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柚葉の章 ロリっ子で不器用な生徒会長
離れていても繋がっている心
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その日の夜、帰宅した私はお風呂と夕飯を済ませ、パジャマ姿でベッドに倒れ込む。隣に置いてあった彼方のシャツを手に取り、そっと鼻を近づける。
これは昨日、彼方に無理を言って借りたもの。
彼方がいない間、寂しさを紛らわしたいと言うと、彼方は苦笑しながら貸してくれた。
しかし、私の寂しさは自分が思っていた以上だった。
(彼方……)
彼の匂いが染み付いたシャツを顔に押し当てると、彼方の残り香が私の中に入ってくる。
たかが3日……そう思っていたのだけど、まだ初日だと言うのに、たった一日でもう何日も彼方に会っていないような気がしてしまう。
それは夕食のときもそうだった、律がいないため、食べるときは私一人。
もっとも、この日ばかりは誠司さんと志乃さんが一緒に食べてくれたからそこまで寂しくは無かったけど、彼方の家で食べた昼食の方が、ずっと温かかった。
「彼方……早く会いたい……」
私は一人呟きながら彼のシャツを抱きしめる。
スマホを手に取り彼方に電話しようかとも思ったが、迷惑になるかもと思うと、それもできない……。
寂しさのあまり、私の目から涙が滲み出る……。
と、その時スマホの着信音が鳴ると、画面に浮かんだ「御堂彼方」の名前に胸が跳ね、私は急いで彼方からの電話に出た。
「もしもし?」
『あ、柚葉先輩?今電話いいですか?』
「ああ、もちろんだ。それよりどうしたんだ?」
『いえ、柚葉先輩が寂しくて泣いてないかなって思ってですね……』
彼方の言葉に私はドキっとする。
「ば……バカ!ミレイは泣いてなんかいない!たかが3日だ、ほんの少しの辛抱だ」
私は強がりを言いながらも目からこぼれそうになっていた涙を彼方のシャツで拭う。
コイツ、変なところで鋭いな……。
でも……、こうして気にかけて電話してくれたことがすごく嬉しい……。
『まあ、たかが3日ですからね……。でも、僕はやっぱり柚葉先輩に会えないから少し寂しいですね』
彼方……。
電話越しに聞こえてくる少し寂しそうな彼方の声に私の胸はキュンと疼く。
「彼方……、ミレイも本当は少し寂しい……」
『あれ?柚葉先輩、たかが3日の辛抱って言ってませんでしたっけ?』
「う……うるさい!ミレイだって、強がりくらい言う!」
私は思わず声を荒げてしまうけれど、彼方の笑い声が電話越しに聞こえてくる。
彼方は普段優しいけど、稀に意地悪になる。
『はいはい、強がりな柚葉先輩、かわいいです』
「……バカ」
スマホを耳に当てたまま、私は彼方のシャツをぎゅっと抱きしめると、電話越しに聞こえてくる彼方の声が、シャツの匂いと重なって、まるで彼方がすぐ隣に座っているみたいだった。
『でも、僕も似たようなもんですよ。昼間、清水寺で写真撮ってたとき、柚葉先輩にも見せたいなって思ってましたし』
「……ミレイも、彼方と一緒に行きたかった」
ぽつりと漏れたその言葉に、彼方は少しだけ沈黙したあと、優しく答える。
『じゃあ、今度はふたりで行きましょう。今度は修学旅行じゃなくて……ふたりだけの京都旅行にしませんか?』
「……ほんとに?」
『もちろん、約束です』
その言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなる。
「……彼方、好きだ」
思わず口にしたその言葉に、電話の向こうで、少しだけ沈黙が流れた。
『……僕も、柚葉先輩のことが好きです』
静かな夜、スマホ越しの声だけが、ふたりをつないでいる。
でも、それだけで十分だった。
私は目を閉じて、彼方のシャツを抱きしめながら、彼方の声に耳を傾ける。
たかが3日。
でも、こんなふうに繋がっていられるなら、きっと乗り越えられる。
この繋がりの先に、もっと深くて、もっと確かな絆が待っている——そんな気がした。
これは昨日、彼方に無理を言って借りたもの。
彼方がいない間、寂しさを紛らわしたいと言うと、彼方は苦笑しながら貸してくれた。
しかし、私の寂しさは自分が思っていた以上だった。
(彼方……)
彼の匂いが染み付いたシャツを顔に押し当てると、彼方の残り香が私の中に入ってくる。
たかが3日……そう思っていたのだけど、まだ初日だと言うのに、たった一日でもう何日も彼方に会っていないような気がしてしまう。
それは夕食のときもそうだった、律がいないため、食べるときは私一人。
もっとも、この日ばかりは誠司さんと志乃さんが一緒に食べてくれたからそこまで寂しくは無かったけど、彼方の家で食べた昼食の方が、ずっと温かかった。
「彼方……早く会いたい……」
私は一人呟きながら彼のシャツを抱きしめる。
スマホを手に取り彼方に電話しようかとも思ったが、迷惑になるかもと思うと、それもできない……。
寂しさのあまり、私の目から涙が滲み出る……。
と、その時スマホの着信音が鳴ると、画面に浮かんだ「御堂彼方」の名前に胸が跳ね、私は急いで彼方からの電話に出た。
「もしもし?」
『あ、柚葉先輩?今電話いいですか?』
「ああ、もちろんだ。それよりどうしたんだ?」
『いえ、柚葉先輩が寂しくて泣いてないかなって思ってですね……』
彼方の言葉に私はドキっとする。
「ば……バカ!ミレイは泣いてなんかいない!たかが3日だ、ほんの少しの辛抱だ」
私は強がりを言いながらも目からこぼれそうになっていた涙を彼方のシャツで拭う。
コイツ、変なところで鋭いな……。
でも……、こうして気にかけて電話してくれたことがすごく嬉しい……。
『まあ、たかが3日ですからね……。でも、僕はやっぱり柚葉先輩に会えないから少し寂しいですね』
彼方……。
電話越しに聞こえてくる少し寂しそうな彼方の声に私の胸はキュンと疼く。
「彼方……、ミレイも本当は少し寂しい……」
『あれ?柚葉先輩、たかが3日の辛抱って言ってませんでしたっけ?』
「う……うるさい!ミレイだって、強がりくらい言う!」
私は思わず声を荒げてしまうけれど、彼方の笑い声が電話越しに聞こえてくる。
彼方は普段優しいけど、稀に意地悪になる。
『はいはい、強がりな柚葉先輩、かわいいです』
「……バカ」
スマホを耳に当てたまま、私は彼方のシャツをぎゅっと抱きしめると、電話越しに聞こえてくる彼方の声が、シャツの匂いと重なって、まるで彼方がすぐ隣に座っているみたいだった。
『でも、僕も似たようなもんですよ。昼間、清水寺で写真撮ってたとき、柚葉先輩にも見せたいなって思ってましたし』
「……ミレイも、彼方と一緒に行きたかった」
ぽつりと漏れたその言葉に、彼方は少しだけ沈黙したあと、優しく答える。
『じゃあ、今度はふたりで行きましょう。今度は修学旅行じゃなくて……ふたりだけの京都旅行にしませんか?』
「……ほんとに?」
『もちろん、約束です』
その言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなる。
「……彼方、好きだ」
思わず口にしたその言葉に、電話の向こうで、少しだけ沈黙が流れた。
『……僕も、柚葉先輩のことが好きです』
静かな夜、スマホ越しの声だけが、ふたりをつないでいる。
でも、それだけで十分だった。
私は目を閉じて、彼方のシャツを抱きしめながら、彼方の声に耳を傾ける。
たかが3日。
でも、こんなふうに繋がっていられるなら、きっと乗り越えられる。
この繋がりの先に、もっと深くて、もっと確かな絆が待っている——そんな気がした。
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