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柚葉の章 ロリっ子で不器用な生徒会長
彼方の家、柚葉の心
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柚葉先輩の隣で食事をしている僕に、真奈美さんの視線が向けられる。
「それにしても、柚葉ちゃんって健気なのね。彼方くん、ちゃんと感謝しなきゃね?」
「は、はい……」
僕が苦笑いを浮かべると、今度は亜希が口を開いた。
「でも、彼方って味には鈍感だから、多少失敗しても気づかないと思いますよ?」
(いや、普段料理してるの、むしろ僕なんだけど……)
「なっ……!?」
そう思っていると、柚葉先輩はむっと眉を寄せ、じっと亜希を睨んだ。
「それはどういう意味だ、風原……?」
「いえいえ、褒めてるんです。“優しい”ってことですよ?」
にこやかに返す亜希に、柚葉先輩はさらに眉をひそめる。
(……また火種が投下された気がする)
そんな中、由奈ちゃんが無邪気に口を開いた。
「ねえねえ、如月先輩って、お兄ちゃんのどこが好きなんですか?」
「えっ!?」
僕と柚葉先輩が同時に固まる。
「ちょ、由奈ちゃん、それは……!」
「いいじゃん、気になるもん。ね、教えてください!」
由奈ちゃんの無邪気な笑顔に、柚葉先輩は一瞬たじろぐも、やがて静かに微笑んだ。
僕としても気になるところではあるけど……、でもいざ人がいるところで言われるというのもなんだかむず痒く感じる……。
「……彼方の、真っ直ぐなところ。誰にでも優しくて、でも流されない強さがある。ミレイは、そんな彼方に……気づいたら惹かれてたんだ」
その言葉に、僕の胸がじんわりと熱くなる。
「へえ~……。じゃあ、お兄ちゃんが他の女の子に優しくしても怒らないんですね?」
「……それは、場合による」
柚葉先輩の笑顔が少しだけ引きつったのを、僕は見逃さなかった。
(……お願いだから、これ以上話を広げないでくれ由奈ちゃん……)
こうして、僕の家の食卓は、甘さと火薬の香りが入り混じる、なんともスリリングな昼食になったのだった。
(……胃より先に、神経がもたないかもしれない)
そう思いながら僕は食事を食べすすめる。
◆◆◆
食事を終えて、柚葉先輩と一緒に部屋へ戻り、試験勉強を再開しようとした——はずだった。
けれど、先輩はローテーブルの下に敷いてあるクッションに座ると、ぼんやりと天井を見つめていた。
「柚葉先輩、どうしたんですか?」
「……彼方の家の食事って、いつもあんな感じなのか?」
「どういうことですか?」
僕は柚葉先輩の言っている意味がいまいち分からず聞き返す。
「いや、ここでの食事は暖かくて雰囲気もすごく賑やかだった。ミレイの家ではたしかに志乃さん達が作ってくれるが、基本的に食べるときは律と二人きりだ」
「え……?志乃さんと誠司さんも一緒じゃないんですか?」
僕は先輩に問うと、柚葉先輩は寂しそうに顔を俯かせた。
「あの二人は使用人だからと、ミレイと律が済んでから食べている。何度も一緒に食べてほしいとお願いはしたのだが……それは幼い頃の間だけだった……。ミレイの両親は海外に行ったまま……だから彼方の家の賑やかな食事がすごく楽しくて、羨ましく思ったんだ……」
寂しげに笑う先輩の目には薄っすらと涙が見えたような気がする。
そうか……、あの広い家に住んでても先輩の心は満たされていなかったのかもしれない。
「柚葉先輩……」
僕は先輩を優しく抱きしめると、彼女は僕に体を預けてくる。
「彼方にこうして包まれてると、ミレイの心が満たされていくようだ……」
「今こうしている間だけは、僕が柚葉先輩の心を包んであげます」
柚葉先輩は僕の言葉に静かに頷くと、僕の胸に手を当てるとそっと目を閉じた。
僕は先輩にキスをすると、結局このあと試験勉強をすることもなく彼女を抱きしめていたのだった……。
「それにしても、柚葉ちゃんって健気なのね。彼方くん、ちゃんと感謝しなきゃね?」
「は、はい……」
僕が苦笑いを浮かべると、今度は亜希が口を開いた。
「でも、彼方って味には鈍感だから、多少失敗しても気づかないと思いますよ?」
(いや、普段料理してるの、むしろ僕なんだけど……)
「なっ……!?」
そう思っていると、柚葉先輩はむっと眉を寄せ、じっと亜希を睨んだ。
「それはどういう意味だ、風原……?」
「いえいえ、褒めてるんです。“優しい”ってことですよ?」
にこやかに返す亜希に、柚葉先輩はさらに眉をひそめる。
(……また火種が投下された気がする)
そんな中、由奈ちゃんが無邪気に口を開いた。
「ねえねえ、如月先輩って、お兄ちゃんのどこが好きなんですか?」
「えっ!?」
僕と柚葉先輩が同時に固まる。
「ちょ、由奈ちゃん、それは……!」
「いいじゃん、気になるもん。ね、教えてください!」
由奈ちゃんの無邪気な笑顔に、柚葉先輩は一瞬たじろぐも、やがて静かに微笑んだ。
僕としても気になるところではあるけど……、でもいざ人がいるところで言われるというのもなんだかむず痒く感じる……。
「……彼方の、真っ直ぐなところ。誰にでも優しくて、でも流されない強さがある。ミレイは、そんな彼方に……気づいたら惹かれてたんだ」
その言葉に、僕の胸がじんわりと熱くなる。
「へえ~……。じゃあ、お兄ちゃんが他の女の子に優しくしても怒らないんですね?」
「……それは、場合による」
柚葉先輩の笑顔が少しだけ引きつったのを、僕は見逃さなかった。
(……お願いだから、これ以上話を広げないでくれ由奈ちゃん……)
こうして、僕の家の食卓は、甘さと火薬の香りが入り混じる、なんともスリリングな昼食になったのだった。
(……胃より先に、神経がもたないかもしれない)
そう思いながら僕は食事を食べすすめる。
◆◆◆
食事を終えて、柚葉先輩と一緒に部屋へ戻り、試験勉強を再開しようとした——はずだった。
けれど、先輩はローテーブルの下に敷いてあるクッションに座ると、ぼんやりと天井を見つめていた。
「柚葉先輩、どうしたんですか?」
「……彼方の家の食事って、いつもあんな感じなのか?」
「どういうことですか?」
僕は柚葉先輩の言っている意味がいまいち分からず聞き返す。
「いや、ここでの食事は暖かくて雰囲気もすごく賑やかだった。ミレイの家ではたしかに志乃さん達が作ってくれるが、基本的に食べるときは律と二人きりだ」
「え……?志乃さんと誠司さんも一緒じゃないんですか?」
僕は先輩に問うと、柚葉先輩は寂しそうに顔を俯かせた。
「あの二人は使用人だからと、ミレイと律が済んでから食べている。何度も一緒に食べてほしいとお願いはしたのだが……それは幼い頃の間だけだった……。ミレイの両親は海外に行ったまま……だから彼方の家の賑やかな食事がすごく楽しくて、羨ましく思ったんだ……」
寂しげに笑う先輩の目には薄っすらと涙が見えたような気がする。
そうか……、あの広い家に住んでても先輩の心は満たされていなかったのかもしれない。
「柚葉先輩……」
僕は先輩を優しく抱きしめると、彼女は僕に体を預けてくる。
「彼方にこうして包まれてると、ミレイの心が満たされていくようだ……」
「今こうしている間だけは、僕が柚葉先輩の心を包んであげます」
柚葉先輩は僕の言葉に静かに頷くと、僕の胸に手を当てるとそっと目を閉じた。
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