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柚葉の章 ロリっ子で不器用な生徒会長
離れていても想い合う二人
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──彼方──
修学旅行初日の夜、旅館の部屋、布団に寝転びながらスマホの画面をぼんやりと見つめる。
(……柚葉先輩、今ごろ何してるかな)
昼間、清水寺の舞台から見た景色は本当に綺麗で、思わずスマホで写真を撮った。
でも、シャッターを切るたびに浮かんだのは、「この景色、柚葉先輩にも見せたいな」という想いだった。
(たかが3日、されど3日……か)
僕はスマホを握りしめたまま、ふと昨日のことを思い出す。
「寂しさを紛らわせたいから、シャツを貸してくれ」
そう言ってきた柚葉先輩。
あのときは冗談めかして笑っていたけど、今思えばあれは本気だったんだと思う。
(……もしかして、今も泣いてたりして)
そんな想像をした瞬間、胸がざわついた。
気づけば、僕はスマホの通話画面を開いていた。
(迷惑かもしれないけど……かけるだけ、かけてみよう)
呼び出し音が鳴る。数秒後、聞き慣れた声が耳に届いた。
『もしもし?』
「あ、柚葉先輩?今電話いいですか?」
『もちろんだ。それよりどうしたんだ?』
「いえ、柚葉先輩が寂しくて泣いてないかなって思ってですね……」
言った瞬間、自分でもちょっと恥ずかしくなったけど、嘘じゃなかった。
本当に、気になって仕方なかったんだ。
『ば……バカ!ミレイは泣いてなんかいない!』
強がる声の奥に、ほんのわずかな震えが混じっていた。
その声を聞いて、僕の胸がぎゅっと締めつけられる。
(……やっぱり、寂しいんだ)
「まあ、たかが3日ですからね……。でも、僕はやっぱり柚葉先輩に会えないから少し寂しいですね」
素直な気持ちを口にすると、電話の向こうで少しだけ沈黙が流れた。
『彼方……、ミレイも本当は少し寂しい……』
その言葉に、思わず笑みがこぼれる。
「あれ?柚葉先輩、たかが3日の辛抱って言ってませんでしたっけ?」
『う……うるさい!ミレイだって、強がりくらい言う!』
その反応が可愛くて、ついからかってしまう。
「はいはい、強がりな柚葉先輩、かわいいです」
『……バカ』
その一言が、なんだか嬉しかった。
「でも、僕も似たようなもんですよ。昼間、清水寺で写真撮ってたとき、柚葉先輩にも見せたいなって思ってましたし」
『……ミレイも、彼方と一緒に行きたかった』
ぽつりと漏れたその言葉に、僕は少しだけ目を閉じて、静かに答える。
「じゃあ、今度はふたりで行きましょう。今度は修学旅行じゃなくて……ふたりだけの京都旅行にしませんか?」
『……ほんとに?』
「もちろん、約束です』
その瞬間、電話越しに空気が変わった気がした。
『……彼方、好きだ』
その一言に、胸の奥が一気に熱くなる。
(……やばい、嬉しすぎて言葉が出ない)
少しだけ間を置いて、僕も素直に返す。
「……僕も、柚葉先輩のことが好きです」
静かな夜、声だけがふたりをつないでいる。
でも、それだけで十分だった。
(あと2日。たった2日だけど、こんなに長く感じるなんて)
でも、こうして繋がっていられるなら、きっと大丈夫。
この想いは、きっともっと強く、もっと深くなっていく。
そんな確かな予感が、胸の奥に灯った。
◆◆◆
修学旅行2日目の夜。
お風呂から上がった僕は部屋で寝転がると、天井をぼんやりと見つめていた。
昼間は楽しかった。
嵐山を巡って、八つ橋作りも体験した。
イオリや高藤、悠人とふざけ合いながら、写真もたくさん撮った。
でも、ふとした瞬間に思い出すのは、やっぱり柚葉先輩のことだった。
(この景色、先輩にも見せたかったな……)
そう思って、行く先々でスマホで撮った写真を先輩に送った。
するとすぐに「今度二人でそこに行ってみたい」とか、「下調べはちゃんとしておけ」なんて返ってきて、思わず笑ってしまった。
でも、その言葉の裏にある“寂しさ”にも、ちゃんと気づいていた。
(今日も電話、してみようかな)
「おい御堂、先生が集まれって言ってるぞ」
こんな時間に……?
電話をかけようとしたその瞬間、イオリに呼ばれてしまい、泣く泣く断念した。
先生の話が終わり、部屋に戻ったのは消灯時間間際だった。
僕たちが呼ばれた理由、それは悠人が女湯に忍び込もうとして、先生たちに見つかったらしい。
その報告と注意のために先輩に電話する時間が奪われてしまい、僕は悠人を恨めしそうに睨む。
でも、こうして離れてみて、改めて思う。
やっぱり僕は、柚葉先輩のことが、本気で好きなんだ。
「……よし」
僕は旅館の人が敷いてくれていた布団から起き上がると、旅館のロビーにある自販機で温かいココアを買って、外のベンチに腰を下ろす。
10月とは言え、夜風は少し冷たい。
でも、昨日の電話で話した先輩の言葉が頭の中で蘇ると、胸の奥は不思議とあたたかかった。
(今度、ふたりで京都に来よう)
電話で言ったあの約束。
それはただの慰めじゃなくて、本気の気持ちだった。
その時は先輩と一緒に写真を撮ったところに行ってみるのもいいかもしれない。
それから同じ景色を見て、同じ空気を吸って、同じものを食べて……、柚葉先輩と同じ時間を過ごしたい……。
それが僕の気持ちであり願いだ。
(……早く会いたいな)
夜空を見上げながら、僕はそっと呟いた。
たかが3日……、でもこんなにも長く感じるなんて思ってもみなかった。
部屋に戻ると、イオリが寝る準備をしていた。
「御堂、どこ行ってた?もうすぐ消灯だぞ」
「ちょっと、外の空気吸ってただけ」
「……姉さんに会えなくて寂しくて泣いてるのかと思ったぞ」
「……うるさい」
イオリはニヤりと笑いながら布団に潜る。
でも、僕はその言葉を否定しなかった。
泣いてこそいないけど、寂しいのは事実だから。
明日はいよいよ最終日。
出来るだけたくさん写真を撮ろう。
先輩に見せたい景色が、まだまだたくさんあるはずだから。
そして、帰ったら——僕も柚葉成分を補給させてもらおう。
そう思いながら、僕はようやく布団に潜り込み、そっと目を閉じた。
修学旅行初日の夜、旅館の部屋、布団に寝転びながらスマホの画面をぼんやりと見つめる。
(……柚葉先輩、今ごろ何してるかな)
昼間、清水寺の舞台から見た景色は本当に綺麗で、思わずスマホで写真を撮った。
でも、シャッターを切るたびに浮かんだのは、「この景色、柚葉先輩にも見せたいな」という想いだった。
(たかが3日、されど3日……か)
僕はスマホを握りしめたまま、ふと昨日のことを思い出す。
「寂しさを紛らわせたいから、シャツを貸してくれ」
そう言ってきた柚葉先輩。
あのときは冗談めかして笑っていたけど、今思えばあれは本気だったんだと思う。
(……もしかして、今も泣いてたりして)
そんな想像をした瞬間、胸がざわついた。
気づけば、僕はスマホの通話画面を開いていた。
(迷惑かもしれないけど……かけるだけ、かけてみよう)
呼び出し音が鳴る。数秒後、聞き慣れた声が耳に届いた。
『もしもし?』
「あ、柚葉先輩?今電話いいですか?」
『もちろんだ。それよりどうしたんだ?』
「いえ、柚葉先輩が寂しくて泣いてないかなって思ってですね……」
言った瞬間、自分でもちょっと恥ずかしくなったけど、嘘じゃなかった。
本当に、気になって仕方なかったんだ。
『ば……バカ!ミレイは泣いてなんかいない!』
強がる声の奥に、ほんのわずかな震えが混じっていた。
その声を聞いて、僕の胸がぎゅっと締めつけられる。
(……やっぱり、寂しいんだ)
「まあ、たかが3日ですからね……。でも、僕はやっぱり柚葉先輩に会えないから少し寂しいですね」
素直な気持ちを口にすると、電話の向こうで少しだけ沈黙が流れた。
『彼方……、ミレイも本当は少し寂しい……』
その言葉に、思わず笑みがこぼれる。
「あれ?柚葉先輩、たかが3日の辛抱って言ってませんでしたっけ?」
『う……うるさい!ミレイだって、強がりくらい言う!』
その反応が可愛くて、ついからかってしまう。
「はいはい、強がりな柚葉先輩、かわいいです」
『……バカ』
その一言が、なんだか嬉しかった。
「でも、僕も似たようなもんですよ。昼間、清水寺で写真撮ってたとき、柚葉先輩にも見せたいなって思ってましたし」
『……ミレイも、彼方と一緒に行きたかった』
ぽつりと漏れたその言葉に、僕は少しだけ目を閉じて、静かに答える。
「じゃあ、今度はふたりで行きましょう。今度は修学旅行じゃなくて……ふたりだけの京都旅行にしませんか?」
『……ほんとに?』
「もちろん、約束です』
その瞬間、電話越しに空気が変わった気がした。
『……彼方、好きだ』
その一言に、胸の奥が一気に熱くなる。
(……やばい、嬉しすぎて言葉が出ない)
少しだけ間を置いて、僕も素直に返す。
「……僕も、柚葉先輩のことが好きです」
静かな夜、声だけがふたりをつないでいる。
でも、それだけで十分だった。
(あと2日。たった2日だけど、こんなに長く感じるなんて)
でも、こうして繋がっていられるなら、きっと大丈夫。
この想いは、きっともっと強く、もっと深くなっていく。
そんな確かな予感が、胸の奥に灯った。
◆◆◆
修学旅行2日目の夜。
お風呂から上がった僕は部屋で寝転がると、天井をぼんやりと見つめていた。
昼間は楽しかった。
嵐山を巡って、八つ橋作りも体験した。
イオリや高藤、悠人とふざけ合いながら、写真もたくさん撮った。
でも、ふとした瞬間に思い出すのは、やっぱり柚葉先輩のことだった。
(この景色、先輩にも見せたかったな……)
そう思って、行く先々でスマホで撮った写真を先輩に送った。
するとすぐに「今度二人でそこに行ってみたい」とか、「下調べはちゃんとしておけ」なんて返ってきて、思わず笑ってしまった。
でも、その言葉の裏にある“寂しさ”にも、ちゃんと気づいていた。
(今日も電話、してみようかな)
「おい御堂、先生が集まれって言ってるぞ」
こんな時間に……?
電話をかけようとしたその瞬間、イオリに呼ばれてしまい、泣く泣く断念した。
先生の話が終わり、部屋に戻ったのは消灯時間間際だった。
僕たちが呼ばれた理由、それは悠人が女湯に忍び込もうとして、先生たちに見つかったらしい。
その報告と注意のために先輩に電話する時間が奪われてしまい、僕は悠人を恨めしそうに睨む。
でも、こうして離れてみて、改めて思う。
やっぱり僕は、柚葉先輩のことが、本気で好きなんだ。
「……よし」
僕は旅館の人が敷いてくれていた布団から起き上がると、旅館のロビーにある自販機で温かいココアを買って、外のベンチに腰を下ろす。
10月とは言え、夜風は少し冷たい。
でも、昨日の電話で話した先輩の言葉が頭の中で蘇ると、胸の奥は不思議とあたたかかった。
(今度、ふたりで京都に来よう)
電話で言ったあの約束。
それはただの慰めじゃなくて、本気の気持ちだった。
その時は先輩と一緒に写真を撮ったところに行ってみるのもいいかもしれない。
それから同じ景色を見て、同じ空気を吸って、同じものを食べて……、柚葉先輩と同じ時間を過ごしたい……。
それが僕の気持ちであり願いだ。
(……早く会いたいな)
夜空を見上げながら、僕はそっと呟いた。
たかが3日……、でもこんなにも長く感じるなんて思ってもみなかった。
部屋に戻ると、イオリが寝る準備をしていた。
「御堂、どこ行ってた?もうすぐ消灯だぞ」
「ちょっと、外の空気吸ってただけ」
「……姉さんに会えなくて寂しくて泣いてるのかと思ったぞ」
「……うるさい」
イオリはニヤりと笑いながら布団に潜る。
でも、僕はその言葉を否定しなかった。
泣いてこそいないけど、寂しいのは事実だから。
明日はいよいよ最終日。
出来るだけたくさん写真を撮ろう。
先輩に見せたい景色が、まだまだたくさんあるはずだから。
そして、帰ったら——僕も柚葉成分を補給させてもらおう。
そう思いながら、僕はようやく布団に潜り込み、そっと目を閉じた。
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