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第2話 本当は、ずっとひとりぼっち
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ふと意識の焦点が定まったときには、彼女との距離は、互いの吐息が溶け合うほど近くになっていました。
天地の境目さえ曖昧なこの乳白色の空間には、視線を遮るものも、関心を引く色彩も存在しません。だからこそ、僕の意識は磁石に引かれる砂鉄のように、目の前の彼女が放つ圧倒的な「美」へと吸い寄せられてしまうのです。
陶磁器のように白く、内側から淡い光を灯したような透き通る肌。瞬きのたびに空気を震わせる長く繊細なまつ毛。そして、僕の人生のすべて、その罪も罰も静かに見透かすような、凪いだ湖面を思わせる瞳。
もしもこれが、酸素の供給を絶たれた僕の脳が見せている走馬灯の類だとしても、最期の瞬間にこれほど美しい造形物と対峙できるのなら、死にゆく気分もそう悪いものではありません。
現実感が希薄なこの世界で、僕は彼女がそこに「物質として存在している」のか、あるいは単なる光の悪戯なのか、確かめたいという衝動に駆られました。
「……あの、触ってみてもいいですか?」
僕が空気を壊さぬよう恐る恐る尋ねると、彼女はきょとんと目を丸くした後、まるで迷える子羊を導く聖母のように、慈愛に満ちた微笑みを浮かべて頷きました。
「ええ、構いませんよ。あなたがそれで落ち着くなら」
許可を得て、僕は重力のない空間で震える右手を伸ばし、そっと彼女の頬へと指先を近づけました。
皮膚と皮膚が触れ合うその瞬間。
――温かい。
そして、指が沈み込むほどに、驚くほど柔らかい。
指先の神経から脳髄へと駆け上がるその感触は、紛れもなく「生きた人間」のそれでした。
彼女の皮膚の下を流れる血液の熱さが、僕の冷え切った指先へとじんわり伝播してきます。ドクン、ドクンという、規則正しくも力強い命の脈動さえ、掌を通して響いてくるような錯覚。
その確かな温もりに包まれた途端、僕は自分が直前まで味わっていた事故の衝撃も、迫りくる死の恐怖も忘れて、ほうっと長い安堵の息を漏らしました。
「すごいな……。本当にそこにいるみたいだ。温かい」
僕が噛み締めるようにそう呟くと、彼女は僕の手を振り払うことも、嫌がる素振りも見せません。ただ、静かな水面に波紋が広がるように、少しだけ困ったような、哀れむような表情でこう言いました。
「ふふ。そう感じますか?」
「ええ、とても」
「でもね、残念ながら……本当は触れていないんですよ」
「え?」
僕は彼女の頬に指の腹を押し当てたまま、理解が追いつかずに首を傾げました。
「いや、触れてますよ。ほら、指にはっきりとした感触がありますし、弾力だって」
「それはね、あなたの脳が、都合よく『触ったつもり』になっているだけなんです」
彼女はそっと自分の手を持ち上げ、僕の手の甲に重ねました。
その手もやはり、陽だまりのような温かさを帯びています。肌のきめ細かささえ感じるのに、彼女は残酷な真実を告げる教師のように、涼しい顔で続けました。
「磁石って、遊んだことありますよね? N極とN極を向かい合わせて近づけると、見えないクッションがあるみたいに反発し合って、決してくっつかないでしょう?」
「ええ、まあ……」
「私たちの体も、それと全く同じなんです。この体を構成している一番小さな粒々――原子の周りには電子が回っていて、それらはお互いに磁石みたいに強烈に反発する力を持っているんです」
彼女は、なぜ空が青いのかを幼子に説く母親のように、優しく、けれど諭すように語りかけます。
「だから、あなたが私の頬に指を伸ばして、どんなに強く押し付けても、原子レベルで見れば決して接触はしていない。本当はほんの少しだけ――目には見えないくらいの極小の隙間が空いていて、常に浮いているんです」
「浮いている……?」
「ええ。あなたが今感じている『指が触れた』という確かな感覚や、『温かい』という心地よいぬくもりは、その隙間で猛烈に反発し合っている力を、あなたの脳が『触った!』って勘違いして翻訳した、電気信号の誤読にすぎないんです」
彼女は僕の手をゆっくりと離しました。繋がっていたはずの熱が失われ、空間の冷たさが戻ってきます。彼女は悲しげに、けれど物理法則という絶対的な真理を突きつけるように断定しました。
「この世界の誰も、本当の意味で誰かに触れることはできません。
愛し合う恋人と肌を重ねて抱き合っている時も、親愛の情を込めて握手をしている時も、あるいは憎しみ合って殴り合っている時でさえも。
実はみんな、ほんの少しだけ宙に浮いていて、誰とも交わることができないんです」
僕は呆然と、自分の何もない手のひらを見つめました。
そこにはまだ、彼女の体温の余韻が残っているように感じます。
けれど、じゃあ、僕がこれまでの人生で信じ、救われてきた「人の温もり」は、全部ただの「原子の反発力」だったというのか。
僕たちは、誰かと深く繋がっているようでいて、実は見えない透明な壁に包まれた孤独なカプセルの中で、一生ひとりぼっちのまま漂っているというのか。
「……なんだか、すごく寂しい話ですね」
僕がポツリと、色のない声で言うと、彼女は不思議そうに小首を傾げました。さらりと流れる髪が、無重力の空間で美しく揺らめきます。
「そうですか? 私は、混ざり合わないからこそ、あなたが個としての『あなた』という形を保っていられるんだと思いますけど……人間って、本当にどうしようもないほど寂しがり屋さんなんですね」
その時です。
**ドォン!!**
突然、永遠に続くと思われたこの白い世界全体が、激しく揺れ動きました。
まるで天空から巨人が現れ、この空間の床を巨大なハンマーで叩きつけたような、重く、腹の底に響く衝撃。
**ドォン!! ドォン!!**
「うわっ、地震!?」
僕が平衡感覚を失ってよろめくと、次の瞬間、頭上から見えない万力で全身をギューッと押しつぶされるような、強烈な圧迫感に襲われました。
胸が苦しい。肺が押し縮められ、ミシミシと肋骨がきしむ音が、耳ではなく頭蓋骨の中に直接響いてきます。
彼女は激しく明滅し揺れる空間の中で、ひとりだけ重力から切り離されたように涼しい顔をして、何もない虚空を見上げていました。
「あら、外の世界が騒がしいですね」
「な、なんなんですか、これ! 痛い……! 苦しい……!」
「心臓マッサージですよ」
**ドォン!!**
またしても、世界を歪ませる激しい揺れ。
彼女は「大丈夫ですか?」と気遣うようなポーズを取りましたが、その鈴を転がすような声色には、焦りも心配も微塵も混じっていません。
「外の世界のお医者さんたちが、停止してしまったあなたの心臓というポンプを無理やり動かそうとして、胸を強く、何度も押しているんです。
肋骨が……あらら、今、2本折れちゃいましたね。あなたを救おうと一生懸命なのはわかりますけど、少々乱暴ですねえ」
「お、折れた……!?」
僕の体の中で現実に起きている惨劇を、彼女は「花瓶がうっかり割れちゃいましたね」くらいの、日常の些細な出来事のような調子で実況します。
「あなたの体は、まだ生きたがっていますね。
……どうします? 戻りたいですか?
あの、誰とも本当には触れ合えない、原子の隙間に隔てられた、勘違いだらけの世界に」
激しい振動と、胸を引き裂くような痛みの中で、僕は霞む視線を自分の手のひらに落としました。
さっき彼女の頬から感じた――あるいは感じたと思い込んでいた――温かさが、まだそこに残っている気がします。
たとえそれが、物理的な反発力が生み出した幻影だとしても。
脳が見せる、都合の良い夢だとしても。
「……勘違いでも」
僕は襲い来る激痛を歯を食いしばってこらえ、強く、爪が食い込むほどに拳を握りしめました。
「その勘違いを『温かい』って感じるようにできてるなら、それはそれで、悪くない仕組み(バグ)じゃないですか」
**ドォン!!**
世界がひときわ大きく、ひび割れるように揺れました。
乳白色の空間が崩れ落ち、痛覚という名の現実が、まだ僕を手放してくれないようです。
(第3話へ続く)
天地の境目さえ曖昧なこの乳白色の空間には、視線を遮るものも、関心を引く色彩も存在しません。だからこそ、僕の意識は磁石に引かれる砂鉄のように、目の前の彼女が放つ圧倒的な「美」へと吸い寄せられてしまうのです。
陶磁器のように白く、内側から淡い光を灯したような透き通る肌。瞬きのたびに空気を震わせる長く繊細なまつ毛。そして、僕の人生のすべて、その罪も罰も静かに見透かすような、凪いだ湖面を思わせる瞳。
もしもこれが、酸素の供給を絶たれた僕の脳が見せている走馬灯の類だとしても、最期の瞬間にこれほど美しい造形物と対峙できるのなら、死にゆく気分もそう悪いものではありません。
現実感が希薄なこの世界で、僕は彼女がそこに「物質として存在している」のか、あるいは単なる光の悪戯なのか、確かめたいという衝動に駆られました。
「……あの、触ってみてもいいですか?」
僕が空気を壊さぬよう恐る恐る尋ねると、彼女はきょとんと目を丸くした後、まるで迷える子羊を導く聖母のように、慈愛に満ちた微笑みを浮かべて頷きました。
「ええ、構いませんよ。あなたがそれで落ち着くなら」
許可を得て、僕は重力のない空間で震える右手を伸ばし、そっと彼女の頬へと指先を近づけました。
皮膚と皮膚が触れ合うその瞬間。
――温かい。
そして、指が沈み込むほどに、驚くほど柔らかい。
指先の神経から脳髄へと駆け上がるその感触は、紛れもなく「生きた人間」のそれでした。
彼女の皮膚の下を流れる血液の熱さが、僕の冷え切った指先へとじんわり伝播してきます。ドクン、ドクンという、規則正しくも力強い命の脈動さえ、掌を通して響いてくるような錯覚。
その確かな温もりに包まれた途端、僕は自分が直前まで味わっていた事故の衝撃も、迫りくる死の恐怖も忘れて、ほうっと長い安堵の息を漏らしました。
「すごいな……。本当にそこにいるみたいだ。温かい」
僕が噛み締めるようにそう呟くと、彼女は僕の手を振り払うことも、嫌がる素振りも見せません。ただ、静かな水面に波紋が広がるように、少しだけ困ったような、哀れむような表情でこう言いました。
「ふふ。そう感じますか?」
「ええ、とても」
「でもね、残念ながら……本当は触れていないんですよ」
「え?」
僕は彼女の頬に指の腹を押し当てたまま、理解が追いつかずに首を傾げました。
「いや、触れてますよ。ほら、指にはっきりとした感触がありますし、弾力だって」
「それはね、あなたの脳が、都合よく『触ったつもり』になっているだけなんです」
彼女はそっと自分の手を持ち上げ、僕の手の甲に重ねました。
その手もやはり、陽だまりのような温かさを帯びています。肌のきめ細かささえ感じるのに、彼女は残酷な真実を告げる教師のように、涼しい顔で続けました。
「磁石って、遊んだことありますよね? N極とN極を向かい合わせて近づけると、見えないクッションがあるみたいに反発し合って、決してくっつかないでしょう?」
「ええ、まあ……」
「私たちの体も、それと全く同じなんです。この体を構成している一番小さな粒々――原子の周りには電子が回っていて、それらはお互いに磁石みたいに強烈に反発する力を持っているんです」
彼女は、なぜ空が青いのかを幼子に説く母親のように、優しく、けれど諭すように語りかけます。
「だから、あなたが私の頬に指を伸ばして、どんなに強く押し付けても、原子レベルで見れば決して接触はしていない。本当はほんの少しだけ――目には見えないくらいの極小の隙間が空いていて、常に浮いているんです」
「浮いている……?」
「ええ。あなたが今感じている『指が触れた』という確かな感覚や、『温かい』という心地よいぬくもりは、その隙間で猛烈に反発し合っている力を、あなたの脳が『触った!』って勘違いして翻訳した、電気信号の誤読にすぎないんです」
彼女は僕の手をゆっくりと離しました。繋がっていたはずの熱が失われ、空間の冷たさが戻ってきます。彼女は悲しげに、けれど物理法則という絶対的な真理を突きつけるように断定しました。
「この世界の誰も、本当の意味で誰かに触れることはできません。
愛し合う恋人と肌を重ねて抱き合っている時も、親愛の情を込めて握手をしている時も、あるいは憎しみ合って殴り合っている時でさえも。
実はみんな、ほんの少しだけ宙に浮いていて、誰とも交わることができないんです」
僕は呆然と、自分の何もない手のひらを見つめました。
そこにはまだ、彼女の体温の余韻が残っているように感じます。
けれど、じゃあ、僕がこれまでの人生で信じ、救われてきた「人の温もり」は、全部ただの「原子の反発力」だったというのか。
僕たちは、誰かと深く繋がっているようでいて、実は見えない透明な壁に包まれた孤独なカプセルの中で、一生ひとりぼっちのまま漂っているというのか。
「……なんだか、すごく寂しい話ですね」
僕がポツリと、色のない声で言うと、彼女は不思議そうに小首を傾げました。さらりと流れる髪が、無重力の空間で美しく揺らめきます。
「そうですか? 私は、混ざり合わないからこそ、あなたが個としての『あなた』という形を保っていられるんだと思いますけど……人間って、本当にどうしようもないほど寂しがり屋さんなんですね」
その時です。
**ドォン!!**
突然、永遠に続くと思われたこの白い世界全体が、激しく揺れ動きました。
まるで天空から巨人が現れ、この空間の床を巨大なハンマーで叩きつけたような、重く、腹の底に響く衝撃。
**ドォン!! ドォン!!**
「うわっ、地震!?」
僕が平衡感覚を失ってよろめくと、次の瞬間、頭上から見えない万力で全身をギューッと押しつぶされるような、強烈な圧迫感に襲われました。
胸が苦しい。肺が押し縮められ、ミシミシと肋骨がきしむ音が、耳ではなく頭蓋骨の中に直接響いてきます。
彼女は激しく明滅し揺れる空間の中で、ひとりだけ重力から切り離されたように涼しい顔をして、何もない虚空を見上げていました。
「あら、外の世界が騒がしいですね」
「な、なんなんですか、これ! 痛い……! 苦しい……!」
「心臓マッサージですよ」
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またしても、世界を歪ませる激しい揺れ。
彼女は「大丈夫ですか?」と気遣うようなポーズを取りましたが、その鈴を転がすような声色には、焦りも心配も微塵も混じっていません。
「外の世界のお医者さんたちが、停止してしまったあなたの心臓というポンプを無理やり動かそうとして、胸を強く、何度も押しているんです。
肋骨が……あらら、今、2本折れちゃいましたね。あなたを救おうと一生懸命なのはわかりますけど、少々乱暴ですねえ」
「お、折れた……!?」
僕の体の中で現実に起きている惨劇を、彼女は「花瓶がうっかり割れちゃいましたね」くらいの、日常の些細な出来事のような調子で実況します。
「あなたの体は、まだ生きたがっていますね。
……どうします? 戻りたいですか?
あの、誰とも本当には触れ合えない、原子の隙間に隔てられた、勘違いだらけの世界に」
激しい振動と、胸を引き裂くような痛みの中で、僕は霞む視線を自分の手のひらに落としました。
さっき彼女の頬から感じた――あるいは感じたと思い込んでいた――温かさが、まだそこに残っている気がします。
たとえそれが、物理的な反発力が生み出した幻影だとしても。
脳が見せる、都合の良い夢だとしても。
「……勘違いでも」
僕は襲い来る激痛を歯を食いしばってこらえ、強く、爪が食い込むほどに拳を握りしめました。
「その勘違いを『温かい』って感じるようにできてるなら、それはそれで、悪くない仕組み(バグ)じゃないですか」
**ドォン!!**
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(第3話へ続く)
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