無能と蔑まれた僕だけが知る世界の嘘。敵であるはずの怪物の少女に恋したので、人類を裏切り世界を滅ぼす。

Gaku

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第1部:養成所編

第26話:交差する演習

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七月も終わりの頃、まるで世界が終わるかのように降り続いた雨が、ようやくその重い口を閉ざした。カレンダーの上ではあと数日で八月を迎えようという、そんな日だった。何週間も続いた陰鬱な長雨は、大地をぬかるませ、人々の心にまでじっとりとした湿気とカビ臭さを染み込ませていった。その長い苦行が終わった途端、空は手のひらを返し、今度はまるで積年の恨みを晴らすかのような、獰猛なまでの太陽を地上に解き放った。

地球防衛隊養成所の広大な演習林は、その暴力的なまでの陽光を一身に浴びていた。濡れた土くれから立ち上る陽炎が視界を歪ませ、あらゆる生命が一斉に活動を開始したかのような、むせ返るほどの熱気が満ち満ちていた。深呼吸をすれば、熱せられた空気が肺を直接焼くような感覚さえある。肌にねっとりとまとわりつく湿った空気。長雨の間に降り積もった落ち葉と下草が、この急激な気温の上昇によって一気に発酵を始めたかのような、甘く、そして腐敗に近い匂い。そのすべてを包み込み、支配しているのが、脳髄を直接揺さぶるような蝉の大合唱だった。ジジジジ、と油で揚げるようなアブラゼミの声。ミーン、ミーン、と甲高く空気を切り裂くミンミンゼミの声。それらが幾重にも重なり合い、音の壁となって、思考そのものを麻痺させていく。そのすべてが、生きていることの圧倒的な不快さを主張していた。そしてそれと表裏一体の、どうしようもないほどの素晴らしさをも、同時に訴えかけているようだった。

二年生に進級し、後方支援科に正式配属された宮沢譲にとって、戦場とは、そんな詩的な感慨とはおよそ無縁の場所だった。彼の戦場は、汗と埃にまみれた物資リストの山であり、最大の敵は、連日の湿気によってふやけ、強度を失ってしまった段ボール箱だった。物資集積所の片隅、強い日差しを遮るために張られた褪せた色のタープの下で、譲は積み上げられたコンテナの数を無感動に数えていた。額から流れ落ちた汗が顎を伝い、ぽたり、と手にしたクリップボードの紙の上に落ちて、インクの文字を滲ませた。

「譲! おい、譲! 聞いてるのか!」

背後から聞こえてきたのは、まるで世界の終わりを告げる使者のような、切羽詰まった声だった。乾いた土を踏みしめる慌ただしい足音が、土埃を巻き上げながら急速に近づいてくる。譲は、まるで油の切れたブリキ人形のように、ぎしり、と音を立てそうなほどゆっくりと振り返った。そこに立っていたのは、同じ一般枠から後方支援科へと進んだ同僚、田中誠だった。彼の制服は汗でぐっしょりと濡れて体に張り付き、額には玉というよりは滝のような汗が浮かんでいる。そしてその瞳は、まるでこれから始まる合同演習の標的である擬似怪獣そのものを、生身で目撃してしまったかのように、恐怖と焦燥に見開かれていた。

「どうした田中。お前のその顔は、まるで最終決戦前に、守るべきだったはずのヒロインに『ごめんなさい、私、あなたのこと友達以上に思えないの』と、とどめを刺された主人公のようだぞ」

譲は、目の前の光景の深刻さを少しでも薄めようと、わざと軽薄な口調で応じた。だが、田中の耳にはそんな冗談は届いていないようだった。

「それどころじゃない! 全然それどころじゃないんだ! B班に支給する携帯用の栄養補助食、その在庫が……在庫が72個しかないんだ! だがこの支給リストでは、間違いなく75個のはずなんだ! この誤差3が、このたった3つが、灼熱の演習林で戦う兵士たちの命運を分けることになるかもしれないんだぞ!」

田中は、手にしたクリップボードをわなわなと小刻みに震わせながら、鬼気迫る表情で譲に詰め寄る。その紙の端は、彼自身の汗で少しだけふやけていた。その過剰なまでの責任感は、後方支援を担う者として美徳なのかもしれない。だが、うだるような暑さと単調な作業ですり減っていた今の譲の神経には、蝉の声と同じくらい、ただの騒音でしかなかった。譲は億劫そうに、しかし内心の苛立ちを悟られぬよう、ゆっくりと立ち上がると、田中の汗ばんだ肩をぽん、と軽く叩いた。

「田中、落ち着け。深呼吸しろ。まず、その足りない三つだが、それは昨日、お前が夜食に食ったやつだ」
「なっ!?」
「俺は見た。昨夜、日付が変わる少し前だったか。消灯後の食料保管庫の前で、お前が『今日の俺、マジで頑張ったし。ご褒美、必要だし』とかいう、支離滅裂な意味不明の供述をしながら、恍惚の表情で三本まとめて口の中に突っ込んでいるのを、俺はコンテナの影の暗闇の中から、猫のように瞳孔を開いて、しっかりと見ていた」
「なにっ!? い、いつの間に俺の背後に……!? まるでゴーストじゃないか! いや、それよりも俺はそんなことを……した、か……? した、かもしれない……」
「したんだ。現実から目を背けるな。そして、もう一つ、もっと深刻な問題がある」
「も、もっと深刻な問題だと!?」

すでに顔から血の気を失いかけている田中に、譲は追い打ちをかけるように、顎で集積所の外れを指し示した。そこには、田中が並々ならぬ情熱と責任感を込めて、つい先ほど設置を完了したばかりの、真新しい仮設トイレが数基、整然と並んでいた。

「お前がさっきから誇らしげに設置しているその仮設トイレだが、位置が最悪だ」
「な、何が言いたい! あれはマニュアル通り、風上を避け、なおかつ各部隊からのアクセスも考慮した、完璧な配置のはずだ!」
「甘いな、田中。お前は二次元でしか物事を考えていない」

譲は人差し指をすっと立て、まるで風の動きを読み取るかのように、わずかに揺れる木々の梢に目をやった。肌を撫でる生暖かい風の感触、空気の重さ、そして遠くに見える司令部テントの位置。それらの情報が、彼の頭脳の中で瞬時に統合され、一つの結論を導き出す。

「現在の風速、およそ秒速2.5メートル。風向きは南南西。湿度85パーセント、気温32度。これらの要素から大気の流れを立体的に計算に入れるとだな、あのトイレ内で発生した様々な揮発性有機物の分子、まあ、平たく言えばウンコやションベンの臭気成分……アンモニア、硫化水素、インドール、スカトールといった愉快な仲間たちが、三十分後にちょうど風下に位置する司令部のメインテントに、寸分の狂いもなくダイレクトに到達する確率が、87.4%だ」
「はちじゅうななてんよん……!?」
「そうだ。想像してみろ。作戦開始直前の、最も士気を高めねばならないその瞬間に、司令官の鼻孔を未知との遭遇が襲う光景を。彼の士気は戦闘開始前にクライマックスまでだだ下がりになるぞ。最悪の場合、我々の部隊は『意図的な臭気テロによる作戦妨害』の容疑で、演習後に査問会送りだ。お前が主犯だ」
「な、なんだとぉっ!?」

顔面蒼白になった田中が、この世の終わりのような悲鳴を上げた。彼の脳裏には、鬼の形相で鼻をつまむ司令官と、軍法会議にかけられる自分の姿が、鮮明に映し出されたのだろう。彼は「うおおおおお!」と意味の分からない雄叫びを上げると、脱兎のごとく仮設トイレへと駆け出していった。その慌ただしい背中を見送りながら、譲は深い、本当に深い深いため息をついた。肺の中の淀んだ空気をすべて吐き出すような、長いため息だった。

これが、俺の戦場。

幼馴染の朝倉颯太や橘陽葵が、最新鋭の人型機動兵器『ヴァルキリー』をその身にまとい、人類の希望を背負って、英雄譚の新たな一ページを刻もうとしている、まさにその同じ時間、同じ空の下で。自分は、備品の数とウンコの臭いの拡散予測をしている。

人生とは、かくも思い通りにならないものか。自嘲の笑みが、汗と埃にまみれた顔に浮かんで、すぐに消えた。

後方基地の中央司令室は、外の灼熱地獄とは完全に切り離された別世界だった。巨大な天然の洞窟をくり抜いて作られたその空間は、まるで秘密基地のようで、ひんやりとした空気が肌を撫でる。その薄暗い静寂の中に、壁一面を埋め尽くす巨大なメインスクリーンと、それを取り囲むように配置された無数のサブモニターの青白い光だけが、明滅を繰り返していた。一定のリズムで響く空調設備の低い唸りと、膨大なデータを処理し続けるサーバーラックの冷却ファンの回転音。それらが混じり合い、まるで巨大な生命体の呼吸音のように、空間全体を支配している。キーボードを叩く乾いたタイプ音と、時折交わされる教官たちの緊張をはらんだ低い声だけが、その静寂に小さな波紋を広げていた。

「全部隊、所定の配置完了! 合同演習、コードネーム『サンダーボルト』、これより開始する!」

作戦司令官の厳かな号令が、司令室の張り詰めた空気を震わせた。その言葉を合図に、メインスクリーンに演習林を進む討伐科の精鋭たちの様子が、複数のドローンからの映像でリアルタイムに映し出された。緑深い森の中を進む、色とりどりのヴァルキリー部隊。その中心にいるのは、やはり、彼だった。朝倉颯太。彼の駆る純白のヴァルキリーが、まるで太陽の光そのものを編み込んで作られたかのように、木々の隙間から差し込む木漏れ日の中で、神々しいまでに煌めいている。モニター越しですら伝わってくる、圧倒的な存在感と、彼が放つスター性のようなもの。彼が右腕に装備された高出力エネルギーライフルを構え、その銃口から放たれた閃光が、擬似怪獣の分厚い装甲を寸分の狂いもなく貫くたびに、司令室のあちこちから「おおっ」という、抑えきれない感嘆の声が漏れた。

そして、その純白の機体に寄り添うように、影のように舞う青い機体。橘陽葵の操るヴァルキリーだ。彼女の動きは、力で押し切る颯太とは対照的に、まるで氷上を舞う孤高のバレリーナのようだった。敵の猛攻を、最小限の、ほとんど見えないほどの繊細な動きでいなし、その攻撃エネルギーすらも利用して、より強力な反撃に転じる。力と技。光と影。颯太と陽葵の連携は、もはや戦闘という領域を超え、一つの完成された芸術の域にまで達していた。

その姿は、何度見ても、胸が締め付けられるほどに眩しかった。憧れ。焦がれるほどの気持ち。しかし、その光が強ければ強いほど、己の影の濃さを、惨めさを、どうしようもなく思い知らされる。醜い嫉妬。二つの相反する感情が、譲の腹の底で、どろりとした、熱い液体のように混じり合い、渦を巻いていた。自分も、あそこにいたはずだったのに。いや、いるべきだったのに。そんな、叶わぬもしもが、思考の片隅で亡霊のように囁き続ける。

「順調そのものだな。さすがは『アース』の諸君だ」

最前列に座るベテラン教官の一人が、組んだ腕をほどき、満足げに頷きながら呟いた。彼の言葉に、周囲にいた他の教官たちも同意するように、スクリーンに映る若き英雄たちの華々しい活躍に目を細めている。司令室は、演習の成功を確信したかのような、穏やかで和やかな空気に包まれ始めていた。

だが、その空気の中にあって、譲だけが、スクリーンに洪水のように流れ込んでくる膨大な情報に、言いようのない、肌が粟立つような違和感を覚えていた。

地形データ。気象情報。そして、擬似怪獣の侵攻予測ルート。画面の隅に表示されるそれらの数値やグラフ、その全てが、あまりにも綺麗に、まるで数学の公式のように、教科書通りに噛み合いすぎている。まるで、出来の悪い芝居の脚本を、優秀な役者たちがただひたすら忠実になぞっているだけのような、薄っぺらな既視感。命のやり取りをしているはずの戦闘の映像から、生々しい手触りが完全に抜け落ちている。

(おかしい。何かが、おかしい)

譲の脳裏に、数週間前に自分が不眠不休でその解析に没頭した、あの忌まわしい事件――「ゴースト・イン・ザ・マシン」のデータが、鮮明に蘇る。あの時の、本物の怪物の動きは、もっと狡猾で、混沌としていて、人間の常識や戦術の裏をかく、予測不能なものだった。敵のAIが、我々の過去の戦闘データを学習し、驚異的な速度で進化していた、あの戦慄すべき事実。それに比べて、今の擬似怪獣の動きは、どうだ。あまりにも単調で、愚直すぎる。まるで、こちらの攻撃を待っているかのようにさえ見える。

これは、戦いなどではない。

まるで、誰かが意図的に「そう動くように」プログラムした駒を、颯太たちがただ倒していくだけの、壮大な茶番劇。この演習の本当の目的は、次世代の英雄である『アース』たちの圧倒的な強さを内外にアピールするための、壮大なプロパガンダなのではないか?

そこまで考えた時、譲の背筋をぞっとするような、冷たい悪寒が駆け抜けた。もし、そうだとしたら。もし、この完璧に管理され、演出された舞台の外側で、脚本に書かれていない、本物の役者が牙を研いでいるとしたら? その役者は、この上辺だけのショーを、絶好の機会だと考えているのではないか?

彼の指が、まるでそれ自身の意志を持ったかのように、後方支援科のオペレーター用に割り当てられたコンソールのキーボードを、凄まじい速度で叩き始めた。カチャカチャカチャ、とけたたましいタイピング音が、静かな司令室の一角に響く。しかし、周囲の喧騒と興奮は、もはや彼の耳には届いていない。彼の意識は、目の前のデータという、広大で深遠な宇宙の深淵へと、深く、深く潜っていった。

呼び出すのは、過去十年間にこの演習エリア一帯で観測された、全ての怪物の討伐データ。出現位置、侵攻ルート、行動パターン、そして、討伐されるまでの詳細な記録。その膨大なデータを、現在の演習エリアの詳細な三次元地形データと、刻一刻と変化するリアルタイムの気象情報を重ね合わせる。そして、そこに最後の、そして最も重要な変数として――「怪物の戦術的学習能力」という、この演習シナリオの作成者が誰一人として考慮に入れていないであろう、禁断のパラメータを付け加える。

譲の脳内で、無数の情報が衝突し、目に見えない火花を散らし、新たな意味を持ったパターンとして再構築されていく。彼の瞳には、モニターに映し出される無数の文字列と数字の羅列が、もはや立体的な戦場のジオラマとして見えていた。

数分後。それは、永遠にも感じられるほどの、濃密な時間だった。彼の目の前のモニターに、一つの答えが、まるで傷口から噴き出す血のように、鮮烈な赤色で点滅しながら浮かび上がった。

警告。警告。異常侵攻ルート予測。

演習エリアの北西、二十年以上前に放棄され、老朽化のために立ち入りが禁止され、今では地図の上ですら忘れ去られようとしている、旧第三ダム。そこが、もし「ゴースト・イン・ザ・マシン」と同等、あるいはそれ以上の学習能力を持った本物の怪物が、この演習の防衛網の隙を突いて侵攻してきた場合、最も効率的で、発見されにくく、かつ最も司令部に奇襲をかけやすいルートとして、無慈悲な警告を発していた。

譲は、椅子が床に擦れる甲高い音を立てながら、弾かれたように立ち上がった。心臓が、ドクン、ドクンと、警鐘のように激しく胸を打ちつけている。口の中が、からからに乾いていた。

「教官!」

彼の、叫びにも似た声が、和やかだった司令室の穏やかな空気を、鋭利な刃物のように切り裂いた。音楽が止まったかのように、全てのざわめきが消え失せ、全ての視線が、血相を変えて立ち上がった、ただ一人の一般枠の学生に、訝しげに突き刺さる。

「演習シナリオの即時再確認を! 北西ルート、旧第三ダム方面に、本物の怪物が侵入する可能性があります! 私のシミュレーションでは、確率、63%!」

最前列に座っていたベテラン教官は、その言葉に眉一つ動かさなかった。彼はゆっくりと、まるで出来の悪い生徒を見るかのように、迷惑そうに譲を一瞥した。その深い皺の刻まれた瞳には、憐憫と、侮蔑と、そして揺るぎない、明確な拒絶の色が浮かんでいた。

「宮沢。貴様のその異常なまでの分析能力は評価している。レポートもいつも見事だ。だが、それはあくまで机の上での話だ。この演習は、我々、長年の経験を持つベテランスタッフが、あらゆる可能性を考慮して練り上げた、完璧なシナリオに則って行われている。素人の、それも根拠の薄い憶測で、神聖な演習に水を差すような真似はするな。持ち場に戻れ」

その言葉は、まるで氷のように冷たく、絶対的だった。アースではない、ただの一般枠の学生。その意見が、輝かしい実績と揺るぎないプライドを持つ教官たちの前で、どれほど無価値で、取るに足らないものであるか。譲は、その冷徹な事実を、骨の髄まで思い知らされた。反論しようと開いた口からは、ただ、かひゅ、という乾いた空気が漏れるだけだった。全身から力が抜けていく。

その、直後だった。

ウウウウウウウウーーーーーンッ!

けたたましい、耳をつんざくような警報音が、司令室の壁を、床を、そしてその場にいた全員の鼓膜を、容赦なく切り裂いた。天井に設置されたいくつもの警告灯が、血のような赤い光を放ちながら激しく回転し、オペレーターたちの顔を悪夢のように照らし出す。

メインスクリーンに、警告を示す「WARNING」の巨大な赤文字が、まるで瀕死の心臓の鼓動のように、激しく明滅する。そして、画面が切り替わった。北西ルート、旧第三ダム方面の警戒を担当していた斥候班の一人、そのヘルメットカメラの映像だった。激しく揺れる画面。乱れる呼吸音。木々の間を、何かから逃げるように疾走している。そして、若い兵士が何かに気づいてハッと振り向いた、その一瞬。森の木々を、まるで小枝のようにへし折りながら迫りくる、巨大で、黒々とした影を映し出した。次の瞬間、カメラが地面に叩きつけられたような激しい衝撃音と共に、画面は激しいノイズの渦に飲み込まれ、不気味な砂嵐へと変わった。そして、完全に途絶した。

一瞬の、死そのもののような静寂が、警報の止んだ司令室を支配する。誰もが息をすることを忘れ、呆然と暗転したスクリーンを見つめていた。

やがて、そのノイズの向こうから、かろうじて聞こえてきたのは。

「ぐ、あ……ぁ……た、すけ……」

若い兵士の、恐怖と絶望に引きつった、断末魔の叫びと――。

グルオオオオオオオオオオオオォォォッッ!!!

擬似怪物の電子合成音などとは、比較にすらならない。大地を揺るがし、腹の底から湧き上がってくるような、おぞましく、そして純粋な飢えに満ちた、生命の咆哮だった。その音圧は、司令室の分厚い防弾ガラスさえもビリビリと震わせ、その場にいた全員の背筋を、根源的な恐怖で凍りつかせた。
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