罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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亜希の章 ツンデレな同居人

再開した娘と父

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 僕はカナタをトリスタにあるトリエステ城の前へと移動させるとそこには既にミアキの姿があった。

 僕はミアキにパーティー申請を送り、すぐに承認されると、チャットウィンドウが開き、亜希の文字が飛び込んでくる。

『彼方……!お父さんは来るの……っ!?』

『多分もうすぐ来ると思うよ』

『わ……分かったわ……』

 チャット越しに亜希の緊張が伝わってくる……。
 そして待つとこ少し……、スズタクさんがやって来ると、パーティーへと誘うとチャットを開始する。

『お待たせ、それで俺をここに呼んだのには何か理由があるんだろ?』

『はい、スズタクさん……失礼を承知でお聞きします。本名は……鈴原 拓真さん、ではありませんか?』

 僕はスズタクさんに単刀直入で聞くとしばらく間が空く……。

『……オンラインゲームでは他人の事を詮索するのはマナー違反の筈だが?』

『はい、それはわかっています……』

『あの……!私……亜希です!風原 亜希……、あなたは……私のお父さんなんですか……?』

『……亜希……? 本当に……お前なのか……?』

 その言葉に、画面越しでも彼の動揺が伝わってきた。

『そうよ……!あなたの娘の亜希よ……!』

『……まさかこんなところで実の娘に会えるとは。カナタのいうように確かに俺の本名は鈴原 拓真だ。でも、どうして俺の本名が分かった?』

『彼方が教えてくれたの……、お父さんと同じ愛称を使っている人がいるって……』

『そうか……、亜希……お母さんは……真奈美と由奈は元気か?』

『うん、元気よ。お母さんは彼方のお父さんと再婚して私も名字が変わったの』

『そうか……真奈美は再婚したのか……。カナタ……いや、彼方くん……君は亜希とはどういう関係なんだ?』

『僕は娘さんと真剣にお付き合いをさせていただいています』

『彼方は私の彼氏なの』

『……娘の彼氏がこんな近くにいたとはな、世の中ってのは狭いものだな。それで、その事を知らせるためにわざわざ俺を呼んだのか?』

『はい、亜希さんとの交際をあなたにも認めてほしくて……』

『……俺には娘の親権はない、しかし亜希の親であることには違いはない。彼方くん、俺が言えた義理ではないが娘を、亜希をよろしく頼む』

『はい、任せてください』

『亜希……』

『なに?お父さん』

『彼方のことは同じチームにいるからある程度のことは知っているつもりだ、こいつは今どき珍しくいい奴だ。そんなところにお前は好きになったんだろ?』

『え……っ!?ちょ……!ま……まあ……、そう……だけど……でも、彼方のいる前で言わなくてもよくないっ!?』

『そ……そうだったな……、すまなかった……』

『ところで、お父さんは最近何してるの?元気?』

『ああ、俺は今はな……』

 ……これ以上、親子の会話に割り込むのは無粋だと思った僕はそっとパーティーを抜け、ログアウトする。 
 
(亜希……久しぶりに会うお父さんと思う存分、話しておいで)

 僕はそう思いながら制服を着替えるとラノベを手に取るとベッドへと寝転がったのだった……。


 ◆◆◆


「彼方……いいかしら……?」

 丁度ラノベを読み終わったその頃、亜希が部屋のドアをノックしてきた。

「亜希?……うん、いいよ」

「お邪魔するわね」

 僕がベッドから起き上がると、亜希は静かに部屋へ入り、僕の隣に腰を下ろした。

「……お父さんとのお話終わったの?」

「うん、色々話したわ……。お父さん、再婚とかはまだしてないみたいけど元気にしてるって言ってた」

「そっか……」

「……ありがとう、彼方。あなたのおかげで……お父さんに、また会えたわ」

「僕もまさかスズタクさんが亜希のお父さんとは知らなかったよ……」

 亜希の言葉に僕は苦笑しながら頬を掻く。

 いや……、本当に世の中って狭いんだな……。

「最後にお父さんが彼方に伝えておいてほしい事があるって言ってたわ」

「ん……?そうなの?」

「ええ……“学生のうちに亜希を妊娠させたら、タダじゃおかないぞ”って言ってたわ……」  

 亜希は少し照れたように笑った。

「あは……あははは……」

 父さんと同じこと言ってるよ……。

 僕は笑いながら頭をかいた。  
 でも、心の奥では少しだけ、亜希のお父さんの言葉が響いていた。  
 それは脅しでも冗談でもなく、娘を大切に思う父親の本音だったから。

「……でも、なんか嬉しかったな。スズタクさんが、亜希のこと……ちゃんと覚えててくれてて」

「うん……私も。ずっと会えないままだと思ってたから……。彼方がいてくれて、本当に良かった」

 亜希はそう言って、僕の肩にもたれかかってきた。  
 その重みが、なんだか今日一日のすべてを包み込んでくれるような気がした。

「……彼方、私ね。お父さんと話してて思ったの。私、今すごく幸せだなって」

「……うん、僕も」

 部屋の中は静かで、まるでここだけは時間が止まったみたいに穏やかだった。

「ねえ……彼方」

「ん?」

「……ちょっとだけ、手……つないでもいい?」

「もちろん」

 僕がそっと手を差し出すと、亜希の指が静かに僕の指へと絡んできた。  
 そのぬくもりは、優しくて、あたたかかった。

 亜希は僕の肩に頭を預けたまま、目を閉じていた。  
 僕はそのまま、彼女の髪をそっと撫でながら、静かに夜を迎える準備をしていた。

(亜希……これからも、ずっと隣にいてほしい)

 そう思った瞬間、彼女が小さく呟いた。

「……彼方、ずっと一緒にいてね」

「うん、約束するよ」

 その言葉に、僕はそっと顔を寄せた。
 唇が触れ合った瞬間、心の奥に静かな確信が灯った。
 ……これからも、ずっと亜希と一緒にいよう。
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