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澪の章 寡黙なクラス委員長
噴水広場で冷えた体と温まる心
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東屋で湖畔を眺めながら、僕は地図アプリを開いた。
何か他に面白そうな場所はないか——そう思って探していると、噴水広場の存在に気づいた。
「澪、この公園の真ん中付近に噴水があるみたいだよ。行ってみない?」
僕は地図アプリを澪へと見せると彼女はうなずく。
「うん……、行ってみる……」
僕は澪の手を取ると東屋を移動した。
噴水広場に行くには来た道とは別の遊歩道を歩いていく必要があり、僕と澪は脇に植えられている花を見ながら歩いていた。
時折ジョギングをする人とすれ違い、この道をジョギングコースとして利用している人もいるみたいだ。
東屋を出て10分ほど……僕と澪は目的の噴水広場へとたどり着いた。
この広場の中心部の地面には黒い丸い円のようなものが等間隔で何重にも描かれ、ど真ん中は円が描かれていない。
周囲には花壇が整備され、ベンチが中心部の円を向くように幾つも設けられている。
人々はベンチに座って話をしたり、本を読んだり、スマホを操作したりしているけど、なぜか真ん中には人の姿がなかった。
「ベンチは人が座ってるね……」
「うん……」
辺りを見渡すと、設けられているベンチは空いていないようだ。
(座る所がないのなら別の場所に行く……?)
僕は少し考えていると、澪が中心部の円へと近付いていく。
「澪……?」
「真ん中が気になる……」
真ん中か……、そう言えばどうなってるんだろうな……。
気になった僕は澪の後ろへとついていく。
中心部の黒い円いところは鉄でできているらしく、無数の小さな穴が空いていた。
「彼方くん……、この穴なんだろう……」
「……なんだろうね」
澪がしゃがみ込み、鉄板の穴にそっと指を近づける。
風が静かに吹き抜け、澪の髪がふわりと揺れた。
「……水が出るのかな」
「たぶんね……噴水広場という名前がついてるくらいだし、水の出る穴だと思うよ。でも、今は止まってるみたいだね」
澪は立ち上がり、中心部の円の中にそっと足を踏み入れる。
周囲のベンチに座る人々は誰もこちらを気にしていない。
まるでこの場所だけが、時間から切り離されているようだった。
「……ここ、静か」
「そうだね……ベンチから離れてるしね」
中心部はベンチからは距離があるため、人の話し声はあまり聞こえてこない。
聞こえてくるのは風の音と近くを飛んでいる鳥の声くらいだ。
「鳥の声が聞こえる……」
澪は空を見上げると、僕も澪の隣に立ち、空を見上げる。
雲がゆっくりと流れ、空の色は淡い灰紫に染まり始めていた。
「彼方くん……」
「うん……?」
「この場所、ちょっと不思議……この真ん中で噴水を見れたらすごいと思わない……?」
澪は笑顔を浮かべながらその場でくるりと回ってみせた。
すると、彼女のスカートがひらりと広がり、僕はスカートの裾から除く太ももの一部にドキッとした。
その瞬間、鉄板の穴から水柱が一斉に立ち上がった。
僕と澪の周囲を囲むように……。
それはまるで水のカーテンが現れたかのようだった。
澪が驚いて顔を上げると、水滴がミストのように広がり、僕たちを濡らしていく。
「……噴水、始まった」
澪が小さく呟く。
その声は、水音に溶けるように、静かだった。
「うん……まるで、澪の言葉に反応したみたいだね」
澪はニコリと微笑むと自分の胸へと手を当てる。
「わたしの心臓の音……聞いてみる?」
「……え?」
澪の言葉に僕は戸惑う……。
本気なのか冗談なのか分からないけど、彼女の心臓の音を聞くという事は澪の胸に耳を当てなければならないということ……。
(それってつまり……)
視線が自ずと澪の胸元へと吸い込まれる……。
僕は返事をする代わりにゆっくりと澪に近づき、彼女の胸元に耳を寄せる。
水音が周囲を満たす中、澪の心音が「ドクン……ドクン……」と確かに聞こえてきた。
その音は、風よりも静かで、水よりも優しくて——まるで澪の心そのものに触れているようだった。
「彼方くん……」
澪がそっと僕の頭を両手で包み込むと、まるで僕のすべてが彼女に包まれているかのように思え、どこか安心する……。
どのぐらい僕は彼女の胸元へと耳を当てていただろう……噴水が収まってくると、澪は僕の頭から手を離す。
お互い水飛沫を浴びて服が濡れていた。
「僕たち、びっしょりだね……」
「うん……、でもこれも大切な思いで……」
澪は満足げに笑顔を浮かべていたけど、彼女は肌に張り付いて薄っすらと下着が見えてしまっていた。
「そうだね……でも、澪下着が透けてるよ……?」
「……彼方くんのエッチ」
僕の指摘に澪は顔を赤くしながら頬を膨らませる。
いや……これは僕のせいじゃない……と思う。
「このままじゃ帰れない……。どこか静かで二人きりになれるところに行きたい……」
澪の要望に僕は少し試案する……。
(静かで二人きりになれるところ……ねえ……)
この公園内は静かと言えば静かだけど……二人きりにとはいかない。
ならどこがいいか……。
考えていると一つの場所を思いつく……。
(あそこなら静かで二人きりに……いやいやいや……、僕は何を考えているんだ……!)
僕は地図アプリを開いて候補を探すと澪が覗き込んでくるととある場所を指さす。
「彼方くん……ここ……」
「え……っ!?でも澪ここって……!」
澪が指差したところ……それは18歳未満はお断りなホテルだった……!
確かに僕もそこならとは思ったけど、流石にマズイのでは……っ!?
「うん……知ってる。冷えた体……彼方くんに温めてほしい……。それに、誰にも邪魔されない場所で……彼方くんのこと、もっと感じたい……」
澪が僕にそっと抱きつきながら上目遣いで見てくる……。
もう……僕の理性は塵と化していた……。
僕は澪の冷えた手をそっと握り、静かに歩き出した。
誰にも邪魔されない場所へ——澪と、ふたりだけの時間を迎えるために……。
何か他に面白そうな場所はないか——そう思って探していると、噴水広場の存在に気づいた。
「澪、この公園の真ん中付近に噴水があるみたいだよ。行ってみない?」
僕は地図アプリを澪へと見せると彼女はうなずく。
「うん……、行ってみる……」
僕は澪の手を取ると東屋を移動した。
噴水広場に行くには来た道とは別の遊歩道を歩いていく必要があり、僕と澪は脇に植えられている花を見ながら歩いていた。
時折ジョギングをする人とすれ違い、この道をジョギングコースとして利用している人もいるみたいだ。
東屋を出て10分ほど……僕と澪は目的の噴水広場へとたどり着いた。
この広場の中心部の地面には黒い丸い円のようなものが等間隔で何重にも描かれ、ど真ん中は円が描かれていない。
周囲には花壇が整備され、ベンチが中心部の円を向くように幾つも設けられている。
人々はベンチに座って話をしたり、本を読んだり、スマホを操作したりしているけど、なぜか真ん中には人の姿がなかった。
「ベンチは人が座ってるね……」
「うん……」
辺りを見渡すと、設けられているベンチは空いていないようだ。
(座る所がないのなら別の場所に行く……?)
僕は少し考えていると、澪が中心部の円へと近付いていく。
「澪……?」
「真ん中が気になる……」
真ん中か……、そう言えばどうなってるんだろうな……。
気になった僕は澪の後ろへとついていく。
中心部の黒い円いところは鉄でできているらしく、無数の小さな穴が空いていた。
「彼方くん……、この穴なんだろう……」
「……なんだろうね」
澪がしゃがみ込み、鉄板の穴にそっと指を近づける。
風が静かに吹き抜け、澪の髪がふわりと揺れた。
「……水が出るのかな」
「たぶんね……噴水広場という名前がついてるくらいだし、水の出る穴だと思うよ。でも、今は止まってるみたいだね」
澪は立ち上がり、中心部の円の中にそっと足を踏み入れる。
周囲のベンチに座る人々は誰もこちらを気にしていない。
まるでこの場所だけが、時間から切り離されているようだった。
「……ここ、静か」
「そうだね……ベンチから離れてるしね」
中心部はベンチからは距離があるため、人の話し声はあまり聞こえてこない。
聞こえてくるのは風の音と近くを飛んでいる鳥の声くらいだ。
「鳥の声が聞こえる……」
澪は空を見上げると、僕も澪の隣に立ち、空を見上げる。
雲がゆっくりと流れ、空の色は淡い灰紫に染まり始めていた。
「彼方くん……」
「うん……?」
「この場所、ちょっと不思議……この真ん中で噴水を見れたらすごいと思わない……?」
澪は笑顔を浮かべながらその場でくるりと回ってみせた。
すると、彼女のスカートがひらりと広がり、僕はスカートの裾から除く太ももの一部にドキッとした。
その瞬間、鉄板の穴から水柱が一斉に立ち上がった。
僕と澪の周囲を囲むように……。
それはまるで水のカーテンが現れたかのようだった。
澪が驚いて顔を上げると、水滴がミストのように広がり、僕たちを濡らしていく。
「……噴水、始まった」
澪が小さく呟く。
その声は、水音に溶けるように、静かだった。
「うん……まるで、澪の言葉に反応したみたいだね」
澪はニコリと微笑むと自分の胸へと手を当てる。
「わたしの心臓の音……聞いてみる?」
「……え?」
澪の言葉に僕は戸惑う……。
本気なのか冗談なのか分からないけど、彼女の心臓の音を聞くという事は澪の胸に耳を当てなければならないということ……。
(それってつまり……)
視線が自ずと澪の胸元へと吸い込まれる……。
僕は返事をする代わりにゆっくりと澪に近づき、彼女の胸元に耳を寄せる。
水音が周囲を満たす中、澪の心音が「ドクン……ドクン……」と確かに聞こえてきた。
その音は、風よりも静かで、水よりも優しくて——まるで澪の心そのものに触れているようだった。
「彼方くん……」
澪がそっと僕の頭を両手で包み込むと、まるで僕のすべてが彼女に包まれているかのように思え、どこか安心する……。
どのぐらい僕は彼女の胸元へと耳を当てていただろう……噴水が収まってくると、澪は僕の頭から手を離す。
お互い水飛沫を浴びて服が濡れていた。
「僕たち、びっしょりだね……」
「うん……、でもこれも大切な思いで……」
澪は満足げに笑顔を浮かべていたけど、彼女は肌に張り付いて薄っすらと下着が見えてしまっていた。
「そうだね……でも、澪下着が透けてるよ……?」
「……彼方くんのエッチ」
僕の指摘に澪は顔を赤くしながら頬を膨らませる。
いや……これは僕のせいじゃない……と思う。
「このままじゃ帰れない……。どこか静かで二人きりになれるところに行きたい……」
澪の要望に僕は少し試案する……。
(静かで二人きりになれるところ……ねえ……)
この公園内は静かと言えば静かだけど……二人きりにとはいかない。
ならどこがいいか……。
考えていると一つの場所を思いつく……。
(あそこなら静かで二人きりに……いやいやいや……、僕は何を考えているんだ……!)
僕は地図アプリを開いて候補を探すと澪が覗き込んでくるととある場所を指さす。
「彼方くん……ここ……」
「え……っ!?でも澪ここって……!」
澪が指差したところ……それは18歳未満はお断りなホテルだった……!
確かに僕もそこならとは思ったけど、流石にマズイのでは……っ!?
「うん……知ってる。冷えた体……彼方くんに温めてほしい……。それに、誰にも邪魔されない場所で……彼方くんのこと、もっと感じたい……」
澪が僕にそっと抱きつきながら上目遣いで見てくる……。
もう……僕の理性は塵と化していた……。
僕は澪の冷えた手をそっと握り、静かに歩き出した。
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