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柚葉の章 ロリっ子で不器用な生徒会長
柚葉の章 エピローグ ──三人の未来──
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修学旅行から帰った翌日の放課後、僕はお土産を持って生徒会室に向かう。
本当は昨日、柚葉先輩にだけでも渡そうと思っていたけれど、思ったより帰宅が遅くなってしまい、断念した。
「お疲れ様です!」
僕は生徒会室のドアを開けると、辺りを見渡す。
そして、柚葉先輩と目が合った瞬間、先輩は勢いよく駆け寄ってきて、僕にぎゅっと抱きついた。
「彼方お帰り……!」
柚葉先輩は僕の胸の中に顔を埋めると腕を腰に回し、頬をすり寄せながら、僕の匂いを確かめるように深く息を吸い込む。
「柚葉先輩……ただいま戻りました」
僕は先輩の髪をそっと撫でながら、胸の中でその温もりを感じる。
たった三日離れていただけなのに、こうして再会した瞬間、心がじんわりと満たされていく。
「……ミレイ、ずっと待ってた」
先輩は僕の胸元に顔を埋めたまま、少しだけ震える声でそう言った。
「僕も、会いたかったです。……これ、先輩に」
僕はリュックから小さな紙袋を取り出し、先輩に手渡す。
中には、清水寺で見つけた桜模様の根付けと、先輩が好きそうな抹茶のお菓子を詰めた。
「……お土産?」
「はい。先輩に似合いそうだなって思って」
柚葉先輩は袋を受け取ると、そっと中を覗き込む。
そして、根付けを手に取ると、目を細めて、嬉しそうに微笑む。
その表情に、僕の胸がまたきゅっと締めつけられる。
「……彼方、ありがとう。ミレイ、すごく嬉しい」
その笑顔が、僕の胸をまたキュッと締めつける。
「あとこれ、姫野先輩と春野さんにも」
僕は他のメンバー用に買った小さなお菓子の包みを机に並べる。
「ありがとう御堂くん、さすが生徒会の癒し担当だね」
姫野さんが笑いながらそう言うと、春野さんも「おかえりなさい」と微笑んでくれる。
(それはいいけど、僕はいつから生徒会の癒し担当になったんだろう……?)
苦笑しながらも辺りを見渡すと、生徒会室にいつもの穏やかな空気が戻ってきた。
でも、僕の隣にいる柚葉先輩の存在だけは、どこか熱を帯びている。
「……彼方、今度はふたりで京都に行こうな」
先輩がぽつりとそう言う。
「……はい。約束です」
僕は頷きながら、先輩の手をそっと握る。
修学旅行は終わった。
でも、僕たちの新たな物語は——ここから始まる。
◆◆◆
あれから数年——僕は柚葉先輩、いや、今は妻となった柚葉と、秋の京都を訪れていた。
僕は柚葉と結婚し、ここには新婚旅行で訪れている。
「柚葉、二人でこの京都に来ることができて嬉しいよ」
「そうだな。でも彼方、二人じゃない。"三人"だ」
柚葉は優しく微笑みながら、まだ目立たないお腹にそっと手を添えた。
彼女のお腹の中には僕の子供がいる。
「そうだね。あ……、柚葉あれ見て。あの紅葉、すごく綺麗だよ」
「本当にきれいだ、来てよかった。ミレイも、ずっとこの日を楽しみにしてた」
僕は燃えるように赤く染まった紅葉を指さすと、柚葉はスマホで写真を撮る。
柚葉の持つスマホケースには修学旅行のお土産として渡した根付けが、今もストラップ代わりに付けられていた。
ふたりで約束した“ふたりだけの京都旅行”。
あの電話の夜、僕たちが交わしたあのときの約束が、こうして現実になっていることが、少し不思議で、でも心から幸せだった。
「彼方……叶えてくれて、ありがとう」
「ん……?」
「あの日の電話で彼方は京都に連れて行ってくれるって言ったけど、正直、あのときは半分冗談だと思ってたんだ。でも、こうして実現してくれたことがすごく嬉しい」
「叶えたのは、ふたりだよ。僕ひとりじゃ無理だったかもしれない」
僕たちはそのまま、しばらく無言で景色を眺めていた。
観光客のざわめきも、風に揺れる木々の音も、すべてが心地よくて、まるで時間そのものがふたりのために歩みを緩めてくれているようだった。
「……ねえ、彼方」
「なに?柚葉」
「次はどこに行こうか?」
その問いに、僕は少しだけ考えてから、笑って答える。
「どこでもいいよ。柚葉と一緒ならきっとどこだって特別な場所になるよ」
「……バカ。でも……そういうとこ、好き」
柚葉は照れくさそうに笑いながら、僕の肩に頭を預けた。
「柚葉、僕たちも……父さんや真奈美さん達みたいに温かい家庭築けるかな?」
「もちろんだ。私と彼方、そして生まれてくるこの子とお義父さんたちにも負けないくらい、温かい家庭を築いていこう」
「……うん!」
あの頃と変わらない甘さ、そして今だからこそ感じる確かな深さ。
僕たちの物語は、あの日の約束から続いている。
これからも——ふたりで……いや、今度は“3人”で紡いでいく。
そんな確信が、胸の奥に、静かに灯っていた。
柚葉の章 完
本当は昨日、柚葉先輩にだけでも渡そうと思っていたけれど、思ったより帰宅が遅くなってしまい、断念した。
「お疲れ様です!」
僕は生徒会室のドアを開けると、辺りを見渡す。
そして、柚葉先輩と目が合った瞬間、先輩は勢いよく駆け寄ってきて、僕にぎゅっと抱きついた。
「彼方お帰り……!」
柚葉先輩は僕の胸の中に顔を埋めると腕を腰に回し、頬をすり寄せながら、僕の匂いを確かめるように深く息を吸い込む。
「柚葉先輩……ただいま戻りました」
僕は先輩の髪をそっと撫でながら、胸の中でその温もりを感じる。
たった三日離れていただけなのに、こうして再会した瞬間、心がじんわりと満たされていく。
「……ミレイ、ずっと待ってた」
先輩は僕の胸元に顔を埋めたまま、少しだけ震える声でそう言った。
「僕も、会いたかったです。……これ、先輩に」
僕はリュックから小さな紙袋を取り出し、先輩に手渡す。
中には、清水寺で見つけた桜模様の根付けと、先輩が好きそうな抹茶のお菓子を詰めた。
「……お土産?」
「はい。先輩に似合いそうだなって思って」
柚葉先輩は袋を受け取ると、そっと中を覗き込む。
そして、根付けを手に取ると、目を細めて、嬉しそうに微笑む。
その表情に、僕の胸がまたきゅっと締めつけられる。
「……彼方、ありがとう。ミレイ、すごく嬉しい」
その笑顔が、僕の胸をまたキュッと締めつける。
「あとこれ、姫野先輩と春野さんにも」
僕は他のメンバー用に買った小さなお菓子の包みを机に並べる。
「ありがとう御堂くん、さすが生徒会の癒し担当だね」
姫野さんが笑いながらそう言うと、春野さんも「おかえりなさい」と微笑んでくれる。
(それはいいけど、僕はいつから生徒会の癒し担当になったんだろう……?)
苦笑しながらも辺りを見渡すと、生徒会室にいつもの穏やかな空気が戻ってきた。
でも、僕の隣にいる柚葉先輩の存在だけは、どこか熱を帯びている。
「……彼方、今度はふたりで京都に行こうな」
先輩がぽつりとそう言う。
「……はい。約束です」
僕は頷きながら、先輩の手をそっと握る。
修学旅行は終わった。
でも、僕たちの新たな物語は——ここから始まる。
◆◆◆
あれから数年——僕は柚葉先輩、いや、今は妻となった柚葉と、秋の京都を訪れていた。
僕は柚葉と結婚し、ここには新婚旅行で訪れている。
「柚葉、二人でこの京都に来ることができて嬉しいよ」
「そうだな。でも彼方、二人じゃない。"三人"だ」
柚葉は優しく微笑みながら、まだ目立たないお腹にそっと手を添えた。
彼女のお腹の中には僕の子供がいる。
「そうだね。あ……、柚葉あれ見て。あの紅葉、すごく綺麗だよ」
「本当にきれいだ、来てよかった。ミレイも、ずっとこの日を楽しみにしてた」
僕は燃えるように赤く染まった紅葉を指さすと、柚葉はスマホで写真を撮る。
柚葉の持つスマホケースには修学旅行のお土産として渡した根付けが、今もストラップ代わりに付けられていた。
ふたりで約束した“ふたりだけの京都旅行”。
あの電話の夜、僕たちが交わしたあのときの約束が、こうして現実になっていることが、少し不思議で、でも心から幸せだった。
「彼方……叶えてくれて、ありがとう」
「ん……?」
「あの日の電話で彼方は京都に連れて行ってくれるって言ったけど、正直、あのときは半分冗談だと思ってたんだ。でも、こうして実現してくれたことがすごく嬉しい」
「叶えたのは、ふたりだよ。僕ひとりじゃ無理だったかもしれない」
僕たちはそのまま、しばらく無言で景色を眺めていた。
観光客のざわめきも、風に揺れる木々の音も、すべてが心地よくて、まるで時間そのものがふたりのために歩みを緩めてくれているようだった。
「……ねえ、彼方」
「なに?柚葉」
「次はどこに行こうか?」
その問いに、僕は少しだけ考えてから、笑って答える。
「どこでもいいよ。柚葉と一緒ならきっとどこだって特別な場所になるよ」
「……バカ。でも……そういうとこ、好き」
柚葉は照れくさそうに笑いながら、僕の肩に頭を預けた。
「柚葉、僕たちも……父さんや真奈美さん達みたいに温かい家庭築けるかな?」
「もちろんだ。私と彼方、そして生まれてくるこの子とお義父さんたちにも負けないくらい、温かい家庭を築いていこう」
「……うん!」
あの頃と変わらない甘さ、そして今だからこそ感じる確かな深さ。
僕たちの物語は、あの日の約束から続いている。
これからも——ふたりで……いや、今度は“3人”で紡いでいく。
そんな確信が、胸の奥に、静かに灯っていた。
柚葉の章 完
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