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亜希の章 ツンデレな同居人
恋人の挑戦と甘さの代償
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食べ始めてから20分……。
甘さの波に飲まれながら、僕たちは三段目に突入していた。
「うぷ……」
僕は口元を押さえると込み上げてきそうになったものをどうにか飲み込む……。
一段目と二段目を完食した僕と亜希だったけど、三段目のプリンとチーズケーキの層に苦戦を強いられていた……。
というのもただ単にお腹がいっぱいになってきているのだ。
「か……彼方大丈夫……?」
「ぼ……僕はもう限界寸前……。亜希は……?」
胃が重くて、スプーンを持つ手が震える。
「私も……かなりキツイわ……」
亜希も限界が近いのか、フォークを持つ手は止まり、顔はうんざりとした表情になっていた。
思った通り……いや、思った以上にこれはキツイ……。
"甘味の城"という異名は伊達じゃないのかもしれない……。
おまけにこの三段目を完食したとしても……四段目と五段目が待ち構えている……。
無理だ……、僕はそう判断した。
「あ……亜希……、僕はもう無理だ……。大人しくギブアップしよう……」
僕はスプーンを置き、深く息を吐いた。
胃の奥が重くて、甘さが喉にまとわりついてくる。
亜希もフォークを置き、静かに頷いた。
「……うん。私も、もう限界かも」
僕たちは顔を見合わせて、少しだけ笑った。
それは敗北じゃなくて、“一緒に頑張ったね”の笑みだった。
「すみません……ギブアップでお願いします」
店員さんにそう告げると、彼女はにこやかに頷いた。
「お疲れさまでした!それにしても大健闘でしたね、三段目の半分くらいまで食べ進めれた方も珍しいんですよ」
「えっ……そうなんですか?」
「ええ。多くの方が二段目の半ば、もしくは二段目を完食した時点でギブアップされます。ですからこれはかなりすごいです。SNSにも載せていいですか?」
「……あ、はい」
「では、お互い手をつないで……キスお願いしま~す!」
「ええぇぇぇぇーーー……っ!?」
「き……キス……っ!?」
突然の店員さんの言葉に、僕と亜希はほぼ同時に声を上げた。
「えっ……あの……それって……本当に必要なんですか……?」
「はいっ♪ カップル限定メニューの挑戦者には、記念ショットとして“手つなぎキス”をお願いしてるんです。もちろん、SNSには顔はぼかしますのでご安心を~!」
店員さんはスマホを構えたまま、にこにこしている。
「……ど、どうする……?」
僕は亜希の方を見る。
彼女は顔を真っ赤にして、視線をテーブルの上に落としていた。
「……手をつなぐだけじゃダメなのかしら?」
「うーん……本当はキスをお願いしているのですけど……、顔を近づけるだけでも十分甘いですから~!初々しいカップルさん、よくやってますよ~♪」
「……な、なんなのこの店!」
僕は思わず心の中で叫んだ。
でも、亜希の手がそっと僕の手に触れる。
「……彼方、ちょっとだけ……頑張って」
「……うん」
僕たちはそっと手をつなぎ、顔を少しだけ近づける。
距離は10センチ……いや、5センチ……。
「はい、いい感じです~!そのまま、チュッていっちゃいましゃう!」
(え……?)
え……と思った瞬間、亜希の唇が僕の唇にそっと触れた。
柔らかくて、甘くて、心臓が跳ねた。
店員さんの言葉に乗せられてしまった僕と亜希はキスをしてしまっていた。
そして、その直後シャッター音が鳴る。
「はい、いいキスシーン頂きましたっ!お疲れさまでした!SNSに載せる際は“甘味の城、恋人の試練”というタグをつけておきますね!あと、チャレンジ失敗ですので、1万3千円のお支払いですね~。あと、残ったスイーツはお持ち帰りできますがどうされますか?」
「……お持ち帰りで」
僕と亜希は顔を赤くしながら頷くと代金を払って店をあとにした。
◆◆◆
「亜希、思った以上に大変だったね……」
「……そうね、でも私は意外と楽しかったわ」
店を出ると、夕陽が街をオレンジ色に染めていた。
僕と亜希は手をつないで、静かに歩き出す。
空いている方の僕の手には食べ残したデカ盛りスイーツの袋が下げられている。
「それより、僕もうお腹いっぱいだよ……」
「私も……たぶん今日は夕飯入らないわ……」
「僕も……というか、作る気も起きないよ……」
いっそこの残ったスイーツを夕飯に出そうかと思わなくもない……。
でも、そうしたらみんな怒るかなぁ……。
しかし、夕飯を作る気力が湧かなかった僕はこのデカ盛りスイーツの残りを夕飯として出すと由奈ちゃんは「わーい!」と喜び、父さんは苦笑。
でも、真奈美さんは……激怒だった。
そして僕と亜希は、リビングで正座。
「ご飯前に変な買い食いはしないこと!」
真奈美さんの説教は、甘味の試練よりもずっと厳しかった……。
甘さの波に飲まれながら、僕たちは三段目に突入していた。
「うぷ……」
僕は口元を押さえると込み上げてきそうになったものをどうにか飲み込む……。
一段目と二段目を完食した僕と亜希だったけど、三段目のプリンとチーズケーキの層に苦戦を強いられていた……。
というのもただ単にお腹がいっぱいになってきているのだ。
「か……彼方大丈夫……?」
「ぼ……僕はもう限界寸前……。亜希は……?」
胃が重くて、スプーンを持つ手が震える。
「私も……かなりキツイわ……」
亜希も限界が近いのか、フォークを持つ手は止まり、顔はうんざりとした表情になっていた。
思った通り……いや、思った以上にこれはキツイ……。
"甘味の城"という異名は伊達じゃないのかもしれない……。
おまけにこの三段目を完食したとしても……四段目と五段目が待ち構えている……。
無理だ……、僕はそう判断した。
「あ……亜希……、僕はもう無理だ……。大人しくギブアップしよう……」
僕はスプーンを置き、深く息を吐いた。
胃の奥が重くて、甘さが喉にまとわりついてくる。
亜希もフォークを置き、静かに頷いた。
「……うん。私も、もう限界かも」
僕たちは顔を見合わせて、少しだけ笑った。
それは敗北じゃなくて、“一緒に頑張ったね”の笑みだった。
「すみません……ギブアップでお願いします」
店員さんにそう告げると、彼女はにこやかに頷いた。
「お疲れさまでした!それにしても大健闘でしたね、三段目の半分くらいまで食べ進めれた方も珍しいんですよ」
「えっ……そうなんですか?」
「ええ。多くの方が二段目の半ば、もしくは二段目を完食した時点でギブアップされます。ですからこれはかなりすごいです。SNSにも載せていいですか?」
「……あ、はい」
「では、お互い手をつないで……キスお願いしま~す!」
「ええぇぇぇぇーーー……っ!?」
「き……キス……っ!?」
突然の店員さんの言葉に、僕と亜希はほぼ同時に声を上げた。
「えっ……あの……それって……本当に必要なんですか……?」
「はいっ♪ カップル限定メニューの挑戦者には、記念ショットとして“手つなぎキス”をお願いしてるんです。もちろん、SNSには顔はぼかしますのでご安心を~!」
店員さんはスマホを構えたまま、にこにこしている。
「……ど、どうする……?」
僕は亜希の方を見る。
彼女は顔を真っ赤にして、視線をテーブルの上に落としていた。
「……手をつなぐだけじゃダメなのかしら?」
「うーん……本当はキスをお願いしているのですけど……、顔を近づけるだけでも十分甘いですから~!初々しいカップルさん、よくやってますよ~♪」
「……な、なんなのこの店!」
僕は思わず心の中で叫んだ。
でも、亜希の手がそっと僕の手に触れる。
「……彼方、ちょっとだけ……頑張って」
「……うん」
僕たちはそっと手をつなぎ、顔を少しだけ近づける。
距離は10センチ……いや、5センチ……。
「はい、いい感じです~!そのまま、チュッていっちゃいましゃう!」
(え……?)
え……と思った瞬間、亜希の唇が僕の唇にそっと触れた。
柔らかくて、甘くて、心臓が跳ねた。
店員さんの言葉に乗せられてしまった僕と亜希はキスをしてしまっていた。
そして、その直後シャッター音が鳴る。
「はい、いいキスシーン頂きましたっ!お疲れさまでした!SNSに載せる際は“甘味の城、恋人の試練”というタグをつけておきますね!あと、チャレンジ失敗ですので、1万3千円のお支払いですね~。あと、残ったスイーツはお持ち帰りできますがどうされますか?」
「……お持ち帰りで」
僕と亜希は顔を赤くしながら頷くと代金を払って店をあとにした。
◆◆◆
「亜希、思った以上に大変だったね……」
「……そうね、でも私は意外と楽しかったわ」
店を出ると、夕陽が街をオレンジ色に染めていた。
僕と亜希は手をつないで、静かに歩き出す。
空いている方の僕の手には食べ残したデカ盛りスイーツの袋が下げられている。
「それより、僕もうお腹いっぱいだよ……」
「私も……たぶん今日は夕飯入らないわ……」
「僕も……というか、作る気も起きないよ……」
いっそこの残ったスイーツを夕飯に出そうかと思わなくもない……。
でも、そうしたらみんな怒るかなぁ……。
しかし、夕飯を作る気力が湧かなかった僕はこのデカ盛りスイーツの残りを夕飯として出すと由奈ちゃんは「わーい!」と喜び、父さんは苦笑。
でも、真奈美さんは……激怒だった。
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