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第七話 祭りの夜と『禁断の米粉チュロス』
しおりを挟むあの、シュークリームという名の、高く、険しい山を乗り越え、コンテストへの応募を済ませてから、数週間が過ぎていた。結果が発表されるのは、まだ先のこと。私の心は、期待と、不安が入り混じった、まるで梅雨明けの空のように、どこか、落ち着かない日々を送っていた。
夏は、その勢いを、ますます強めていた。
空は、どこまでも青く、そして、白い。巨大な入道雲が、毎日、律儀に、その姿を現し、午後になると、空を黒く染め上げ、激しい雷雨を、地上へと叩きつける。そして、雨が上がれば、また、灼熱の太陽が顔を出し、濡れたアスファルトから立ち上る、むっとするような水蒸気が、世界を、巨大な蒸し風呂へと、変えてしまうのだ。
アパートの廊下を歩けば、ぺたり、ぺたり、とサンダルの裏が、湿気を含んだリノリウムに吸い付くような音を立てる。夜になっても、気温は、ほとんど下がらない。窓を全開にしても、流れ込んでくるのは、熱を帯びた、生ぬるい風だけ。遠くで、子供たちが、花火をする声が聞こえる。夏の匂いが、した。
そんな、ある金曜日の夜だった。
仕事を終え、すっかり暗くなった道を、アパートへと、とぼとぼと歩いていると、ポケットの中のスマートフォンが、ぶるぶると、震えた。画面に表示された名前に、私の心臓が、どくん、と大きく跳ねる。
『田中部長』
慌てて、通話ボタンを押す。
「は、はい! 花巻です!」
「ああ、花巻さん。お疲れ様。今、帰りか?」
受話器の向こうから、あの、低く、落ち着いた声が聞こえてくる。それだけで、一日の疲れが、すうっと、溶けていくようだった。
「はい。今、駅を降りました」
「そうか。あのな、急なんだが、明日の夜、空いてるか?」
「え? あ、はい。空いてますけど」
「地元の、八幡神社で、夏祭りがあるんだ。もし、よかったら、一緒に行かないかと思って」
なつ、まつり。
その、あまりにも、甘酸っぱい響きの単語に、私の思考は、一瞬、停止した。
これは、つまり、そういうことなのだろうか。いや、でも、ただ、同僚として。部下として。でも、二人きりで?
「花巻さん? 聞こえてるか?」
「は、はい! 聞こえてます! い、行きます! 行かせていただきます!」
私は、ほとんど、悲鳴に近い声で、そう、答えていた。
電話を切った後も、私の心臓は、祭囃子のように、激しく、鳴り響いていた。夏の夜の、蒸し暑さのせいか、それとも、別の理由か、私の顔は、自分でも分かるくらい、真っ赤に、燃えていた。
翌日の、午後。
私の部屋は、戦場と化していた。
クローゼットの、一番奥。もう、何年も、開けていなかった、桐の箱。その中から、引っ張り出してきたのは、一枚の、浴衣だった。
紺色の、涼しげな生地に、白と、ピンクの、撫子の花が、凛と、咲いている。数年前に、母が、仕立ててくれたものだ。
(これを、着ていきたい)
でも、問題は、着付けだった。昔、母に、一度だけ、教えてもらったはずだが、記憶は、夏の夜の、蜃気楼のように、曖昧だ。ネットの動画を見ながら、格闘すること、一時間。私が、作り上げたのは、浴衣とは、到底、呼べない、ただの、布の、塊だった。
私が、その、無残な布の塊を前に、途方に暮れていた、その時だった。
コンコン、と、控えめなノックの後、カチャリ、とドアが開き、女王陛下が、ひょっこりと、顔をのぞかせた。
今日の彼女は、夏の夜空を思わせる、深い藍色の、ドレスを身にまとっている。
「ほう。布と、格闘していますの、ひよこ豆」
私の、惨状を見るなり、彼女は、ふふん、と鼻で笑った。
「情けない。日本の女の、嗜みも、忘れてしまったか。よろしい。この、私が、汝を、祭りの夜に、舞う、一輪の、撫子へと、変身させてしんぜましょう」
彼女は、そう言うと、手際よく、私の身体から、布の塊を、剥ぎ取った。そして、まるで、魔法のように、私の身体に、再び、その布を、纏わせていく。
腰紐を、きゅっと、締める。おはしょりを、美しく整える。胸元が、はだけないように、伊達締めを、きりりと締める。その、すべての動きに、無駄が、一切、なかった。
「なぜ、女王陛下が、浴衣の着付けを」
「ふふ。女王たるもの、古今東西の、あらゆる『美』に、精通しているのは、当然のことですわ」
最後に、真っ赤な、兵児帯を、背中で、ふわりと、蝶の形に、結んでくれた。
鏡の前に立つと、そこには、いつもの、私ではない、誰かが、立っていた。
うなじが、すっきりと、見える。いつもより、背筋が、しゃんと伸びている。
「さあ、仕上げですわ」
女王陛下は、私の髪を、手早く、まとめ上げると、一本の、銀色のかんざしを、すっ、と挿してくれた。
ちりん、と、かんざしの先で、小さな鈴が、涼やかな音を立てた。
その音は、まるで、新しい世界への、扉が開く、合図のようだった。
約束の、夜七時。
神社の、大きな、石の鳥居の前で、私は、田中部長を、待っていた。
心臓が、痛いくらいに、高鳴っている。カラン、コロン、と、慣れない下駄の音が、自分のものなのに、どこか、他人事のように聞こえる。
人の波が、だんだんと、増えてきた。浴衣姿の、カップルが、楽しそうに、笑いながら、私の前を、通り過ぎていく。
その時だった。
「花巻さん。待たせたな」
聞き慣れた、低い声に、はっとして、顔を上げる。
そこに立っていたのは、いつもの、スーツ姿ではない。白い、麻のシャツに、チノパンという、ラフな姿の、田中部長だった。いつもより、若く見える。そして、なんだか、すごく、格好いい。
「いえ、私も、今、来たところです」
「浴衣、似合ってるな」
彼は、そう言って、少し、照れたように、笑った。
その、一言で、私の、夏の夜は、もう、最高潮に、達してしまった。
部長に、手を引かれるようにして、私は、祭りの、喧騒の中へと、足を踏み入れた。
境内は、人で、ごった返していた。赤い提灯が、ずらりと、どこまでも、連なり、夜空を、幻想的に、照らし出している。
じゅうじゅう、と、ソースが焦げる、香ばしい匂い。甘く、綿菓子のように、鼻をくすぐる、わたあめの匂い。香ばしい、醤油の匂い。その、すべての匂いが、混じり合い、祭りの、特別な、空気を作っていた。
ドンドン、ヒャララ、と、どこかから、聞こえてくる、祭囃子。子供たちの、甲高い、はしゃぎ声。売り子たちの、威勢のいい、掛け声。
その、音の洪水の中で、私は、少しだけ、子供の頃に、戻ったような、気分になった。
だが、その、楽しさの中に、ほんの少しだけ、寂しさが、混じる。
たこ焼き、イカ焼き、焼きそば、お好み焼き、ベビーカステラ。
屋台に並ぶ、その、魅力的な、食べ物の、ほとんどが、小麦粉で、できている。
(食べたいな)
そう、思っても、私には、食べられない。
その、小さな、疎外感を、部長は、敏感に、感じ取ったのかもしれない。
「花巻さん、ちょっと、待ってて」
そう言うと、彼は、人の波を、かき分けるようにして、どこかへ、行ってしまった。
数分後。戻ってきた彼の手には、一本の、真っ赤な、リンゴ飴が、握られていた。
「ほら。これなら、大丈夫だろ?」
彼は、そう言って、それを、私に、差し出した。
提灯の明かりを受けて、つやつやと、輝く、赤い飴。それは、まるで、大きな、ルビーのようだった。
彼の、不器用な、優しさが、胸に、じんと、沁みる。
「ありがとうございます」
私は、それを受け取ると、しゃり、と、一口、かじった。
パリパリとした、飴の、食感。その、懐かしい、甘さ。そして、追いかけてくる、りんごの、瑞々しい、甘酸っぱさ。
美味しい。
ただ、甘いだけじゃない。彼の、優しい気持ちが、溶け込んだ、世界で、一番、美味しい、味がした。
夢のような、祭りの夜が、終わった。
高揚感と、そして、少しの切なさを、胸に抱いて、私は、女王陛下の、部屋を訪れた。
「ほう。恋の熱に、浮かされていますの、ひよこ豆」
私の、真っ赤な顔を見るなり、彼女は、すべてを、お見通し、といった顔で、微笑んだ。
そして、キッチンに立つと、きっぱりと、言った。
「祭りの、熱狂。そして、その後に訪れる、静寂と、切なさ。それこそが、新たな、創造の、源泉となるのです。さあ、今宵は、汝に、禁断の、扉を、開かせてしんぜましょう」
彼女が、取り出したのは、揚げ物用の、深い鍋と、たっぷりの、油だった。
「祭りの味。屋台の、あの、ジャンキーで、背徳的な、味。それを、汝自身の、手で、生み出すのです。今宵の、お題は、『チュロス』ですわ!」
シュークリームの、生地作りを、応用すれば、チュロス生地は、簡単だった。
鍋で、米粉を、完全に、糊化させる。そこに、卵を加え、滑らかな、生地を作る。シュークリームの時よりも、少しだけ、固めの生地。
その生地を、星形の、口金をつけた、絞り袋に入れる。
「この、星形こそが、チュロスの、命。表面積を、増やすことで、外側を、カリッと、そして、内側を、もっちりとさせる、先人の、偉大なる、知恵ですわ」
鍋の油が、百八十度に、熱せられる。菜箸を入れると、しゅわしゅわ、と、細かい泡が、立ち上った。
「さあ、絞り出しなさい! 汝の、情熱を、この、灼熱の、油の中へと!」
私は、絞り袋を、ぐっと、握りしめ、油の上で、生地を、絞り出した。にゅるにゅる、と、星形の生地が出てくる。適当な長さで、キッチンバサミで、ちょきん、と切る。
生地が、油の中に落ちると、じゅわっ、という、激しい音と共に、一気に、泡が、立ち上った。
キッチンに、生地が揚がる、香ばしい、匂いが、充満していく。
数分後。きつね色に、揚がった、チュロスを、網の上に取り出す。
その、熱々の、チュロスを、シナモンシュガーの、海の中へと、ダイブさせる。
シャリ、シャリ、と、砂糖が、チュロスに、まとわりつく、心地よい音。
仕上げは、濃厚な、チョコレートの、ディップソース。カカオ70%の、チョコレートを、生クリームと、共に、滑らかに溶かす。
出来上がった、チュロスは、まだ、熱いくらいに、温かい。
私は、その一本を、手に取った。
そして、一口。
カリッ!
サクッ!
外側の、驚くほど、軽やかな、食感。そして、その内側は、驚くほど、もっちり、しっとりとしている。米粉ならではの、軽い、食感だ。
シナモンの、スパイシーな香りと、砂糖の、直接的な、甘さ。
(美味しい)
次に、チョコレートソースを、たっぷりと、つけて。
熱々の、チュロスに、濃厚で、ビターな、チョコレートが、とろりと、絡みつく。
その、背徳的なまでの、組み合わせ。
甘くて、熱くて、スパイシーで、そして、ほろ苦い。
口の中が、幸福で、いっぱいになる。
祭りの夜に、感じた、あの、食べられない、切なさ。リンゴ飴を、もらった時の、あの、胸の、ときめき。
その、すべての感情が、この、一本の、チュロスの中に、溶け込んでいるようだった。
自分で、創り出せる。
どんな、幸せも、この手で。
私は、夏の夜空に、感謝しながら、その、禁断の味を、心ゆくまで、味わった。
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### **女王陛下直伝『禁断の米粉チュロス』**
**【材料】(約10~12本分)**
* **チュロス生地**
* 水 100ml
* 米油(または無塩バター) 30g
* 砂糖 大さじ1
* 塩 ひとつまみ
* 米粉(製菓用) 70g
* 卵 1個
* **シナモンシュガー**
* グラニュー糖 大さじ3
* シナモンパウダー 小さじ1
* **チョコレートディップソース**
* 製菓用チョコレート(ビター) 50g
* 生クリーム 50ml
* 揚げ油 適量
**【作り方】**
1. **生地作り**:小鍋に水、米油、砂糖、塩を入れ、中火で沸騰させる。火からおろし、米粉を一度に加えて、木べらで手早く混ぜる。
2. 再び弱火にかけ、生地を1分ほど、よく練り混ぜ、しっかりと糊化させる。(※シュー生地と同じ。この糊化こそが、爆発を防ぎ、もっちり食感を生む、最重要儀式ですわ)
3. 生地をボウルに移し、溶き卵を少しずつ加えながら、よく混ぜ合わせ、滑らかな生地にする。
4. 生地を、星形の口金をつけた絞り袋に入れる。
5. **揚げの儀式**:揚げ油を170~180℃に熱する。
6. クッキングシートの上に、生地を10~12cmの長さに絞り出し、シートごと油の中に入れる。シートは、自然に剥がれてくるので、取り除く。または、油の上で、直接、生地を絞り出し、キッチンバサミで切っても良い。(※火傷には、くれぐれも、注意なさい!)
7. 時々、返しながら、全体が、美しい、きつね色になるまで、3~4分揚げる。
8. 揚がったら、油をよく切り、熱いうちに、あらかじめ混ぜておいた、シナモンシュガーを、たっぷりと、まぶす。
9. **ソース作り**:耐熱容器に、刻んだチョコレートと生クリームを入れ、電子レンジ(600W)で30秒ほど加熱し、滑らかになるまで混ぜ溶かす。
10. 揚げたての、熱々チュロスを、濃厚なチョコレートソースに、たっぷりと、ディップして、その、罪の味を、堪能なさい!
**【女王陛下からのワンポイント・アドバイス】**
* 「この生地に、すりおろした、レモンの皮を、ほんの少し、加えてごらんなさい。揚げ物の、重さを、吹き飛ばすような、爽やかな香りが、汝の鼻腔を、くすぐることでしょう。罪の味にも、清涼感という、アクセントは、必要なのです」
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