまりにも純粋で、強烈で、そして何よりも甘美だった。
絶望的な状況を覆す圧倒的な力。
人々を守るための崇高な自己犠牲。
そして、その功績に与えられる、惜しみない賞賛と栄光。

僕も、いつかあの場所に立ちたい。
あの光の中心で、誰かの希望になりたい。

その一心だけで、血の滲むような努力を重ね、狭き門であるこの統合防衛学園の、それも能力を持たない一般家庭出身者が入学できる数少ない『一般枠』に、どうにか滑り込んだのだ。

だが、現実は甘美な夢が醒めた後の、口の中に広がる苦い後味に似ていた。

「次! 宮沢 譲! 前へ!」

ついに、自分の名前が呼ばれた。
その瞬間、心臓が鷲掴みにされたかのように縮み上がり、次の瞬間には肋骨を内側から破壊するのではないかと思うほど激しく脈打ち始めた。

喉はカラカラに乾き、唾を飲み込むことさえできない。
汗でぬるつく手のひらを、ごわごわした制服のズボンで何度も拭う。

武器庫の担当官から無作法に手渡された、標準仕様のエネルギーライフル『タイプセブン』を受け取った。
ずしり、とした無慈悲な鉄の重みが、鍛えられているとはお世辞にも言えない彼の細い腕に、容赦なくのしかかってくる。
それは単なる物理的な質量であると同時に、決して自分には担いきれない、期待と責任という名の、見えない心理的な重さでもあった。

フィールドの中央に、まるで断頭台へ向かう罪人のような足取りで進み出る。
三十メートル先にぽつんと設置された、動かない的であるはずの模擬怪物を睨みつけた。
先ほどの前田チームが戦ったような高機動型ではなく、基礎射撃訓練用の、ただの鉄の塊だ。
それなのに、その赤いセンサーライトが、まるで自分を嘲笑っているかのように見えた。

教室で教わった通りに両足を開き、重心を落とすために腰を沈める。
ライフルを肩に当て、ストックを頬に押し付け、スコープを覗き込む。

だが、自分の身体が自分のものとは思えなかった。
手足は鉛を流し込まれたかのように重く、意思とは無関係にガクガクと震え、重心がどこにも定まらない。
スコープの中のレティクルが、的の上で狂ったように踊っている。

「……撃て!」

背後から、教官の非情な声が飛んできた。
その声には、一切の感情が乗っていなかった。
ただ、事実を促すだけの、冷たい音の塊だった。

譲は、意を決して引き金に指をかけた。
脳内では、座学で叩き込まれた知識が目まぐるしく駆け巡る。
反動を吸収するための最適な筋肉の弛緩と緊張のバランス。
エネルギーの収束率を最大にするための、吸って、止めて、吐き出す呼吸法。
その全てが、頭の中では完璧にシミュレートされている。

いける。
やれるはずだ。
今まで、シミュレーターでは何度もA判定を出してきたじゃないか。

彼は固く、固く目をつぶり、祈るような気持ちで、引き金を引いた。

轟音。

そして、想像を、いや、シミュレーターでの経験を遥かに絶する、暴力的なまでの衝撃が、彼の右肩を、身体を、そして魂ごと殴りつけた。

世界が、一瞬だけスローモーションになる。
ライフルの銃口が制御を失って天を向き、自分の身体がまるで木の葉のように、ふわりと宙に浮く奇妙な感覚。
そして次の瞬間、派手な尻餅をついて、硬い地面に叩きつけられた。
受け身も取れず、後頭部を強かに打ち付け、視界の端で無数の星がチカチカと点滅する。
土埃の匂いが、鼻腔を不快に刺激した。

一体、何が起きたのか。

呆然とする譲の耳に、まず届いたのは、何かが派手に破壊される金属的な大音響だった。

ドッシャァァァン!

恐る恐る顔を上げると、信じられない光景が広がっていた。
彼が放ったはずの青白い模擬弾は、的のはるか上空、あらぬ方向へと飛んでいき、訓練場の隅に、まるでモニュメントのように設置されていた巨大な給水タンクの、そのど真ん中に正確無比に命中していた。
直径数メートルはあろうかという巨大な円筒形のタンクは、まるで紙細工のように無残にひしゃげ、そこから天高く、まるで太古のクジラが潮を吹くかのように、壮大な水の柱が噴き上がっていた。
夏の強い日差しを受けて、その水飛沫が虹色にきらめいている。
あまりに現実離れした光景に、思考がついていかない。

そして、その水の柱は、物理法則に従って美しい放物線を描きながら落下し――
フィールドの脇で腕を組んで仁王立ちしていた鬼教官、田中教官の頭上へと、まるで計算され尽くしたかのように、正確無比に降り注いだ。

訓練場が、ほんの一瞬だけ、時が止まったかのような完全な静寂に包まれた。
蝉の声さえも、聞こえなくなった気がした。

次の瞬間、誰かが「ぷっ」と、こらえきれずに噴き出したのを皮切りに、その静寂はダムが決壊したかのように崩れ去り、訓練場は腹の底から湧き上がるような爆笑の渦に叩き込まれた。

「ぶっはははは! なんだ今の! 傑作だ! アートかよ!」

腹を抱え、地面を転げまわらんばかりに笑い転げているのは、赤城剛だった。
入学当初から、その恵まれた体格と粗野な言動で、良くも悪くも目立っている男だ。
彼は涙を流しながら、譲を指さして叫んだ。

「おいおい、あいつ、ノイズと戦う前にライフルの反動で死ぬぞ! 自爆テロか!」
「一般枠って、マジであんなレベルなのかよ。シミュレーターしかやったことないんだろ」
「つーか、田中教官びしょ濡れじゃん! やべえ! 絶対零度の視線がこっちに!」

三百六十度、あらゆる方向から降り注ぐ嘲笑の矢。
それは見えないはずなのに、確かに譲の心を抉り、傷つけた。
びしょ濡れになった田中教官の、水滴を滴らせた髪の下から覗く、般若のような形相。

譲は、地面にへたり込んだまま、指一本動かすことができなかった。
夏の暑さで熱いのか、それとも全身から血の気が引いて冷たいのか、もう何も分からない。
ただ、自分の顔が、沸騰したヤカンのように熱くなり、完熟したトマトのように赤く染まっていくのだけは、はっきりと分かった。

「――全員、黙れッ!」

田中教官の、地を這うような怒号が、爆笑の喧騒を鋭利な刃物のように切り裂いた。
その声には、先ほどまでの冷静さは微塵もなく、純粋な怒気が込められていた。

「宮沢! 貴様は兵器の取り扱い規則を著しく逸脱し、訓練施設を破壊、上官への侮辱行為を行った! よって罰として、グラウンド百周だ! 今すぐ行けッ!」

「は、はい!」

譲は、まるで操り人形のように、よろよろと立ち上がった。
ライフルのことなど、もう頭から消えていた。
ただこの場から逃げ出したい一心で、グラウンドの外周へと向かって走り出す。
背中に突き刺さる、嘲笑と侮蔑と、そして憐れみが入り混じった無数の視線が、痛い。
痛くて、苦しくて、情けなくて、涙が出そうだった。

その混乱を収拾するように、フィールドに一人の男が、まるで舞台に登場する主役のように、悠然と歩み出た。

朝倉颯太。
今年の入学生の中で、トップの成績を収めた首席。
そして、譲の幼馴染でもあった。

彼は、先ほど譲が持て余したのと同じ『タイプセブン』を、まるで小枝か何かのように軽々と片手で受け取ると、優雅な仕草で肩に担ぐように構えた。
それだけではない。
彼は腰の両脇に下げたホルスターから、二丁のハンドガン型エネルギーピストルを抜き、くるりと器用に指の上で回転させると、両手に逆手で構えた。
三つの銃口が、それぞれ異なる方向を向いている。

「……あいつ、三丁同時にやる気か? アニメじゃあるまいし」
「無茶だろ、ライフルとハンドガンじゃ弾道も反動も全然違うのに」

誰かが、信じられないといった風に呟いた。

次の瞬間、颯太の身体が舞った。

タン、タン、タタン!

三つの銃口から、それぞれ異なるリズムで、しかし全体としては一つの音楽を奏でるかのように、完璧に統制された銃声が響き渡る。
彼は、まるで優雅に踊るかのように軽やかなステップを踏みながら、右手、左手、そして肩に構えたライフルの三点から、寸分の狂いもない光弾を、次々と異なる場所に設置された模擬怪物の急所――コアユニットに寸分違わず叩き込んでいく。
右手のハンドガンが一体目の頭部を撃ち抜いたコンマ数秒後には、左手のハンドガンが二体目の関節部を破壊し、その間にライフルの高出力弾が三体目の厚い装甲を貫く。

それは、もはや戦闘訓練というよりも、一種の芸術、あるいは超人的な技術を披露するサーカスのようだった。

一体、二体、三体……。
フィールドに設置されていた十体全ての模擬怪物が、わずか数十秒で、その活動を完全に停止させた。
最後の標的が爆散すると同時に、颯太は華麗なスピンで動きを止め、三つの銃から立ち上る硝煙のようなエネルギーの残滓を、ふっと息で吹き消した。

静寂。

先ほどまで譲を嘲笑していた生徒たちから、今度は感嘆のため息が漏れた。
そして、それはやがて、割れんばかりの拍手へと変わっていった。

「すげえ……」
「次元が違うだろ、あれ。同じ人間かよ」
「あれが、今年の首席の実力か……」

賞賛の嵐の中心で、颯太は悪戯っぽく笑うと、観衆に向かって軽くウィンクまでしてみせた。
その仕草に、クラスの女子たちが黄色い悲鳴を上げる。

彼は、光だった。
誰もが認め、誰もが焦がれる、絶対的な才能とカリスマ性を持った、手の届かない光。

譲は、グラウンドの外周を走りながら、その光景を横目で見ていた。
肺が焼けつくように痛い。
足は意志に反して重くなり、まるで鉛の塊を引きずっているかのようだ。
だが、それ以上に、心の奥深く、魂の中心とでも言うべき場所が、ずきり、と鈍い音を立てて痛んだ。

「……やっぱり、颯太はすごいね」

いつの間にか、隣に並んで走っていた幼馴染の陽葵が、目をキラキラと輝かせながら、心底感心したように言った。
彼女も譲と同じ『一般枠』だが、サポート系の能力に長けており、クラスでも人気者だった。
彼女の息は少しも上がっていない。

その、何の気なしの一言。
何の悪意も、棘もない、ただ純粋な、友人への賞賛の言葉。

それが、譲の中で、何かを決定的に壊してしまった。

陽葵の言葉をトリガーにして、譲の世界から、音が消えた。
色が消えた。

蝉の声も、生徒たちの歓声も、自分の荒い呼吸さえも聞こえなくなる。
それまで眩しいほどに輝いて見えていた颯太の姿が、目の前でゆっくりと色褪せて、モノクロームの映像に変わっていく。
賞賛と喝采が、まるで分厚いガラスを隔てた向こう側の、遠い世界の出来事のように聞こえる。

彼の心を満たしていた、焦がれるような甘美な感情――「憧れ」という名の光が、まるで強力な酸を浴びせられたかのように、急速にその姿を変えていった。
熱く、ドス黒く、そしてどこまでも醜い、得体の知れない何かに。

嫉妬。

なぜ?
なぜ、僕は彼じゃないんだ?
なぜ、神様は、僕にあの力を与えてくれなかったんだ?

同じ人間としてこの世に生まれ、同じ時間を過ごし、同じ町の空気を吸い、同じ飯を食ってきたはずなのに。
どうして、神様は、これほどまでに不公平で、残酷な賽の目を振ったのだろう。

欲しい。

あの力が、あの才能が、あの賞賛が、あの笑顔が、喉から焼け爛れた手が出るほど、欲しい。

自分には決して手に入らないものを、それでもどうしようもなく求めてしまう、この醜い心。
その尽きることのない渇きと、決して埋まることのない欠落感こそが、自分の苦しみの、本当の正体なのだと、譲は、グラウンドの土を噛みしめるような思いで走りながら、この時、初めてはっきりと自覚した。

訓練が終わる頃には、あれほど高くにあった太陽も西に傾き、空は燃えるような茜色に染まっていた。

譲は、百周をどうにか走り終え、泥と汗にまみれた訓練服を脱ぎ、一人、古びた共同洗濯場の冷たいコンクリートの上で、それをゴシゴシと手で洗っていた。

最新式の自動洗濯乾燥機が並んでいるのに、わざわざ旧式の洗い場を使うのは、そうでもしないと、心の中の黒い感情を持て余してしまいそうだったからだ。
服にこびりついた頑固な泥は、まるで心に深く染み付いた醜い嫉妬のようで、どれだけ強く擦っても、洗っても洗っても、完全には落ちてくれない気がした。

「譲、大丈夫か?」

不意に、背後から心配そうな声がした。
その声の主が誰なのか、振り返るまでもない。
颯太だった。

譲は、手を止めなかった。
振り返らなかった。
今、彼の顔を、まともに見ることができそうになかったからだ。
彼の顔を見たら、その光に目が眩んで、自分の惨めさがより一層浮き彫りになってしまう。

「……平気だ」

背を向けたまま、短く答える。
その声は、自分でも驚くほど、冷たく、乾ききっていた。
まるで砂漠の砂のようだった。

「そ、そうか。なら、いいんだけど……。今日のことは、まあ、誰にでもあることだから。あんまり、無理すんなよ」

颯太は、何か言いたげに、しかし言葉を選びあぐねている様子で、しばらくそこに立っていた。
やがて、気まずい沈黙に耐えかねたように、静かにその場を去っていった。

一人残された洗濯場に、夕日が長く、長く差し込んでいる。
それは、譲と、そしてほんの数秒前まで颯太が立っていた場所の間に、まるで決して越えることのできない、深い溝のような影を落としていた。

憧れは、今日の失敗と、彼の才能によって、粉々に砕け散った。

そして、その鋭利な破片は、もう二度と元の美しい形には戻らない、ただただ心を傷つけるだけの刃となって、彼の内側で静かに、そして確実に、その存在感を増し始めていた。

夏の終わりの匂いが、やけに鼻についた。
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