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攻略34

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1人での食事はこんなにも寂しいものだっただろうか。

もちろん目の前にある料理はどれも美味しくて、栄養バランスもよく考えられている。

しかしここ最近なら楽しく他愛ない話題で盛り上がる時間が今日は静かで、俺の食器と食器の触れる硬い音が部屋に一段と響く。

(陽成が来る前はこんなんだったんだな……)

そう思うと無性に会いたくなった。

きっと年明けには工事も終わるだろうしそうなれば陽成は部屋を出ていく。

また1人のこの孤独な生活に逆戻りだ。

その前に、しっかり好きという言葉だけは伝えなくてはならない。

(何気、お互いに好きって言い合ってないんだよな)

なぜだろう。陽成には言えない。

もちろん好きだ。陽成のことは大好きなのに、今までどうでもいい相手にも軽率に好きという言葉を使ってしまったせいでどうにも躊躇してしまう。

(それに……陽成がもし住む場所の一時的な確保で俺の求愛的な無理な行動に合わせてくれているとしたら……)

そんなつまらないことを考えて打ち消すように頭を振る。

(もしも好きだと言って断られたら俺は……)

いつからこんなに弱くなっただろう。いつから相手にこんなにも言葉を求めるようになったのだろう。

好き、愛してる。この言葉が貰えないだけでどうしてこうも不安なのか。

(まだ帰って来ねぇよな……)

少しだけ期待してただいまの声をしばらく待ってみるが当たり前にそんな声は聞こえない。

(心配だ……飲みすぎて酒に呑まれてねぇといいけど…)

酒は飲んでも呑まれるな。飲酒の基本ルールだ。

1度気にかかると気にしない訳にもいかず窓の外に目を走らせる。

外はもう暗く、夜景が美しかった。

陽成が言っていた会場の名前を検索し住所を調べる。

何故か心配でいても立っても居られず、財布とスマホなど最低限のものを持ってコートを羽織ったところで気づく。

「俺……相当重い…」



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