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アンテナを歩く悪魔
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これは僕が小学校高学年くらいの頃に体験したお話です。
それは休日の事で、確か土曜日だったと思います。
当時の僕は母、姉と同室で、八畳程度の和室に三人で川の字になって寝ていました。
ですが姉と母は朝に弱く、一番に目を覚ましたのはいつも通り僕でした。
時間は朝の5時台か、6時台だったはずです。
子供が一人でに起床するにはなかなかに早い時間ではあると思いますが、僕はゲームやアニメが大好きでして。
休日になるとよくそのくらいの時間に起きては、アニメや戦隊ヒーロー系の番組を見たり、ゲームに熱中したりしていたのです。
でも、その日だけは少し違いました。
普段はすぐさまテレビを付け、急いで音量を下げてアニメを見るかゲームをやるはずの僕が。目を覚ましても仰向けの姿勢のまま、暫くの間じっとしていたのです。
そのため視線も当然、天井にあり。僕は木漏れ日が天井や壁に作る様々な形の影を眺めていました。
そんな時でした。僕の目が壁を伝い、流れるようにしてテレビのアンテナまで辿り着くと。
(当時はまだまだアナログテレビが主流であり、僕達の部屋には長いアンテナを取り付けたテレビがあったのです)
そこで、驚くべきものを見たのです。
それは……アンテナの上を歩く、小さな人の影のようなものでした。
もう少し詳しく言うと、それは某有名ゲーム会社さんが過去に発売したレトロゲーム、『ゲー○&○ォッチ』のような姿をしていて全身が黒く。
また上記した通りアンテナの上を歩く事が出来るくらいでしたので、大きさは十cmあるかないか程度だったと思います。
しかし、それを見た僕は、何もしませんでした。
そうです。
ただ見ていただけです。
小人の姿形もあるのかもしれませんが、その時の僕はそれを怖いとも何とも感じず。
ただ好奇心のままに、息を潜めてその小人を凝視していました。
(何故かこの時は、静かにしておかないといけないと思ったのです。実際、私は物音一つ立てないように注意していましたし、母や姉を起こそうとするような事もしませんでした)
とは言え、小人も小人で私を恐怖させようともせず、ただひたすらに歩いているばかりで。
それは斜めに立ったアンテナの上を目指して一歩、また一歩と歩を進めていました。
そして、それが頂点に到達する時。
この人(?)はどうするのだろう?何をするのだろう?と、私はじいっとそれを眺め続けていたのですが。
突然猛烈な眠気を感じ、眠ってしまいました……母に起こされて次に目が覚めた頃には、当然その姿はもう、ありませんでした。
とは言え、先も言ったようにやはり恐怖を感じなかったためか、今度こそ起床したにも関わらず私はその小人を探そうともせず、誰にも話さないまま。
そうして、次第に記憶から薄れていったのです。
ですが数日後に、何がきっかけかふとそれを思い出した私は、近所の友達にその事を話してみました。
すると友人はそれを夢幻と茶化す事もなく、最後まで私の話を聞いてくれて、そしてこう言いました。
「それは悪魔だよ、見つからなくて良かったね」
そのように言っていた事を朧げながら記憶しています。
ちなみに、それを聞いた僕はというと。
その頃でも、悪魔とは恐ろしいものだと考えていましたので。
どうしてもあの恐ろしくも何とも無い小人が悪魔だとは思えず、話しておいて友人には申し訳ないのですが、まだ悶々としていたのでした……
これでこの話は終わりとなります。
オチも何も無いですが、実体験なのでどうかご了承ください。
それは休日の事で、確か土曜日だったと思います。
当時の僕は母、姉と同室で、八畳程度の和室に三人で川の字になって寝ていました。
ですが姉と母は朝に弱く、一番に目を覚ましたのはいつも通り僕でした。
時間は朝の5時台か、6時台だったはずです。
子供が一人でに起床するにはなかなかに早い時間ではあると思いますが、僕はゲームやアニメが大好きでして。
休日になるとよくそのくらいの時間に起きては、アニメや戦隊ヒーロー系の番組を見たり、ゲームに熱中したりしていたのです。
でも、その日だけは少し違いました。
普段はすぐさまテレビを付け、急いで音量を下げてアニメを見るかゲームをやるはずの僕が。目を覚ましても仰向けの姿勢のまま、暫くの間じっとしていたのです。
そのため視線も当然、天井にあり。僕は木漏れ日が天井や壁に作る様々な形の影を眺めていました。
そんな時でした。僕の目が壁を伝い、流れるようにしてテレビのアンテナまで辿り着くと。
(当時はまだまだアナログテレビが主流であり、僕達の部屋には長いアンテナを取り付けたテレビがあったのです)
そこで、驚くべきものを見たのです。
それは……アンテナの上を歩く、小さな人の影のようなものでした。
もう少し詳しく言うと、それは某有名ゲーム会社さんが過去に発売したレトロゲーム、『ゲー○&○ォッチ』のような姿をしていて全身が黒く。
また上記した通りアンテナの上を歩く事が出来るくらいでしたので、大きさは十cmあるかないか程度だったと思います。
しかし、それを見た僕は、何もしませんでした。
そうです。
ただ見ていただけです。
小人の姿形もあるのかもしれませんが、その時の僕はそれを怖いとも何とも感じず。
ただ好奇心のままに、息を潜めてその小人を凝視していました。
(何故かこの時は、静かにしておかないといけないと思ったのです。実際、私は物音一つ立てないように注意していましたし、母や姉を起こそうとするような事もしませんでした)
とは言え、小人も小人で私を恐怖させようともせず、ただひたすらに歩いているばかりで。
それは斜めに立ったアンテナの上を目指して一歩、また一歩と歩を進めていました。
そして、それが頂点に到達する時。
この人(?)はどうするのだろう?何をするのだろう?と、私はじいっとそれを眺め続けていたのですが。
突然猛烈な眠気を感じ、眠ってしまいました……母に起こされて次に目が覚めた頃には、当然その姿はもう、ありませんでした。
とは言え、先も言ったようにやはり恐怖を感じなかったためか、今度こそ起床したにも関わらず私はその小人を探そうともせず、誰にも話さないまま。
そうして、次第に記憶から薄れていったのです。
ですが数日後に、何がきっかけかふとそれを思い出した私は、近所の友達にその事を話してみました。
すると友人はそれを夢幻と茶化す事もなく、最後まで私の話を聞いてくれて、そしてこう言いました。
「それは悪魔だよ、見つからなくて良かったね」
そのように言っていた事を朧げながら記憶しています。
ちなみに、それを聞いた僕はというと。
その頃でも、悪魔とは恐ろしいものだと考えていましたので。
どうしてもあの恐ろしくも何とも無い小人が悪魔だとは思えず、話しておいて友人には申し訳ないのですが、まだ悶々としていたのでした……
これでこの話は終わりとなります。
オチも何も無いですが、実体験なのでどうかご了承ください。
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