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第9話 犬飼の忠誠 -残響に寄り添う者-

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 鬼頭さんの、あまりにも壮絶な告白が終わった後、どれくらいの時間が過ぎただろうか。
 あれほど激しく窓を叩いていた雨は、いつの間にか完全に止んでいた。厚い雲の切れ間から、月が、洗い清められたかのように静かな光を地上に投げかけている。濡れたアスファルトが、その月光を鈍く反射していた。事務所の中は、深い、深い沈黙に支配されていた。それは、気まずさから来るものではなく、あまりにも大きな物語を受け止めた、敬虔な祈りのような沈黙だった。

 誰も、眠れなかった。
 ソファで、床で、あるいは椅子に座ったまま、俺たちは、それぞれの形で、夜が明けるのをただじっと待っていた。
 やがて、東の空が、深い藍色から、紫へ、そして、黎明の金色へと、ゆっくりとその色を変え始めた。雨上がりの朝の空気は、驚くほどに澄み渡っている。窓を開けると、ひんやりとした風と共に、濡れた土の匂いと、朝露に濡れた夏草の青い香りが、事務所の中へと流れ込んできた。遠くで、一番鶏だろうか、気の早い雄鶏の鳴き声が聞こえる。

 世界は、昨日と何も変わらず、新しい一日を始めようとしている。その、あまりにも穏やかで美しい日常の風景が、俺たちが今置かれている、過酷な現実とのコントラストを、より一層、際立たせていた。
 俺たちは、もう引き返せない場所まで来てしまったのだ。昨日までの、ドタバタで、どこか気の抜けた日常は、もう二度と戻ってこない。それを、誰もが理解していた。

 鬼頭さんは、窓際に立ち、昇り始めた朝日を、じっと見つめていた。その背中は、昨日までの、復讐者の重苦しいオーラとは少し違って見えた。十五年間、一人で背負い続けてきた重い荷物を、ようやく下ろすことができたかのような、どこか、憑き物が落ちたような、静かな佇まいだった。

***

 やがて、ひかりちゃんが、静かに立ち上がった。
「…皆さん、朝ごは…何か、温かいものでも、作りますね」
 その声に、俺も、はっと我に返った。そうだ。どんなにシリアスな状況でも、腹は減るのだ。
「俺も手伝うよ」
 俺は、ぎこちない体で立ち上がると、ひかりちゃんと一緒に、事務所の小さなキッチンへと向かった。

 俺たちが、簡単なスープとパンの準備をしている間、他のメンバーも、少しずつ動き始めていた。姫川さんが、犬飼さんの腕の包帯を、新しいものに巻き直している。リモートで繋がったままだった神代も、モニターの向こうで、難しい顔をしながら、何か新しい情報の分析を始めているようだった。
 そんな中、俺の視線は、自然と、一人の男に吸い寄せられていた。

 犬飼さんだ。
 彼は、鬼頭さんの告白の間も、そして今も、ほとんど表情を変えることなく、ただ静かに、鬼頭さんの少し後ろに立っていた。まるで、主君を守る、忠実な影のように。
 鬼頭さんの過去は分かった。だが、この人は? この、いつも壁や天井と交信している、ミステリアスな男は、一体、何を想い、なぜ、ここにいるのだろうか。

 俺は、温めたスープの入ったマグカップを手に、犬飼さんの元へと歩み寄った。
「…犬飼さん」
 彼は、ゆっくりと、その視線を俺に向けた。その長い前髪の隙間から覗く瞳は、古井戸の水面のように、静かで、底が見えなかった。
「昨日の話…鬼頭さんの話、聞きました。…犬飼さんは、どうして、そこまでして、鬼頭さんについていくんですか? あんたも、あの事故に巻き込まれた、被害者の一人じゃないですか」
 俺の、あまりに直接的で、不躾な質問。
 姫川さんが「おい、佐藤…」と、咎めるような視線を向ける。だが、俺は、どうしても、聞かずにはいられなかった。このチームの、もう一つの核心を知らなければ、俺は、前に進めない気がしたのだ。

 犬飼さんは、俺の問いに、怒るでも、はぐらかすでもなく、ただ、静かに、俺からスープのカップを受け取った。そして、その温かさを確かめるように、両手で、そっと包み込んだ。
「…少し、長くなりますが」
 彼は、ぽつり、ぽつりと、語り始めた。
 その声に、事務所にいた全員が、自然と、耳を傾けていた。

***

「俺は…昔から、音が、苦手でした」
 犬飼さんの、静かな告白は、そんな意外な一言から始まった。

「物心ついた頃から、人々の話し声、街の騒音、そういう、ありふれた音が、全部、針のように、俺の頭に突き刺さってくるような感覚があった。だから、人と話すのが、苦手だった。人の輪の中にいるのが、苦痛だった。…俺の世界は、いつも、ヘッドホンで遮断した、静かで、色のない、平坦な世界でした」

 彼の脳裏には、おそらく、独りで過ごした、孤独な少年時代の風景が広がっているのだろう。教室の隅で、一人、窓の外を眺める少年。誰とも目を合わせず、ただ、早く、この騒がしい場所から解放されたいと願う、青年。

「自衛隊にいたこともあります。そこなら、規律と、命令だけで、余計なコミュニケーションは必要ないと思ったから。…だが、ある海外での任務中、すぐ側で、大規模な爆発が起きた。幸い、命に別状はなかったが…その時の轟音で、俺の聴覚は、決定的なダメージを受けかけた。それ以来、俺は、さらに、音というものを、心の底から憎むようになった。そして、隊を辞め、とにかく、日本で一番、静かな職場を探した」

「そうして、たどり着いたのが…あの、『高次元周波数研究所』の、保安要員の仕事でした」
 彼は、そこで、初めて、ふっと、口元に、自嘲するような、微かな笑みを浮かべた。
「研究所は、山の中にあり、外界から遮断されていた。これ以上ないくらい、静かな場所だった。俺は、そこで、誰とも関わらず、ただ、静かに、時間が過ぎるのを待つだけの、色のない日々を送るつもりだったんです」

***

「だが…その研究所には、俺の世界にはなかったはずの、『光』と『音』が、満ち溢れていた」

 犬飼さんの瞳が、遠い過去を見つめている。
「研究者たちは、皆、夢と希望に満ちていた。彼らの語る未来は、俺には眩しすぎた。鬼頭さんは、その中心にいた。太陽のように、周りを巻き込み、照らし出す、強い光だった。俺は、そういう人間が、一番苦手だった。だから、ずっと、彼らを避けていた」

「ある日、俺が、研究所の庭で、ただ、ぼんやりと、花の手入れをしていた時でした」
 彼の声が、少しだけ、温かみを帯びた。
「そこに、彼女が、やってきたんです。…夜月小夜さんが」

 彼女は、温室から出てきたところだったらしい。その腕には、咲き誇る、真っ白なユリの花束を抱えていた。
 彼女は、俺に気づくと、太陽のような、屈託のない笑顔を向けた。

『綺麗なお花ですね。あなたが、お世話してるんですか?』
 俺は、うまく答えられず、ただ、こくりと頷くことしかできなかった。
『ありがとうございます。ここのお花、みんな、すごく元気で、嬉しいって言ってるみたい。…きっと、あなたのおかげですね』
 彼女は、そう言うと、俺の胸元に、一輪のユリを、そっと挿してくれた。
『犬飼さんの心の中にも、きっと、こんな、綺麗な花が咲いてるんですね』

「…その一言が」
 犬飼さんは、手の中のマグカップを、ぎゅっと握りしめた。
「俺の、灰色だった世界に、初めて、色が灯った瞬間でした。俺の、閉ざされた心に、初めて、美しい音が響いた瞬間だった。…俺は、生まれて初めて、守りたい、と思ったんです。この場所を。そして、ここにいる、この人たちを…」

 その声は、震えていた。
 十五年という時を経てもなお、彼の心の中で、その瞬間の感動が、鮮やかに息づいているのが、痛いほど伝わってきた。

***

「そして…あの事故が、起きた」
 犬飼さんの声が、再び、静かな、冷たいトーンに戻った。

「その日、俺は、非番でした。ですが…小夜さんに、新しい花の苗を植えるのを、手伝ってほしいと、頼まれていた。だから、俺は、研究所にいた。…彼女が、俺を、死なせないために、そこに呼んでくれたのか。それは、今となっては、もう、分かりません」

「爆発が起きた時、俺は、温室の近くにいた。爆心地から、少し離れていた。だから、即死は免れた。…だが、俺が受けたのは、物理的な衝撃だけじゃなかった」
 彼は、そっと、自らの耳に触れた。
「制御を失った、膨大なエクトが、断末魔の悲鳴を上げながら、空間を乱気流のように駆け巡った。それは、音じゃない。周波数そのものの、暴力的な奔流。その『存在の悲鳴』が、俺の聴覚を、根こそぎ作り変えてしまったんです」

「それ以来、俺には、聞こえるようになった。常人には聞こえないはずの、エクトの周波数が。物質や、空間に残った、彼らの微かな『残響』が。…俺が、いつも、壁や、天井や、何もない空間を見つめているのは、そのためです。そこから聞こえる、過去の『音』を、聞いているんです」

「瓦礫の中で、俺は、意識を失いかけていた。凄まじい残響で、頭が張り裂けそうだった。もう、ダメだと思った、その時でした。絶望の淵にいたはずの、鬼頭さんが、血まみれになりながら、俺を、瓦礫の中から、引っ張り出してくれたんです。彼は、俺を担ぎ、燃え盛る地獄の中から、命がけで、俺を助け出してくれた…」

***

「…鬼頭さんは、俺の、命の恩人です」
 犬飼さんは、そこで、初めて、鬼頭さんの方へと、まっすぐに視線を向けた。
「だが、俺が、この人の隣にいる理由は、それだけじゃない」

 彼は、静かに立ち上がると、鬼頭さんの隣に、いつものように、立った。
「あの事故の後、鬼頭さんは、生き残ってしまったことへの、途方もない罪悪感に、苛まれ続けていた。そして、彼の体には、あの地獄の『残響』が、今も、こびりついている。失った仲間たちの声、小夜さんの最後の言葉、そして、夜月の呪いのような宣言。その全てが、エクトの残響となって、今も、この人を、内側から苛んでいる」

「俺には、それが、『聞こえる』んです」

 その言葉に、俺は、ハッと息を呑んだ。
 そうか。だから、この人は、いつも、鬼頭さんの隣に。

「だから、俺は、決めたんです。あの日、瓦礫の中で。この人の隣で、この人が、たった一人で背負い続けている、痛みの残響を、共に聞き続けよう、と。いつか、その残響が、悲しみの音色ではなく、安らかな鎮魂歌に変わる、その日まで。…それが、俺が、ここにいる、ただ一つの理由です」

 それは、復讐でも、憎しみでもない。
 あまりにも、静かで、深く、そして、揺らぐことのない、絶対的な『忠誠』と、『絆』の物語だった。

 話を終えた犬飼さんは、鬼頭さんに向かって、静かに言った。
「鬼頭さん。あなたは、もう、一人じゃない。あなたの背負う痛みも、その残響も。…俺たちが、ここにいる全員で、分かち持つ」

 その言葉は、命令でも、説得でもない。ただ、事実を告げるかのような、静かな響きを持っていた。
 鬼頭さんは、何も言わずに、ただ、ぐっと、唇を噛み締めた。そして、隣に立つ、長年の相棒の肩を、力強く、一度だけ、叩いた。
 言葉は、もう、必要なかった。

 俺は、この二人の、そして、このチームの、途方もなく強く、そして優しい絆を目の当たりにして、胸が熱くなるのを、どうすることもできなかった。

「…ったく、朝から、お涙頂戴な話、聞かせやがって」
 その、あまりにも重く、神聖な空気を、破ったのは、姫川さんの、ぶっきらぼうな声だった。
 彼女は、わざとらしく、ガシガシと頭をかきながら、立ち上がった。
「感傷に浸ってんのは、ここまでだ! 敵の正体も、目的も分かったんだ。なら、やることは一つだろうが!」

 彼女は、ニヤリと、不敵な笑みを浮かべた。
「さあ、腹ごしらえは済んだか、お前ら! さっさと、夜月の野郎を、宇宙の果てまでぶっ飛ばすための、作戦会議といくぜ!」

 その、いつも通りの、しかし、力強い声に、俺たちは、ようやく、現実へと引き戻された。
 そうだ。俺たちは、ただ、悲しみに暮れるために、ここにいるんじゃない。
 戦うために、守るために、そして、未来を取り戻すために、ここにいるんだ。

 俺は、空になったマグカップを、強く握りしめた。
 夜は、明けた。
 俺たちの、本当の戦いが、今、ここから、始まる。

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