チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー

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四章 海を渡った少女

ムイスの異変

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 サーミラの街を出た私達は、針葉樹の森を抜けると目の前には広大な平原が広がっている。
 周りには魔物の姿はないが、かなりの数の野牛の姿が見える。

 野牛達は私達の方を少し見るも、襲ってこないと判断したのか、平原の草を食べているようだ。

 右の方へと目をやると、遠くに大きな川が流れている。
 どこまで続いているのか気になって後ろを見ると、ここからではよくわからないが、サーミラとは別の方へ流れているらしい……。

「この川沿いにそって進んでいくと、ムイスの村に着くよ」

 フィーリエは川を指さしながら言うが、ここからではまだその村は遠いのか見えてこないようだ。


 川沿いの道を進んでいくと、異変に気がついた。

「なんか……、変な匂いがしない……?」

 川から少し離れた道を歩いていると、腐臭にも似た臭いが鼻を突く。

「おい……!あれを見ろ……っ!魚が浮いているぞ……っ!?」

 バッシュが川を指さして叫んでいる。
 見ると、死んだ魚が川に浮いて流れて来ていた。この腐臭は魚が腐った臭いのようだ……。

「なんで魚が……、ムイスの辺りは川の水が綺麗な事で有名なのに……っ!」

 フィーリエはその光景を見て驚愕していた。
 川の上流でなにかあったのかもしれない……。
 私達は川沿いの道を辿り、ムイスの村へと急いだ……!


 ◆◆◆


「な……なにこれ……。」

 日が暮れる頃、ムイスの村へと着いた私達はその光景を見て驚きを隠せなかった……。
 ムイスの村の人達が倒れていたのだ……!

「だ……大丈夫ですか……っ!?」

 私はすぐ近くで倒れている人に声を掛ける。

「み……水を……、川の……水を飲んだら……。」

 その村人は蒼白い顔をして、口からは涎を垂らしている……。
 身体はぐったりとし、時折痙攣のような症状までさせていた。

 川の水って言ってたけど、あの魚が浮いていた川の水を飲んだのだろうか……?

「カナ、この症状は毒だ。川の上流でなにかあるのかもしれん……。俺は村人達の解毒を行う。カナ達は上流を調べてみてくれ」

 バッシュは倒れている村人の様子を見て、症状を冷静に分析している。
 そして、解毒魔法アンチドートを唱えると、その村人の顔色が少し良くなった……。

「大丈夫か……?」

「あ……ああ……。あんたらは……?」

「俺達は旅の者だ。一体何があったんだ……?」

「リザードマンだ……、川の上流に……リザードマンが住み着いて……、川に毒を……!」

「リザードマン……?」

 初めて聞く名前に、私はオウム返しのように訪ねた。

「トカゲの魔物だ。奴らの中には毒を持つ種族もいる。川の水を毒水に変えたのは奴らだろう……」

「この川は……、上流にある洞窟から流れてきている……。奴らは……、その辺りに住んでいる……!」

「分かりました……!私達がそのリザードマンを倒しています……!バッシュは村人をお願い」

 私はバッシュに村人達の介抱を託すと、私と玉藻、フィーリエの3人は川の上流にあるという洞窟へと目指した。
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