罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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一章 突然始まる新生活

"彼方"と"亜希"

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 風原さんが部屋を出たあと、僕はスズタクさんとミオリネさんとしばらくチャットを楽しんでいた。  
 でも、ミオリネさんがログアウトすると自然と解散ムードになり、僕もログアウトして今日買ったライトノベルの新刊を読み始めた。

 一巻が主人公のカナという少女が一人街を出て馬車に乗って新たな街へと目指すというシーンからとなっていた。

(ネット小説では読んだことあるけど……やっぱり挿絵がつくと違うなぁ~……)

 そう思いながら読んでいるとドタドタと階段を登ってくる足音が聞こえてきた。

(ん……?誰だろう……)

 僕はドアへと目を向けていると突然僕の部屋のドアが勢いよく開かれた!

「お兄ちゃん上がったよー!」

 なんと由奈ちゃんが現れた!

 彼女は濡れた髪をそのままに水色の生地に犬の柄がプリントされた半袖半ズボンのパジャマを着て息を切らせて僕へと笑顔を向けている。

「あ……うん、分かった……」

 僕は由奈ちゃんに返事をすると、彼女は僕の読んでいる小説に興味が湧いたのか、僕の目の前へとやってくると覗き込むように僕が読んでいる小説へと目を向けてきた。

 何ていうか……由奈ちゃん、距離感バグってる!

「ねね、お兄ちゃん何読んでるの?小説?」

「え……えっと……チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記ていうライトノベルだけど……」

「へぇ~、ねえそれおもしろい?」

「うん……僕は好きだけど……」

 僕は由奈ちゃんの問いに答えながら彼女の方へと目をやるとパジャマの胸元から由奈ちゃんの胸が少し見えていた。
 しかも……風原さんより大きい……!

 目を逸らさなきゃ……と思うのに、僕の視線は胸元に吸い寄せられてしまう。  
 しかも由奈ちゃんは、まったく気づいていない……!

 さらに言えば彼女の洗いたての髪からはシャンプーの甘い匂いまでしてくる……!

 こ……これは危険すぎる……!  
 由奈ちゃん、無防備すぎるって……!

「由奈ちゃん!髪をちゃんと乾かしたのっ!?」

「あ……!いっけない……!お母さんに怒られる……っ!お兄ちゃん、そのラノベ今度貸してね!」

 由奈ちゃんはそれだけを言い残すと僕の部屋を飛び出し階段を降りていった。

(あ……危なかった……!)

 そして……ごちそうさまでした……。

 僕はホッと胸を撫で下ろしながらも静かに由奈ちゃんへと手を合わせるとお風呂に入るため部屋のタンスから下着等を出した。


 脱衣場へと向かい、服を脱いでいるとカゴの中に女性物の下着の一部が目に付いた。

「こ……これは……!」

 風原さんと由奈ちゃんどちらかのかは知らないけど確かに女の子と一つ屋根の下で暮らしているということを改めて思い知らされる……!

 僕は見えている女性物の下着を隠すように自分の服をカゴへと入れると浴室へと入る。

 浴室へと入ると先ほどまで由奈ちゃんが入っていたからか、先ほど彼女の髪から匂っていたシャンプーの香りが微かに残っていた。

 そして、お風呂の蓋を開けるとじっとお湯を見つめる……。

「このお湯に風原さんと由奈ちゃんが浸かっていたのか……」

 僕はゴクリと喉を鳴らす……。
 ……て僕は何を考えているんだ!変態かっ!

 僕は首を振って煩悩を払い落とすと無心となって髪と体を洗ったのだった……。


 ◆◆◆


 お風呂から上がったあと、父さんにその事を伝えたあと、僕は自分の部屋へと戻るとなぜかそこに風原さんの姿があった。

「風原さん……?」

 僕が風原さんへと声を掛けると彼女はビクッ体を震わせながら恐る恐る僕の方へと振り向く。

「ち……違うの……!これは部屋を間違えたからで……!」

 ……いや、僕まだ何も言ってないけど。

 何も聞いていないのに必死に言い訳を口にする風原さん。

「確か風原さんの部屋は由奈ちゃんの隣だったよね?」

「そ……そうだったわね……!」

 風原さんはそう言うもじっと僕の部屋に留まっていたため、不思議に思った僕は彼女へと声を掛ける。

「……風原さん?」

「……あのさ、その風原さんっていうのやめてくれないかな?」

「え……?」

「その……お母さんも言ってたけど私たちその……家族……なんだし、私もよく考えたら家族同士で苗字で呼ぶのはおかしいかなって……だからその……わ……私のこと亜希でいいから……。その代わり……あなたのこと、“彼方”って呼ばせてもらうわよ……?」

 


 風原さんは……いや、亜希はどこかムスッとしながらも少しだけ顔を赤くして僕を見つめてくる。

「う……うん、分かったよ……その……亜希……」

「で……でも家の中だけだからねっ!他の人の前で下の名前で呼んだら怒るわよ彼方……!」

 亜希はそれだけを言い残すと顔を真っ赤にさせて僕の部屋を飛び出していき、僕は彼女が走り去った後をただ眺めていたのだった……。


 ~サイドストーリー~


 ──亜希──


 彼方の部屋から自分の部屋へと戻ってきた私は勢いそのままにベッドへとダイブした!

(言っちゃった……!御堂君……いや、彼方に私のこと下の名前で呼んでいいって言っちゃった……!)

 顔が火照り自分の顔が真っ赤になっているのがわかる……。

 それに……彼方に"亜希"って呼ばれた……!

「えへ……えへへへ……。私も彼方って呼んじゃった……!」

 顔がニヤける……止まらない……!
 私はピンク色の枕を抱きしめて、ベッドの上でゴロゴロ転がった。

「……お姉ちゃん、何してるの?」

 由奈の声に、私は凍りついた。

「え……?」

 その様子を由奈に見られた私は声なき絶叫をこの後あげたのだった……。
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