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澪の章 寡黙なクラス委員長
澪の静かなる嫉妬と甘え
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夕食を終え、お風呂を借りた僕は澪の部屋へと戻った。
部屋の中は澪がつけてくれたのか、エアコンが効いており涼しい空気が部屋に満ちていた。
澪は僕の入れ替わりでお風呂に入っているため僕は一人彼女のベッドへの隅へと座って部屋を見渡す。
澪の部屋は、必要最低限の家具だけが整然と並ぶシンプルな空間だった。
ぬいぐるみや小物は見当たらず、どこか澪らしい静けさが漂っている。
(女の子の部屋ってカラフルだったり、ぬいぐるみがそこら中に置いてあったりしているイメージがあったけど、そうというわけじゃないんだな……)
あっても、本棚のところに置かれてある青葉ケ丘学園本校の入学式の時のお母さんとのツーショット写真が入ったフォトフレームくらいかな……?
(ん……?あれは……)
僕は澪の机の上に伏せれているフォトフレームを見つける。
なんだろう……?
少しだけ罪悪感を覚えながらフォトフレームを起こすと、そこには——付属中学時代の僕の写真が収められていた。
(僕の写真……?)
「彼方君、お湯加減どうだったかしら?」
自分の写真を眺めながら首を傾げていると部屋のドアが開かれ、澪のお母さんがやって来る。
「あ、はい気持ちよかったです。ありがとうございます」
「それはよかったわ……て、その写真は……?」
「あ、はい。僕の付属中学の頃の写真みたいです」
僕は澪のお母さんへと写真を手渡すと、彼女は少し寂しげに……しかし懐かしむような目で写真を見ていた。
「これは澪の大事な写真なの。澪は、付属中学の頃からずっと——彼方君に片想いしていたのよ。楽しかった時や嬉しかった時はもちろん、悲しい時泣きそうな時もこの写真を見て話しかけていたの……」
「そう……だったんですか……」
「でも……澪は彼方君と両想いになれて今は本当に幸せそうに笑うようになったの。これはお願い……というか、私のワガママなんだけど……これから先もずっと澪と一緒にいてくれないかしら……?」
一緒にいてほしい……それはこの先の未来のことを僕へと伝えようとしていた。
「勿論です。僕はこの先もずっと澪の傍にいたいと思っています」
「ふふ、それを聞けて安心したわ。彼方君は娘の彼氏じゃなくて未来の息子かしら?」
澪のお母さんは僕に写真を返すと上機嫌で澪の部屋を出ていく。
いや……、未来の息子ってどんだけ気が早いんですか……!
僕は心の中でツッコミを入れながら閉じられたドアを見ていると澪が戻って来る。
彼女は、僕が写真を持っていることに気がつくとすこしだけムッとしながら近づいてきた。
「彼方くん……それ見ちゃダメ……!」
澪は僕から写真を奪うと再び机の上へと伏せる。
「なんで……?僕の写真だし……」
「だって……わたしが昔の彼方くんの写真を眺めてたら今の彼方くんが嫉妬するかもしれない……」
いや……自分に嫉妬って……。
僕は苦笑しながらベッドの隅へと座ると澪も僕の隣へと座り肩に頭を預けてくる。
「澪……?」
「彼方くん成分補給中……」
「補給中って……朝もしてなかった?」
「彼方くん成分は、いくらあっても足りないくらい……」
……そうですか。
「なら……これはどう?」
僕は澪の頭を手に持つと自分の胸へと軽く当てる。
「わ……彼方くんの心臓の音が聞こえる……。トクン、トクン……て……」
澪は僕の胸に耳を当てたまま、目を閉じて静かに呼吸を整えている。
その姿はまるで、僕の空気に包まれて眠ろうとしているようだった。
「ねえ……彼方くん」
「うん……?」
「この音……ずっと聞いていたい……」
僕は返事をする代わりに、澪の髪をそっと撫でる。
まだ完全に乾いていないのか、彼女の髪は少ししっとりと濡れていた。
「ねえ……彼方くんって浮気とかしない……?」
「しないよ……!」
僕は澪の問いに答えるも、彼女は僕の顔を疑いの眼差しで見つめてくる……。
「彼方くん優しいからすぐに他の女の子のところにホイホイとついて行っちゃいそう……」
ホイホイって……、僕は犬か何かか……?
「僕は澪一筋だよ……!」
「うん、知ってる……。でも……だからこそ不安にもなる……。そういう訳たがら彼方くんが私のものだという証拠をつける……」
「証拠……?」
澪は顔を上げると僕の首筋へと唇を当てて吸い付いてくる。
時折澪が首筋へと舌を這わせるとすこしだけくすぐったさを覚え僕の体はピクっとした。
特に痛くはないけど、なにかマーキングか何かされているような気さえ覚える。
「……ん、これでいい」
澪はそっと口を離すと、机の引き出しから手鏡を取り出し、僕の方へと向けた。
すると、首筋が少しだけ赤くなっていた。
「澪これは……?」
「キスマーク……。彼方くんはわたしのものだと言う証……」
澪は自慢げに鼻息を少しだけ荒らげながら僕を見る。
どうやら本当にマーキングされたようだ。
「なら僕も……澪に変な男が近付いてかないように……」
僕も澪の首筋へと口をつけるとキスマークをつけていく。
「ん……これ少しくすぐったい……。でも……彼方くんのものにされるの嬉しい……」
澪は目を閉じまると僕のキスマークを受け入れていく。
そして僕は彼女の首筋から口を離すと確かにそこには僕のキスマークが出来ていた。
「僕も澪にマーキングしてみた」
「うん、嬉しい……。ねえ、彼方くんアレ使わないの?」
澪は真奈美さんの持ってきた紙袋を指さすと彼女の意図をすぐに理解した。
「澪、欲しいの……?」
「うん……」
僕の問いに澪は顔を赤くしながら上目遣いで僕を見てくる。
「澪……」
「彼方くん……」
僕は澪にそっとキスを重ねながら、彼女を優しくベッドへと寝かせた……。
◆◆◆
暗い室内……同じベッドへと入っている澪が僕の目を見つめてくる。
正確には僕のほうが澪のベッドへと入れさせてもらっている。
「ねえ、彼方くん……」
「うん?」
「……わたしの家に泊まるって、変な感じしない?」
「変な感じ……?」
「ううん、嫌な意味じゃなくて……。なんか……夢みたいで……」
「夢みたいって……?」
「うん……。昔、彼方くんの写真に話しかけてた頃……こんな日が来るなんて思ってなかったから……」
僕の腕を枕にしている澪は、僕の方へと視線を向ける。
その瞳は、どこか不安と期待が混ざったような色をしていた。
「……僕も、ちょっと不思議な気分だよ。澪の家にいるってだけで、なんか……空気が違う」
「空気……?」
「うん。自分の部屋とは違ってなんて言うか……、澪の匂いに満たされているっていうか……」
澪はすこしだけクスっと笑うと、僕にぎゅっと抱きついてきた。
「じゃあ……今夜は、わたしの匂いと空気に包まれて眠って……」
「……うん。ありがとう、澪」
最後にそっとキスを交わし、僕たちは互いの温もりに包まれながら静かに眠りへと落ちていった。
部屋の中は澪がつけてくれたのか、エアコンが効いており涼しい空気が部屋に満ちていた。
澪は僕の入れ替わりでお風呂に入っているため僕は一人彼女のベッドへの隅へと座って部屋を見渡す。
澪の部屋は、必要最低限の家具だけが整然と並ぶシンプルな空間だった。
ぬいぐるみや小物は見当たらず、どこか澪らしい静けさが漂っている。
(女の子の部屋ってカラフルだったり、ぬいぐるみがそこら中に置いてあったりしているイメージがあったけど、そうというわけじゃないんだな……)
あっても、本棚のところに置かれてある青葉ケ丘学園本校の入学式の時のお母さんとのツーショット写真が入ったフォトフレームくらいかな……?
(ん……?あれは……)
僕は澪の机の上に伏せれているフォトフレームを見つける。
なんだろう……?
少しだけ罪悪感を覚えながらフォトフレームを起こすと、そこには——付属中学時代の僕の写真が収められていた。
(僕の写真……?)
「彼方君、お湯加減どうだったかしら?」
自分の写真を眺めながら首を傾げていると部屋のドアが開かれ、澪のお母さんがやって来る。
「あ、はい気持ちよかったです。ありがとうございます」
「それはよかったわ……て、その写真は……?」
「あ、はい。僕の付属中学の頃の写真みたいです」
僕は澪のお母さんへと写真を手渡すと、彼女は少し寂しげに……しかし懐かしむような目で写真を見ていた。
「これは澪の大事な写真なの。澪は、付属中学の頃からずっと——彼方君に片想いしていたのよ。楽しかった時や嬉しかった時はもちろん、悲しい時泣きそうな時もこの写真を見て話しかけていたの……」
「そう……だったんですか……」
「でも……澪は彼方君と両想いになれて今は本当に幸せそうに笑うようになったの。これはお願い……というか、私のワガママなんだけど……これから先もずっと澪と一緒にいてくれないかしら……?」
一緒にいてほしい……それはこの先の未来のことを僕へと伝えようとしていた。
「勿論です。僕はこの先もずっと澪の傍にいたいと思っています」
「ふふ、それを聞けて安心したわ。彼方君は娘の彼氏じゃなくて未来の息子かしら?」
澪のお母さんは僕に写真を返すと上機嫌で澪の部屋を出ていく。
いや……、未来の息子ってどんだけ気が早いんですか……!
僕は心の中でツッコミを入れながら閉じられたドアを見ていると澪が戻って来る。
彼女は、僕が写真を持っていることに気がつくとすこしだけムッとしながら近づいてきた。
「彼方くん……それ見ちゃダメ……!」
澪は僕から写真を奪うと再び机の上へと伏せる。
「なんで……?僕の写真だし……」
「だって……わたしが昔の彼方くんの写真を眺めてたら今の彼方くんが嫉妬するかもしれない……」
いや……自分に嫉妬って……。
僕は苦笑しながらベッドの隅へと座ると澪も僕の隣へと座り肩に頭を預けてくる。
「澪……?」
「彼方くん成分補給中……」
「補給中って……朝もしてなかった?」
「彼方くん成分は、いくらあっても足りないくらい……」
……そうですか。
「なら……これはどう?」
僕は澪の頭を手に持つと自分の胸へと軽く当てる。
「わ……彼方くんの心臓の音が聞こえる……。トクン、トクン……て……」
澪は僕の胸に耳を当てたまま、目を閉じて静かに呼吸を整えている。
その姿はまるで、僕の空気に包まれて眠ろうとしているようだった。
「ねえ……彼方くん」
「うん……?」
「この音……ずっと聞いていたい……」
僕は返事をする代わりに、澪の髪をそっと撫でる。
まだ完全に乾いていないのか、彼女の髪は少ししっとりと濡れていた。
「ねえ……彼方くんって浮気とかしない……?」
「しないよ……!」
僕は澪の問いに答えるも、彼女は僕の顔を疑いの眼差しで見つめてくる……。
「彼方くん優しいからすぐに他の女の子のところにホイホイとついて行っちゃいそう……」
ホイホイって……、僕は犬か何かか……?
「僕は澪一筋だよ……!」
「うん、知ってる……。でも……だからこそ不安にもなる……。そういう訳たがら彼方くんが私のものだという証拠をつける……」
「証拠……?」
澪は顔を上げると僕の首筋へと唇を当てて吸い付いてくる。
時折澪が首筋へと舌を這わせるとすこしだけくすぐったさを覚え僕の体はピクっとした。
特に痛くはないけど、なにかマーキングか何かされているような気さえ覚える。
「……ん、これでいい」
澪はそっと口を離すと、机の引き出しから手鏡を取り出し、僕の方へと向けた。
すると、首筋が少しだけ赤くなっていた。
「澪これは……?」
「キスマーク……。彼方くんはわたしのものだと言う証……」
澪は自慢げに鼻息を少しだけ荒らげながら僕を見る。
どうやら本当にマーキングされたようだ。
「なら僕も……澪に変な男が近付いてかないように……」
僕も澪の首筋へと口をつけるとキスマークをつけていく。
「ん……これ少しくすぐったい……。でも……彼方くんのものにされるの嬉しい……」
澪は目を閉じまると僕のキスマークを受け入れていく。
そして僕は彼女の首筋から口を離すと確かにそこには僕のキスマークが出来ていた。
「僕も澪にマーキングしてみた」
「うん、嬉しい……。ねえ、彼方くんアレ使わないの?」
澪は真奈美さんの持ってきた紙袋を指さすと彼女の意図をすぐに理解した。
「澪、欲しいの……?」
「うん……」
僕の問いに澪は顔を赤くしながら上目遣いで僕を見てくる。
「澪……」
「彼方くん……」
僕は澪にそっとキスを重ねながら、彼女を優しくベッドへと寝かせた……。
◆◆◆
暗い室内……同じベッドへと入っている澪が僕の目を見つめてくる。
正確には僕のほうが澪のベッドへと入れさせてもらっている。
「ねえ、彼方くん……」
「うん?」
「……わたしの家に泊まるって、変な感じしない?」
「変な感じ……?」
「ううん、嫌な意味じゃなくて……。なんか……夢みたいで……」
「夢みたいって……?」
「うん……。昔、彼方くんの写真に話しかけてた頃……こんな日が来るなんて思ってなかったから……」
僕の腕を枕にしている澪は、僕の方へと視線を向ける。
その瞳は、どこか不安と期待が混ざったような色をしていた。
「……僕も、ちょっと不思議な気分だよ。澪の家にいるってだけで、なんか……空気が違う」
「空気……?」
「うん。自分の部屋とは違ってなんて言うか……、澪の匂いに満たされているっていうか……」
澪はすこしだけクスっと笑うと、僕にぎゅっと抱きついてきた。
「じゃあ……今夜は、わたしの匂いと空気に包まれて眠って……」
「……うん。ありがとう、澪」
最後にそっとキスを交わし、僕たちは互いの温もりに包まれながら静かに眠りへと落ちていった。
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