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第2章 学舎と友
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しおりを挟む「マリア様、お食事は少し召し上がれますか?」
メアリーは寝台に横になっているマリアが
起きたのを確認してそう聞いた
マリアは少し考え、小さく頷く
メアリーはマリアの体を少し支えながら優しく起こした
「無理に全部お食べにならなくて良いですからね」
と野菜が細かく入ったスープを小さなトレーに乗せて
マリアに渡した
マリアはそのスープの匂いを嗅いで
「お母様のスープ‥」
と言った
「そうですよ、奥様がマリア様の為に
朝から作っておられました」
それを聞いてマリアはスプーンを持ち、一口、口に運んだ
「お母様の味ね‥」
と嬉しそうに笑った
スープを半分食べた時、コンコンとドアが鳴った
メアリーがドアを開けると、他のメイドが
花瓶に入った赤く色付くの花を持ってきた
「マリア様に王太子様からの贈り物だそうです」
嬉しそうに言うメイド
「赤いゼラニウムですね」
とメアリーは寝台のそばにある棚に置いた
「レオン様から‥」
赤いゼラニウムの花言葉は"君ありて幸福"
小さな事にも自分を気遣ってくれるレオンにマリアは
「私は今までレオン様に何もあげれていないわ‥」
とぽつりと言う
それを聞いたメアリーはマリアの手にあるトレーを取り
「早く良くなってお元気な姿を見せてあげることが
レオン様は1番喜ばれると私は思いますよ」
マリアはあの時の事を思い出す
"君が生まれ時から僕の好きな子は決まっていたよ"
でも同時に令嬢達が言っていた言葉も思い出した
"ベルナール家に女の子が生まれたから白紙にされた"
「(もし、生まれていなければレオン様の隣にいたのは
私ではなく、ローズ様だったのかな‥)」
マリアは胸が締め付けられるように苦しかった
「メアリー‥っ」
ぽろぽろと涙を溢すマリア
メアリーはマリアのそばに座り、優しくマリアを抱きしめ
「マリア様、大丈夫ですよ。
もう少しお休みになりましょうか」
とマリアの背中をポンポンとしてマリアを寝かせた
ーーーーーーー
メアリーはマリアが寝息を立たのを確認して
静かに部屋を出た
部屋の前にはアレンがいた
「寝たか?」
「はい」
そう言ったアレン
「マリア様はまだ子供でいらっしゃいます
だから心がまだ追いついていないんでしょう」
「レイチェル嬢がマリアを案じてここに来た日の事を
言っているのか?」
アレンはメアリーを見ていった
マリアが熱を出した翌日レイチェルが
ベルナール公爵家に訪れた
最初は心配をして来たのかと思っていたアレン
談話室に案内したレイチェルが何か他の事を言いたそうに
していたのをアレンは尋ねた
「何か気になることが‥?」
レイチェルはえ、と驚いた様子のあと周りで
配給をするメイドをちらっと見た
「(メイド達がいると話せないのか‥
まぁメイドに聞かれても面倒だな)」
アレンはメイドに
「メアリーを呼んできてくれ。
その後は他の仕事に戻っていい」
そう言うとメイドは素直に部屋を出た
「あ、あの!メアリーと言う人は‥」
「メアリーはマリアの専属侍女だよ
マリアの事は1番知ってるし、口も堅いから
安心していいよ」
「そうなんですね‥」
とレイチェルは言った
しばらくしてコンコンと鳴った
「どうぞ」
失礼します と一白置いてメアリーが入ってきた
「メアリー、こちらの御令嬢はマリアのご学友
レイチェル・クライスだよ」
「マリア様からお名前と仲良くしてくださっている事は
毎日聞いています。侍女のメアリーと申します」
丁寧にお礼をするメアリーにレイチェルは
慌てて席を立ち、自己紹介をした
「さてと、レイチェル嬢」
レイチェルがビクッとした
それを見たアレンは
「僕はそんな君を取って食べたりはしないから
そんな緊張しないで」
と笑った
アレンは本当にあの時のレイチェルと同一人物なのか
と可笑しくなった
「いえ!そんな事、思ってもないです、はい」
挙動不審で少し言葉がおかしくなるレイチェル
「君は変わってるね、他の令嬢とは何か違うよ」
と紅茶を飲むアレン
「へ、へ、変ですか⁉︎確かにお母様には
落ち着きがないってよく叱られて‥」
レイチェルがそう言い終わる前にアレンの
大きな笑いが聞こえた
「え‥?」
レイチェルは目の前で大笑いするアレンを
驚いた目で見た
「アレン様。レイチェル様が驚いてますよ」
メアリーが無表情で言った
「はー‥ごめんごめん、面白いわ」
面白い‥?と頭にハテナマークが付いたレイチェル
「はぁーおかし。僕、嫌いじゃないよ君」
そう言ったアレンにレイチェルは顔を真っ赤にした
レイチェルはしばらく無言でいたが
小さく何かを言い始めた
「アレン様、あの時‥カレッジのパーティーで
マリアが様子がおかしかったのにはお気づきに
なられてますか?」
と言った
「いや‥でも普通ではなかったのはわかる」
「‥‥こんな事マリアがいない時に言っていいのか
わからないですけど‥マリアがかわいそうで‥」
「かわいそう‥?とは」
レイチェルは自分の服をぎゅっとした
「マリアが聞いたそうです。他の御令嬢達が
話をされているのを」
「話を?」
「はい。レオン様とローズ様の事で」
アレンは何かに気づいた様子だった
「マリアがそう言ったのかい?」
こくんと頷くレイチェル
「マリアが生まれる前に‥お2人は婚約者だったと
でもベルナール公爵家にマリアが生まれた時に
決まっていた話が白紙に戻され、昔からの決まり通り
マリアは王太子様の婚約者になったって」
アレンはハァとため息をついた
「まさか、あの時にそんな話を聞いていたなんて
そりゃ寝込むわ」
と言って
「その話をレオンには?」
「言ってません、多分知らないはずです。
あの時マリアから聞いたのは私だけだと」
「レオンには言わないで欲しい。
聞いたらレオンはその令嬢達に何をするか」
レイチェルは驚いた
「酷い事はしないだろうけどまぁ‥カレッジには
もう入れないだろね」
と笑うアレン
レイチェルはレオンを怒らせる事は絶対にしないと誓う
「ベルナール家はね、先先代のお爺様の時から
もう100年以上女児が授からなかったんだ」
アレンが話始めた
「それで母上が父上と婚姻をして僕が生まれ
2年後にマリアが生まれた。未熟児としてね」
レイチェルは静かに聞いていた
「当時医者には長くは生きれないだろうと言われ
母上は憔悴しきっていたと聞いた。
同時にごめんなさいと父上に謝っていたらしい
でも母上は乳母に預けず自分で何もかも世話をして
マリアを育てた。その甲斐あってかマリアが一歳の時
医者はもう心配ないと判断をした。
だから正式にはマリアが生まれたから
白紙に戻った訳ではなく当時王家と何かあって
話がなくなっただけで本当に婚約をしていた事実もないと
レオンからも父上や陛下からも僕は聞いている」
「‥‥」
「ベルナールはマリアを元々王家に
嫁がせる気はなかったんだよ
レイチェル嬢、君は貴族に生まれ政略結婚が
普通の時代に運命の相手がいると思うかい?」
アレンはレイチェルを見て言った
「‥絶対とは言えませんが難しいですよね」
「でもマリアとレオンは違う
あの2人はお互いを誰だか知る前に出会っている
2回もだよ?信じられる?」
「2回ですか?」
「あぁマリアはまだ赤子だったから確実に覚えて
いないだろうけどレオンも4才になる前だったから
覚えていないだろ‥僕も母上に聞いただけだしね」
マリアが2才になる少し前に国王陛下夫妻に親友として
顔を見せにきた時、眠るマリアを王室のメイドに預けて
しばらくしてマリアの泣き声がして部屋に行くと
レオンがマリアをあやしていた姿を見て両家は正式に
マリアをレオンの相手にと了承した
そんな話を聞いたレイチェルは
「マリアには王太子様以上のお相手はいないんですね」
嬉しそうに笑って言った
「それはレオンもだよ。知ってか知らずしてか
レオンはマリアにベタ惚れだしね」
ふふふと笑うレイチェル
「レオンも奥手だし、マリアを大事にし過ぎたせいか
また手しか握ってないからなぁ‥なぁメアリー」
「はい」
そんなのをなんでこの2人は知っているんだろと
疑問に思うレイチェルだった
ーーーーーーー
「長々とお邪魔致しまして、ありがとうございました」
レイチェルは見送ってくれるアレンとメアリーに
お礼をした
「僕も引き止めて悪かったね」
「いえ、色んなお話もできて楽しかったです」
と笑うレイチェル
「またマリアがカレッジに行き始めた時は宜しくね」
とアレンは言って
「はい!楽しみに待ってます、じゃあ家の者を
待たせてるのでこれで‥」
と運転手が待っている車に行こうとしたレイチェル
「あ、忘れものだよ」
アレンが声を掛けてレイチェルが振り返ると
アレンの顔が近くにあり同時に頬にキスをされた
「僕の忘れもの」
と美しく笑うアレンにレイチェルは
「あ、あ、よかったですーー‼︎‼︎」
とよくわからない言葉を言いながら車に乗り込んだ
でも車の中で小さく赤い顔をしながら手を振っていた
アレンはその姿にウブで可愛いなぁと笑っていた
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