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二章 〜下級魔物使い〜
五十八話 約束
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簡単なあらすじ『クボタさんの身体を乗っ取った(?)自称神様はドラゴンゾンビとの約束を果たすそうです』
ドラゴンゾンビを前にして、自称神様は身構える。
今こそ、彼等のした約束を果たす時なのだ。
『あの魔物がドラゴンゾンビとなった時、自称神様の手で殺してやる』というようなものであるらしき、約束を……
そんな自称神様の背後で半透明な姿となってしまっている俺は、彼の背中を見ている事しか出来ないでいた。
というか、何かしたくても本当に何も出来ないのだ。
こうなってから何故か、身体があまり自由に動かせないのだから。
荒野に風が吹き、俺の頬をそれに誘われた枯れ草達がすり抜けてゆく。
ついた尻の下にある植物はそれがまるで存在していないかのように、しっかりとその葉先を太陽に伸ばしていた。
やはり……
もしかすると俺は……ただ単に半透明になったのではなく、身体を失い幽体のような状態となってしまっているのかもしれない。
それで身体が動かせないのかも……
まあ、いくら考えた所で〝やった本人〟でない俺に答えが導き出せるはずもない、か……
「待たせたね、アルバァーク。
苦しい想いをさせてごめん。
今すぐに、楽にしてあげるからね……」
自称神様はそう言う。
背筋を伸ばして脚を前後に開き、両の腕を前に差し出す。彼は今、そのような格好で意識を集中させている……ように見えた。
あれは剣士のする構えであろう、刀などは持っていないが……ならコイツは一体、どうやってドラゴンゾンビに攻撃する気でいるのだろう?
〝頼む……英雄よ〟
それを見たドラゴンゾンビは言う。
そういえば、この声を聞いても頭痛が起こらなくなった。ならこれはほぼ間違いなく〝こうなった〟お陰、なのであろう。
「模造・究極剣」
ドラゴンゾンビに頷いた後、自称神様は呪文のような言葉を呟く。
すると彼の手に、光輝く棒状のものが出現した。
なるほど。これが出せるからアイツは何も持たずに構えていたのか。
そしてそれが現れた途端、荒野には無数の稲妻が流れ落ち、強風が巻き起こった。
何と言う事だ……
あの剣のようなもの……いや、自称神様は。
アイツは、これ程までの力を持っていたと言うのか……
「うわっ!?」
突如、周囲の光景に驚くばかりであった俺に異変が起こった。
身体が宙に浮かび上がったのだ。
それも、俺の意思とは関係なしにだ。
「え!?アレ!?何で!?」
しかもそれだけではなく、ゆっくりとだが俺の身体は上昇を続けていた。
その上昇は天めがけ真っ直ぐに、である。
だからこの強風で浮かび上がったワケではないのだろうが……全く、ワケが分からない。
流石に焦った。
しかし、どう足掻いてもそれは止まる気配がない。
とはいえ何もせずにいるのも落ち着かず、俺はただひたすらに、無意味に、中空で手足をばたつかせていた。
その時、まるで破裂音のような、これまた凄まじい音が大地に響き渡った。
自称神様が攻撃を放ったのだ。
今、彼はドラゴンゾンビの背後にいる。
それを喰らったドラゴンゾンビの腹には、大穴が空いていた。恐らく、自称神様の一撃でそれは作られたのだろう。
〝ありがとう、我らが英雄よ……〟
ドラゴンゾンビは満足げな様子で最後にそう言うと、ボロボロと崩れゆく自らの肉体を一瞥した後、上空を見上げた。
そして、その様子を見ていた俺と目が合った。
〝いけない……!誰か彼を!〟
「あっ!クボタさん!!」
一人と一匹は空高くでじたばたとしている俺に漸く気が付いたようだ。
ならばもうじき自称神様が助けに来てくれるだろう。
姿は違えど、空を飛ぶ事くらい容易いはずだ。普段いつもそうしているのだからな。アイツは。
ただ、あのアルバァークとか言う名前のドラゴンの最期を邪魔したのは申し訳ないと思うが……
しかし、こっちもこのままだとヤバい……かもしれなかったのだ。仕方あるまい。
とにかく、助かった……
そう思っていた時だった。
「ぐっ……ああぁあああ!!」
すぐさま救出に来、軽口を叩くとばかり思っていた自称神様が……苦痛に顔を歪め、左右の腕をボトリ、と地面に落下させたのだ。
「な!?お、おい!!大丈夫か!?」
俺自身大丈夫ではない状況……なのであろうが、そう叫ばずにはいられなかった。
いや、むしろ自称神様の今の様子を見れば誰でもそうするはずだ。
〝私のために、そこまで……しかし、このままでは彼が〟
「ハァ、ハァ……大丈夫。〝アイツ〟は、僕がこうなった時の保険で来てくれたんだからね」
〝そうか……彼もいるのか。なら心配はいらないな。ク……よ。二つ程頼みがある。私が礼を言っていたと、アレに伝えておいてくれないか?後一つは……いや、それは私から……〟
苦しそうな表情の自称神様とドラゴンゾンビが何か会話しているのが見える。その内容までは聞き取れなかったが。
その後すぐにドラゴンゾンビは灰となり、風に吹かれて消えていった。
最期に魔物は、俺を見ていた。
それが何を意味するのかは、分からない……
というか、それを考える余裕は今の俺にはなかった。
(もしかしたら俺は……)
ドラゴンゾンビはこの世を去り、自称神様はあのような姿となってしまった。だとすれば、俺を助けられる者はもう、ここにはいない。
俺もアルバァークのようにこのまま、消えてしまうのだろうか……
〝間に合ったようだな〟
すると当然、背後から何者かの声が聞こえた。
それを聞いた俺が振り返ると、そこには…………巨大な魔物がいるではないか。
そして、それは俺に向け……これまた大きな口を開けて迫っていた。
ドラゴンゾンビを前にして、自称神様は身構える。
今こそ、彼等のした約束を果たす時なのだ。
『あの魔物がドラゴンゾンビとなった時、自称神様の手で殺してやる』というようなものであるらしき、約束を……
そんな自称神様の背後で半透明な姿となってしまっている俺は、彼の背中を見ている事しか出来ないでいた。
というか、何かしたくても本当に何も出来ないのだ。
こうなってから何故か、身体があまり自由に動かせないのだから。
荒野に風が吹き、俺の頬をそれに誘われた枯れ草達がすり抜けてゆく。
ついた尻の下にある植物はそれがまるで存在していないかのように、しっかりとその葉先を太陽に伸ばしていた。
やはり……
もしかすると俺は……ただ単に半透明になったのではなく、身体を失い幽体のような状態となってしまっているのかもしれない。
それで身体が動かせないのかも……
まあ、いくら考えた所で〝やった本人〟でない俺に答えが導き出せるはずもない、か……
「待たせたね、アルバァーク。
苦しい想いをさせてごめん。
今すぐに、楽にしてあげるからね……」
自称神様はそう言う。
背筋を伸ばして脚を前後に開き、両の腕を前に差し出す。彼は今、そのような格好で意識を集中させている……ように見えた。
あれは剣士のする構えであろう、刀などは持っていないが……ならコイツは一体、どうやってドラゴンゾンビに攻撃する気でいるのだろう?
〝頼む……英雄よ〟
それを見たドラゴンゾンビは言う。
そういえば、この声を聞いても頭痛が起こらなくなった。ならこれはほぼ間違いなく〝こうなった〟お陰、なのであろう。
「模造・究極剣」
ドラゴンゾンビに頷いた後、自称神様は呪文のような言葉を呟く。
すると彼の手に、光輝く棒状のものが出現した。
なるほど。これが出せるからアイツは何も持たずに構えていたのか。
そしてそれが現れた途端、荒野には無数の稲妻が流れ落ち、強風が巻き起こった。
何と言う事だ……
あの剣のようなもの……いや、自称神様は。
アイツは、これ程までの力を持っていたと言うのか……
「うわっ!?」
突如、周囲の光景に驚くばかりであった俺に異変が起こった。
身体が宙に浮かび上がったのだ。
それも、俺の意思とは関係なしにだ。
「え!?アレ!?何で!?」
しかもそれだけではなく、ゆっくりとだが俺の身体は上昇を続けていた。
その上昇は天めがけ真っ直ぐに、である。
だからこの強風で浮かび上がったワケではないのだろうが……全く、ワケが分からない。
流石に焦った。
しかし、どう足掻いてもそれは止まる気配がない。
とはいえ何もせずにいるのも落ち着かず、俺はただひたすらに、無意味に、中空で手足をばたつかせていた。
その時、まるで破裂音のような、これまた凄まじい音が大地に響き渡った。
自称神様が攻撃を放ったのだ。
今、彼はドラゴンゾンビの背後にいる。
それを喰らったドラゴンゾンビの腹には、大穴が空いていた。恐らく、自称神様の一撃でそれは作られたのだろう。
〝ありがとう、我らが英雄よ……〟
ドラゴンゾンビは満足げな様子で最後にそう言うと、ボロボロと崩れゆく自らの肉体を一瞥した後、上空を見上げた。
そして、その様子を見ていた俺と目が合った。
〝いけない……!誰か彼を!〟
「あっ!クボタさん!!」
一人と一匹は空高くでじたばたとしている俺に漸く気が付いたようだ。
ならばもうじき自称神様が助けに来てくれるだろう。
姿は違えど、空を飛ぶ事くらい容易いはずだ。普段いつもそうしているのだからな。アイツは。
ただ、あのアルバァークとか言う名前のドラゴンの最期を邪魔したのは申し訳ないと思うが……
しかし、こっちもこのままだとヤバい……かもしれなかったのだ。仕方あるまい。
とにかく、助かった……
そう思っていた時だった。
「ぐっ……ああぁあああ!!」
すぐさま救出に来、軽口を叩くとばかり思っていた自称神様が……苦痛に顔を歪め、左右の腕をボトリ、と地面に落下させたのだ。
「な!?お、おい!!大丈夫か!?」
俺自身大丈夫ではない状況……なのであろうが、そう叫ばずにはいられなかった。
いや、むしろ自称神様の今の様子を見れば誰でもそうするはずだ。
〝私のために、そこまで……しかし、このままでは彼が〟
「ハァ、ハァ……大丈夫。〝アイツ〟は、僕がこうなった時の保険で来てくれたんだからね」
〝そうか……彼もいるのか。なら心配はいらないな。ク……よ。二つ程頼みがある。私が礼を言っていたと、アレに伝えておいてくれないか?後一つは……いや、それは私から……〟
苦しそうな表情の自称神様とドラゴンゾンビが何か会話しているのが見える。その内容までは聞き取れなかったが。
その後すぐにドラゴンゾンビは灰となり、風に吹かれて消えていった。
最期に魔物は、俺を見ていた。
それが何を意味するのかは、分からない……
というか、それを考える余裕は今の俺にはなかった。
(もしかしたら俺は……)
ドラゴンゾンビはこの世を去り、自称神様はあのような姿となってしまった。だとすれば、俺を助けられる者はもう、ここにはいない。
俺もアルバァークのようにこのまま、消えてしまうのだろうか……
〝間に合ったようだな〟
すると当然、背後から何者かの声が聞こえた。
それを聞いた俺が振り返ると、そこには…………巨大な魔物がいるではないか。
そして、それは俺に向け……これまた大きな口を開けて迫っていた。
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