還るところのない夏の思い出の怪談集

masamasa256

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黒い携帯電話

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「……これ、血じゃないですかね」

駅前のバスロータリーのさらに先にある交番だった。入口に正対する机の向こうで、若い警官が拾得物用のジップロック袋を掲げ、中の古い携帯電話を透かして見ながらそう呟いた。
腰を浮かせ、帰ろうとしていたキムラは、中途半端な姿勢のまま固まる。

「血……ですか?」

問い返すが、警官は返事をせず、袋を光にかざしてじっと眺めている。
仕方なく、キムラは再びパイプ椅子に腰を下ろした。

「ほら、ここ」

警官は袋を机に置き、背面のバッテリーケースあたりを指さした。

携帯は黒い折り畳み式のガラケー。
バス乗り場のベンチで見つけたときも「古いな」とは思ったが、こうして蛍光灯の下で見ると、何かの遺物のように見える。
だが、血などどこにあるのだ?
中の携帯電話にも、それから外側のビニール袋にも……それらしいものは見当たらなかった。

時刻はまもなく午前零時をまわろうとしている。
仕事が長引いたのだった。残業自体が久々で、正直にいうとかなり疲れていた。思考力のほうも減衰が著しい。
駅に着いたのは十一時で、改札を抜けたところで、妻に電話をかけた。

「ごめん。今、駅。これからバスで帰るよ」

「バス?」眠たげな声だった。「もうないんじゃないかしら」

この春、夫婦で引っ越してきたマンションは、私鉄の路線が入り組んだ真ん中のあたりだったが、どの路線の駅からも歩けば三十分はかかる陸の孤島のようなところだった。近くを通るバス路線が頼りだったが、日中もそれほど多い路線ではなかった。

「……とにかく気をつけて」

と妻が言った。

急行が停まるそこそこ大きな駅だった。隣接しているバスロータリーも広々として、バスが何台も停まり、発車を待っていた。
だが、彼の使う一番端の乗り場は、乗客もなく、闇がぽっかりと沈んでいるように見えた。
惰性といえばいいのだろうか。あまり考えなしに、乗り場まで歩いてきてしまった。
時刻表の最終便は十時四十七分だった。

歩くか……。
そう考えたとき、空っぽのベンチに黒い携帯電話が置かれているのに気づいた。


交番に入ると、正対した机の向こうで警官が顔を上げた。

「どうかしましたか?」

まだ少年の面影を残す若い警官だった。制服もどこか着慣れていない印象。
キムラは携帯電話を机に置いて、経緯を説明した。

「落とし物ですかね」

警官は携帯電話を手に取って見まわした。

「それにしても、ずいぶんと古い機種ですね……。こんなの、実物で見るのははじめてかも。操作、わかるかな……」

結局、キムラが代わって、フリップを開いてみせると「すげえ」と警官は子供のように感嘆した。
液晶が点り、時刻が表示されたが、ロックがかかっている。充電は半分を切っている。
警官に頼まれて電源を切ろうとしたが、なぜか落ちない。

「申し訳ない」とキムラは謝るはめになった。

「とんでもない」と警官が慌てて手を振った。「ほんと、助かります。ご協力感謝です」

警官は屈託なく笑った。

警察学校を出たての十九歳なのかもしれない、とキムラは考えた。
果たして、十九歳の子供をこんな時間帯の交番に一人で対応させるのかはわからなかった。
パトロールで他はみな出払っているのだろうか。
机上にはグレーの電話機が入口に向かって置かれ、その前には、

《警察官がパトロール等で不在のときはこの電話をお使いください。本庁交換台につながります》

と書かれたプレートが置かれていた。
都内の交番とは思えないくらい静かだった。若い警官の肩に掛けられたトランシーバーも沈黙したままだった。

「それで──」と警官。「拾得物届を書いていただかないといけないんですが、お時間のほうは大丈夫ですか?」

「バスの最終便がもう出ちゃったあとなんで、まあ……」

とキムラは笑ってみせた。

「それはお気の毒に……お住まいはどちらになるんですか?」

キムラは地名を口にするが、若い警官は首をひねるばかりだった。警官なのに……。

「徒歩だとどのくらいかかるんですか?」

「三十分くらいかな」

「わあ、たいへんだ」

ほんとうに警官だろうか? と、書類を用意している警官を見ながらキムラはいぶかしく思う。

「どうかされました?」と警官が尋ねた。

「……妙に静かだと思って」

とキムラは慌てて言った。

「終電前の交番って、もっとなんていうんだろう、バタバタしているような印象があるもんだから」

警官が目をすっと細めた。

「いつもこんなもんですよ」と警官は吐き捨てるように言った。「ときどき、なんて言うんでしょう、世の中から忘れられたような気がして、いやな気分になってしまいます」

さきほどまでの幼そうな雰囲気は消し飛び、二十も三十も老け込んだかのようだった。
だが、それも一瞬のことだった。すぐに元の快活な笑みを浮かべて、

「それじゃあ、さっさと片付けちゃいましょうよ」

警官は『拾得物届』らしき書類を広げ、手際よく書き込んでゆく。
やがて──

「これで結構です。ご協力ありがとうございました」

警官はぺこりと頭を下げた。
キムラが腰を浮かせかけたそのとき。

「これ、血ですよね」

と警官は言った。

「血……ですか?」

「ほら、ここ」

警官は袋を机に置き、携帯の背面を指でつついた。

「……いや……何も見えませんけど」

とキムラは正直に言ってみる。

「そうですか……」

意外にもあっさり引き下がって、キムラは拍子抜けする。

「とにかく、これで結構です。ご協力ありがとうございました」

と警官はまたぺこりと頭を下げた。

立ち去りかけると、入り口の横の壁にその地区の詳細な地図が貼られているのが目に入った。キムラの住んでいる地区も当然ある。
警官のほうを見やると、机の上に両手のひらを乗せて、見下ろし、言葉にならない何かを呟いていた。
何か見てはいけないものを見たような気がして、声をかけることなく交番を出た。


バスロータリーは、すでに閑散としていた。
駅構内へ入ると、ちょうど改札から人の波が吐き出されるところだった。終電なのだろう。やがて、改札の灯りが落ちる。
駅を出たところのタクシー乗り場では行列ができていた。今が一番混雑しているのかもしれない。
道路を渡った商店街には人影もまだちらほら。
古びた飲み屋街からは笑い声やカラオケが漏れている。

やがて河川沿いの道路へ出た。片側には住宅がびっしり並んでいた。
片側一車線の道路だったが、こんな時間でも交通量は多かった。夜の寂しさよりもヘッドライトの眩しさが勝っているくらいだった。
十月に入り、夜風は肌に冷たい。

やがて歩道橋が見えてくる。終盤も終盤のこの段階で歩道橋の階段をのぼるのは億劫だったが、それ以上に、キムラはこの歩道橋が好きではない。
耐震構造を高めた設計のせいか、よく揺れるのだ。ちょっとでも大型の車両が下を通るたびにぐらぐらとなってしまい、逆に不安になってしまう。
信号のある横断歩道は、その先、かなり行かないとなかった。


三十分の徒歩。ようやくマンションに辿り着いた。
玄関の鍵を開けると、リビングには灯りがともっていた。
ソファの背から妻が顔をのぞかせた。

「遅かったわね」

「やっぱりバスがなかった」

「そう……たいへんだったわね」

妻はリモコンでテレビを消した。

「寝てればよかったのに」

「ん──」と妻があくびを噛み殺す。

彼女は看護師で、翌朝は早番のシフトのはずだ。
キッチンのテーブルには、ラップをかけた皿がいくつか並んでいた。

「ご飯、炊飯器にあるから」

立ち上がろうとする妻を制して、

「ごめん。食べてきた」

「そう……」

「明日の朝食べるよ」

「煮込みハンバーグだけど」妻が笑った。「朝からだと重すぎない?」

「いや……おいしそうだよ」キムラも笑みを見せる。「自分で冷蔵庫に入れておくから。もう寝なよ。明日も早いんだろ」

「じゃあ、お先に」

妻が寝室へ消えたあと、キムラは煮込みハンバーグを冷蔵庫に移し、炊飯器のご飯をラップして冷凍庫へ入れた。
それから洗い物。夫婦の決まりで、洗い物はキムラの役目だった。
冷蔵庫から缶ビールを取り出し、ソファに腰掛ける。リモコンでテレビをつけ、プルタブを開けた。


翌朝。目を覚ますと妻はすでに出勤していた。
冷蔵庫の扉には磁石付きのホワイトボードがある。生活リズムのずれた夫婦の伝言板だ。妻の字で、こうある。

《きょう、ゴミの日なんで おねがい》

文字をイレーサーで消し、自分の字で書き足す。

《きょうも遅くなるので、食事はいりません》

冷蔵庫から煮込みハンバーグを取り出し、ごみ袋に入れる。
食器を洗い、三角コーナーを取り替え、ごみ袋を手に玄関を出た。



その日も仕事は長引いたが、昨日よりは早い時間の電車に乗ることができた。
今日は最終のバスに間に合うだろうと考えていると、、二つ手前の駅で電車が緊急停止してしまった。
路線のどこかで信号機故障が発生したのだという。点検が終わるまで駅で待機するのだと車内放送があった。
駅間での停車で車内に閉じ込められることから比べればはるかにマシといえたが……。運がないといえば、ない。

三十分後、ようやく電車が動き出した。
駅に着いたのは十一時を過ぎていた。


タクシーを使うことも頭をよぎったが、昨日の行列を考えると、乗るまでが結構かかってしまいそうだった。
なんとなく足がまたバス乗り場のほうに向かっていた。何かあったわけではない。惰性のようなもので、結局は駅の構内に戻らなければいけないのに、何をやってるのだろうとキムラは思う。
今夜もにぎやかなバスロータリーのそこだけが閑散としていて、何か取り残されたような感があった。

キムラはスマホを取り出し、妻に電話をかけようとした。
そして……
ベンチの上に携帯電話があった。

昨日と同じく、黒い折り畳み式の古い携帯電話だった。まるで同じ機種のように見えた。あるいは……
バスロータリーの先にある交番に視線が向かうのを止めることができなかった。そこも、このバス乗り場と同じように何か取り残された場所のように見えた。引き戸のガラスからか明かりが漏れているが、中に人影は見えない。

いっそのこと、こんなもの、見なかったことにしようかとキムラは考えた。
と、その瞬間、携帯電話が鳴り出した。
反射的に飛びのいてしまった。
まるで内心を見透かされたかのようだった。

着信音は三度鳴って止んだ。
呪縛から解き放たれたように、キムラはあたりを見渡した。
いつしかバスロータリー全体に人が絶え、無人の交番だけが煌々と光を投げかけているように思えた。
キムラは自分がスマホを握りしめたままなのに気づいて、コートのポケットにおさめた。
それから、ベンチの上から黒い携帯電話をおそるおそる拾い上げた。


交番は、やはり無人だった。昨夜の警官の姿もなかった。
パトロール中なのだろうか。
パイプ椅子を引き出し、少しだけ待つことにした。

机の上に携帯電話を置いた。蛍光灯の下で見るそれは、やはりどうしても昨夜のと同じものに見えてしまう。
充電状態は満タンだった。昨夜のは、たしか半分以下の充電状態で、そうなると、どこかで充電したことになる。やはり別物だろうか。
さっぱり理解できなかった。

やはり誰も現れない。
静寂だった。交番の中はただただ静寂に満ち溢れている。携帯電話はあれから一度も鳴ることはなく、机の上に鎮座していた。

《警察官がパトロール等で不在のときはこの電話をお使いください。本庁交換台につながります》

と書かれたプレートの横の電話機を持ち上げた。ボタン等はなく、おそらく受話器を上げれば交換台にかかるのだろう。

だが……何の音もしない。
受話器を一度置いて、また持ち上げても同じだった。
故障しているのだろうか。それとも……最初からこうだったとか? ……いや、それこそ意味がわからない。
ありえもしないことをぐるぐると考えている。

このタイミングで黒い携帯電話が鳴り始めたらと考え、彼は怖じ気づいた。
怖い──
それはとても怖い。
彼の眼前で、机の上の携帯電話はなんだかその存在感を高めていくようだった。
キムラはパイプ椅子をガシャンと転がしながら、交番を飛び出した。


時刻は午前一時を過ぎていた。
駅はすでに閑散としていた。入り込んだ落ち葉が床をかさこそと転がっていた。
足早に商店街と飲み屋街を抜け、河川沿いの道路を進んだ。
自分の息遣いだけがやけに大きく聞こえた。
歩調を緩めることができなかった。
自分が何を恐れているのか、それ自体よくわからなかった。

ほどなく歩道橋に差し掛かった。
キムラは一段飛ばしで階段を駆け上がり、踊り場で膝に手をついて肩で息をついた。
ぐっしょりと汗をかいて、それが急速に冷えていった。
そのとき、携帯電話の着信音がした。
コートのポケットの中のスマホかと思って取り出したが、違っていた。そもそも着信音がスマホのそれではない。それはもっとなんというか人の悲鳴のようで……人の悲鳴? バカな。
音は鞄の中からだった。ジッパーを開けて、つかみ上げたのは、あの黒い折り畳み式の携帯電話だった。

訳がわからない──
着信音は止まず、それどころか次第に大きくなっていった。
震える手でフリップを開き、通話ボタンを押した。
聞こえてきたのは、風が吹き荒れる「ゴォォォォ……」という音だった。
ちょうど歩道橋の下を大型車が通り、床全体が揺れる。

「……イタイ、イタイ、イタイ……」

若い男の声。

「……イタイ、イタイ、イタイ……」

……昨夜の若い警官の声だった。

「イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ……」

同じ言葉が繰り返される。

「もしもし! どうしたんですか! そこはどこなんです!」

「イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ……」

ふいに、携帯電話を握る手にぬるりとした感触が広がった。
街灯の下で、赤黒い液体がバッテリーケースの隙間から滴っているのが見えた。──血だ。
終話ボタンを何度も押すが切れない。
思い余ってバッテリーカバーを外すと、ドバッと血が噴き出した。
臓物を掴んだような、ねっとりとした感触だった。
バッテリーを抜いても、なお声は続いた。

「イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ……」

音は……声は、さらに大きくなっていく。

携帯電話を床に叩きつけた。黒いそれは跳ね上がり、欄干をすり抜け、道路へ落ちた。
舗装を転がりながら、なお声は聞こえた。

「イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ……」

そこへ一台のトラックが通過し、ぐしゃりと踏み潰した。
その瞬間、「ギャアアアアアアアアアアアッ!」という声が聞こえた……ような気がした。気のせいかもしれない。よくわからなかった。


キムラは鞄を抱えて走った。
何度も振り返りながら、荒い息を吐き、ようやくマンションに辿り着く。
鍵を掛け、普段は使わないチェーンロックまでかける。

……部屋は真っ暗だった。
妻の名を呼ぶ。返事はない。寝てるのだろうか? なら、なんで起きてこない?
手探りで照明のスイッチを押した。

目に飛び込んできたのは、スイッチに付着した血痕だった。壁をまさぐった跡にも赤黒い染みがあった。
両手を見下ろすと、乾きかけの血がべっとりと張りついている。
総毛立ちながら流しへ向かう。

そこで、冷蔵庫のホワイトボードが目に入った。
びっしりと書きなぐられた文字が何行も続き、ボードの端を越えて冷蔵庫の扉にまで広がっている。

「イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ……」

キムラはそのまま床にくずおれた。

どこかで携帯電話の着信音が、小さく鳴り始めた。
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