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前原美影の視点
第七話:透明な接着剤
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月曜日の朝、教室の空気は、洗いたてのシーツのようにさっぱりとしていた。
先週までの、湿った重苦しさはない。 私が教室に入ると、瞬くんは既に席に着いていた。 彼は教科書を広げていたけれど、その視線が文字を追っていないことはすぐに分かった。 私が近づくと、彼は弾かれたように顔を上げ、そして、ひどくぎこちなく、けれど逃げずに、私を見た。
目が合う。 ほんの数秒。 でも、その数秒の間に交わされた情報の量は、今まで費やしたどんな会話よりも多かった。
『おはよう』 『昨日はごめん』 『ありがとう』
言葉にしなくても、彼の瞳の揺らぎが、それを雄弁に語っていた。 彼は、照れくさそうに鼻の頭をこすり、小さく会釈をした。 私も、花がほころぶように、自然と笑顔になった。
(ああ、よかった)
胸の奥にあった、黒くて硬い氷の塊が、温かいお湯をかけられたみたいに溶けていく。 私たちは、大丈夫だ。 もう、壁はない。有刺鉄線もない。 ただ、少し不器用な男の子と、それを見守りたい私がいるだけ。
その週は、不思議な時間が流れた。 以前のような、お互いを探り合うようなヒリヒリした駆け引きは消え失せた。 代わりに訪れたのは、凪(なぎ)のような沈黙だ。
昼休み、屋上で並んで座っていても、無理に会話を繋ごうとはしなくなった。 風が吹く音。遠くの部活の声。 それを二人で聞いているだけで、満たされている自分に気づく。 沈黙が怖くない。 むしろ、言葉がないからこそ、隣にいる彼の体温や、息遣いや、気配といった「存在そのもの」が、ダイレクトに伝わってくる。
彼は、変わった。 以前の彼は、常に何かを演じていた。「クールな俺」「モテる俺」。 でも今の彼は、時々ぼんやりしたり、カッコ悪い欠伸をしたり、素の表情を見せてくれる。 その無防備な横顔を見ていると、私は思うのだ。 私が恋したのは、あのミステリアスな彼じゃなくて、この「ただの瞬くん」だったのかもしれない、と。
金曜日の放課後。 生徒たちが帰り支度を始める喧騒の中、瞬くんが私の席へやってきた。 その表情は、決死の覚悟を決めた兵士のように硬い。
「あのさ、前原」
彼は、一度言葉を切って、喉をごくりと鳴らした。 その緊張が、私にも伝染する。
「この間の……猫カフェ。もし、まだ、興味あるなら……今度の週末、行かないか?」
その言葉を聞いた瞬間、私の視界が、パッと明るくなった気がした。
猫カフェ。 先週、私が勇気を出して誘い、そして彼が「綾香の誕生日」という嘘で残酷に拒絶した、あの場所。 私にとって、それは「拒絶の象徴」のような場所になってしまっていた。
彼は、それを知っている。 知っているからこそ、あえて同じ場所を提案してきたのだ。 「あの時の傷を、上書きしたい」 「あの時の俺の過ちを、訂正したい」 そんな、彼なりの不器用で、誠実な「贖罪(しょくざい)」の意思表示。
嬉しかった。 ただデートに誘われたことよりも、彼が私の心の傷をちゃんと覚えていて、それを治そうとしてくれていることが。
「……うん! 行く!」
私は、満面の笑みで答えた。 彼が、目に見えてホッとした顔をする。 その安堵の表情を見て、私は確信した。 この人は、私が思っているよりずっと、根っこが優しい人なんだ。
土曜日。 電車に揺られて隣町へ向かう。 ガタンゴトンというリズムが、二人の心臓の音を同期させていくようだ。 窓から差し込む日差しが、彼の膝の上で揺れている。
猫カフェの店内は、陽だまりの匂いがした。 柔らかなソファ、古い本の匂い、そして気ままに過ごす猫たち。 私が茶トラの猫を撫でていると、瞬くんはずっと私を見ていた。 以前のような「観察」する目じゃない。 まるで、壊れ物を扱うような、大切そうな眼差し。
ふと、黒猫を見つめていた彼が、ぽつりと語り始めた。
「俺さ、いつも、こうなんだよな」
それは、彼自身の弱さについての告白だった。 熱しやすく冷めやすいこと。 中途半端に投げ出して、後で後悔すること。 それは、彼が私に対して仕掛けていた「ゲーム」の正体であり、彼がずっと抱えてきた自己嫌悪の源だった。
「なんで、やめられないのか、自分でも、よくわかんねえんだ」
彼は、膝の上で拳を握りしめていた。 過去の自分を責めている。 「俺はダメなやつだ」と、自分自身を裁いている。
その姿を見て、私は思った。 彼は、真面目すぎるのだ。 過去の失敗を、今の自分の足枷にしてしまっている。 でも、過去は変えられない。変えられないものを嘆いて、今の時間を曇らせるのは、あまりにも勿体無い。
「後悔かあ。厄介な、お友達だよね」
私は、努めて軽く言った。 深刻な顔をして同調するのは簡単だけど、それでは彼は救われない。
「でもね、瞬くん。『あの時の瞬くん』が何をしたかは、もう、変えられない事実」
私は、彼の目を見た。 琥珀色の瞳が、不安げに揺れている。
「“もうないもの”を、今の自分のところに持ってきて、それを材料にして、悩んだり、苦しんだりするのって、世界で一番、疲れちゃうことだと思うな」
過去は、ただの記録だ。 失敗した記録、傷つけた記録。 それは、今の彼を作る「材料」にはなったかもしれないけれど、今の彼を縛る「鎖」ではない。
「『今の瞬くん』が、これから、何を選ぶか。本当に『リアル』なのって、そっちだけじゃないかな?」
今、あなたはここにいる。 私の隣で、逃げずに、自分の弱さを話してくれている。 そして、私を傷つけたあの場所へ、もう一度私を連れてきてくれた。 それが答えじゃない? 過去のあなたがどうであれ、今のあなたは、こんなにも誠実に行動している。
瞬くんの表情が、ふっと緩んだ。 憑き物が落ちたような、そんな顔。 彼は、何かを納得したように、小さく頷いた。
帰り道。 夕焼けが、駅のホームをセピア色に染めていた。 改札で別れる時、彼が呼び止めた。
「……美影」
初めて、名前で呼ばれた。 心臓が、トクンと大きく跳ねる。 彼が私の名前を呼ぶと、世界で一番特別な響きに聞こえるのはなぜだろう。
「俺、お前のこと、何もわかってなかった。……だから、もっと、知りたい。お前のこと」
その真っ直ぐな言葉は、どんな甘い愛の言葉よりも、深く心に刺さった。 「知りたい」。 それは、相手を自分の思い通りにするのではなく、あるがままの相手を受け入れようとする、愛の始まりの言葉だ。
私は、言葉にならなかった。 ただ、胸がいっぱいで、泣きそうなのを堪えて、にっこりと笑った。
背中を向けて歩き出す。 ポケットの中のスマートフォンを取り出し、彼にメッセージを送る。
『気をつけて帰って』
送信。 振り返ると、人混みの向こうで、彼もまたスマートフォンを見つめていた。 西の空には、一番星。
ああ、私。 この人のことが、本当に好きだ。 ゲームでも、駆け引きでもない。 ただ一人の人間として、垣原瞬という不器用な魂が、愛おしくてたまらない。
空を見上げると、吸い込まれそうな藍色が広がっていた。 私の恋は、今日、本当の意味で始まったんだと思う。
先週までの、湿った重苦しさはない。 私が教室に入ると、瞬くんは既に席に着いていた。 彼は教科書を広げていたけれど、その視線が文字を追っていないことはすぐに分かった。 私が近づくと、彼は弾かれたように顔を上げ、そして、ひどくぎこちなく、けれど逃げずに、私を見た。
目が合う。 ほんの数秒。 でも、その数秒の間に交わされた情報の量は、今まで費やしたどんな会話よりも多かった。
『おはよう』 『昨日はごめん』 『ありがとう』
言葉にしなくても、彼の瞳の揺らぎが、それを雄弁に語っていた。 彼は、照れくさそうに鼻の頭をこすり、小さく会釈をした。 私も、花がほころぶように、自然と笑顔になった。
(ああ、よかった)
胸の奥にあった、黒くて硬い氷の塊が、温かいお湯をかけられたみたいに溶けていく。 私たちは、大丈夫だ。 もう、壁はない。有刺鉄線もない。 ただ、少し不器用な男の子と、それを見守りたい私がいるだけ。
その週は、不思議な時間が流れた。 以前のような、お互いを探り合うようなヒリヒリした駆け引きは消え失せた。 代わりに訪れたのは、凪(なぎ)のような沈黙だ。
昼休み、屋上で並んで座っていても、無理に会話を繋ごうとはしなくなった。 風が吹く音。遠くの部活の声。 それを二人で聞いているだけで、満たされている自分に気づく。 沈黙が怖くない。 むしろ、言葉がないからこそ、隣にいる彼の体温や、息遣いや、気配といった「存在そのもの」が、ダイレクトに伝わってくる。
彼は、変わった。 以前の彼は、常に何かを演じていた。「クールな俺」「モテる俺」。 でも今の彼は、時々ぼんやりしたり、カッコ悪い欠伸をしたり、素の表情を見せてくれる。 その無防備な横顔を見ていると、私は思うのだ。 私が恋したのは、あのミステリアスな彼じゃなくて、この「ただの瞬くん」だったのかもしれない、と。
金曜日の放課後。 生徒たちが帰り支度を始める喧騒の中、瞬くんが私の席へやってきた。 その表情は、決死の覚悟を決めた兵士のように硬い。
「あのさ、前原」
彼は、一度言葉を切って、喉をごくりと鳴らした。 その緊張が、私にも伝染する。
「この間の……猫カフェ。もし、まだ、興味あるなら……今度の週末、行かないか?」
その言葉を聞いた瞬間、私の視界が、パッと明るくなった気がした。
猫カフェ。 先週、私が勇気を出して誘い、そして彼が「綾香の誕生日」という嘘で残酷に拒絶した、あの場所。 私にとって、それは「拒絶の象徴」のような場所になってしまっていた。
彼は、それを知っている。 知っているからこそ、あえて同じ場所を提案してきたのだ。 「あの時の傷を、上書きしたい」 「あの時の俺の過ちを、訂正したい」 そんな、彼なりの不器用で、誠実な「贖罪(しょくざい)」の意思表示。
嬉しかった。 ただデートに誘われたことよりも、彼が私の心の傷をちゃんと覚えていて、それを治そうとしてくれていることが。
「……うん! 行く!」
私は、満面の笑みで答えた。 彼が、目に見えてホッとした顔をする。 その安堵の表情を見て、私は確信した。 この人は、私が思っているよりずっと、根っこが優しい人なんだ。
土曜日。 電車に揺られて隣町へ向かう。 ガタンゴトンというリズムが、二人の心臓の音を同期させていくようだ。 窓から差し込む日差しが、彼の膝の上で揺れている。
猫カフェの店内は、陽だまりの匂いがした。 柔らかなソファ、古い本の匂い、そして気ままに過ごす猫たち。 私が茶トラの猫を撫でていると、瞬くんはずっと私を見ていた。 以前のような「観察」する目じゃない。 まるで、壊れ物を扱うような、大切そうな眼差し。
ふと、黒猫を見つめていた彼が、ぽつりと語り始めた。
「俺さ、いつも、こうなんだよな」
それは、彼自身の弱さについての告白だった。 熱しやすく冷めやすいこと。 中途半端に投げ出して、後で後悔すること。 それは、彼が私に対して仕掛けていた「ゲーム」の正体であり、彼がずっと抱えてきた自己嫌悪の源だった。
「なんで、やめられないのか、自分でも、よくわかんねえんだ」
彼は、膝の上で拳を握りしめていた。 過去の自分を責めている。 「俺はダメなやつだ」と、自分自身を裁いている。
その姿を見て、私は思った。 彼は、真面目すぎるのだ。 過去の失敗を、今の自分の足枷にしてしまっている。 でも、過去は変えられない。変えられないものを嘆いて、今の時間を曇らせるのは、あまりにも勿体無い。
「後悔かあ。厄介な、お友達だよね」
私は、努めて軽く言った。 深刻な顔をして同調するのは簡単だけど、それでは彼は救われない。
「でもね、瞬くん。『あの時の瞬くん』が何をしたかは、もう、変えられない事実」
私は、彼の目を見た。 琥珀色の瞳が、不安げに揺れている。
「“もうないもの”を、今の自分のところに持ってきて、それを材料にして、悩んだり、苦しんだりするのって、世界で一番、疲れちゃうことだと思うな」
過去は、ただの記録だ。 失敗した記録、傷つけた記録。 それは、今の彼を作る「材料」にはなったかもしれないけれど、今の彼を縛る「鎖」ではない。
「『今の瞬くん』が、これから、何を選ぶか。本当に『リアル』なのって、そっちだけじゃないかな?」
今、あなたはここにいる。 私の隣で、逃げずに、自分の弱さを話してくれている。 そして、私を傷つけたあの場所へ、もう一度私を連れてきてくれた。 それが答えじゃない? 過去のあなたがどうであれ、今のあなたは、こんなにも誠実に行動している。
瞬くんの表情が、ふっと緩んだ。 憑き物が落ちたような、そんな顔。 彼は、何かを納得したように、小さく頷いた。
帰り道。 夕焼けが、駅のホームをセピア色に染めていた。 改札で別れる時、彼が呼び止めた。
「……美影」
初めて、名前で呼ばれた。 心臓が、トクンと大きく跳ねる。 彼が私の名前を呼ぶと、世界で一番特別な響きに聞こえるのはなぜだろう。
「俺、お前のこと、何もわかってなかった。……だから、もっと、知りたい。お前のこと」
その真っ直ぐな言葉は、どんな甘い愛の言葉よりも、深く心に刺さった。 「知りたい」。 それは、相手を自分の思い通りにするのではなく、あるがままの相手を受け入れようとする、愛の始まりの言葉だ。
私は、言葉にならなかった。 ただ、胸がいっぱいで、泣きそうなのを堪えて、にっこりと笑った。
背中を向けて歩き出す。 ポケットの中のスマートフォンを取り出し、彼にメッセージを送る。
『気をつけて帰って』
送信。 振り返ると、人混みの向こうで、彼もまたスマートフォンを見つめていた。 西の空には、一番星。
ああ、私。 この人のことが、本当に好きだ。 ゲームでも、駆け引きでもない。 ただ一人の人間として、垣原瞬という不器用な魂が、愛おしくてたまらない。
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