罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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瀬玲奈の章 ギャル気質なガールフレンド

レベル97のヒロイン

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 その夜、お風呂と夕飯を済ませた僕は2階にある自室に戻ると、パソコンを起動させる。

 そしてエリシア・オンラインを起動させると、瀬玲奈にメールを送る。

――エリシアにログインしたよ――

 これでよし。

 僕は自キャラである銀髪の人間剣士「カナタ」を選び、ゲームにログインする。

『こんばんは』

 僕はゲームにログインすると、ファンタジー風の街並みが画面に映る。
 BGMが流れ始めると、キーボードを打ち込み、チャットで挨拶をした。

『こんばんは』

 すると、僕の所属チーム「私立グレイス学園」のリーダー、スズタクさんが挨拶を返してくれる。
 それともう一人チャットを返してくれる人がいた。

『カナタっち、こんばんは!』

 チャット欄を見ると、「セレナ」と書いていた。
 どうやら瀬玲奈のアバターのようだ。

 それにしても、同じチームに所属していたなんて知らなかったよ……。

 僕はパソコンの画面を見ていると、瀬玲奈から個人チャットが飛んでくる。

『改めて、こんばんは~!カナタっち♪』

『こんばんは、えっと……瀬玲奈』

 僕は少し戸惑いながらチャットを送る。
 亜希や由奈ちゃん以外で、女の子の名前を呼ぶのは初めてかもしれない。
 ……なんか、変に緊張する。

『おやおや~、カナタっち緊張してる?あはは!ウチとの仲なんだから緊張しなくてもいいし!』

『そ……そうは言われても……』

『あはは!カナタっち可愛い~!それよりカナタっちどこにいるの?一緒に遊ぶっしょ!』

『えっと……今ヴァルツァかな』

 ヴァルツァはついこの前のアップデートで追加された街。

 このエリアに出現する新モンスター「ヴァルキュリア」からドロップする、カイゼルという剣とセレナドレスという女性キャラ専用の新装備を入手するため挑んだものの、あまりの強さに断念した。

 セレナドレスはともかく、カイゼルは欲しかったんだけど、敵が強い上に群れで襲ってくるから中々厄介なんだよね~……。

『ウチも丁度ヴァルツァにいるし!合流しようよ!』

 瀬玲奈から指定された場所に僕はコントローラーを使ってカナタを移動させると、そこには茶髪のショートヘアをした人間の女性キャラがいた。

 そして、頭の上には【セレナ】と書かれていることからこのキャラが瀬玲奈のアバターのようだ。
 セレナの腰には見慣れない剣、身にまとっているのは緑のメイドドレス……まさか、あれが……?

『やっほ~、カナタっち!』

 セレナは僕を見つけると、手を振るモーションをしてきたので、僕もカナタに手を振るモーションをさせる。

『セレナこんばんは。ところで、その装備してる剣とメイド服ってまさか……』

『気がついたっ!?新モンスからゲットした新装備だし!』

『え?じゃあ本当にカイゼルとセレナドレス……?』

『もちろん!がんばって手に入れたし!』

 セレナはチャットと共にガッツポーズを取ってみせる。
 しかし、よく見ればセレナドレスの色が白がベースに緑の差し色が入っいるのが見えた。

(確か、開発中の画像を見た限りだと白に紺色の差し色だったと思うんだけど……)

『セレナ、そのドレスって色は白地に紺色じゃなかったっけ?』

『うん、そだよ!でもウチ緑が好きだからアイテム使って色を変えたんだ』

 確かに課金アイテムに装備の色を変えれるものがある。
 ていうか、セレナドレスにそれ使ったということか。

 少しもったいないのでは?と思わなくもないけど、まあ本人がいいのなら……。

 僕は特にそれについては口にすることはなかったけど問題はそこじゃない。

『いや……ヴァルキュリアは強い上に群れで襲ってくるから大変だったんじゃ……』

『う~ん、なかなかメンドーだったけどウチ、アクションゲームも得意だしっ!おかげでレベルもかなり上がった感じ♪』

『……ちなみに今レベルいくつ?』

『えぇ~、女の子にレベル聞くなんて~、カナタっちってばやらし~♪』

『なんでだよ!』

 なんでレベルを聞いただけでそんなこと言われないといけないんだよ!

(ギャルってのはよく分かんないよ……)

『あははは♪冗談に決まってるっしょ!カナタっちの反応おもしろ~い!ウチのレベルは97だよ!』

『……は?』

 セレナの言葉に僕の目は点になる。

 確かこのゲームのレベルのカンストは100だったはず。
 レベル97って……カンスト寸前じゃないかっ!?
 どれだけやり込んでるのさっ!

『いやぁ~、新装備手に入れるのにほぼ作業ゲーみたいに敵を倒してたらこうなった感じ?ウチもビックリ!』

 瀬玲奈のチャットが画面に表示されると同時に、セレナがくるっと一回転してポーズを取る。
 アバターとは言え、その動きが妙に可愛くて僕は思わず画面越しに笑ってしまった。

『だけど、セレナと同じチームとは思わなかったよ』

『いやぁ~、ウチ集中すると没頭するタイプでさぁ~、チャットも忘れてレベリングしてたって感じ?』

『……それにしても、レベル97って……』

『カナタっちも頑張ればすぐ追いつけるって!ウチが手伝ってあげるし♪』

『いや、僕まだレベル62なんだけど……』

『え~、それならウチがキャリーしてあげるっしょ!ウチ、頼れる女だから~♪』

 セレナは剣を構えるポーズを取ると、画面の向こうでキラリと笑ったような気がした。  
 ……いや、実際には笑ってないんだけど、なんとなくそんな気がする。

『じゃあ、ヴァルキュリア狩り行こっか!ウチ、カナタっちのこと守ってあげるし!』

『……僕、男なんだけど』

『関係ないし~!ウチが守りたいって思ったら守るの!それがウチ流♪』

 セレナからパーティー申請が届き、僕は即座に参加ボタンを押した。

 なんだろう、この感覚。  
 ゲームの中なのに、瀬玲奈と話してると現実よりも距離が近い気がする。

 僕はカナタを操作して、セレナの隣に並ぶ。

『じゃあ、よろしくお願いします……セレナ』

『うん!ウチに任せて~!カナタっち、絶対守るからっ!』

 その言葉に、僕の胸が少しだけ熱くなる。  
 画面の中で並ぶふたりのキャラが、まるで現実でも肩を並べているように見えた。

 そして、僕たちは街を出ると、ヴァルキュリアが出現する荒野へと向かっていった。
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