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八章 決意する少女
ミンディアの港町
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プルックから船に乗った私は、部屋へと向かう途中、お土産屋に売られているものに目を引かれた。
それはやや大き目なクマの縫いぐるみで、魔道士風なローブに見を包み、手にはご丁寧に杖まで持っていた。
その姿は何処となくアレクさんを連想させる。
一人というのも少し寂しいので、1万エントと少し高いが「魔法使いクマー」というこの縫いぐるみを買い、部屋に置いてみることにした。
今回は一等船室や特等船室ではなく、二等船室の切符を買った。
一人だと言うこともあるし、旅費を抑えるという意味もある。
二等船室は一等船室とは違い、まず部屋が狭い。
窓も設けられているので外は見えるが窓も小さいく、質素な二段ベッドが置かれている程度。
テーブルも置かれてはいるが、小さいのが一つ。
浴室は設けられているがシャワーと洗面台、それにトイレがセットになっており、かなり部屋のランクが下がっていた。
食事は特等船室や一等船室はハイキングだったが、二等船室は食べた分だけ別にお金が発生する。
金額を抑えるのなら三等船室でも良かったのだが、三等の場合は大広間での雑魚寝らしく、プライバシーも何も無いので二等船室にしたのだが、私が食べた食事代を合わせると一等船室の値段と然程変わらない金額となってしまっていたので、これなら一等船室でも良かったかなと思わないこともない……。
ここの料理が美味し過ぎるのがいけないのだ!
決して私が食べすぎるからではない……はずっ!
◆◆◆
プルックから船に乗ること2日、船はお昼を過ぎた頃、船がミンディアへと到着すると、クマの縫いぐるみを魔法のポーチへと仕舞い、船を降りてから辺りを見渡す。
乗ってきた大きな船が入港出来るくらいなのだから港は大きいが、町はさほど大きいと言う訳でもないらしい。
その為か、ここで船を降りる人は少ないようだ。
港から町の方へと移動すると、情報を入手場所を探す事にした。
町は煉瓦造りの外壁に、白やクリーム色のような塗装が施されており、屋根にもレンガが敷かれている。
大きな町ではないためか、建物はそれ程多くはなく、それに比例して人通りもそこまで多くはない。
確か、ドラゴンやワイバーンがいるガイラスという所は辺境の地だとアレクさんが言ってはいた。
私は情報を集めるため、石畳の道を歩きながら町を周ってみるが冒険者ギルドのようなものはこの町にはないようだ。
あるのは一階が酒場兼食堂、2,3階が宿屋となっている所が一軒のみ。
他にも食堂はあるものの、大衆食堂みたいなところなので、私が求めている情報は集まりそうもない。
私はたった一軒のみの宿屋兼食堂で部屋を取った。
◆◆◆
その日の夜、私は食事と情報を集めに一階にある酒場兼食堂へとやって来た。
食堂の中はもう夕食時であるにも関わらず、人はそこまで多くはない。
いても地元の人達がお酒や食事をしている程度で、私のような旅の者はあまりいないようだ。
「おや、いらっしゃい。お嬢さん見かけない顔だけど、旅の冒険者かい?こんな所に冒険者が来るなんて珍しいね」
カウンター席へと座ると、冒険者が珍しいのかマスターと思われるエルフの男性が声をかけてきた。
「ガイラスという村に行く途中なんですけど、どう行けばいいですか?」
私は白身魚のムニエルを注文しながらガイラスへの行き方を聞いてみた。
「ガイラスかい……?あそこは今は近づかないほうがいい。なんでも、最近ドラゴンとワイバーンがあの辺りで暴れまわっているって噂だ」
「どうしても行かないとならない理由があるんです」
「どうなっても知らないよ……!ガイラスに行くにはここから北西に3日ほど進んだ山の中腹辺りにある村だよ。街道を沿って歩いて行けばそのうち着くけど、途中には町や村は無いし、道中には熊の魔物やポイズンラビットも出てくる。それでも行くのかい……?」
「ポイズンラビット……ですか?」
「知らないのかい?派手な赤い色の毛皮を持つホーンラビットで、所々体に黒い斑点模様が入っているのが特徴だ。臆病で滅多に襲っては来ないが、肉と角に強い致死性の高い毒を持つ危険なウサギだ」
そんな危険なヤツもいるのか……。
「それでも私は行かなければならないんです」
「そうか、ならこれ以上は止めないが気をつけてな。ほら、白身魚のムニエルだよ」
出された料理を食べると、新鮮な魚で作られたそのムニエルはとても美味しかった。
機会があれば、今度はザクスと一所に来ようかな。
食事を済ませたあと、私は部屋に戻り眠りへと就いた。
そして、翌日、私はガイラスへと向かうためミンディアの町を後にしたのだった。
それはやや大き目なクマの縫いぐるみで、魔道士風なローブに見を包み、手にはご丁寧に杖まで持っていた。
その姿は何処となくアレクさんを連想させる。
一人というのも少し寂しいので、1万エントと少し高いが「魔法使いクマー」というこの縫いぐるみを買い、部屋に置いてみることにした。
今回は一等船室や特等船室ではなく、二等船室の切符を買った。
一人だと言うこともあるし、旅費を抑えるという意味もある。
二等船室は一等船室とは違い、まず部屋が狭い。
窓も設けられているので外は見えるが窓も小さいく、質素な二段ベッドが置かれている程度。
テーブルも置かれてはいるが、小さいのが一つ。
浴室は設けられているがシャワーと洗面台、それにトイレがセットになっており、かなり部屋のランクが下がっていた。
食事は特等船室や一等船室はハイキングだったが、二等船室は食べた分だけ別にお金が発生する。
金額を抑えるのなら三等船室でも良かったのだが、三等の場合は大広間での雑魚寝らしく、プライバシーも何も無いので二等船室にしたのだが、私が食べた食事代を合わせると一等船室の値段と然程変わらない金額となってしまっていたので、これなら一等船室でも良かったかなと思わないこともない……。
ここの料理が美味し過ぎるのがいけないのだ!
決して私が食べすぎるからではない……はずっ!
◆◆◆
プルックから船に乗ること2日、船はお昼を過ぎた頃、船がミンディアへと到着すると、クマの縫いぐるみを魔法のポーチへと仕舞い、船を降りてから辺りを見渡す。
乗ってきた大きな船が入港出来るくらいなのだから港は大きいが、町はさほど大きいと言う訳でもないらしい。
その為か、ここで船を降りる人は少ないようだ。
港から町の方へと移動すると、情報を入手場所を探す事にした。
町は煉瓦造りの外壁に、白やクリーム色のような塗装が施されており、屋根にもレンガが敷かれている。
大きな町ではないためか、建物はそれ程多くはなく、それに比例して人通りもそこまで多くはない。
確か、ドラゴンやワイバーンがいるガイラスという所は辺境の地だとアレクさんが言ってはいた。
私は情報を集めるため、石畳の道を歩きながら町を周ってみるが冒険者ギルドのようなものはこの町にはないようだ。
あるのは一階が酒場兼食堂、2,3階が宿屋となっている所が一軒のみ。
他にも食堂はあるものの、大衆食堂みたいなところなので、私が求めている情報は集まりそうもない。
私はたった一軒のみの宿屋兼食堂で部屋を取った。
◆◆◆
その日の夜、私は食事と情報を集めに一階にある酒場兼食堂へとやって来た。
食堂の中はもう夕食時であるにも関わらず、人はそこまで多くはない。
いても地元の人達がお酒や食事をしている程度で、私のような旅の者はあまりいないようだ。
「おや、いらっしゃい。お嬢さん見かけない顔だけど、旅の冒険者かい?こんな所に冒険者が来るなんて珍しいね」
カウンター席へと座ると、冒険者が珍しいのかマスターと思われるエルフの男性が声をかけてきた。
「ガイラスという村に行く途中なんですけど、どう行けばいいですか?」
私は白身魚のムニエルを注文しながらガイラスへの行き方を聞いてみた。
「ガイラスかい……?あそこは今は近づかないほうがいい。なんでも、最近ドラゴンとワイバーンがあの辺りで暴れまわっているって噂だ」
「どうしても行かないとならない理由があるんです」
「どうなっても知らないよ……!ガイラスに行くにはここから北西に3日ほど進んだ山の中腹辺りにある村だよ。街道を沿って歩いて行けばそのうち着くけど、途中には町や村は無いし、道中には熊の魔物やポイズンラビットも出てくる。それでも行くのかい……?」
「ポイズンラビット……ですか?」
「知らないのかい?派手な赤い色の毛皮を持つホーンラビットで、所々体に黒い斑点模様が入っているのが特徴だ。臆病で滅多に襲っては来ないが、肉と角に強い致死性の高い毒を持つ危険なウサギだ」
そんな危険なヤツもいるのか……。
「それでも私は行かなければならないんです」
「そうか、ならこれ以上は止めないが気をつけてな。ほら、白身魚のムニエルだよ」
出された料理を食べると、新鮮な魚で作られたそのムニエルはとても美味しかった。
機会があれば、今度はザクスと一所に来ようかな。
食事を済ませたあと、私は部屋に戻り眠りへと就いた。
そして、翌日、私はガイラスへと向かうためミンディアの町を後にしたのだった。
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