異世界魔物大図鑑 転生したら魔物使いとかいう職業になった俺は、とりあえず魔物を育てながら図鑑的なモノを作る事にしました

おーるぼん

文字の大きさ
120 / 515
二章 〜下級魔物使い〜

五十八話 約束

しおりを挟む
簡単なあらすじ『クボタさんの身体を乗っ取った(?)自称神様はドラゴンゾンビとの約束を果たすそうです』



ドラゴンゾンビを前にして、自称神様は身構える。

今こそ、彼等のした約束を果たす時なのだ。

『あの魔物がドラゴンゾンビとなった時、自称神様の手で殺してやる』というようなものであるらしき、約束を……

そんな自称神様の背後で半透明な姿となってしまっている俺は、彼の背中を見ている事しか出来ないでいた。

というか、何かしたくても本当に何も出来ないのだ。
こうなってから何故か、身体があまり自由に動かせないのだから。

荒野に風が吹き、俺の頬をそれに誘われた枯れ草達がすり抜けてゆく。

ついた尻の下にある植物はそれがまるで存在していないかのように、しっかりとその葉先を太陽に伸ばしていた。

やはり……
もしかすると俺は……ただ単に半透明になったのではなく、身体を失い幽体のような状態となってしまっているのかもしれない。

それで身体が動かせないのかも……
まあ、いくら考えた所で〝やった本人〟でない俺に答えが導き出せるはずもない、か……

「待たせたね、アルバァーク。
苦しい想いをさせてごめん。

今すぐに、楽にしてあげるからね……」

自称神様はそう言う。

背筋を伸ばして脚を前後に開き、両の腕を前に差し出す。彼は今、そのような格好で意識を集中させている……ように見えた。

あれは剣士のする構えであろう、刀などは持っていないが……ならコイツは一体、どうやってドラゴンゾンビに攻撃する気でいるのだろう?

〝頼む……英雄よ〟

それを見たドラゴンゾンビは言う。

そういえば、この声を聞いても頭痛が起こらなくなった。ならこれはほぼ間違いなく〝こうなった〟お陰、なのであろう。


模造・究極剣 イミテーション・エクスカリバ


ドラゴンゾンビに頷いた後、自称神様は呪文のような言葉を呟く。

すると彼の手に、光輝く棒状のものが出現した。
なるほど。これが出せるからアイツは何も持たずに構えていたのか。

そしてそれが現れた途端、荒野には無数の稲妻が流れ落ち、強風が巻き起こった。

何と言う事だ……
あの剣のようなもの……いや、自称神様は。

アイツは、これ程までの力を持っていたと言うのか……

「うわっ!?」

突如、周囲の光景に驚くばかりであった俺に異変が起こった。

身体が宙に浮かび上がったのだ。
それも、俺の意思とは関係なしにだ。

「え!?アレ!?何で!?」

しかもそれだけではなく、ゆっくりとだが俺の身体は上昇を続けていた。

その上昇は天めがけ真っ直ぐに、である。
だからこの強風で浮かび上がったワケではないのだろうが……全く、ワケが分からない。

流石に焦った。
しかし、どう足掻いてもそれは止まる気配がない。

とはいえ何もせずにいるのも落ち着かず、俺はただひたすらに、無意味に、中空で手足をばたつかせていた。

その時、まるで破裂音のような、これまた凄まじい音が大地に響き渡った。

自称神様が攻撃を放ったのだ。
今、彼はドラゴンゾンビの背後にいる。

それを喰らったドラゴンゾンビの腹には、大穴が空いていた。恐らく、自称神様の一撃でそれは作られたのだろう。

〝ありがとう、我らが英雄よ……〟

ドラゴンゾンビは満足げな様子で最後にそう言うと、ボロボロと崩れゆく自らの肉体を一瞥した後、上空を見上げた。

そして、その様子を見ていた俺と目が合った。

〝いけない……!誰か彼を!〟

「あっ!クボタさん!!」

一人と一匹は空高くでじたばたとしている俺に漸く気が付いたようだ。

ならばもうじき自称神様が助けに来てくれるだろう。
姿は違えど、空を飛ぶ事くらい容易いはずだ。普段いつもそうしているのだからな。アイツは。

ただ、あのアルバァークとか言う名前のドラゴンの最期を邪魔したのは申し訳ないと思うが……

しかし、こっちもこのままだとヤバい……かもしれなかったのだ。仕方あるまい。

とにかく、助かった……

そう思っていた時だった。

「ぐっ……ああぁあああ!!」

すぐさま救出に来、軽口を叩くとばかり思っていた自称神様が……苦痛に顔を歪め、左右の腕をボトリ、と地面に落下させたのだ。

「な!?お、おい!!大丈夫か!?」

俺自身大丈夫ではない状況……なのであろうが、そう叫ばずにはいられなかった。

いや、むしろ自称神様の今の様子を見れば誰でもそうするはずだ。

〝私のために、そこまで……しかし、このままでは彼が〟

「ハァ、ハァ……大丈夫。〝アイツ〟は、僕がこうなった時の保険で来てくれたんだからね」

〝そうか……彼もいるのか。なら心配はいらないな。ク……よ。二つ程頼みがある。私が礼を言っていたと、アレに伝えておいてくれないか?後一つは……いや、それは私から……〟

苦しそうな表情の自称神様とドラゴンゾンビが何か会話しているのが見える。その内容までは聞き取れなかったが。

その後すぐにドラゴンゾンビは灰となり、風に吹かれて消えていった。

最期に魔物は、俺を見ていた。
それが何を意味するのかは、分からない……

というか、それを考える余裕は今の俺にはなかった。

(もしかしたら俺は……)

ドラゴンゾンビはこの世を去り、自称神様はあのような姿となってしまった。だとすれば、俺を助けられる者はもう、ここにはいない。

俺もアルバァークのようにこのまま、消えてしまうのだろうか……


〝間に合ったようだな〟


すると当然、背後から何者かの声が聞こえた。

それを聞いた俺が振り返ると、そこには…………巨大な魔物がいるではないか。

そして、それは俺に向け……これまた大きな口を開けて迫っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした

渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞! 2024/02/21(水)1巻発売! 2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!) 2024/12/16(月)3巻発売! 2025/04/14(月)4巻発売! 応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!! 刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました! 旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』 ===== 車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。 そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。 女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。 それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。 ※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情され、異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

処理中です...