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第五章:帝都結界と孤高の天才
第34話:天才の焦りと砕け散る自信
北の霊山、山頂にある磐座(いわくら)。 霧はさらに濃さを増し、視界は乳白色の世界に閉ざされていた。 その中心で、藤原紫苑はただ一人、祝詞(のりと)を奏上していた。
「――掛けまくも畏き、天地(あめつち)の神霊(みたま)。此処に集いて、禍事(まがごと)を祓い清めたまえ」
彼女の声は、冷たく透き通った鈴の音のように響く。 一分の隙もない、完璧な発声。完璧な所作。 彼女が振るう笏(しゃく)に合わせて、周囲に展開された無数の式神たちが、幾何学的な光のラインを描いて結界を編み上げていく。
それは、芸術的なまでに美しい儀式だった。 だが、その完璧な儀式の裏で、紫苑の内心は、泥のように重く沈殿していた焦燥感に支配されていた。
(急がなければ)
額に冷たい汗が滲む。 陰陽寮からの催促。藤原家当主である父からの、期待という名の重圧。 『次期当主たる者、これしきの異変、単独で鎮めて当然』 その無言の圧力が、彼女の細い首を真綿で絞めるように締め付けていた。
先ほど現れた、薄汚れた野良犬たちの言葉が脳裏をよぎる。 ――『蓋をするだけじゃ意味がない』 ――『内側から捻じれてる』
「……不愉快な」
紫苑は吐き捨てるように呟き、その思考を振り払った。 素人に何が分かる。彼らは表面的な現象しか見ていない。 私は、藤原家の秘伝書にある通り、最も格式高く、最も強力な封印術式を行使している。 この術式に間違いなどない。歴史がそれを証明している。 「私が間違えるはずがないのです。……私は、藤原紫苑なのだから」
それは、自分自身への呪いのような言葉だった。 彼女は霊力を一気に高めた。 山全体の霊脈を強制的に掌握し、その膨大なエネルギーを一点に凝縮して、結界の綻びへと叩き込む。 強引な手法だが、これならば確実に、どんな亀裂も瞬時に塞ぐことができる。
「急々如律令! 『天蓋封殺(てんがいふうさつ)・絶』!」
紫苑の叫びと共に、目も眩むような純白の光の柱が天へと突き抜けた。 光は物理的な質量を持って綻びを押し潰し、強固な霊的障壁となって蓋をする。 空間の振動が止まった。 霧が晴れていく。
「……終わった」
紫苑は小さく息を吐いた。 完璧だ。微塵の揺らぎもない、完全な封印。 これでまた、自分の評価は保たれた。藤原家の顔に泥を塗らずに済んだ。
安堵が胸に広がりかけた、その時だった。
ドォォォォン……。
地響きがした。 空からでも、足元の地面からでもない。 もっと深く、大地の内臓がねじ切れるような、不快で重苦しい振動。
「……な、に?」
紫苑が目を見開く。 彼女が展開した完璧な結界の表面に、ピキリ、と亀裂が走った。 外からの攻撃ではない。 内側からだ。 彼女が無理やり蓋をしたその内側で、逃げ場を失った膨大なエネルギーが暴れ狂っている。
それは、帝都の地下水道でりくたちが杭を破壊したことで発生した、霊的逆流(ウォーターハンマー)。 本来なら自然に散るはずだったその衝撃波は、紫苑が「完璧に」出口を塞いでしまったことで、密閉された圧力鍋の中で爆発的に膨張していた。
「まさか、霊脈が……逆流している? そんな、馬鹿な!」
紫苑の顔色が蒼白になる。 計算外だ。教科書には載っていない。こんな現象は、前例がない。 亀裂が蜘蛛の巣のように広がる。 白い光の壁が、どす黒く変色していく。
「やめろ……止まれ……ッ!」
紫苑は笏を構え直すが、指が震えて力が上手く入らない。 自分の作った「蓋」が、今や巨大な爆弾の殻になっていることに、彼女はようやく気づいた。 あいつの言った通りだった。 『圧力が逃げ場を失って爆発するぞ』
「あ、ああ……」
臨界点を超えた。
カッッッ!!!
音が消えた。 視界が白一色に染まり、次の瞬間、世界が裏返ったような衝撃が山頂を吹き飛ばした。
紫苑の体は木の葉のように吹き飛ばされ、数メートル後方の岩肌に叩きつけられた。 「がはっ……!」 肺から空気が強制的に排出される。 耳鳴りが止まない。視界が揺れる。 這いつくばりながら顔を上げると、そこには信じられない光景が広がっていた。
磐座があった場所には、巨大なクレーターが穿たれていた。 そして、その底から――本来なら結界で守られるべき聖域から――タールのような黒い瘴気が、噴水のように天高く噴き上げていた。
ギャアアアアアアアアアッ!!
耳をつんざく絶叫。 瘴気の奔流に乗って、無数の異形の影が這い出してくる。 一つ目の鬼、鎌鼬(かまいたち)、腐った肉塊のような名もなき妖魔たち。 結界という檻を失い、飢えた獣たちが雪崩のように帝都側の斜面へと駆け下りていく。
「嘘……だ……」
紫苑は震える手で口元を覆った。 守るはずだった。 完璧に、誰の手も借りずに、華麗に解決するはずだった。
それが、どうだ。 自分が蓋をしたせいで、爆発を招いた。 自分が、この扉を開けてしまった。 これは災害ではない。人災だ。私が引き起こした、大惨事だ。
「私が……やったの……?」
下山していく妖魔の群れ。その先には、無防備な帝都の街並みがある。 人々が逃げ惑い、炎に包まれる光景が、ありありと脳裏に浮かんだ。 そのすべての原因は、自分の愚かなプライド。
「あ、あぁ……あぁぁぁ……」
紫苑の喉から、言葉にならない嗚咽が漏れた。 笏が手から滑り落ち、カランと乾いた音を立てる。 天才陰陽師。次期当主。 そんな虚飾の称号は、黒い瘴気の中に脆くも崩れ去った。
残されたのは、ただ自分の無力さと罪の重さに押し潰され、立ち上がることもできない、一人の震える少女だけだった。
「誰か……誰か……」
助けて、という言葉すら、彼女の喉からは出なかった。 そんな資格は、自分にはないと思ったから。
帝都の方角から、非常事態を告げる半鐘の音が、遠く、寂しく響き始めていた。
「――掛けまくも畏き、天地(あめつち)の神霊(みたま)。此処に集いて、禍事(まがごと)を祓い清めたまえ」
彼女の声は、冷たく透き通った鈴の音のように響く。 一分の隙もない、完璧な発声。完璧な所作。 彼女が振るう笏(しゃく)に合わせて、周囲に展開された無数の式神たちが、幾何学的な光のラインを描いて結界を編み上げていく。
それは、芸術的なまでに美しい儀式だった。 だが、その完璧な儀式の裏で、紫苑の内心は、泥のように重く沈殿していた焦燥感に支配されていた。
(急がなければ)
額に冷たい汗が滲む。 陰陽寮からの催促。藤原家当主である父からの、期待という名の重圧。 『次期当主たる者、これしきの異変、単独で鎮めて当然』 その無言の圧力が、彼女の細い首を真綿で絞めるように締め付けていた。
先ほど現れた、薄汚れた野良犬たちの言葉が脳裏をよぎる。 ――『蓋をするだけじゃ意味がない』 ――『内側から捻じれてる』
「……不愉快な」
紫苑は吐き捨てるように呟き、その思考を振り払った。 素人に何が分かる。彼らは表面的な現象しか見ていない。 私は、藤原家の秘伝書にある通り、最も格式高く、最も強力な封印術式を行使している。 この術式に間違いなどない。歴史がそれを証明している。 「私が間違えるはずがないのです。……私は、藤原紫苑なのだから」
それは、自分自身への呪いのような言葉だった。 彼女は霊力を一気に高めた。 山全体の霊脈を強制的に掌握し、その膨大なエネルギーを一点に凝縮して、結界の綻びへと叩き込む。 強引な手法だが、これならば確実に、どんな亀裂も瞬時に塞ぐことができる。
「急々如律令! 『天蓋封殺(てんがいふうさつ)・絶』!」
紫苑の叫びと共に、目も眩むような純白の光の柱が天へと突き抜けた。 光は物理的な質量を持って綻びを押し潰し、強固な霊的障壁となって蓋をする。 空間の振動が止まった。 霧が晴れていく。
「……終わった」
紫苑は小さく息を吐いた。 完璧だ。微塵の揺らぎもない、完全な封印。 これでまた、自分の評価は保たれた。藤原家の顔に泥を塗らずに済んだ。
安堵が胸に広がりかけた、その時だった。
ドォォォォン……。
地響きがした。 空からでも、足元の地面からでもない。 もっと深く、大地の内臓がねじ切れるような、不快で重苦しい振動。
「……な、に?」
紫苑が目を見開く。 彼女が展開した完璧な結界の表面に、ピキリ、と亀裂が走った。 外からの攻撃ではない。 内側からだ。 彼女が無理やり蓋をしたその内側で、逃げ場を失った膨大なエネルギーが暴れ狂っている。
それは、帝都の地下水道でりくたちが杭を破壊したことで発生した、霊的逆流(ウォーターハンマー)。 本来なら自然に散るはずだったその衝撃波は、紫苑が「完璧に」出口を塞いでしまったことで、密閉された圧力鍋の中で爆発的に膨張していた。
「まさか、霊脈が……逆流している? そんな、馬鹿な!」
紫苑の顔色が蒼白になる。 計算外だ。教科書には載っていない。こんな現象は、前例がない。 亀裂が蜘蛛の巣のように広がる。 白い光の壁が、どす黒く変色していく。
「やめろ……止まれ……ッ!」
紫苑は笏を構え直すが、指が震えて力が上手く入らない。 自分の作った「蓋」が、今や巨大な爆弾の殻になっていることに、彼女はようやく気づいた。 あいつの言った通りだった。 『圧力が逃げ場を失って爆発するぞ』
「あ、ああ……」
臨界点を超えた。
カッッッ!!!
音が消えた。 視界が白一色に染まり、次の瞬間、世界が裏返ったような衝撃が山頂を吹き飛ばした。
紫苑の体は木の葉のように吹き飛ばされ、数メートル後方の岩肌に叩きつけられた。 「がはっ……!」 肺から空気が強制的に排出される。 耳鳴りが止まない。視界が揺れる。 這いつくばりながら顔を上げると、そこには信じられない光景が広がっていた。
磐座があった場所には、巨大なクレーターが穿たれていた。 そして、その底から――本来なら結界で守られるべき聖域から――タールのような黒い瘴気が、噴水のように天高く噴き上げていた。
ギャアアアアアアアアアッ!!
耳をつんざく絶叫。 瘴気の奔流に乗って、無数の異形の影が這い出してくる。 一つ目の鬼、鎌鼬(かまいたち)、腐った肉塊のような名もなき妖魔たち。 結界という檻を失い、飢えた獣たちが雪崩のように帝都側の斜面へと駆け下りていく。
「嘘……だ……」
紫苑は震える手で口元を覆った。 守るはずだった。 完璧に、誰の手も借りずに、華麗に解決するはずだった。
それが、どうだ。 自分が蓋をしたせいで、爆発を招いた。 自分が、この扉を開けてしまった。 これは災害ではない。人災だ。私が引き起こした、大惨事だ。
「私が……やったの……?」
下山していく妖魔の群れ。その先には、無防備な帝都の街並みがある。 人々が逃げ惑い、炎に包まれる光景が、ありありと脳裏に浮かんだ。 そのすべての原因は、自分の愚かなプライド。
「あ、あぁ……あぁぁぁ……」
紫苑の喉から、言葉にならない嗚咽が漏れた。 笏が手から滑り落ち、カランと乾いた音を立てる。 天才陰陽師。次期当主。 そんな虚飾の称号は、黒い瘴気の中に脆くも崩れ去った。
残されたのは、ただ自分の無力さと罪の重さに押し潰され、立ち上がることもできない、一人の震える少女だけだった。
「誰か……誰か……」
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