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天に吠える狼少女
第三章 自然と共に生きる者達・14
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「なんだ姉ちゃん、虫は駄目か」
料理を押しやりつつ、セラの隣に腰を下ろす一人の狼人族。
「殻が牙の隙間に引っ掛かるのが難点だが、味はけっこういけるんだ」
そう言って二、三個むんずと掴むと口に放り込む。打楽器の音色にバリバリという咀嚼音が混じってセラは口元を抑えた。隠しているのは笑顔ではなく吐き気だろう。
「それにしても、姉ちゃん人間の中でもかなり美人だろ?俺はそういうとこ分かるんだ。姉ちゃんがいるなら俺は“勇者特区”に行ってもいい」
「あんたは乳とケツがデカけりゃ顔なんて二の次だろ!」
「違ぇねぇ!」
ディナとのやりとりを見るに、どうやら最初に出会った警備の狼人族らしい。まだセラには狼人族の顔の区別はつかない。
「――そんな理由で、命を賭けるの?」
別段深く考えた発言ではなかった。なんとなしに口から零れた疑問。
「たいした理由じゃねぇってか?そうでもねぇさ!俺は人間ともっと仲良くしてぇとずっと思ってたのさ。せっかく同じ言葉を理解して、話し合いができるんだ。仲良くしなきゃ損だろ?それに、この集落の雌にゃあ俺に相応しいやつはいないようだ。だから探しに行かねぇとな」
その言葉を聞いたセラはとても大きな感慨を覚えた。
大陸全土に信者を持つローティス教の教皇が魔族を保護している。そう聞いた時はとても驚いた。ユウ以外にも魔族と親しくしようと思っている者がいたのかと。そして今回は、魔族の中にも人間と親しくしたいと思っている者がいることに驚いた。自分の中の、人間と魔族は憎しみ合うものであるという常識が次々と覆っていく。
ユウが現れたことで、知らなかったものがどんどん姿を現していった。見えなかったものが見えるようになっていく。この世界は、セラが思っていた以上に温かな感情で溢れているのかもしれない。それを異世界からやってきた少女が教えてくれる。
「ばーか。なぁにが相応しいやつはいないようだ、だ。てめぇが皆のケツ触りすぎて愛想尽かされてんだよ」
半眼のディナの視線を受けて、狼人族が声を上げて笑う。
釣られるようにセラも唇に微笑を浮かべた。
「村の雌共の見る目がねぇんだよ。どうだい姉ちゃん。人間の雄より俺はよっぽど魅力的だろ?」
そういって狼人族はたくましい身体を見せつけるようにポーズをとる。それを見て、人間の雄ならば容易く魅了される微笑みを浮かべたまま、セラは一言。
「虫を食べる人はちょっと……」
料理を押しやりつつ、セラの隣に腰を下ろす一人の狼人族。
「殻が牙の隙間に引っ掛かるのが難点だが、味はけっこういけるんだ」
そう言って二、三個むんずと掴むと口に放り込む。打楽器の音色にバリバリという咀嚼音が混じってセラは口元を抑えた。隠しているのは笑顔ではなく吐き気だろう。
「それにしても、姉ちゃん人間の中でもかなり美人だろ?俺はそういうとこ分かるんだ。姉ちゃんがいるなら俺は“勇者特区”に行ってもいい」
「あんたは乳とケツがデカけりゃ顔なんて二の次だろ!」
「違ぇねぇ!」
ディナとのやりとりを見るに、どうやら最初に出会った警備の狼人族らしい。まだセラには狼人族の顔の区別はつかない。
「――そんな理由で、命を賭けるの?」
別段深く考えた発言ではなかった。なんとなしに口から零れた疑問。
「たいした理由じゃねぇってか?そうでもねぇさ!俺は人間ともっと仲良くしてぇとずっと思ってたのさ。せっかく同じ言葉を理解して、話し合いができるんだ。仲良くしなきゃ損だろ?それに、この集落の雌にゃあ俺に相応しいやつはいないようだ。だから探しに行かねぇとな」
その言葉を聞いたセラはとても大きな感慨を覚えた。
大陸全土に信者を持つローティス教の教皇が魔族を保護している。そう聞いた時はとても驚いた。ユウ以外にも魔族と親しくしようと思っている者がいたのかと。そして今回は、魔族の中にも人間と親しくしたいと思っている者がいることに驚いた。自分の中の、人間と魔族は憎しみ合うものであるという常識が次々と覆っていく。
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「ばーか。なぁにが相応しいやつはいないようだ、だ。てめぇが皆のケツ触りすぎて愛想尽かされてんだよ」
半眼のディナの視線を受けて、狼人族が声を上げて笑う。
釣られるようにセラも唇に微笑を浮かべた。
「村の雌共の見る目がねぇんだよ。どうだい姉ちゃん。人間の雄より俺はよっぽど魅力的だろ?」
そういって狼人族はたくましい身体を見せつけるようにポーズをとる。それを見て、人間の雄ならば容易く魅了される微笑みを浮かべたまま、セラは一言。
「虫を食べる人はちょっと……」
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