罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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亜希の章 ツンデレな同居人

水の中でほどける心

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 ナンパ男達の一件のあと、僕と亜希は浮き輪を一つ借りると流れるプールへと来ていた。

「あははは……!彼方早く来ないと置いていっちゃうわよっ!」

「ちょ……!亜希待ってよ……!」

 浮き輪を使ってプールの流れに乗っいる亜希が笑いながら僕へと手を振る。

 亜希は浮き輪だから速いだろうけど、僕は水の中を歩きながら行かないといけないから大変なんだよ……!

 尤も泳ぎながら行ければいいんだろうけど、人が多くて泳ぐのも難しいため、手で水をかきながら歩いていくしか無かった。

「彼方早く早く~!」

「ま……待ってよ……!」

 どうにか追いつこうとするもその距離は離される一方だ……!

「もう……しょうがないわね……」

 亜希は苦笑しながら浮き輪を外すと僕の方へと歩いてくると、僕の手を握った。

「ほら、こうすると離れないですむわよ?」

「……っ!?」

 急に手を握られた僕は思わずドキッとし、言葉に詰まってしまった。

「それに、二人で浮き輪に掴まっていると一緒に流れに乗れるわよ」

「う……うん……」

 僕は亜希と共に一つの浮き輪へと捕まるとすぐ目の前に亜希の顔が見える……。
 水に濡れた髪、長いまつ毛、こぼれる笑顔……。

 亜希の顔を見つめると僕の心臓はうるさいくらいにドキドキと高鳴っていた。

「ねえ彼方、急に静かになったけど、これ嫌だった?」

「そ……そんなことないよ……!」

 むしろ嬉しいです!
 でも……その……亜希との距離が近すぎて僕の心臓が持たない……!

「ホントかなぁ~……、えい!」

「うわ……っ!?」

 亜希はイタズラっぽい笑みを浮かべると片手を使って僕へと水をかけてくる!

「えい!えい!えい……!」

「うわ……!亜希っ!やめてよ……!」

「あはははは……!彼方の困ったような顔、可愛い~!」

「亜希が止めないなら僕だって……!」

「え……?きゃあ……!」

 僕は仕返しとばかりに亜希へと水をかけると強気な笑みを浮かべるとさらにやり返してくる。

「やったわね……!えい!えい!えい……っ!」

「うわ……!参った……!参ったから……!」

「あはははは……!降参は受け付けないわよ!えいえいえい~!」

 結局僕は流れるプールを一周するまでの間亜希に水をかけ続けられるはめになってしまった……。


 ◆◆◆


 流れるプールを出た僕と亜希は次にウォータースライダーの前へと来ていた……。

(それはいいんだけど……結構高いな……)

 僕はその高さに息を呑む……。

 勿論高さだけじゃない、中はトンネル状になっており、クネクネと曲がったりするそのコースに僕は少し怖気づいていた。

「なに?彼方は怖気づいてるの?」

 僕がウォータースライダーの前で怖気づいていると亜希がニヤニヤと笑みを浮かべながら話しかけてきた。

「あ……亜希は怖くないの……?」

「私はその……彼方が一緒なら……大丈夫よ……?」

 亜希の言葉に僕は思わずドキッとする。

「それってどういう……」

「ほ……ほら、彼方いいから行くわよ……!」

「え……?ちょ……!」

 僕は亜希に腕を掴まれウォータースライダーへと向かう。

 そしていざ僕達の番が回ってきた時、改めてその高さに息を呑む……。

「ほら、彼方行くわよ!」

「え……?ちょ……!うわぁぁぁぁぁぁーーーー……っ!?」

 亜希に抱きつかれた僕はそのままウォータースライダーの中へと入っていく!

 水の流れや角度により、思いのほかスピードが早い……!
 しかも、コースが右に左にと曲がり、時には回ったりしながら下へと滑っていく……!

「きゃあぁぁぁぁぁぁーーーー……!」

 そして僕の横で亜希は僕にしがみつきながら悲鳴をあげていた。
 僕も思わず亜希にしがみつきながらウォータースライダーの中を滑っていく……、そして……。

「わぷ……!」

「きゃあ……っ!?」

 ウォータースライダーの出口からプールへと着水した僕達はお互いの顔を見ながら思わず笑い合っていた。


 楽しい時間はあっとい間に過ぎていく……。

 プールの中で少し高めなㇹッドドックを食べたり、他にもいろんなプールで遊んだりしているといつしか日が暮れ始めていた……。

「亜希……もう日が暮れるね……」

「そうね……、彼方……私今日彼方とプールに来れて楽しかった」

「僕も……亜希とこれですごく楽しかったよ」

 僕と亜希は人が少なくなった夕日の差すプールサイドでお互いを見つめ合うと、まるで引かれ合うように顔を近づかていく……。

 と、その時……。

『お知らせいたします!当施設のご利用の御堂 彼方様!御堂 亜希様!お連れ様がお待ちですので至急当施設ゲート前までお越しください!繰り返しお伝え致します……!』

「っ!?」
「っ!?」

 突然聞こえてきたアナウンスに僕と亜希は我に返ったようにお互い顔を離す……!

 ま……まさか父さんが迎えに来たとか……っ!?

「と……とりあえず行こうか亜希」

「そ……そうね……」

 僕達は立ちあがるとゲートへと向かって歩いたのだった……。

 しかし、その時亜希の言った「なんでこんな時にアナウンスを流すのよ……!」と小さな声で文句を言っていたのを僕の耳は聞き逃さなかった……。


 ◆◆◆


「彼方、亜希ちゃん今日は楽しかったかい?」

「う……うん……」

「は……はい……」

 水着から服へと着替えた僕と亜希は父さんの運転する車の後部座席で父さんの問いに返事するとそのまま無言で窓の外を見ていた……。

 窓には景色と共に窓に映る亜希の姿が見える……。

 もし……もしもう少しアナウンスが遅かったら……僕はどうしていただろう……?

 もしかしたら……僕は亜希とキスしていたかもしれない……。
 でも、不思議とそれは嫌じゃないし、むしろそれをどこかで願っていた僕がそこにいた……。

 でも……もしかしたら僕だけが一人舞い上がってるんじゃないよね……。
 そう思うとえも言われぬ不安に包まれる。

 と、その時窓に映る亜希の顔が僕の方を見ながら笑みを浮かべているのに僕は気がついた。

 そして気がつく自分の気持ち……。

(そうか……僕は亜希の事が好きなんだ……)

 僕は亜希の方へと振り向くとただ何も言葉も交わすことなく見つめ合う……。

 そして、僕は自分の手を亜希の手の上へと重ねると最初は驚いたような顔をしていた亜希だったけど、すぐに優しい笑みを浮かべて返してくれた。

 その表情に僕の胸はドキドキとうるさいほどに高鳴っていた……。


 ~サイドストーリー~


「おい、二人とももうすぐ着くぞ……て、あれ……?」

 弘樹は赤信号で止まった時に後ろへと目を向けるとそこにはプールで遊び疲れたのか眠っている彼方と亜希の姿が見えた。

 しかも、二人はお互い寄り添いながら手を握っている姿に弘樹は笑みを浮かべる。

「今ごろ二人はどんな夢を見てるんだろうな……」

 二人のために少し回り道をして帰ってやるかと思った弘樹だった……。
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