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五章 探し求める少女
再びリーツェへ
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「次は、リーツェに行くんだったか……?どうやって行くんだ……?」
翌日、冒険者ギルドで食事をしていると、ザクスが尋ねてきた。
移動方法か……。
最初にリーツェに行ったときは馬車で行ったんだよね……。
今回はどうしよう……、まあ……、そう急ぐ旅ではないけど……。
一先ず、私は以前ミリアさんから貰った馬車の時刻表と日時を確認してみる……。
「馬車で行こうと思うけど……、明日くらいには旅立つ準備って出来る……?」
「明日か……、それなら大丈夫だが……。例のアイテムで移動したらどうだ……?」
例のアイテム……、マジックオーブの事を言っているのだろう。
「う~ん……、そう急ぐ旅でもないし……」
「カナがそれでいいと言うのなら、俺は構わんぞ」
時間もあることだし、その間昨日見つけた宝物の換金や図書館で魔法を覚えてみるのもいいだろう……。
私は食事を済ませたあと、昨日見つけた金貨や金の燭台を売却することにした後、一人ラウルの図書館へと向かった。
◆◆◆
図書館へと来た私は、魔術書が保管されている本棚から、水、氷、風、地、雷、光、回復の魔法が書かれた魔術書を持って、適当な席へと座った。
この先、流石に中級レベルの魔法がファイヤーボールだけと言うのも心許ない……。
上級レベルの魔法は扱えないかもしれないが、せめて中級くらいは一通り扱えるようにはなりたいものだ。
私はノートに、ハイ・ヒール、フリージングブリッド、ライトニングボルト、ウインドセイバー、ウォーターブレード、アースグレイブ、シャイニングのスペルを書き写す……。
魔術のレベルが上がれば上がるほどスペルも難しく、複雑になっていく……。
実戦でこれらの魔法を使うときはノートを片手に唱えるわけには行かない……。
つまりは暗記しなければならないのだ……!
しかも、スペルを一文字でも間違えれば発動しなかったり、変に発動したり、さらには暴発の危険性もあるのだという……。
中級レベルの魔法を暗記する時点で頭がパンクしてしまいそうだ……。
上級魔法には絶対に手は出さないようにしよう……。
「……なにやってるんだ?」
「ん……?何って、魔法のスペルを暗記してるのよ……」
私はうんざりしながらスペルを暗記していると、ザクスに声をかけられた。
「それはご苦労だな……。それで、調子はどうだ……?」
ザクスはそう言い、私の頭を軽くポンポンと叩く。
いきなり頭を触られたことで、思わず胸がドキっとして、顔も赤くなった。
「ちょっと……!女の子の頭を気軽に触らないでよ……!」
胸がドキドキとしている事がバレたら恥ずかしかった私は、それを誤魔化すように顔を赤くしながらもザクスを睨んだ。
「そんな怖い顔するなよ……」
「なら、頭を触らなかったらいいでしょ……?それより、ザクスは用事っていうのは終わったの……?」
私は顔を赤くしながらもザクスの手を払い退けると、ザクスへと尋ねた。
今までザクスがいなかったのは、旅立つに当たり何かしら準備をしていたらしい……。
なんの準備なのかは気にはなったけど、変に聞くのも悪いかなと思い特に詮索する事はせず、私は出発するまでの間、ひたすらスペルの暗記に努めることにした。
そして翌日……、私とザクスは切符を買い、馬車へと乗り込むとリーツェへと向かったのだった……。
◆◆◆
~サイドストーリー~
ーザクスー
「あら……?ザクス……?」
旅の支度をするため街を歩いていると、不意に声をかけられた。
声のする方へと振り向くと、ミリアとの姿があった。
見た感じ、どこかへと冒険に行った帰りなのだろうか、二人は装備を身に纏い他の仲間と歩いていた。
ついでだから二人にも旅に出ることを言っておくとするか。
「二人共、俺はまた旅に出ることになった」
「旅に……?」
『ついこの前帰ってきたばかりなのに忙しいな』
ジェストの言うように俺はつい最近このラウルへと帰ってきた。
そして、今度はリーツェへと、その後はカナの話では各地を回る旅に出るようだ。
だか、それも悪くはない。
強いて言えば、同行する女の胸がもう少し大きければと思わないこともないが、それ以外を除くと俺はカナ事はかなり気に入っていた。
「一人で行くの?」
「いや、カナと行ってくる」
『カナとか……、あいつは冒険者としては随分経験は積んだようだが、内面はまだ未熟な部分もあるようだ。共に旅に出るのならカナのことを支えてやってくれ』
「ザクス、カナちゃんのことお願いね……」
「分かった」
二人共、一時期とは言えカナとパーティを組んでいただけあり少々気掛かりなようだ。
「ああ、間違ってもカナちゃんを乱暴に押し倒しちゃダメよ?あくまでもデリケートに……よ?」
「……そんな事をしたら俺が殴られるから止めておこう」
そんな事をしようものなら、俺がぶん殴られる様が目に浮かぶが、仲が深まればもしかしたらそのような可能性もあるかもと、どこか期待している自分もいた。
『何にしろ、身体には気をつけろ』
「分かったよ。それじゃあな、二人共」
俺はミリアとジェストへと手を振ると、手を振ってくれる。
二人に見送られながら、俺はカナがいる図書館へと向かうのだった……。
翌日、冒険者ギルドで食事をしていると、ザクスが尋ねてきた。
移動方法か……。
最初にリーツェに行ったときは馬車で行ったんだよね……。
今回はどうしよう……、まあ……、そう急ぐ旅ではないけど……。
一先ず、私は以前ミリアさんから貰った馬車の時刻表と日時を確認してみる……。
「馬車で行こうと思うけど……、明日くらいには旅立つ準備って出来る……?」
「明日か……、それなら大丈夫だが……。例のアイテムで移動したらどうだ……?」
例のアイテム……、マジックオーブの事を言っているのだろう。
「う~ん……、そう急ぐ旅でもないし……」
「カナがそれでいいと言うのなら、俺は構わんぞ」
時間もあることだし、その間昨日見つけた宝物の換金や図書館で魔法を覚えてみるのもいいだろう……。
私は食事を済ませたあと、昨日見つけた金貨や金の燭台を売却することにした後、一人ラウルの図書館へと向かった。
◆◆◆
図書館へと来た私は、魔術書が保管されている本棚から、水、氷、風、地、雷、光、回復の魔法が書かれた魔術書を持って、適当な席へと座った。
この先、流石に中級レベルの魔法がファイヤーボールだけと言うのも心許ない……。
上級レベルの魔法は扱えないかもしれないが、せめて中級くらいは一通り扱えるようにはなりたいものだ。
私はノートに、ハイ・ヒール、フリージングブリッド、ライトニングボルト、ウインドセイバー、ウォーターブレード、アースグレイブ、シャイニングのスペルを書き写す……。
魔術のレベルが上がれば上がるほどスペルも難しく、複雑になっていく……。
実戦でこれらの魔法を使うときはノートを片手に唱えるわけには行かない……。
つまりは暗記しなければならないのだ……!
しかも、スペルを一文字でも間違えれば発動しなかったり、変に発動したり、さらには暴発の危険性もあるのだという……。
中級レベルの魔法を暗記する時点で頭がパンクしてしまいそうだ……。
上級魔法には絶対に手は出さないようにしよう……。
「……なにやってるんだ?」
「ん……?何って、魔法のスペルを暗記してるのよ……」
私はうんざりしながらスペルを暗記していると、ザクスに声をかけられた。
「それはご苦労だな……。それで、調子はどうだ……?」
ザクスはそう言い、私の頭を軽くポンポンと叩く。
いきなり頭を触られたことで、思わず胸がドキっとして、顔も赤くなった。
「ちょっと……!女の子の頭を気軽に触らないでよ……!」
胸がドキドキとしている事がバレたら恥ずかしかった私は、それを誤魔化すように顔を赤くしながらもザクスを睨んだ。
「そんな怖い顔するなよ……」
「なら、頭を触らなかったらいいでしょ……?それより、ザクスは用事っていうのは終わったの……?」
私は顔を赤くしながらもザクスの手を払い退けると、ザクスへと尋ねた。
今までザクスがいなかったのは、旅立つに当たり何かしら準備をしていたらしい……。
なんの準備なのかは気にはなったけど、変に聞くのも悪いかなと思い特に詮索する事はせず、私は出発するまでの間、ひたすらスペルの暗記に努めることにした。
そして翌日……、私とザクスは切符を買い、馬車へと乗り込むとリーツェへと向かったのだった……。
◆◆◆
~サイドストーリー~
ーザクスー
「あら……?ザクス……?」
旅の支度をするため街を歩いていると、不意に声をかけられた。
声のする方へと振り向くと、ミリアとの姿があった。
見た感じ、どこかへと冒険に行った帰りなのだろうか、二人は装備を身に纏い他の仲間と歩いていた。
ついでだから二人にも旅に出ることを言っておくとするか。
「二人共、俺はまた旅に出ることになった」
「旅に……?」
『ついこの前帰ってきたばかりなのに忙しいな』
ジェストの言うように俺はつい最近このラウルへと帰ってきた。
そして、今度はリーツェへと、その後はカナの話では各地を回る旅に出るようだ。
だか、それも悪くはない。
強いて言えば、同行する女の胸がもう少し大きければと思わないこともないが、それ以外を除くと俺はカナ事はかなり気に入っていた。
「一人で行くの?」
「いや、カナと行ってくる」
『カナとか……、あいつは冒険者としては随分経験は積んだようだが、内面はまだ未熟な部分もあるようだ。共に旅に出るのならカナのことを支えてやってくれ』
「ザクス、カナちゃんのことお願いね……」
「分かった」
二人共、一時期とは言えカナとパーティを組んでいただけあり少々気掛かりなようだ。
「ああ、間違ってもカナちゃんを乱暴に押し倒しちゃダメよ?あくまでもデリケートに……よ?」
「……そんな事をしたら俺が殴られるから止めておこう」
そんな事をしようものなら、俺がぶん殴られる様が目に浮かぶが、仲が深まればもしかしたらそのような可能性もあるかもと、どこか期待している自分もいた。
『何にしろ、身体には気をつけろ』
「分かったよ。それじゃあな、二人共」
俺はミリアとジェストへと手を振ると、手を振ってくれる。
二人に見送られながら、俺はカナがいる図書館へと向かうのだった……。
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