白衣の下2 イケメン営業マンとアラフォー理系女のエッチな関係

高野マキ

文字の大きさ
3 / 16

蠅にリベンジ

しおりを挟む
波彦は顔を洗いなおして、再びレセプション会場の入り口に立った。


アレは 一時の気の迷い  いや、キツネに摘まれただけ
無かった事 無かった事 と自らにいい効かせ

意を決して会場に足を踏み入れた。



速攻で
「大楠君っ 君はいったい今まで何処で何を?
主催者の挨拶はとうに終わったよ、これから研究開発チームの先生方の挨拶が始まるよ  営業どころでは無いじゃないかっ全くう!」

部長は放置されて相当怒っている。


「部長、まぁ 見ていてください 種は撒かないと芽が出ませんよ…」


「すると、何か? 種を蒔いてきたのか?ええ⁈」 

 種かどうか…荒地を耕しただけか、とりあえず 白井先生にはダメ男として 印象を残した   彼女は俺を忘れる事はないだろう



大楠波彦の特技は究極のポジティブ思考回路が回っている事に尽きる。


それでなければ 競争熾烈な業界でトップセールスを上げ続けてはいけない。

会場の演壇では 有名なニュースアナウンサーの軽妙で知的な司会進行が行われている。


初めに 主催国日本の大学関係者 医療工学関係者の紹介が続き、やがて


「今回のプロジェクトには無くてはならない御存在で、唯一紅一点の ハー◯ード大学ゲノム研究院のフェロー
白井ユミ博士をご紹介いたします。」


白井先生は ………

         ユミの今日に至るプロフィールが紹介されると
会場から拍手が湧き起こり 彼女が司会者に招かれる形で登壇した。


演壇の真ん中に、立つ白井ユミの全身を会場の最後尾から波彦は目を凝らして観察した。



  1986年生まれ…37歳か、

かなりのおばさん…華奢な分若くは見えるが理系女子の成れの果てって感じは否めないな。


熟女の色気でもあれば 外人からもモテるだろうが…


大楠波彦は 自分がしでかしたクズ行動を忘れて白井ユミを値踏みしだした。


「ただ今 ご紹介に預かりました白井です。ドロソフィラメラノガスターのゲノム研究を行なっております。この度はゲノム新薬生成に向けた世界的プロジェクトに参加御指名を賜りまして光栄の至でございます。プロジェクトチームの諸先生方にご指導頂きながら精一杯努めさせていただきます。」



彼女の澱みない堂々した挨拶に会場から万雷の拍手が湧き起こった。


なおざりな拍手を同調で合わしている波彦に

「大楠君 君 白井先生が研究されているゾロなんとかって何?
何を指しているんだ?」


部長は知ったかぶりは、せずに素直に疑問を投げてきた。

波彦がスマホで検索しようとしていると、側から


「キイロショウジョウバエの学名だよ 大楠君」



「岸井先生っ!」



「岸井先生 お越しになってたのですか 」

波彦は抜かりなく 部長に大学研究室の研究員の岸井を紹介した。


「先生、うちの大楠を何時も可愛がっていただきまして、ありがとうございます。この度は …」


部長の長ったらしい挨拶が始まろうとした矢先

『岸井先生っ』


孫教授の助け船が入った。


『スミマセン、部長のお供で来させて頂いて、』

『大楠君 岸井先生とも旧知の仲だから気を遣わなくいいよ 部長のお相手をして差し上げなさい。』

『孫先生…』


『波彦君も大変だなぁ うちの室長といい、おたくの役員さんといい 好感度高いサラリーマンの宿命だな』



岸井と孫教授は和かに 大楠をネタに会話を弾ませた。



「大楠君 先生方は何とおっしゃっているんだ?」



「はい、部長 次回の試薬もうちに発注してくださると…」



「おー!そうか 早速の成果だ!」



    な。わけ無いよ…前から発注頂いてます。



レセプションも大詰めを迎える頃には それぞれが帰路の準備を始める者から、二次会の宴席を手配しているものまで 会場内もざわつきはじめていた。



「大楠君  今日はまぁ トータル的によくやってくれた。私はこのまま失礼するが 君 経費を使って良いから孫教授や、岸井先生 白井先生の接待を抜かりなくセッティングしてくれよ!
頼んだからなっ」



いやいや、部長が居なければもっと顔を広げれたものを
…  っく… 


「ユミっ ここ  ここっ、」

岸井先生が 会場の上手でキョロキョロしている白井ユミに手をあげて、合図した。



白井ユミは ずっとエスコートしている白人男性と連れ立って近づいてきた。



ユミの視界に大楠波彦が入っているはずだが 全くいない者のように無視された。



「岸井君 探したのよ 貴方 たまには目立つ服装でもすればいいのに!相変わらず 存在薄いんだから」


孫教授とユミのエスコート役の白人男性が話している。


自然と会話内容が波彦の耳に届くに連れ その白人もハー◯ードの研究者らしかった。



「ユミちゃん 紹介するよ この若い子は、…」


「あーいいわ 知ってるから 煩わしい蝿さんでしょ?」


…   蝿   


「ユミちゃん! また毒を吐くからっ 彼らだって営業してなんぼの暮らししてるんだから、俺らだって企業からの研究資金頼りだろ
持ちつ持たれつ win-win なんだって、」



「大楠君 ごめんな  あいつ悪気はないんだが、年食ってますます毒を吐くんだよ  とくに若い営業マンには 君だけじゃないから
気にしないでくれよ」



「とんでもないです。先生 私の方こそ白井先生には初手から失礼な態度を取ってしまいました。このような有名な先生だとは、勉強不足です。お恥ずかしいです。」



  ふん…役立たずの銀蠅が


白井ユミの腹の中の刃物は誰も気づかない。岸井だけは唯一知らぬふりを通していた。

大楠波彦は 部長からのお墨付きで、孫教授 白井ユミ博士 岸井博士 そしてユミと共に来日したエドモンド上級研究員を銀座の高級割烹に招待した。


レセプション会場では ホテルシェフがブュッフェスタイルの食事を、その場で提供したが、研究職同士の交流は時に心理戦を繰り広げとても食事を楽しむ雰囲気では無かった。



落ち着いた和風庭園が銀座の真ん中にあるなど名だたるセレブでも知られていない隠れ家的割烹旅館。

八畳程の中庭に面した和室に、通された一行は 
孫教授とエドモンド上級研究員がライトアップされた中庭を眺め

白井ユミは 「ねえ 岸井君 着替えるところないかしら? こういう衣装って窮屈で嫌いっ!」


「あーはい、はい」
と答えた岸井は波彦に救援の視線をよこした。


波彦はすぐに内線電話で 女将に事情を伝えた。

仲居さんに 案内されて 白井ユミが退出すると、波彦は意を決して 岸井に 白井ユミとの関係を尋ねてみた。



意を決する程の事もなく 

「あー 彼女とは大学の同窓で、元夫婦だよ。」


えーっ! マジかっ!


なんだそれ!


「あー 先生 そんなプライベートまでは…申し訳ありません」



「大楠君 いいの いいの 皆知ってる事実だし、僕が彼女に、捨てられたんだよな…な わかるだろ?」


同調を求められても 流石の小賢しい波彦も返事に困窮した。


「岸井君! 自覚しているところが君の素晴らしいところよね!」


二人の会話をジャージ姿で立ち聞きしていたユミ。


ジャッ ジャージ‼️

しかも 中学か高校で着てそうな白線入り!



「あーぁ、 そう そうだよ、全て俺が悪かった」



岸井先生は 目の前の日本酒を手酌で飲み干した。


もと夫婦の痴話喧嘩など聞くのも聴かされるのもごめんだっ


「あ、あの 私 席を外しますので、どうかお二人でごゆっくり話し合われては…」


「ユミちゃん こんな場で やめようよ…」

岸井は再び手酌で盃を干した。

「そうね こんな若者に悲惨な夫婦の結末を聴かせて将来をひかんされても困るでしょ  本気で自分のクラークに手を付けるなら結婚なんてしなさんなっ!ばっかじゃない  挙句 捨てられて ザマァ無いったら 」


 白井先生 全て話してますが…

くーっ!

 いきなり岸井先生が泣き出した。


泣き上戸か

『ユミっ イジメちゃだめだろ』

『いいの いいの この二人はいつもこんなだから、喧嘩するほど仲がいい証拠』

上級研究員に年長らしく諭す孫教授を 波彦も納得して観察していた。


仲が良くても 離婚するんだな…


『さぁさ、先生方 気分変えて 飲みながら楽しいエピソード聴かせてください』


俺は何をしているんだ…こんなところで

研究者に気に入られ 自社ブランドの資材の発注を勝ち取る。それが
苦労して入社した総合商社でのサバイバルに生き残る唯一の道。


売ってナンボの世界。


経営学部四年 日本中の総合商社の入社試験を軒並み受けた。
今から五年前… 隣国で発生した新型ウイルスの感染猛威は瞬く間に世界経済をストップさせた。

内定していた貿易商社は内定取り消し。


奇跡的に 医療福祉器材総合商社から採用通知を受け取った。
確かに世界経済はどん底を見たが新型ウィルス封じ込め関連の医療衛生資材は飛ぶように売れた。


その波に乗れた 俺はトップセールスの社内表彰を毎年獲得した。

回想しているうちに 立場を忘れてしまった。
こんなはずじゃなかった。

今頃は ヨーロッパか、北欧か アジアか中南米か 世界中駆け回る商社マンになってるハズだった…



「お目覚めですか? 銀蠅さん」


目の前に 白井ユミの顔が ドアップで映しだされた。


うわーっ

手で その女を払いのけ 上半身を勢いつけて起こした。




「痛いじゃないっ 何するのっ」

払いのけた手のひらは 柔らかい肉の感触が残っている。
多分 彼女もダメージは無いはず。


「すっ スミマセンっ 申し訳ありません。私の失態…先生 お怪我はございませんか?」


「私 何故 … もしか 酩酊してしまったのでしょうか?」


「ええ それは酷い事になっていたわよ」

白井ユミはベッドの端に腰を下ろし 足を組み 腕を組み ツンと斜め上に視線をおいていた。



何故 和室が ベッドに…


「先生…ここは?」



「あら、そんな事も覚えていない?」

「先生、意地悪しないで教えてください 私も仕事として先生方の、接待を部長から承っていたのが、自分が酩酊したとあっては 先生方にも会社にも会わす顔が無い…」


波彦はその場で頭を抱え込んでしまった。



「あー あら 泣いてる? 泣いてないよね?泣くわけないよね男でしょ?」

ユミの問いかけにも 反応なく頭を抱えたままの波彦


「あのさ、 酔って壊れたのは貴方だけじゃないから、岸井はもっと酷くて、孫先生が気を利かしてくれて岸井を自宅まで送って行くって、私が貴方を送って行けって…でも 貴方の家何処だか知らないから、仕方ないからN東京の私の部屋よ  ね!勿論運べないからエドに手伝ってもらったけど…」


「大丈夫だから 貴方の接待は成功よ 成功。
元々 孫先生には好感度高いし、まぁ 私だって貴方が嫌いってわけでもないから…」


「先生っ本当ですか⁈」


急に上半身を直し 波彦は満面の笑みでユミを見た。


「あっ 貴方! 嘘泣きしたの?」


「先生…そんなわけ無いじゃないですか 子供じゃあるまいし、」


「だっだって 頭抱え込んで な、何してるのよっ」



「先生… 先生は優しい方ですね  ハグしていいですか?」  


「ハグ だけなの? 大丈夫?」

完全拒否られる覚悟で ハグを求めたが、
   ど、どういうニュアンス?


「それ以上 と? 勘違いしたら許してくださいっ」


「勘違いしてないわ  昼間のリベンジする気は?」



はー‼️ な、何 何 何だよ この流れ



「先生…  まさか 私に枕営業しろと?」



「もういいわ 今すぐお帰りなさいっ!」



「しっ失礼致しましたっ!」
 やっちまった…枕営業   ってヤバ

波彦はすぐさま立ち上がると、額に冷や汗を滲ませなが90度に腰を折り曲げ深く頭を下げた。



 次の言い訳 詫びの言葉が見つからない 
マジやらかしてしまった…


その場の苦しい沈黙。
永遠に続きそうに感じた波彦は 勢いよくその場に土下座を試みた。

昼間のセクハラ 今のモラハラ 取り返しつかない失態
それでも謝罪のきっかけは何でも良かった。


「本当に申し訳ございません。私、大楠波彦は、度重なる白井先生への破廉恥な言動をどうお詫びしていいのやら どうか、どうかっ
先生ご意志でお好きなように罰してください。お願い致しますっ」


波彦は男として、人としてのプライドも投げ捨て、ユミに懇願したが、彼女は一言も発しないどころか 全く無反応で、気配さえ消したかのようだった。


  なっ、何て女だっ これ程謝っているのにっ 重要クライアントじゃなかったら…ッ、ッ!


波彦は、ユミの宿泊している部屋で自分から取った行動とは言え痛烈な屈辱感に苛まれながら額を床に押し付けていた。



『ユミ  なに?どうしたのぉ?面白いモノって  入るよ!』

ユミの部屋の扉の施錠はユミが解除していた。



『…えっえ~ うわー!!!!

オーマイゴーッ  ドゲザ~ッ  本気っ?本物っ? カッケー!
ドゲザ~っ!  ナイス オオクスさーん 凄い』



  あー! えー? はぁー⁈


何故エドモンド上級研究員が来るんだ!どういう事だよ…うぅ 何でだぁよ…  ひどすぎる…


頭を上げられない波彦…冷や汗は 悔しい涙とあいまざり彼の鼻柱を伝ってポタポタと床に落ちた。


波彦がやらかした事をエドモンド上級研究員に話されては ハラスメントに容赦なく厳しい欧米社会。波彦は今後仕事は続けていけない。白井ユミに対する愚行…性的ハラスメントは事実。
白井ユミが告発してしまえば 彼は会社からも業界からも抹殺される。

白井ユミの罰とは…コレ  か?



『ねぇ ユミィ どういう事さ ね オオクスさん 』


『大楠さんが …』


あー 終わりだ   


『エドが 日本のサムライ文化に傾倒しているって話したのよ!
うふふ それにぃ アレ も 』

『え~ アレはやめてくれよ ハズい』


『じゃ 大楠さんが サプライズであたしに叱られて 詫び入れてる所に貴方を呼んじゃえって お芝居を提案してくれたのよ』



『ワォ! 凄い本物感だよっ この後 ハラキリ⁈ まで逝きそうな雰囲気だよっ  オオクスさん演劇目指せるよ!
 ユミィ オオクスさーん ありがとうございます』

エドモンドは奇声にちかい喜びの声をあげてユミを抱きしめ、
土下座したままの大楠波彦に覆い被さり彼の頭にキスをして彼を抱え込んだ。




 白井ユミっ こいつ最低…

波彦の頭上で嘘八百をペラペラと話す白井ユミとその話しを間に受けて馬鹿みたいに感激している外人男…きつい香水をつけまくった身体で抱きすくめられ 息もまともにできない波彦は苦しさと屈辱感に打ちのめされ、 どうにでもなってしまえと投げやった。

「大楠さん もうお芝居はいいから、大成功よ 大楠さん 起きてっ
いつまでも土下座のお芝居しなくていいのよ!」


『大楠さん さぁ お疲れ様でした。貴方の献身 私忘れませんよ 日本のセールスマンのパフォーマンス最高です。大学の先生方にも貴方を紹介しますよ』


がっくりと脱力した大楠波彦の脇を抱えたエドモンド上級研究員は彼をソファまで導くと 自分もその横に座って うなだれる大楠波彦の背中をさすって労らった。


『君は私が見たセールスマンの中でも特別だね エンターティナーだよ』


エドモンドはピッタリと波彦に躰を密着させ彼を褒めそやした。

『大楠さーん エド シャンパンでもあけて乾杯しましょ 
来年あたり 大楠さんはハー◯ードのラボに出入りするセールスマンの1人かもよ』












































しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...