罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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澪の章 寡黙なクラス委員長

彼方と澪の甘い試験勉強

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 澪とのデートから数日後——放課後の教室で、僕は澪と中間試験に向けて勉強していた。

「えっと……澪この問題これであってる?」

「……彼方くんそこ違う。ここはこの公式を使う」

 教室で数学の試験範囲の勉強をしていると澪が僕の隣である亜希の椅子を借りて勉強を見てくれてれていた。
 しかも……僕の手を握りながら……。

 しかもその距離はキスしようと思えば出来るほどの距離。
 何でこんなに引っ付いてくる必要があるのだろうと思うけど、教えてもらう以上文句は言えない。
 むしろ役得!

「えっと……こうするの……?」

「そう……彼方くん正解……」

 澪が教えてくれたとおりに問題を解くと、彼女は僕の頭をなでてくれた。

 しかし、その様子を高藤と勉強している悠人が嫉妬な満ちた眼差しで見つめていた。

「おい彼方!お前いつの間に柊とそんなにラブラブになってんだよ!羨ましすぎるだろ!」

「真壁君うるさい……。真壁君はおとなしく高藤君と勉強するべき……」

「うぐ……!」

 澪に正論を突かれ押し黙る悠人。

「真壁、柊の言うことも尤もだ。中間試験で赤点を取れば修学旅行が補習に変わると先生も言ってただろ?補習がイヤなら文句を言わずにやるんだな」

「高藤の言うことはわかるけどよ……、俺だって女の子とイチャイチャしながら勉強したいんだよっ!何で俺は男同士で勉強しないといけないんだよっ!」

 悠人の言うことは分からなくもない。
 僕も澪がいなければきっと悠人と一緒に高藤に勉強を教わる羽目になっていただろう……。

 しかし……!僕には澪がいる!
 羨ましいだろう……悠人っ!

 僕は心の中で優越感に浸る。

「彼方くん……手が止まってる。次の問題に行くよ……」

 澪は髪をかき上げながら次の問題を指さす。
 澪の髪が揺れるたび、ふわりと甘い香りが僕の鼻先をくすぐる。

 ……ごめんなさい、本当は僕の方は色んな意味で限界です。
 澪のこの距離感の近さ、髪から香ってくる匂い、息遣い……握ってくる手……。

 理性を保ちながら勉強に集中するのは、まるで煩悩を捨て修行に励む修行僧の如し……!
 ここが教室じゃなくて僕か澪の部屋だったら理性なんてとっくに崩壊して間違いなく勉強そっちのけで澪を襲っていた!

「でも実際、真壁君の言うように御堂君と柊さん、やけに甘ったるい空気を発してるのよね……」

「そうだね、恋人特有の空気感……みたいな?」

 僕と澪をから離れた席に座っている亜希と早乙女さんが見つめてくる……。
 どうやら亜希は早乙女さんに勉強を教えているようだ。

「ねえねえ、ミオっち!あとで御堂君とどこまで関係が進んでるのかウチにこっそり教えくんない?」

「はいはい、瀬玲奈はその前に勉強するわよ……」

「えぇ~、亜希のケチ……!」

「……なら一人で勉強する?」

「すみません亜希様!ウチ、調子に乗りました……!」

 ……あっちはあっちで順調に試験勉強が進んでいるようだ。

 教室の窓から差し込む夕日が、澪の黒髪を淡く照らしていた。
 その光に包まれながら、彼女は僕のノートを覗き込む。

「……ここも違う。彼方くん、こっちは別の公式を使う」

「う、うん……」

 僕は言われた通りに式を書き直す。
 でも、正直なところ……澪の声が近すぎて、頭に入ってこない。

 彼女の吐息が耳にかかるたび、心臓が跳ねる。
 しかも、手はずっと握られたまま……。

「……正解。彼方くん、よくできました」

 澪は僕の手をそっと撫でるように握り直し、微笑んだ。
 その笑顔が、教室の空気を甘く染めていく。

「……澪、なんでそんなに近いの?」

「……彼方くんが、ちゃんと集中できるように」

「そうなんだ…、でも少し近すぎるような……」

 いや、むしろ集中できないんだけど……っ!?
 僕は心の中でツッコミを入れる。

「……じゃあ、もっと近づく?」

「なんで……っ!?」

 澪は冗談めかして、さらに顔を近づけてくる。
 その距離は、もう少し顔を近付ければキスが出来てしまう程の距離だった。

 僕は慌てて視線を逸らす。  
 でも、澪はそんな僕の耳元で囁く。

「彼方くん……、赤点取ったら修学旅行行けないんだよ?彼方くんはわたしと修学旅行行きたくないの……?」

「う……行きたい……」

 澪と修学旅行に行けず教室で補習だなんてゴメンだ!

「だから、ちゃんと勉強しよう……。わたしが丁寧に教えるから……」

 耳元で澪が囁く……。
 しかし……彼女は気がついていない……。
 その一つ一つが僕の理性を確実に削り取っているということを……!


 その後も澪の指導は続いた。
 僕は問題を解くふりをしながら、彼女の横顔ばかりを見ていた。

 澪は真剣な表情で僕のノートを見つめている。  
 でも、僕の視線には気づいていない……いや、気づいていても気づかないふりをしているのかもしれない。

「……彼方くん、ここはどう解く?」

「えっと……たぶん、こう……?」

「うん、惜しい。でもちょっと違う。ここはね……」

 澪が僕のノートに手を伸ばす。  
 彼女の息が頬へと当たると僕の心臓がドキッと跳ねる。

「……彼方くん、顔が赤い」

「えっ……そ、そうかな……?」

「……もしかして、緊張してる?」

「いや……その……澪が近いから……」

「彼方くん、ちゃんと集中して……!」

(無理です……!その集中を削ってるのが他でもないでもないあなたです……!)

 僕は心の中で再びツッコミを入れる。

「なら次の問題を解けたらご褒美をあげる……」

 澪は軽くため息を抱きながらご褒美を提案してくる。

「ご褒美……?」

 また頭ナデナデかな……?

「次の問題を解けたらキス……してあげる……」

「……っ!?」

 な……なんですとぉぉぉぉぉーーーーー……っ!?

 キス……!澪からのキス……!

 僕は俄然やる気に満ち溢れた!

 しかし、キスという言葉に悠人は立ち上がると僕へと指を突きつける。

「彼方……!なんでお前ばっかりそんないい思いをしてるんだよ……っ!」

「真壁……お前もキスが欲しいのか?だが俺は男同士でキスをする趣味はないんだがな……」

「俺だってねえよ……!」

 高藤と悠人のやりとりを見て僕は吹き出しそうになるのを必死に堪える……。

「彼方くんはよそ見はいいから問題を解く……」

「……はい」

 僕は澪に指摘されノートへと視線を戻すと、勉強を続けたのだった。

 ちなみに——ご褒美のキスは、たっぷりもらえた。
 でもそれは、僕と澪だけの秘密。
 悠人には、絶対に言わない。
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