無能と蔑まれた僕だけが知る世界の嘘。敵であるはずの怪物の少女に恋したので、人類を裏切り世界を滅ぼす。

Gaku

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第1部:養成所編

第28話:影の司令塔

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空気が、まるで鉛のように重かった。
司令室の内部は、半ば機能を停止した照明と無数のコンソールが放つ青白い光に照らされていた。断続的に明滅を繰り返す赤色の警告灯が、不気味なまだら模様を投げかけている。壁に埋め込まれた換気扇はとうの昔に止まっており、淀んだ空気には焼けた電子部品の匂いと、人いきれの熱、そして拭い去ることのできない鉄錆のような血の匂いが混じり合っていた。冷たい金属の床は、一歩踏み出すごとに、重々しい反響音で静寂を切り裂く。外の世界で繰り広げられている地獄を証明するかのように、分厚い防爆壁を通して、くぐもった爆発音と地を揺るがす振動が、絶え間なく、まるで巨大な心臓の鼓動のように響き渡っていた。

その司令室の中央、巨大なメインスクリーンと対峙するように設置された一際複雑なコンソールに、一人の青年が座っていた。宮沢譲。彼の背中は、まるでコンソールと一体化したかのように微動だにしない。ただ、その瞳だけが、常人では目で追うことすら不可能な速度で流れ続ける情報の奔流を、恐ろしいほどの集中力で捉えていた。画面には、夥しい数のウィンドウが重なり合い、その一つ一つが戦場の断片的な情報をリアルタイムで更新し続けている。友軍の位置情報、バイタルサイン、残弾数。敵性存在の予測移動ルート、エネルギー反応、そして味方が次々と消失していくことを示す、無慈悲な赤い×印。それらが複雑怪奇なタペストリーのように織りなす光景は、もはや混沌そのものだった。

その背後、数歩離れた位置に、仁王立ちの男がいた。この基地の訓練教官の一人であり、幾多の戦場を生き抜いてきたベテランの軍人だ。彼の顔は、怒りと焦燥、そして目の前の信じがたい光景への困惑によって、苦々しく歪んでいた。床に落ちた自分の影が、警告灯の明滅に合わせて不気味に伸び縮みする。彼はこめかみに青筋を浮かべ、喉の奥から絞り出すように、切迫した声を張り上げた。
「宮沢! 貴様、何をしている! そこは貴様のような学生が座っていい席ではない! 今すぐそこをどけ! 軍規違反だぞ!」

その声は、重く淀んだ司令室の空気を激しく震わせた。壁に跳ね返った音の残響が、耳障りなノイズとなって空間に充満する。しかし、背中に突き刺さる怒声は、もはや譲の耳にはノイズとしてすら届いていなかった。彼の意識は、現実世界の物理的な音響など遥かに超越した、情報の次元へと深く、深く潜行していた。彼の瞳は、目の前のコンソールに映し出される、無数のウィンドウ、明滅する警告、そして絶え間なく流れ続ける情報の奔流だけを捉えている。まるで、この世の全ての混沌を、その小さな網膜の中に凝縮したかのように。彼の世界には、もはや教官の声も、背後の気配も、司令室の重苦しい空気すらも存在しなかった。あるのはただ、膨大なデータと、そこから導き出される、冷徹な真実のみ。

彼は一切振り返らない。指はキーボードの上で静止したままだ。ただ、静かに、しかし地を這うような揺るぎない声で言った。その声は、怒声が響き渡った直後の静寂の中に、まるで冷たい水滴が水面に落ちるかのように、はっきりと、そして深く染み渡った。
「今、この瞬間、この戦場で、全ての要素を最も正しく把握しているのは、僕です」

その声には、普段の彼が浮かべる皮肉の色も、諦観の色もなかった。感情というフィルターが一切取り払われた、純粋な事実の羅列。ただ、絶対的な真実だけが、そこにあった。彼の横顔を、コンソールのモニターが放つ無機質な青白い光が照らし出す。その光の中で、彼の瞳はまるで深淵を覗き込むかのように、どこまでも昏く、静かに燃えていた。

譲は、ゆっくりと、しかし一度も視線をコンソールから外すことなく、言葉を続ける。その声は先ほどよりもさらに低く、部屋の床を、壁を、そして教官の足元から這い上がってくるかのように響いた。
「邪魔をするなら、あなたも僕の敵と見なします。黙って、見ていてください」

その凄まじいまでの気迫。歴戦の勇士であるはずのベテラン教官は、まるで巨大な怪物に睨みつけられたかのように、思わず言葉を失った。背筋を冷たい汗が流れ落ちるのを感じる。目の前にいるのは、ただの学生のはずだ。それも、戦闘能力で劣る一般枠の、線の細い青年。だというのに、今この瞬間、彼が放つプレッシャーは、かつて戦場で対峙したいかなる恐ろしい敵よりも、重く、鋭く、そして絶対的だった。一介の、それも一般枠の学生が放つには、あまりにも異質で、あまりにも強大なオーラだった。教官は、何かを言おうと口を開きかけたが、結局、乾いた喉からは何の音も発することはできず、ただゴクリと唾を飲み込むことしかできなかった。彼の足元の金属の床が、遠くの爆発に呼応して、微かに、しかし確かに震えていた。

その静寂を破ったのは、譲の指が生み出す音だった。

彼の指が、まるで狂気に取り憑かれたピアニストのように、コンソールの上を舞い始めたのだ。カタカタカタ、と乾いた、しかし規則的で恐ろしいほどに正確なタイプ音が、静まり返った司令室に響き渡った。それは最初は静かな雨だれのようだったが、瞬く間に激しい雹を思わせる轟音へと変わっていった。画面上のウィンドウが、彼の意思を反映して目まぐるしく開き、閉じ、データが再構築されていく。麻痺した司令部の指揮系統を示す赤いアラートが、彼の指の動きに合わせて次々と緑の正常表示へと書き換えられていく。彼は、絶望的な戦況と上層部の混乱によって完全に断絶し、死に体となっていた指揮系統のケーブルを、その根元から力ずくで引きちぎった。そして、そこに全く新しい、彼自身を中心とした神経網を、瞬時に構築し始めたのだ。

彼は、前線で戦う全部隊のインカムに、最高権限で直接割り込んだ。システムに強制介入する甲高い電子音が、彼の耳元で鳴り響く。
『プライマリ・コマンド・チャンネル、オーバーライドを確認。アクセス権限、レベルS。接続します』
無機質な合成音声が、接続の完了を告げる。

その瞬間、譲の聴覚は、地獄の最前線へと直結された。
地獄と化した戦場の、炸裂音と悲鳴と、そして死の恐怖が飽和したノイズの奔流が、彼のヘッドセットから直接脳髄へと叩きつけられる。プラズマ兵器が空気を引き裂く甲高い飛翔音。着弾の瞬間に全てを飲み込む轟音。金属が捻じ切れ、コンクリートが砕け散る破壊音。そして、その合間を縫うように聞こえてくる、兵士たちの荒い呼吸、苦痛に満ちた呻き声、断末魔の絶叫。誰もが予想しなかった、静かで、冷たく、しかし恐ろしいほどに明瞭な声が、その混沌のノイズの向こうから響き渡った。
『こちら後方基地、宮沢だ。これより、全部隊の戦術指揮を暫定的に引き継ぐ』

その声は、戦場のあらゆる音にかき消されてしまいそうなほど静かだった。しかし、その静けさ故に、異常なまでに耳についた。熱狂も、焦りも、恐怖も、一切含まれていない、絶対零度の声。戦場の熱に浮かされた兵士たちの耳には、それがまるで別世界の、神か悪魔の宣託のように聞こえた。

一瞬の沈黙。ノイズだけが支配する時間。
やがて、その静寂を破って、侮蔑と嘲笑に満ちた声がインカムに響いた。
「はあ!? 一般枠のお前が何を言ってるんだ! 頭でも湧いたか! 遊びじゃねえんだぞ!」
インカムの向こうで、誰かが嘲笑う。それに同調するかのように、いくつかの罵声が続いた。だが、譲の声は一切揺らがなかった。彼の脳内では、戦場の全ての要素が、恐ろしいほどの解像度で再構築されていた。兵士一人一人の位置、装備、心理状態。敵の配置、行動パターン、そして、彼我の戦力差という絶望的な現実。それら全てが、巨大な三次元のチェス盤のように、彼の頭の中に完璧な形で展開されていた。彼は、そのチェス盤を冷徹に見下ろしながら、次の一手を告げる。

『B班、聞いているか』
彼の声は、名指しされた部隊のインカムにだけ、よりクリアに届くように調整されていた。
『即座に3時の方向へ50メートル後退しろ。そこは、お前たちを囲む敵の包囲網における唯一の死角だ。時間は3秒。3、2、1……今だ!』
その声には、有無を言わせぬ絶対的な確信があった。命令ではなく、予言。疑問を差し挟む余地すら与えない、冷厳な事実の宣告だった。

B班のリーダーは、崩れたビルの瓦礫の陰に身を潜めながら、インカムから響く声に一瞬の逡巡を覚えた。後方基地の、それも一般枠の学生だと? こんな土壇場で何をふざけたことを。彼のすぐ側で、敵のプラズマ弾が炸裂し、熱風と衝撃波が全身を叩きのめす。耳鳴りが酷い。しかし、声は続く。有無を言わせぬカウントダウンが。3、2、1……。彼の脳裏に、選択肢はなかった。このままここにいても嬲り殺されるだけだ。ならば、この正体不明の声に賭けてみるしかない。それは、理性的な判断というよりも、ほとんど動物的な勘だった。
「総員、後退! 3時の方向へ走れ!」
リーダーの絶叫にも似た命令に、部下たちは半信半疑のまま、それでも必死に瓦礫の山を駆け下り、指示された方向へと雪崩れ込んだ。ブーツが砕けたアスファルトを蹴る乾いた音、装備がぶつかり合う金属音、そして必死の呼吸音だけが、彼らの存在を証明していた。

彼らが今までいた場所を、まるで巨大な神の指が薙ぎ払ったかのように、怪物の主力級が放った極太のプラズマ砲が着弾し、大地を抉り、全てを蒸発させたのは、そのコンマ数秒後のことだった。轟音と閃光。彼らが隠れていた瓦礫のビルは、跡形もなく消し飛んだ。もし後退が1秒でも遅れていたら、B班は文字通り、この世から「蒸発」していただろう。遅れてやってきた衝撃波に背中を押されながら、地面に伏せた兵士たちは、自分たちが今しがたまでいた場所が巨大なクレーターに変わっているのを目の当たりにして、言葉を失った。絶望的な状況から、命を拾ったのだ。インカムの向こうで、誰かが息を呑む音が、やけにはっきりと聞こえた。

嘲笑は、畏怖へと変わる。
戦場を覆っていた疑念と反発の空気が、まるで潮が引くように、急速に静まり返っていく。代わりに、その静寂を満たしたのは、得体の知れない声の主に対する、戦慄にも似た感情だった。

譲の指は止まらない。彼の思考は、B班の成功を確認する間もなく、次の盤面へと移行している。彼の脳内にある戦場のチェス盤で、無数の駒が同時に動き出す。
『陽葵、聞こえるか』
彼の声は、今度は負傷した一人の女性エージェントに届く。
『損傷した左腕はもう動かすな。神経接続が切れている。ただの重りだ。だが、それが最高の囮になる』
陽葵と呼ばれたエージェントは、遮蔽物の陰で荒い息をつきながら、動かなくなった自身の左腕を忌々しげに見つめていた。装甲がひしゃげ、中から火花が散っている。痛みはないが、感覚も、ない。譲の声は、その絶望的な状況を、まるで他人事のように淡々と分析する。
『敵は必ずそこを狙ってくる。弱っている個体から排除するのが奴らのセオリーだ。お前が遮蔽物から腕だけを晒せ。敵の照準がそこへ集中する。その0.5秒の隙を、颯太は見逃すな』
すぐ近くの建物の屋上で、スナイパーライフルのスコープを覗いていた颯太が、その声にハッと息を呑んだ。陽葵が囮になる。そのコンマ5秒の間に、自分が敵の弱点を撃ち抜く。それは、あまりにも非情で、しかし、この上なく合理的な作戦だった。インカム越しに、陽葵の決意に満ちた短い返事が聞こえる。「了解」。

『剛さん、あなたの部隊は孤立している。だが、それは敵を引きつける最高の釣り餌だということだ』
次に声がかかったのは、前線で最も激しい抵抗を続けていた部隊の長、赤城剛だった。彼は、部下を守るように巨大なシールドを構え、押し寄せる敵の波を鬼神の如き形相で食い止めていた。だが、それも限界に近かった。弾薬は底をつき、部隊は完全に包囲されている。
「黙ってろクソガキが!」
剛は最初、そう怒鳴り返した。だが、B班が壊滅を免れたという報告は、彼の耳にも入っていた。何より、彼の長年の戦場で培われた野生の勘が、このインカムから聞こえる声の主は、本物だと告げていた。渋々ながら、彼は次の言葉に耳を傾けざるを得なかった。
『今から言う座標に、全火力を集中させろ。敵の足元が崩れる。お前の馬鹿力なら、できるはずだ』
譲が告げた座標は、敵の集団の、僅かに前。何もない空間だった。しかし、剛は一瞬の迷いの後、部下に叫んだ。「言われた通りにしろ! あの座標にありったけぶち込め!」。半信半疑の部下たちが、最後の弾薬をその一点に叩き込む。着弾の瞬間、何も起こらなかったかに見えた。しかし、その直後。彼らが立っていた地面、老朽化した地下インフラの上部構造が、集中砲火の衝撃に耐えきれず、大規模な陥没を引き起こしたのだ。敵の先頭集団が、巨大な蟻地獄に吸い込まれるように、悲鳴を上げる間もなく奈落の底へと消えていく。包囲網に、巨大な穴が空いた。

最初は「雑魚が何を」と反発していた前線の兵士たちが、一人、また一人と、その声の的確さに気づき始める。彼の指示通りに動くと、まるで霧が晴れるように、死地だと思っていた場所に活路が見えてくるのだ。絶望的な消耗戦を強いられていたはずの戦場が、全く違う顔を見せ始めていた。

バラバラに動き、ただ目の前の恐怖に反応するだけだった兵士たちが、譲という情報ハブを介して、互いの動きを予測し、補い合い始める。陽葵が作った隙を颯太が突き、剛が開けた突破口から別の部隊が離脱する。それは、誰かが命令したからではない。それぞれが、その指示こそが最も合理的で、生き残るための最善手だと、自らの経験と本能で判断した結果だった。まるで、リーダーのいない鳥の群れが、一羽の動きに呼応して美しい編隊を組むように。混沌と絶望が支配していた戦場に、新たな秩序が自律的に生まれていく。

後方基地の司令室。譲の指の動きは、依然として止まらない。彼の額には玉の汗が浮かび、呼吸は浅く、速くなっている。膨大な情報の並列処理は、彼の脳に凄まじい負荷をかけていた。だが、彼の瞳の光は、衰えるどころか、ますますその輝きを増していた。パズルのピースが、一つ、また一つと嵌っていく。戦場からリアルタイムで送られてくる、ありとあらゆる情報。大気の成分、温度、湿度、電磁波のノイズ、そして音。

そしてついに、譲は全ての情報のピースを繋ぎ合わせ、この混沌の本質、苦しみの根源を見抜いた。
怪物の群れは、一見すると無秩序な烏合の衆に見えて、その実、極めて高度で完璧な連携を保っている。なぜだ? 視覚か? 嗅覚か? 違う。その答えは、音にあった。人間には聞こえない、特殊な超音波。譲は、全兵士のヘルメットに搭載された環境センサーの膨大なログデータを全て統合し、ノイズの中から特定の周波数パターンを抽出し、その相関関係を解析したのだ。リーダー格である中央の一個体が、その超音波によって、群れ全体を指揮している。彼は、その超音波の発信パターンと、無数のセンサーからの受信時間差を計算することで、発信源の位置を、寸分の狂いもなく特定したのだ。彼の脳内の三次元チェス盤の上に、敵の「キング」の位置を示す、赤い光点が灯った。

勝利への道筋が、見えた。

『玲奈さん! 聞こえるか!』
譲の声が、静かに戦況を見つめていた神楽院玲奈のインカムに響く。彼女だけが、この混沌の戦場で、ただ一人、パニックに陥ることなく、譲の指示の一つ一つが持つ戦術的な意図を冷静に分析し、理解しようと努めていた。彼女は、この声の主が、戦場全体を神の視点から見下ろしていることに、誰よりも早く気づいていた。

玲奈は、崩れた高速道路の橋桁の上から、眼下に広がる戦場を見下ろしていた。吹き付ける風が彼女の髪を揺らし、遠くの炎が彼女の横顔を赤く照らしている。彼女の周囲だけが、まるで嵐の目のような静けさに包まれていた。彼女は、譲の声が自分だけに向けられたことを感じ取り、静かにインカムに応答する。
「聞こえているわ、宮沢君」

譲の声には、初めて微かな熱が宿っていた。それは焦りや興奮ではない。勝利への確信からくる、冷たい熱だった。
『敵の司令塔は、中央の一個体だけだ。奴の感覚器官を、あなたの能力で一時的に破壊できるか!』

それは、問いかけの形をとった、絶対的な要求だった。
それは、勝利への、唯一の道筋だった。
絶望という名の迷宮から抜け出すための、たった一つの出口だった。

玲奈の瞳が、譲が告げた座標、敵のキングが潜む闇の奥を、真っ直ぐに見据えた。風が、一層強く吹き抜けていく。彼女の唇の端に、微かな笑みが浮かんだ。それは、この不可能なミッションを託されたことへの、歓喜の笑みだった。
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