ミステリー研究会は、謎を解かない

Gaku

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第一部:ミステリー研究会、始動

第1話「連続プリン贈与事件と最初の影」

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六月。梅雨入りを間近に控えた空は、薄いベールのような雲に覆われ、太陽の輪郭をぼんやりと滲ませていた。アスファルトの隅で、昨日降った雨の名残が小さな水たまりとなり、揺れる柳の葉を逆さまに映している。空気は水の匂いをたっぷりと含み、生ぬるい風が吹くたび、どこかの庭先で咲き始めた梔子(クチナシ)の、噎せ返るほどに甘い香りがふわりと鼻先をかすめていった。
俺、佐藤健太(さとうけんた)、28歳。この世界に満ちる生命の息吹とはおよそ無縁の場所で、息を殺すように生きていた。
「…完了っと」
無機質なクリック音が、静寂を支配するオフィスに小さく響く。目の前のモニターに並ぶのは、色味という概念をどこかに置き忘れてきたような、黒と白と灰色のセル画。俺の仕事は、このセル画に決められた数字を打ち込み、決められた場所に保存する、ただそれだけの作業だ。創造性も、達成感も、感動もない。それはまるで、永遠に続く写経のようだった。
窓の外では、高層ビルの隙間を縫って、風に煽られた街路樹の葉が一斉に裏返り、銀色にきらめいている。あの葉の一枚一枚に葉脈が走り、光を求めて枝が伸び、根が水を吸い上げている。そんな当たり前の生命活動が、ガラス一枚隔てたこの場所からだと、ひどく遠い世界の出来事のように思えた。
オフィスの中は、一定に管理された温度と湿度、そして再生紙とインクの乾いた匂いで満たされている。聞こえるのは、サーバーの低い唸りと、キーボードを叩くリズミカルな音、そして時折誰かが淹れる、煮詰まったコーヒーの焦げた香りだけ。誰もが無駄口を叩かず、自分のディスプレイという小さな世界に没入している。まるで感情を抜き取られた標本の収蔵庫だ。
転職して三年。かつて抱いていた「東京で何かを成し遂げてやる」という青臭い野心は、日々の満員電車と、この色のないオフィス空間の中で、すっかり摩耗しきっていた。退勤時間を知らせるチャイムが鳴ると、人々は無言で席を立ち、自動人形のように同じ方向へ歩き出す。俺もその一体だった。
駅までの道すがら、夕暮れの光が雲の切れ間から漏れ、天使の梯子のように地上へ降り注いでいた。その光は、歩道脇に植えられた紫陽花の、青や紫の花びらを濡れたように照らし出し、っと息を呑むほど美しい。だが、俺の心は動かない。綺麗だとは思う。思うが、その感情は、教科書に書かれた事実を確認するような、他人事の作業に過ぎなかった。心が、乾いている。潤いが足りない。
自宅アパートのドアを開けると、しんと静まり返った闇が俺を迎えた。電気をつけると、白々とした蛍光灯の光が、生活感の希薄なワンルームを照らし出す。コンビニで買ってきた弁当を、味もよく分からないまま胃に流し込む。テレビをつければ、楽しそうなタレントたちが、俺の知らない話題で大声で笑っていた。その笑い声が、部屋の静寂を一層際立たせる。
「…何か、ないのかよ」
誰に言うでもなく、呟きが漏れた。
面白いこと。夢中になれること。この灰色の日常に、たった一滴でもいいから、鮮やかな色を落としてくれるような何か。
その衝動のままに、ノートパソコンを開いた。検索窓に、震える指で打ち込む。
『社会人サークル 東京 初心者』
表示されたのは、予想通りの結果だった。フットサル、料理教室、英会話、カメラ、ボルダリング。どれも健康的で、真っ当で、そして今の俺には眩しすぎた。汗を流し、笑顔でハイタッチを交わす自分など、到底想像できない。ページをスクロールする親指が、次第に重くなっていく。やっぱり、俺みたいな人間に合う場所なんて…。
諦めてブラウザを閉じようとした、その時だった。
検索結果の最下層、広告とも見分けがつかないような小さな文字のリンクが、目に飛び込んできた。
【お悩み、ミステリーとして解決します 影山ミステリー研究会】
「…は?」
思わず声が出た。ミステリー研究会? しかも、お悩み相談?
なんだそれは。意味が分からない。あまりの胡散臭さに、逆に目が離せなくなった。フォントは古めかしい明朝体で、まるで昭和の探偵小説のタイトルのようだ。好奇心という、乾いた心に唯一残っていた水分が、じわりと染み出すのを感じた。俺は、何かに導かれるように、そのリンクをクリックした。
表示されたウェブサイトは、俺の期待を裏切らない、凄まじい代物だった。
黒い背景に、毒々しい黄緑色の文字が踊る。90年代の個人ホームページを彷彿とさせる、チープなデザイン。ページの隅では、GIFアニメのドクロがカクカクと笑っている。あまりのセンスのなさに、逆に芸術性すら感じてしまう。
コンテンツは、ほとんどない。「活動内容」「会員募集」「アクセス」の三つだけ。
「活動内容」をクリックすると、ただ一文、『この世のあらゆる未解決事象(ミステリー)に、我々なりの答えを出す』とだけ書かれていた。
「会員募集」には、『汝、日常に飽いたる者、我らが門を叩け』と、なぜか古風な文句が。
そして、「アクセス」のページ。そこには、古びた雑居ビルの写真と、判読不明なほどに歪んだ手書きの地図が載っていた。住所は、俺のアパートから電車で三駅ほどの、少し寂れた商店街の近くだ。
「…なんだこれ」
笑いがこみ上げてきた。馬鹿馬鹿しい。ふざけているにも程がある。
だが、その馬鹿馬鹿しさが、今の俺には抗いがたい魅力に映った。フットサルで流す爽やかな汗よりも、英会話教室で交わされる知的な会話よりも、この意味不明で胡散臭い空間の方が、よっぽど俺の心を惹きつけていた。
日常に、飽いているか?
ああ、飽いている。飽き飽きしている。心の底から。
「…行ってみるか」
誰に強制されたわけでもない。ただ、この乾ききった日常に、石を一つ投げてみたくなった。どんな波紋が広がるのか、見てみたくなったのだ。

数日後の土曜日。俺は、あの怪しげな地図が示す場所へと向かっていた。
空は相変わらず薄曇りだったが、雲の隙間から差し込む陽光は、真夏を思わせる強さでじりじりと肌を焼いた。アスファルトから立ち上る陽炎が、遠くの景色を蜃気楼のように揺らしている。汗が首筋を伝い、Tシャツの襟をじっとりと湿らせた。
目的の駅で降り、古びたアーケード商店街を抜ける。魚屋から漂う潮の香りと、惣菜屋の揚げ物の匂い、そして八百屋の店先に並んだトマトの青臭い匂いが混じり合い、むっとした生活の匂いとなって鼻腔をくすぐった。アーケードの天井をカツン、カツンと叩く鳩の足音。客を呼び込む店主の掠れた声。ここはまだ、人間の営みが色濃く残っている。
地図が示すのは、その商店街の脇道を入った、さらに奥まった場所だった。
道幅は急に狭くなり、太陽の光も届きにくくなる。両脇に立つ建物の壁には、蔦が青々と茂り、その葉の間から、名前も知らない小さな白い花がいくつも顔を覗かせていた。じめっとした土の匂いと、苔の匂いが辺りに立ち込めている。ひんやりとした空気が、火照った肌に心地よかった。
そして、目的の建物は、その路地の突き当たりに、まるで主のように鎮座していた。
一階には、錆びついたシャッターが下りたままのスナック。二階には、窓に「気功」「整体」と書かれた治療院らしきテナント。そして三階。色褪せたペンキでかろうじて「貸事務所」と読めるプレートが掲げられたフロア。ウェブサイトの写真で見た、あの古びた雑居ビルに間違いなかった。
外付けの鉄階段は、人が上るたびに悲鳴のような軋み音を立てた。手すりに触れると、赤錆がぽろぽろと剥がれ落ちる。本当に、ここなのか? 今ならまだ引き返せる。俺の心の中の常識君が、けたたましく警鐘を鳴らしていた。
だが、好奇心は、恐怖に勝った。
三階の廊下は薄暗く、いくつか並ぶドアはどれも固く閉ざされている。その一番奥。一枚だけ、異彩を放つドアがあった。
古い木製のドアには、真鍮のプレートが打ち付けられている。
『影山ミステリー研究会 兼 お悩み相談室』
本当にあった。
ごくり、と喉が鳴る。心臓が、ドクドクと大きく脈打つのを感じた。
意を決して、ドアノブに手をかける。ひんやりとした金属の感触。
ギィィ、と、ホラー映画の効果音のような蝶番の音を立てて、ドアは内側へと開いた。
最初に感じたのは、匂いだった。
古い紙の匂い。埃の匂い。そして、理科室を思い出させるような、微かな薬品の匂い。それらが混じり合い、独特の空気を醸成していた。
中は、想像を絶する空間だった。
壁という壁は、天井まで届く本棚で埋め尽くされている。心理学、民俗学、犯罪史、オカルト、果ては宇宙物理学まで、そのジャンルは脈絡というものを完全に無視していた。床には読みかけの本が何冊も開かれたまま放置され、さながら本の森のようだった。
窓際のテーブルには、顕微鏡やアルコールランプ、試験管といった実験器具が並び、部屋の隅には、なぜか白衣を着た人体模型が静かに佇んでいる。その骨ばった指先には、シャーロック・ホームズが被るような鹿撃ち帽がちょこんと乗せられていた。
そして、その部屋の中心。大きなマホガニーのデスクの奥で、一人の男が、ビーカーでコーヒーを淹れていた。
白衣を羽織った、痩せぎすの男だった。年の頃は三十代半ばだろうか。無造作に伸びた黒髪の下から、鋭い光を宿した瞳がこちらを射抜く。その瞳は、すべてを見透かしているようで、同時に、何一つ見ていないようにも感じられた。
「やあ」
男が、静かに口を開いた。声は、見た目に反して穏やかで、よく通るテノールだった。
「迷える子羊だね。ようこそ、世界の謎の吹き溜まりへ」
「あ、あの…」
あまりの光景に圧倒され、俺はどもることしかできない。
「ウェブサイトを見て、来ました。佐藤と、申します」
「佐藤君か。いらっしゃい。まあ、適当なところに座ってくれたまえ。本を踏まないように気をつけて」
男はそう言うと、ビーカーから立ち上る湯気を満足げに眺め、それを一つのカップに注いだ。そして、もう一つのカップにもなみなみと注ぐと、デスクを回り込み、俺の目の前までやってきた。
「影山だ。ここの主(あるじ)だよ。これは歓迎の印だ。まあ、飲みたまえ」
差し出されたカップの中では、どす黒い液体が怪しげに揺れている。およそコーヒーとは思えない色合いだ。薬品の匂いの正体は、これか。
「……いただきます」
断れる雰囲気ではなかった。覚悟を決めて一口飲む。
瞬間、強烈な酸味と、焦げ付いたような苦味が舌を殴りつけた。まずい。言葉を失うほどに、まずい。今まで飲んだどんな液体よりも、まずい。
「どうだね? エチオピアのイルガチェフェを、私独自の製法でドリップしてみたんだが」
「は、はあ…独創的な、味ですね…」
なんとか言葉を絞り出すのが精一杯だった。影山と名乗る男は、俺の返事に満足したのか、「そうだろう、そうだろう」と頷き、自分の分をうまそうに啜っている。彼の味覚は、どうなっているんだ。
「して、佐藤君。君は一体、どんなミステリーを抱えて、この扉を叩いたんだい?」
影山は椅子に深く腰掛け、指を組んで俺をじっと見つめた。その真摯な眼差しに、俺は一瞬、言葉に詰まった。そうだ、俺は相談があってここに来たんだった。でも、改めて口に出すには、あまりにも些細で、馬鹿馬鹿しい悩みだ。
「あの…大したことじゃ、ないんですけど…」
「大したことじゃないミステリーなど、この世には存在しないよ。どんな些細な謎も、その裏には必ず、人間の愛憎や、世界の法則の歪みが隠されているものだ」
影山の言葉には、妙な説得力があった。俺は意を決して、切り出した。
「最近…冷蔵庫に、買った覚えのないプリンが、よく入っているんです」
言った後で、強烈な羞恥心がこみ上げてきた。なんだその相談は。小学生か。この怪人だらけの部屋で、俺は何を言っているんだ。
だが、影山の反応は、俺の予想とは全く違っていた。
彼は「ほう…」と深く息を吐くと、目をカッと見開いた。その瞳は、難事件に挑む名探偵のように、爛々と輝いていた。
「神出鬼没の贈り物…所有者の認知を超えて現れる甘味…それは、通称『連続プリン贈与事件(ファントム・ギフト)』だね! これは難事件の予感がするぞ!」
「い、いや、事件ってほどじゃ…」
俺の弁明は、影山の興奮の前では無力だった。彼はすっくと立ち上がると、壁にかかったホワイトボードを俺の前に突きつける。
「犯人像(プロファイル)を整理しよう! 第一に、君の家の冷蔵庫を自由に開閉できる人物。第二に、君にプリンを贈ることで、何らかのメッセージを伝えようとしている。第三に、そのことを君に気づかれていない、あるいは気づかれてもいいと思っている…。これは、歪んだ愛情表現か、それとも何かの警告か…!」
「たぶん、そんな大げさな話じゃ…」
その時だった。
バタン!!
背後のドアが、破壊するような勢いで開かれた。
「ボス! 一大事ですわ!」
飛び込んできたのは、シェイクスピアの戯曲から抜け出してきたような、妙に大げさな身振りの美女だった。ウェーブのかかった長い髪を揺らし、燃えるような瞳で影山を見つめている。
「我らが追っていた『公園の鳩、集団失踪事件』に、新たな展開が! 犯人(ホシ)は、カラスかもしれませんわ!」
「権田さん、落ち着いてください。私の最新鋭ドローン『ハトポッポ2号』によれば、西の方角に高いバード・エナジーを感知。ただし、バッテリー残量は3%…ああ、通信が…」
続いて入ってきたのは、対照的な二人組だった。一人は、Tシャツがはち切れんばかりの筋肉に身を包んだ、熊のような大男。もう一人は、フードを目深にかぶった小柄な人物で、その手には、なぜか猫耳がついたノートパソコンが抱えられていた。声は、そのパソコンから発せられている合成音声のようだ。
「なんだと!? カラスだと、麗華! 許せん! 鳩の平和を乱す奴は、この俺が許さん!」
「ああ、なんてこと! 哀れな小鳩ちゃんたちは今頃、黒い翼の悪魔の元で、冷たい鉄の籠の中に…!」
「解析結果。付近のゴミ捨て場から、大量の焼き鳥の串を発見。…これは、偽装工作の可能性アリ…」
プリン、鳩、カラス、焼き鳥の串。
俺の脳内で、意味不明な単語が渦を巻く。目の前で繰り広げられる、あまりにも濃密なカオス。俺は、手にしたままだった、地獄のようにまずいコーヒーのカップを、ただ呆然と見つめることしかできなかった。
ここは、一体、なんなんだ。
影山は、突然現れた三人の仲間を一瞥すると、悪戯っぽく口の端を吊り上げた。そして、硬直している俺に向き直り、芝居がかった口調で言った。
「紹介しよう、佐藤君。彼らが、我がミステリー研究会の誇る、優秀なる探偵諸君だ」
優秀なる、探偵諸君。
俺は、目の前のドタバタ劇を繰り広げる三人と、それを楽しそうに眺める男を見比べた。
そして、確信した。
ここは、俺の乾ききった日常を、根こそぎぶっ壊してくれる、最高の場所(あるいは、最悪の場所)に違いない、と。
ふと、視線を感じて部屋の隅に目をやった。
白衣の人体模型が立っている、その足元。本棚が作り出す深い影の、さらにその奥。
一瞬だけ、小さな女の子が、こちらをじっと見ているような気がした。黒いワンピースを着た、寂しそうな瞳の女の子が。
瞬きをした次の瞬間には、そこにはもう何もなかった。ただ、うず高く積まれた本の山と、深い影が落ちているだけだ。
「……気のせい、か」
生ぬるい風が窓の隙間から吹き込み、古い本のページの匂いを運んでくる。
俺の、非日常な日常が、今、まさに始まろうとしていた。

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