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亜希の章 ツンデレな同居人
誰もいない教室で……
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校舎裏の倉庫へと続く道を、僕と亜希は並んで歩いていた。
夕方の風が少しだけ涼しくて、夏の終わりを感じさせる。
「……柊さん、鋭いよね」
僕がぽつりと呟くと、亜希は少しだけ笑った。
「そうね……、ちょっと恥ずかしかったわね……」
「僕も……。もしかしたら僕たちのことみんなの噂になってるのかな……?」
「分からないわね……でも……彼方となら噂になっても……私は困らないわよ……」
「え……?」
亜希の言葉に僕はドキッとする。
「と……とりあえず暗幕を早く取りに置くわよ……!」
「え…?あ……!待ってよ亜希……!」
小走りに走る亜希を追って僕もまた走り始めた。
倉庫に着くと鍵は開いており、中にはクラスの札と共に折りたたまれた暗幕が数枚、棚の上に積まれている。
「これ、二人で持てるかな……?」
「うん、たぶん……あ、ちょっと待って」
亜希が棚に手を伸ばした瞬間、バランスを崩してよろける。
「わっ……!」
「亜希危ないっ!」
「きゃあ……っ!?彼方……!」
「え……?うわぁ……っ!?」
僕は反射的に亜希へと腕を伸ばす……が、亜希に腕を掴まれた僕は結局亜希と共に倒れてしまった。
そして気づけば、僕は亜希を押し倒す形となっていた。
「亜希……」
「彼方……」
僕たちはお互い顔を赤くしながら見つめ合う……。
倉庫の中は静かで、外の風の音だけが聞こえる……。
亜希は静かに目を閉じると僕は思わず生唾を飲み込み目を閉じて亜希へと顔を近付ける……。
あともう少しで僕と亜希の唇が触れようとしたその時だった……。
「えっと……暗幕はここでいいんだっけ?」
「ああ、そのはずだ」
「っ!?」
「っ!?」
突然聞こえてきた声に僕と亜希は体をビクッと震わせると慌てて起き上がり急いで暗幕を抱きかかえて倉庫を飛び出した。
倉庫を飛び出した僕たちは、しばらく無言のまま教室へと向かって歩いていた。
夕焼けが差し込む中、暗幕を抱えたまま、僕は何度も亜希の横顔を盗み見てしまう。
「……さっきの、誰だったんだろうね」
僕がようやく口を開くと、亜希は小さく肩をすくめた。
「分からないけど……誰かが倉庫に来るタイミング悪すぎよ……」
「そうだね……」
僕たちは顔を赤くしながら、でもどこか笑いをこらえるような空気で歩き続けた。
教室へと戻ると、柊さんがこちらに気づいて駆け寄ってくる。
「暗幕ありがとう……。ん?なんか二人とも顔赤くない……?」
「えっ!? そ、そんなことないよ!」
「うんっ!暑かっただけよ!」
僕と亜希は慌てて否定するが、柊さんはじぃ~っと僕たちを見ていた。
「……まあいいけど。それより、高藤くんたちはまだ行方不明だから、暗幕の設置もしてほしい」
「……え?」
「じゃ、よろしく……」
柊さんはそれだけを言い残すと他の準備のため僕たちのもとを去っていった。
……高藤と悠人のやつ、ほんとにどこ行ったんだよ。
僕は心の中で文句を言いながら、亜希と一緒に教室の窓へと暗幕を取り付けていった。
窓際に並んで、僕と亜希は暗幕を取り付けていった。
夕焼けが差し込む教室の中、ベニヤ板の迷路が少しずつ形になっていく。
「……こっち、少しずれてるかも」
「ほんとだ……亜希、ちょっと持っててくれる?」
「うん」
僕は脚立へとのぼり、画鋲を使って暗幕の端を調整していると、亜希が下から支えてくれる。
その手が、さっき倉庫で触れた手と同じだと思うと、なんだか意識してしまってうまく画鋲が刺せない。
「……彼方、顔赤いよ?」
「えっ!? いや、これは……夕焼けのせいだよ、きっと」
「ふふ……夕焼けって便利ね」
亜希が笑う。
その笑顔が、なんだかいつもより近く感じた。
暗幕の設置が終わり、他の残っていた作業を終える頃教室には誰の姿も残っていなかった……。
「……みんな帰っちゃったのかな」
「みたいね、まったく薄情な人たちだわ……」
亜希は腕組みをしながらため息をつく。
そして僕はこの教室に亜希と二人きりでなのだということに気がついた。
「ねえ……、亜希」
「な……なに……?」
僕は亜希の肩へと手をやると、彼女はビクッ体を震わせ僕の顔を見つめる……。
「実は亜希に一つ謝っていかないといけないことがあるんだ……」
「え……?私に謝らないといけないこと……?」
「うん、前学校の屋上で亜希に告白したことがあったよね……実はあれさ……罰ゲームだったんだ……」
「え……?あれ……罰ゲームだったの……?」
僕の言葉に、亜希はしばらく黙っていた。
夕焼けが差し込む教室の中、彼女の表情は影に隠れてよく見えない。
「でも今は違う、今まで亜希と過ごして……プールに遊びに行ったり、エリシアで遊んだり、そして今こうして学園祭の準備を一緒にしている内に僕は亜希のことが本当に好きになっていた……」
「彼方……?」
亜希は僕の顔を見つめていた。
その瞳の奥に、怒りでも悲しみでもない、何か揺れるものが見えた気がした。
「亜希……僕は君のことが好きだ、改めて言うよ……僕と付き合ってください……」
僕は亜希へと本当の告白をする。
「……ずるいわね、彼方」
「え……?」
「今頃この前の告白が罰ゲームだったって言って、私を傷つけておいて……でも、今の言葉は……ちゃんと嬉しいって思ってる私がいる……」
亜希はそう言って、少しだけ笑った。
その笑顔は、泣きそうな顔と紙一重だった。
「……ごめん、亜希。でも、今は本気で言ってる。君のことが、好きだ」
僕の言葉に、亜希は目を伏せて、静かに頷いた。
「私も、彼方のこと……好きよ……。あなたの告白受け入れます……。だから彼方……こちらこそ私と付き合ってください……」
「亜希……」
僕は亜希の体をそっと抱きしめると彼女へとキスをしたのだった……。
夕方の風が少しだけ涼しくて、夏の終わりを感じさせる。
「……柊さん、鋭いよね」
僕がぽつりと呟くと、亜希は少しだけ笑った。
「そうね……、ちょっと恥ずかしかったわね……」
「僕も……。もしかしたら僕たちのことみんなの噂になってるのかな……?」
「分からないわね……でも……彼方となら噂になっても……私は困らないわよ……」
「え……?」
亜希の言葉に僕はドキッとする。
「と……とりあえず暗幕を早く取りに置くわよ……!」
「え…?あ……!待ってよ亜希……!」
小走りに走る亜希を追って僕もまた走り始めた。
倉庫に着くと鍵は開いており、中にはクラスの札と共に折りたたまれた暗幕が数枚、棚の上に積まれている。
「これ、二人で持てるかな……?」
「うん、たぶん……あ、ちょっと待って」
亜希が棚に手を伸ばした瞬間、バランスを崩してよろける。
「わっ……!」
「亜希危ないっ!」
「きゃあ……っ!?彼方……!」
「え……?うわぁ……っ!?」
僕は反射的に亜希へと腕を伸ばす……が、亜希に腕を掴まれた僕は結局亜希と共に倒れてしまった。
そして気づけば、僕は亜希を押し倒す形となっていた。
「亜希……」
「彼方……」
僕たちはお互い顔を赤くしながら見つめ合う……。
倉庫の中は静かで、外の風の音だけが聞こえる……。
亜希は静かに目を閉じると僕は思わず生唾を飲み込み目を閉じて亜希へと顔を近付ける……。
あともう少しで僕と亜希の唇が触れようとしたその時だった……。
「えっと……暗幕はここでいいんだっけ?」
「ああ、そのはずだ」
「っ!?」
「っ!?」
突然聞こえてきた声に僕と亜希は体をビクッと震わせると慌てて起き上がり急いで暗幕を抱きかかえて倉庫を飛び出した。
倉庫を飛び出した僕たちは、しばらく無言のまま教室へと向かって歩いていた。
夕焼けが差し込む中、暗幕を抱えたまま、僕は何度も亜希の横顔を盗み見てしまう。
「……さっきの、誰だったんだろうね」
僕がようやく口を開くと、亜希は小さく肩をすくめた。
「分からないけど……誰かが倉庫に来るタイミング悪すぎよ……」
「そうだね……」
僕たちは顔を赤くしながら、でもどこか笑いをこらえるような空気で歩き続けた。
教室へと戻ると、柊さんがこちらに気づいて駆け寄ってくる。
「暗幕ありがとう……。ん?なんか二人とも顔赤くない……?」
「えっ!? そ、そんなことないよ!」
「うんっ!暑かっただけよ!」
僕と亜希は慌てて否定するが、柊さんはじぃ~っと僕たちを見ていた。
「……まあいいけど。それより、高藤くんたちはまだ行方不明だから、暗幕の設置もしてほしい」
「……え?」
「じゃ、よろしく……」
柊さんはそれだけを言い残すと他の準備のため僕たちのもとを去っていった。
……高藤と悠人のやつ、ほんとにどこ行ったんだよ。
僕は心の中で文句を言いながら、亜希と一緒に教室の窓へと暗幕を取り付けていった。
窓際に並んで、僕と亜希は暗幕を取り付けていった。
夕焼けが差し込む教室の中、ベニヤ板の迷路が少しずつ形になっていく。
「……こっち、少しずれてるかも」
「ほんとだ……亜希、ちょっと持っててくれる?」
「うん」
僕は脚立へとのぼり、画鋲を使って暗幕の端を調整していると、亜希が下から支えてくれる。
その手が、さっき倉庫で触れた手と同じだと思うと、なんだか意識してしまってうまく画鋲が刺せない。
「……彼方、顔赤いよ?」
「えっ!? いや、これは……夕焼けのせいだよ、きっと」
「ふふ……夕焼けって便利ね」
亜希が笑う。
その笑顔が、なんだかいつもより近く感じた。
暗幕の設置が終わり、他の残っていた作業を終える頃教室には誰の姿も残っていなかった……。
「……みんな帰っちゃったのかな」
「みたいね、まったく薄情な人たちだわ……」
亜希は腕組みをしながらため息をつく。
そして僕はこの教室に亜希と二人きりでなのだということに気がついた。
「ねえ……、亜希」
「な……なに……?」
僕は亜希の肩へと手をやると、彼女はビクッ体を震わせ僕の顔を見つめる……。
「実は亜希に一つ謝っていかないといけないことがあるんだ……」
「え……?私に謝らないといけないこと……?」
「うん、前学校の屋上で亜希に告白したことがあったよね……実はあれさ……罰ゲームだったんだ……」
「え……?あれ……罰ゲームだったの……?」
僕の言葉に、亜希はしばらく黙っていた。
夕焼けが差し込む教室の中、彼女の表情は影に隠れてよく見えない。
「でも今は違う、今まで亜希と過ごして……プールに遊びに行ったり、エリシアで遊んだり、そして今こうして学園祭の準備を一緒にしている内に僕は亜希のことが本当に好きになっていた……」
「彼方……?」
亜希は僕の顔を見つめていた。
その瞳の奥に、怒りでも悲しみでもない、何か揺れるものが見えた気がした。
「亜希……僕は君のことが好きだ、改めて言うよ……僕と付き合ってください……」
僕は亜希へと本当の告白をする。
「……ずるいわね、彼方」
「え……?」
「今頃この前の告白が罰ゲームだったって言って、私を傷つけておいて……でも、今の言葉は……ちゃんと嬉しいって思ってる私がいる……」
亜希はそう言って、少しだけ笑った。
その笑顔は、泣きそうな顔と紙一重だった。
「……ごめん、亜希。でも、今は本気で言ってる。君のことが、好きだ」
僕の言葉に、亜希は目を伏せて、静かに頷いた。
「私も、彼方のこと……好きよ……。あなたの告白受け入れます……。だから彼方……こちらこそ私と付き合ってください……」
「亜希……」
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