130 / 515
二章 〜下級魔物使い〜
六十八話 いびつな足音
しおりを挟む
簡単なあらすじ『夢の中(?)でアルヴァークと約束をし、クボタさんは彼と別れました……』
長いような、短いような。
そんな夢から覚めた俺は、何処かの部屋の中にいた。
「ん?……ここは……あれっ!?」
覚醒した俺はすぐさま起き上がると、自分自身の身体を見、それが〝確かにここにある〟のかを確認するため頬をぺしぺしと叩いた。
確か、俺はドラゴンゾンビとの戦闘中、自称神様に身体を譲った…………それが戻っているという事は、奴は俺に身体を返してくれた、のか。
それに、あの時失ったはずの腕も復活している……以前のものではなく、継ぎ接ぎしたかのような傷跡(?)のある腕ではあるが。
とりあえず、もう全てが終わって何も心配はいらない……という事で、大丈夫なのだろうか?
だが、この部屋には俺しかいない。
よって今は何も知る事は出来ないと気付いた俺は、ひとまず部屋内をきょろきょろと見回した。
そこは草臥れた、八畳程の一室だった。
ドレッサー、絨毯、ソファ。
そこにある全てのものが時の流れに犯され、年老いている。彼等はとうの昔に自身の役目を終えているのだろう。
とはいえ、その物達が贅を尽くして作り上げられた事は今でも尚、はっきりと理解出来た。
この凡人である俺にすらだ。よって、その所有者はとんでもない程の金持ちだった……可能性は高いはずだ。
また、その部屋には窓があった。
俺はそれへと近付き、外の景色を眺めてみる。
そうすればここが何処か、分かるかもしれないと思ったからだ。
すると、そこからは荒野を一望する事が出来た。
少し離れた場所にはアトラン族の町のようなものも見える。
少なくとも、ここが『かなり高い位置にある場所』である事と、『ザキ地方である事』は間違い無いだろう。あの独特な雰囲気はアトラン族の町にしか出せないものであるはずだからな……
……そんな情報を掴んだ俺の脳に、ある推測が浮かんで来た。
ザキ地方の、それもかなり高い場所にある部屋。
つまりここは非常に高く作られた建造物。
そんなモノはザキ地方には一つしかないはず。多分。
まさか、ここはもしかすると。
魔王城。
でも、俺が何で……?
そのような事を考えていた時、『この部屋へと接近する何か』の足音……だと思われる、ややいびつな音が聞こえてきた。
〝そこにいる者。目覚めたのだろう?具合はどうだ?〟
どうやら予想通りだったようだ。
その何かは俺のいる部屋の扉の前で立ち止まるとそう言った。
そしてそれは、何処かで聞き覚えのあるような男性の声だった。
その声の主は俺を心配している様子だった。
だったのだが……俺はそれを聞いた途端に、動く事も、口を動かす事も出来なくなってしまった。
何と言ったら良いのだろうか……
その何かの気……とでも言うのだろうか。それが強大過ぎて恐ろしさのあまりにどうする事も出来なかったのだ。
例えるならば、それはあの時ドロップ地方で受けた〝彼女〟のものと同じような…………
〝大丈夫だ、落ち着いてくれ。君に危害を加えるような事はしない。
そして私から扉を開けるような事もしない。だから少しずつで良い。少しずつ《これ》に慣れ、その後で返事をしてくれれば良いんだ。私はそれをここで待たせてもらうよ〟
数秒間の沈黙の後に、何かは言った。
彼は扉を挟んだ向こう側で、俺がこうなっている事が手に取るように分かるのだろう。自身の強さ故に。
なら正直、何処かに行ってくれた方が良いのだが……いざ会話するとなった時にまたこのような状態になられては困るから、俺に慣れさせておかなければならないんだろうな。
「す、す……すみません……でした。大丈夫、です。目覚めて、います。具合も……悪く、ありません」
その後二十分程してから、俺はたどたどしくではあるが漸く声を発する事が出来るようになった。
たかが声を出すのに二十分も用してだ。
いや、むしろまた気絶しなかっただけマシなのかもしれない。
〝そうか……それは良かった。食い物を持って来たんだ。まずはそれを食べると良い。
だが、その…………悪いが、君が扉を開けてはくれないか?私はな、こういったものを使うのが苦手なんだ〟
俺の声に反応し、彼はそう言った。
そしてその少し調子を狂わされるような、よく分からない事実を聞かされた俺は。
緊張がやや解れたのか、その後。
先程の約半分程度の時間で、普段の調子を取り戻す事が出来た。
長いような、短いような。
そんな夢から覚めた俺は、何処かの部屋の中にいた。
「ん?……ここは……あれっ!?」
覚醒した俺はすぐさま起き上がると、自分自身の身体を見、それが〝確かにここにある〟のかを確認するため頬をぺしぺしと叩いた。
確か、俺はドラゴンゾンビとの戦闘中、自称神様に身体を譲った…………それが戻っているという事は、奴は俺に身体を返してくれた、のか。
それに、あの時失ったはずの腕も復活している……以前のものではなく、継ぎ接ぎしたかのような傷跡(?)のある腕ではあるが。
とりあえず、もう全てが終わって何も心配はいらない……という事で、大丈夫なのだろうか?
だが、この部屋には俺しかいない。
よって今は何も知る事は出来ないと気付いた俺は、ひとまず部屋内をきょろきょろと見回した。
そこは草臥れた、八畳程の一室だった。
ドレッサー、絨毯、ソファ。
そこにある全てのものが時の流れに犯され、年老いている。彼等はとうの昔に自身の役目を終えているのだろう。
とはいえ、その物達が贅を尽くして作り上げられた事は今でも尚、はっきりと理解出来た。
この凡人である俺にすらだ。よって、その所有者はとんでもない程の金持ちだった……可能性は高いはずだ。
また、その部屋には窓があった。
俺はそれへと近付き、外の景色を眺めてみる。
そうすればここが何処か、分かるかもしれないと思ったからだ。
すると、そこからは荒野を一望する事が出来た。
少し離れた場所にはアトラン族の町のようなものも見える。
少なくとも、ここが『かなり高い位置にある場所』である事と、『ザキ地方である事』は間違い無いだろう。あの独特な雰囲気はアトラン族の町にしか出せないものであるはずだからな……
……そんな情報を掴んだ俺の脳に、ある推測が浮かんで来た。
ザキ地方の、それもかなり高い場所にある部屋。
つまりここは非常に高く作られた建造物。
そんなモノはザキ地方には一つしかないはず。多分。
まさか、ここはもしかすると。
魔王城。
でも、俺が何で……?
そのような事を考えていた時、『この部屋へと接近する何か』の足音……だと思われる、ややいびつな音が聞こえてきた。
〝そこにいる者。目覚めたのだろう?具合はどうだ?〟
どうやら予想通りだったようだ。
その何かは俺のいる部屋の扉の前で立ち止まるとそう言った。
そしてそれは、何処かで聞き覚えのあるような男性の声だった。
その声の主は俺を心配している様子だった。
だったのだが……俺はそれを聞いた途端に、動く事も、口を動かす事も出来なくなってしまった。
何と言ったら良いのだろうか……
その何かの気……とでも言うのだろうか。それが強大過ぎて恐ろしさのあまりにどうする事も出来なかったのだ。
例えるならば、それはあの時ドロップ地方で受けた〝彼女〟のものと同じような…………
〝大丈夫だ、落ち着いてくれ。君に危害を加えるような事はしない。
そして私から扉を開けるような事もしない。だから少しずつで良い。少しずつ《これ》に慣れ、その後で返事をしてくれれば良いんだ。私はそれをここで待たせてもらうよ〟
数秒間の沈黙の後に、何かは言った。
彼は扉を挟んだ向こう側で、俺がこうなっている事が手に取るように分かるのだろう。自身の強さ故に。
なら正直、何処かに行ってくれた方が良いのだが……いざ会話するとなった時にまたこのような状態になられては困るから、俺に慣れさせておかなければならないんだろうな。
「す、す……すみません……でした。大丈夫、です。目覚めて、います。具合も……悪く、ありません」
その後二十分程してから、俺はたどたどしくではあるが漸く声を発する事が出来るようになった。
たかが声を出すのに二十分も用してだ。
いや、むしろまた気絶しなかっただけマシなのかもしれない。
〝そうか……それは良かった。食い物を持って来たんだ。まずはそれを食べると良い。
だが、その…………悪いが、君が扉を開けてはくれないか?私はな、こういったものを使うのが苦手なんだ〟
俺の声に反応し、彼はそう言った。
そしてその少し調子を狂わされるような、よく分からない事実を聞かされた俺は。
緊張がやや解れたのか、その後。
先程の約半分程度の時間で、普段の調子を取り戻す事が出来た。
0
あなたにおすすめの小説
男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-
ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!!
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。
しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。
え、鑑定サーチてなに?
ストレージで収納防御て?
お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。
スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。
※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。
またカクヨム様にも掲載しております。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした
渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞!
2024/02/21(水)1巻発売!
2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!)
2024/12/16(月)3巻発売!
2025/04/14(月)4巻発売!
応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!!
刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました!
旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』
=====
車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。
そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。
女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。
それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。
※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情され、異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる